工務店の集客イベント|寄席で89組を集めた成功例と失敗例

2024年のゴールデンウィークに私は住宅会社の集客イベントを見て回りました。
家づくりセミナーを2回用意したのに予約が1組しか入らなかった工務店もありました。
子供向けのショーで人は集まっても、その人たちに家を建てる予定があるのか分からない総合住宅展示場もありました。
私がこれまで手がけた企画で人が集まったのは、誰に向けたイベントかがはっきりしたものです。
関東地方で一日二公演に89組を呼んだ高齢者向けの寄席(よせ)や、狭い土地に家を建てる人に絞ったセミナーがその例です。
展示場を持たない工務店でも、建築中の現場をつなぐライブ配信なら集客イベントを開けます。
本記事では、工務店と総合住宅展示場の集客イベントの事例をもとに、人が集まる企画の立て方を解説します。
工務店の集客イベントが失敗した事例(2024年GW・東北地方)
2024年のゴールデンウィーク中に、私は東北地方の某工務店へ足を運びました。昔から懇意にしている社長の顔を見るついでの現場訪問でしたが、この工務店が企画した集客イベントは低調に終わったようです。
私が訪ねたのは、休日の午後に開かれたセミナーです。
タイトルは、簡単に言うと「家づくりの基礎知識」でした。
工務店はこのセミナーを午前と午後の2回開く予定で、基本は予約制にしながら、当日の飛び入りも受け付けていました。
結果は、午後に予約が1組入っただけです。私から見れば明らかな大失敗で、さすがにタイトルがベタ過ぎたのでしょう(笑)。
人が集まらないセミナータイトルの原因と、ターゲットを絞ったキャッチコピーの作り方は、集客セミナーに人が来ない理由で解説しています。
私「どうしてそんなベタな企画でいったんですか」
社長「わかってはいたけど他にアイディアが浮かばなかったんで、基本に返ろうってことでやったんだよね」
工務店の集客イベントで人が集まったセミナー企画
セミナー型の集客イベントには、これをやれば人が集まるという単純な答えがありません。そのうえで、私がこれまで手がけて成功した企画を2つ紹介します。
高齢者向けの寄席で89組を集めた企画(関東地方)
高齢者向けの寄席は、準備が大変なのが難点ですが、高い確率で集客が望める企画です。噺家(はなしか)を手配する必要があるものの、ネットを通じれば簡単に探し出せます。
私が関東地方で実際に行った寄席では、一日二公演で89組のお客さんを呼ぶことができ、イベントとしては大成功でした。呼んだのはプロの噺家ではなくサラリーマンの愛好家だったので、ギャラはたったの3万円で済んでいます。
「狭い土地に家を建てる」に絞ったセミナー(都市部)
都市部では「狭い土地に家を建てる実例と工夫を大公開」という文言でセミナーを開きました。
細かいタイトルは忘れましたが、だいたいこのような言葉で勝負しています。
私が都市部を選んだのは、この言葉に当てはまる人が多いと考えたからです。
このマーケティングもうまくいき、非常に多くのお客さんが集まりました。
会社の近くに限らずに開催地域を選ぶ考え方は、集客イベントの開催場所の設定方法で解説しています。
この企画では、幅広いお客さんに目を向けるのではなく、ターゲットを絞ったテーマ設定をしています。
広い土地を持っている人にとって、このテーマは関係のない話です。
家づくりをまだ具体的に考えていない人も、狭い土地とまで絞り込まれると、何の話かよく分からないはずです。
しかし、狭い土地をすでに購入した人や、予算の都合で狭い土地しか買えない人にとっては切実な問題です。そうした人は、この手のセミナーに反応しやすくなります。
総合住宅展示場のGWイベントは人が動いても低調
総合住宅展示場も岐路に立たされていますが、2024年のゴールデンウィークも全国の住宅展示場でさまざまなイベントが行われました。私が直接見たのは2か所ですが、知り合いを通じて全国の情報もいろいろ集めました。
集めた情報を見る限り、人はそれなりに動いたものの、全体としては低調でした。
最大で10連休が取れる休みだったことも影響しているかもしれません。
ただ、根本的には総合住宅展示場そのものの勢いが薄れたからだと私は考えています。
キャラクターや戦隊ショーで集まる子供連れ
単純に人が集まって賑やかだった会場も、いくつかあったようです。ただ、集まった人に家を建てる予定があり、しかもモデルハウスの中まで入るかどうかは全く別の問題です。
住宅展示場が子供受けするキャラクターを呼んだり、戦隊もののアクションショーを開いたりすれば、子供連れのお客さんが来るのは当然読めます。それでも、そこから先の展開は決して明るいとは言えません。
スタンプラリーで各社を回って投票してもらう企画
そうした中でも、私が面白いと思ったイベントが一つありました。スタンプラリー形式で複数の住宅会社の展示場を回ってもらい、最後にどこが良かったかを投票してもらうイベントで、食べ物のイベントでよく見る投票の仕組みと同じです。
ただ「どこが良かったか」だけを聞いても、お客さんは決めようがありません。
そこで主催側は収納、動線、わくわく感といったテーマを3〜4点決めておきました。
お客さんには項目ごとに一番良かったハウスメーカーにチェックを入れてもらい、最後にセンターハウスで回収していました。
住宅展示場のイベント内容は出尽くした感がありますが、このように考えていけば、企画はまだまだ湧いて出ると私は思っています。
ただし、総合住宅展示場のビジネスモデル自体が怪しくなっているので、企画の工夫もその兼ね合いの中での話です。
総合住宅展示場の先行きは住宅展示場の撤退が相次ぐ理由で解説しています。
住宅展示場で新規客を集めるイベント企画のコツは、住宅展示場のクリスマスイベントの成功例で解説しています。
展示場がない工務店のライブ配信イベント(東海地方)
住宅展示場があれば何らかの企画も立てられますが、展示場を持たない工務店がリアルなイベントを打つのはなかなか難しいものです。
その不利を跳ね返せるのがネットです。
配信環境と実物の建物さえあれば、展示場がなくてもイベントはいくらでも成立します。
基礎から引き渡し間近まで4現場を同時中継
東海地方のある工務店は、建物ができる過程を1回の配信で見られるライブ配信イベントを行いました。手間はかなりかかっていて、工務店は次の4つの現場から同時に中継しています。
- 基礎を打った直後
- 上棟直後
- 内装がほぼ完了した直後
- 引き渡し間近
工務店は4か所すべてに人を配置しなくてはならず、準備は大変でした。その代わり、自宅のパソコンで見ているお客さんは、一歩も動かずに、完成までのそれぞれの段階の現場を見られます。
基礎を打った直後の現場では、担当営業が基礎の重要性や他社よりも堅牢なつくりをアピールしていました。担当営業はベース幅が他社よりも厚いことなども熱心に説明し、続けて視聴者にこう呼びかけました。
「では次に上棟直後のお客さんのお宅にカメラを切り替えます」
この言葉と同時にカメラが切り替わり、上棟直後の別のお宅から、その現場の担当営業が視聴者に説明を始めます。
準備は大変ですし、当日の切り回しがうまくいかない可能性も十分にあるので、リスクの大きいイベントです。それでも、見ているお客さんからすれば、家のできる過程を生配信で見られる面白い試みであることは間違いありません。
社長ひとりでも始められるYouTubeライブ配信
私は、会社の大小に関わらず、ネットを使ったイベントに積極的に取り組むことを強く推奨しています。特に小規模な工務店であれば、ライブ配信に住宅展示場は必要なく、やり方によっては社長ひとりでも十分に開けます。
YouTubeなどのライブ配信は私もやったことがありますが、一度手順を覚えてしまえば、なんてことはありません。ぜひ積極的に挑戦してください。
まとめ
2024年のゴールデンウィークには、東北地方の工務店の「家づくりの基礎知識」セミナーが予約1組に終わりました。
総合住宅展示場も、人は動いたものの全体としては低調でした。
一方で、対象を絞った寄席や狭い土地のセミナーは人を集めています。
4現場をつないだライブ配信も、展示場を持たない工務店が開ける集客イベントです。
これから迎える時期は集客がどうしても落ちてきますし、新築がこの先激減するのは誰もが分かっていることです。
それでも、リフォームに販路を広げると同時に、他社がやらない戦略で新築を攻めていけば、工務店でも十分に勝ち残れると私は考えています。
これまでどおりのことを漫然と繰り返すことだけは避けてください。
ぜひ本記事の成功例と失敗例を参考に、次の集客イベントを誰に向けた企画にするかを決めてください。



