住宅展示場・見学会の接客失敗事例3つ|住宅営業が逃した場面

住宅展示場・見学会の接客失敗事例3つ|住宅営業が逃した場面

私が目の前で見た接客の失敗は、雑談の返しに詰まる、カタログだけ欲しいお客さんを玄関で帰す、奥さんの不安をすぐに打ち消す、の3つでした。

本記事では、住宅営業の接客で起きた3つの失敗事例とその原因を解説します。

住宅展示場の接客の失敗が初対面で契約率を下げる理由

どんなベテランの住宅営業でも、接客で失敗することはあります。

住宅会社が受注を取る手法はいろいろあり、インターネットやスーモなどの浸透によって、お客さんとの出会い方も変わってきました。

それでも、初対面の対応に失敗するとその後の契約率が著しく下がる点は、昔も今もまったく変わりません。

私は、接客の失敗事例をたくさん知り、その反対をやっていけば、住宅営業の契約率は上がると考えています。私が見た3人の営業社員の失敗は、場面も原因もそれぞれ異なりました。

お客さんの職種に合わせて説明を変えた事例や、無口な夫婦に一方的に話して終わった失敗は、現場見学会の接客の成功事例と失敗事例で解説しています。

営業社員場所失敗した場面原因
A君(昨年入社の若手男性営業)住宅展示場のリビングお酒の収納を見せ、お客さんに「下戸」と返されて話を変えた想定外の答えへの返しを用意していなかった
Bさん(女性営業)住宅展示場の玄関カタログだけ欲しい若いご夫婦を、見学なしで帰した見学なしでカタログを渡すことを社長が禁止していた
C君(20代後半、キャリア3〜4年の男性営業)分譲地の端の新築建売住宅「虫がすごそう」という奥さんの言葉を、すぐに打ち消した奥さんの気持ちを汲まずに売り込んだ

住宅展示場の雑談で失敗した若手営業A君(ゴールデンウィーク)

昨年入社した若手の男性営業社員A君の接客を、私はゴールデンウィークに間近で見ました。私が見たのは1組だけでしたが、A君の接客の中に、極めて興味深い失敗の場面が一つありました。

お酒の収納を開けて「下戸」と返された場面

A君が勤める住宅会社の住宅展示場は、デザイン性が高く、おしゃれな雰囲気にあふれています。

収納の工夫も抜群で、リビングの壁のあちこちに、ひと目では分からないプッシュ式の収納が付いています。

収納の一つを開けると、中にはブランデーやウイスキーなどのお酒がぎっしり並んでいます。

この住宅会社の営業社員は、必ずこの収納を開けてお客さんを驚かせ、お酒の話から雑談に入って、くだけた雰囲気をつくっています。ところが、A君がこの収納を案内したとき、私が首をかしげる場面がありました。

A君「こちらをちょっと押しますと……収納になってるんですよ」

客 「あっ、すごいですね、驚きました」

A君「中にはお酒がぎっしり入っていますけども……ところでお酒は召し上がるんですか」

客 「いや酒に関しては私も妻もまったくの下戸なので一滴も飲めないんですよ」

A君「そうなんですね……では今度はこちらをご覧ください」

お酒の話で雑談をするべき場所なのに、A君はお客さんが夫婦そろって下戸だと分かった瞬間、雑談につなげられませんでした。

「想定外だった」というA君の答え

A君の接客は15分ほどで終わり、お客さんはあっという間に帰っていきました。

接客の後、私はA君にあの場面の顛末(てんまつ)を確認しました。

キャリアが浅く、接客の数も多くないことも影響したのでしょうが、A君は私の質問にこう答えました。

「お酒が好きと答えてくれれば話を膨らますトークは準備していたのですが、全く飲まないと答えるのは想定外だったんですよ。実際あのように答えた人は初めてでしたね」

言葉に詰まったA君は、愛想笑いをした後、お客さんを別の場所へ案内してしまったわけです。

A君は雑談のチャンスを逃しただけではありません。

お客さんの側から見れば、質問に答えてボールを投げ返したのに、そのままスルーされたことになります。

お客さんが悪印象までは抱かないにしても、何の面白みもなく、内心では「なんだかな……」と感じたのではないかと私は思います。

A君の接客は、お酒の場面に限らず、ほかの会話も通り一遍で面白みがありませんでした。もちろん、お酒の場面でうまく雑談に持ち込んでいたとしても、そのお客さんは結果として短時間で帰ったかもしれません。

雑談のロールプレイングを研修に入れる理由

私は研修で必ずロールプレイングを行っており、テーマの一つに雑談を入れています。建築知識やその住宅会社の仕様を正しく話せるかどうかのロールプレイングも行いますが、当意即妙なやり取りを求められる雑談の訓練は欠かせません。

雑談のロールプレイングを含め、1年目の新人営業に行う研修の中身は、住宅営業の新人研修で1年目にやることで解説しています。

雑談のロールプレイングのやり方はいくらでもあり、社内だけでも十分にできます。接客の流れを動画にして社内で共有する方法は、動画で作る住宅営業マニュアルで解説しています。

カタログだけ欲しい客を玄関で帰した女性営業Bさん

次は、ある住宅会社の女性営業Bさんの話です。Bさんは結果的にお客さんを怒らせてしまいましたが、Bさんの責任は一切なく、会社の方針に従った結果でした。

この場面も、ゴールデンウィーク中に私が目の前で見たものです。

住宅展示場の接客当番だったBさんは、予約なしで来場した若いご夫婦を玄関で迎えました。

私はリビングの隅に立って接客を観察するつもりで構えていましたが、お客さんは玄関で何やらやり取りをしたまま帰ってしまいました。

Bさんとお客さんのやり取りを再現します。

Bさん「いらっしゃいませ。どうぞご見学ください」

客 「すみません実は時間がなくて今日はカタログだけいただけないかと思っているんですけども」

Bさん「でも、せっかくですので、5分でもいいですからちらっと見ていけませんか」

客 「いやそれがちょっと……時間がないもんですからカタログだけもらえませんか」

Bさん「それは社の規定でできないものですから」

客 「そうですか、じゃあいいです」

見学せずにカタログを渡すことを禁じた社長の方針

本当にこのとおりの会話でしたが、Bさんに責任はまったくありません。

Bさんの住宅会社では、展示場を見学せずにカタログだけを渡すことを、社長の命令で禁止していたからです。

私はこの方針を聞いていなかったので、Bさんから聞いて初めて社長の方針だと知りました。

私が社長であれば、ここまで厳しい対応はしません。ただ、カタログ1冊あたりの単価などを考えると、カタログだけを渡すのはダメだと判断する社長がいても、決して不思議ではありません。

アンケートを断った客を帰した店長(私の現役時代)

私の現役時代にも、他店の店長が同じような方針を取っていました。

ある現場見学会に来場したお客さんが、アンケートの記入を拒否したことがあります。

たまたま現場にいた店長は、それでは見学してもらうことができないとお客さんに告げ、若干の押し問答になりました。

お客さんはかなり腹を立てた様子で、そのままきびすを返して帰っていきました。

当時の私は唖然としましたが、今はその店長の対応もありだと思っています。来場時にお客さんに書いてもらう項目の決め方は、住宅展示場の接客で使う来場アンケートで解説しています。

建売住宅の現場で奥さんの不安を打ち消したC君の失敗

男性営業のC君は、20代後半でキャリア3〜4年の住宅営業です。C君が接客した現場は分譲地の新築建売住宅で、私はC君の接客を間近で見ていて、問題のある場面を目撃しました。

この建売住宅は分譲地のいちばん端にあり、目の前まで山が迫り、幅1mほどの小川が流れている立地でした。

自然が豊かで、いちばん端なので周りの家を気にしなくてもいいという利点があります。

ところが、キッチンの窓から外の山肌を見た奥さんが、ぽつりとこう言いました。

奥さん「川も近いし山もいっぱい草や木が生えているので虫とかすごそうだわねえ」

奥さんのこの言葉は、よくある反応の一つです。

しかしC君は、この言葉を強硬に打ち消しにかかりました。

C君は奥さんの気持ちを汲んだうえで話を進めればよかったのですが、奥さんが言い終わるか終わらないかのタイミングで、こう返したのです。

「虫とかそんなに問題ないと思いますよ。ある程度はいるでしょうけども、そのあたりは慣れると思いますし、家の中までブンブン飛んでくるということはないでしょう」

私は奥さんの表情までは確認できませんでしたが、この返しは良くないと感じました。

奥さんは虫が嫌だと言っているのに、C君の言い方では、いかにも売りたいという気持ちが透けて見えます。間違いなく問題のある接客だと私は思いました。

奥さんの話を打ち消さずに収納の不満を聞き出す接客は、住宅展示場のキッチン接客で解説しています。

まとめ

住宅展示場や現場見学会での接客の失敗は、お酒の収納で「下戸です」と返されて雑談に詰まったA君、社長の方針でカタログだけ欲しいお客さんを玄関で帰したBさん、奥さんの虫への不安をすぐに打ち消したC君の3つの場面で起きていました。A君とC君の失敗は営業社員の返し方の問題で、Bさんの失敗は住宅会社の方針の問題です。

接客は一期一会です。一度失敗してしまったお客さんはほぼ戻ってこないので、雑談で想定外の答えが返ってきたときの返し方は、ロールプレイングで事前に練習しておく価値があります。

ぜひ本記事の3つの失敗事例を参考に、自社の営業社員の接客と、カタログの渡し方の方針を見直してください。

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