工務店を対象としたフランチャイズは、集客増、売上増、工法の普及、FCグループのシェア拡大など、目標とするゴールに違いがありFCごとに特徴があります。
フランチャイズの目標と加盟しようとする工務店の目的が合致していないと、フランチャイズ加盟は失敗に終わることがあります。そのためフランチャイザーが目指している目標を正しく理解して加盟する必要があります。
ここではフランチャイズ加盟が失敗に終わってしまう代表的なケースに焦点をあて、加盟を決断するさいの考え方をご紹介します。
工務店経営の失敗とフランチャイズ
工務店経営の失敗といえば「倒産」です。倒産原因のほとんどは資金繰り悪化といえるでしょう。
資金繰りが悪化するには次のような要因があげられます。
- 受注減による売上不足
- 原価管理がまずく粗利益率が悪化
- 資金回転率の悪化
- 銀行与信の低下
工務店フランチャイズ加盟により、倒産原因となる上記の要因発生を抑える効果を期待できるのは次のようなことです。
- 集客増を図り受注機会を高める
- 原価管理の徹底により利益率を高める
つまり「集客」と「マネジメント」に関するノウハウを、フランチャイズは提供していると言えます。
工務店フランチャイズ加盟で失敗する4つのケース
フランチャイズ加盟による失敗とは、集客に失敗することかマネジメントに失敗することです。
ここではこの2つの失敗しやすいケースについて、すこし深く突っ込んで見ていきます。
あきらめが早いと失敗する
フランチャイズが提供するノウハウの種類には「集客増」を図る狙いのものが多くなっています。
「Webサイトによる集客」などは集客増に直接結びつくものですが、耐震関連工法や高断熱工法など技術を伴うノウハウも、新規顧客層への訴求が期待でき、やはり集客増ノウハウと言えます。
特徴的なデザインや自然素材による空間創りをアピールするノウハウも、商品企画の部類ですが集客増につながるものです。
せっかくのノウハウを導入しても集客増につながらない、その原因の1つがターゲットとなる顧客層にリーチできていないことが考えられます。
- Webコンテンツがマッチしていない
- アピールポイントが理解されていない
- 商品特徴がニーズの少ないものである
などいろいろ理由はあると考えられますが、集客方法を確立するには「トライアンドエラー」の繰り返しが必要です。
失敗するのは一度や二度のトライで「効果がない」と判断してしまうことです。粘り強く繰り返しトライする姿勢が持てない場合は失敗する確率が高まるでしょう。
疑り深いと失敗する
フランチャイズに加盟しても本心からFC本部を信用していない人もいます。
上記のトライアンドエラーを繰り返しせずあきらめる人は、もともと本部を信頼しておらず疑っている場合があります。
フランチャイザーがノウハウとしてまとめあげるまでには、多くの失敗を重ねた結果であることが多く、一朝一夕で完成したノウハウではありません。
フランチャイジーが導入した直後に効果がでる場合もあれば、ある程度の期間を経てノウハウを使いこなせる場合もあります。
たとえば「Webサイトによる集客」ノウハウを考えても、サイトへのアクセスがある程度の量になるまでは、効果を感じることはありません。
しばらく時間をかけるのが必要なのに、効果がでる前にコンテンツを変更してしまうなど、不信感が強いほど失敗を繰り返してしまう結果となるのです。
マネジメントに失敗するケース
マネジメントに係わるノウハウでは、仕入れルートの開拓や整備そして施工体制の整備などは、相手のある交渉であり取り引きが成立しなければ有効なノウハウとはなりません。
取引関係の成立は
- 年間取引数量
- 支払条件
- 相手からの与信
などのリーズナブルなビジネス上の条件と、経営者の人間性や事業への理念などのメンタル的なものも影響します。
提供されるノウハウはマネジメントに関するものですが、交渉の必要な事項の整備は加盟店経営者の交渉力にかかっています。
ノウハウは進む方向を示しているだけで、実際に相手との交渉をまとめることをFC本部ができるものではありません。そのためノウハウで示す理想的な交渉結果にならなければ、ノウハウは “絵に描いた餅” となってしまいます。
以上のようにマネジメントに関することは、経営者みずから条件整備を図り、積極的に体制づくりをすすめる必要があります。
従業員に任せきりにするなどは、失敗の大きな原因となるでしょう。
営業力の増強に失敗するケース
工務店経営には大きく2つのパターンがあります。
- ハウスメーカーや大手リフォーム会社の「下請け」を主とした事業
- 新築やリフォームを直接お客さまから請負う「元請け」を主とした事業
工務店フランチャイズは上記[2]の「元請け事業者」を対象としています。
下請け事業は元請けとの信頼関係や人間関係の形成で仕事の継続ができますが、元請け事業はみずから営業力を高め直接注文を受けられる体制づくりが必須です。
フランチャイズに加盟する目的は営業力を高め目標の受注量を確保することです。FC本部から提供されるノウハウは、そのためのツールやシステムなどになります。
工務店の営業力はいわゆる「営業マン」を確保することではありません。『営業もできる住宅の専門家』を育てることです。元請けの工務店営業は、住宅を求めるお客さまとの直接のやりとりであり次のような能力が求められます。
- 住宅造りのコンサルティング
- 住宅ローンなど資金計画や住宅金融の知識
- 引渡し後の住宅メンテナンスに関する知見
- 住宅に係わる将来設計へのコンサルティング
このような能力を経営者みずから身につける必要もありますし、さらにこのような人材を育成する努力も必要です。
フランチャイズのノウハウを導入したので、あとはスタッフに任せきりという姿勢は失敗の原因となるでしょう。
まとめ
工務店経営者がフランチャイズ加盟を検討することは多いと思います。
- 建設会社勤務から独立し工務店を立ち上げる
- 親が経営していた工務店の二代目として事業拡大を考える
- 下請け中心だった事業形態を元請けに転換したい
- リフォームや修繕工事を主体にしていたが新築受注を増やしたい
このような理由によりフランチャイズのノウハウを活用すると、事業拡大や事業転換をスムーズにおこなうことが可能です。しかしノウハウの導入後の活動によっては失敗に陥ることもあります。
フランチャイズは加盟してから何を実行するかが重要です。行動計画をしっかり立てて加盟の是非を検討することが大切でしょう。