工務店のYouTubeで成功と失敗を分けたもの|2社の実例と作り方

様々な工務店がYouTubeを活用していますが、私のまわりでは、YouTubeをやらなければよかった工務店も、業績に何の影響も出ていない工務店も結構見られます。
工務店のYouTubeで成否を分けたのは映像の出来栄えではなく、自社の強みとその根拠を伝えたかどうかでした。
社長がメモを見ながら棒読みで会社案内をした工務店は新規の人にマイナスの印象を与えています。
一方で、収納の工夫だけを10分程度の動画3本で見せた工務店の社長は、「講演で紹介しないでね」と言うほどの自信を持っています。
本記事では、YouTubeで失敗した工務店と成功した工務店の事例をもとに、1本目の動画の作り方を解説します。
工務店のYouTubeは無料で使える最強の営業ツール
私はコラムで何度も繰り返してきましたが、工務店にとってYouTubeは無料で使える最強の営業ツールです。社内で動画を作れない工務店は、外部の制作会社に任せてもかまいません。
ただし、YouTubeは闇雲に動画を上げればよいというものではありません。
工務店がYouTubeを始めるときに注意してほしいのは、映像の出来栄えだけを追い求めないことです。
きれいな映像を作っても、エンドユーザーが知りたいことから離れてしまえば、それは作り手の自己満足でしかありません。
そうした動画をいくら並べても、見る人は誰も関心を持ちません。
YouTube以外の新規客の探し方は、住宅営業の探客方法で解説しています。
YouTubeで失敗した社員5名の工務店の事例
1社目は、本州にある某工務店とさせていただきます。この工務店は社員数5名のいわゆる町の工務店で、2年前にYouTubeの動画制作に取りかかりました。
普通の工務店は手をつけやすいInstagramから始めますが、この工務店はInstagramやTikTokを一切やらず、一足飛びにYouTubeを選びました。
YouTubeに目をつけたところまでは大正解で、私も素晴らしい視点だと思いました。
私はこの工務店の社長を昔から知っているので、チャンネルが立ち上がったときにすぐ気づき、「YouTube始めたんだ、へー」と思いながら見ていました。
失敗といっても、会社が傾くような失敗ではありません。動画を見た私の率直な感想は次のとおりでした。
「新規の人へのアピール力もないし、かえってこの工務店に対するネガティブの印象がでかねないな・・・」
社長がメモを見ながら棒読みした1本目の会社案内
1本目に上がった動画は、あまりにも硬くて面白くありませんでした。社長がカメラ目線で自己紹介や会社案内をする構成自体はよいのですが、社長はほぼ無表情で、メモ書きに目を落としながら棒読みしていました。
新規のお客さんがこの動画を見て「面白そうな工務店だな」と思うとは考えにくく、どう考えてもマイナスの印象しか与えません。
この工務店は最終的に10本程度の動画を上げましたが、私はたまたま1本目が上がったところでチャンネルを見つけました。
私から社長に連絡は取りませんでした。
社長と棟梁が30分ずつ話し続けるうんちく動画
チャンネルを見つけてから、私は頻繁に新しい動画を確認していました。2本目と3本目は比較的早く上がりましたが、どちらも社長と大工の棟梁がそれぞれ単独で話す、いわゆるうんちく動画でした。
うんちく動画で一番の問題は、尺があまりにも長いことでした。
2本とも30分程度の長尺で、編集に特に工夫もなく、話し手がひたすらカメラに向かって話しているだけです。
申し訳ありませんが、社長と棟梁の話術も巧みとは言えませんでした。
私もさすがに最後まで見ることはできず、ところどころ飛ばしてだいたいの内容をつかみました。
私はこの工務店の良さを知っているので問題ありませんが、新規の方が見れば「つまんないな」で終わってしまいます。
この工務店は、YouTubeをやらなかった方がよかったというのが私の結論です。
動画の中身で逆効果になる例を含め、工務店のSNSでよくある失敗と一人親方のYouTube成功事例は、SNSが逆効果になる失敗パターンで解説しています。
年間10棟の工務店がYouTubeで成功した理由
2社目も、本州にある某工務店とさせていただきます。
どちらかというとのどかな田舎にある工務店で、年間の新築棟数は10棟程度です。
周囲の工務店の着工数はせいぜいその半分なので、この時代でも新築の請負件数が多い工務店と言えます。
この工務店の社長からは、「講演やセミナーでうちのYouTubeのことを紹介しないでね(笑)」と言われています。
社長は、競合の工務店に気づかれて真似されるのを避けたいのでしょう。
それくらい、社長は自社のYouTubeに自信を持っています。
お客さんに伝わっていなかった強みを動画にした
この工務店が成功した理由は、自社の強みを徹底的にアピールしたことに尽きます。
どの工務店にも自社の強みはありますが、傍から見て「これいいな」と思える強みがありながら、お客さんにうまく伝えられていない工務店が多くあります。
YouTubeは、そうした強みを伝えるのに最適なツールです。
強みを伝えるYouTubeを新規客より既存の名簿客向けに使う方法は、名簿客向けのYouTube活用法で解説しています。
収納のこだわりだけで10分の動画を3本作った
この工務店は、収納に独特のノウハウとプライドを持っています。
私も実際の建物を見ましたが、とにかく空いたスペースがあれば収納を作るという凝りようでした。
私が思わず社長に「ここまで作る必要があるのかな?」と言ったくらいのアイデアマンです。
実物の写真をお見せできないのが残念ですが、現物を見ると、私もその工夫には脱帽せざるを得ませんでした。
社長によると、現場見学会などのイベントを開くと、来場したお客さんのほぼ全員が収納の工夫に声を上げて驚くそうです。
なので、この工務店はYouTubeに1本10分程度の動画を3本上げ、3本とも収納の紹介に費やしました。
言葉では説明しようがありませんが、収納へのこだわりとレベルの高さがよく伝わる動画にまとまっています。
1本目のYouTube動画は自社の強みと根拠で作る

工務店がYouTubeの1本目を作ろうとすると、何を撮ればよいか悩むのは当然です。2社の動画の違いは次の表のとおりで、1本目の題材は、成功した工務店と同じく自社の売りから選べば決まります。
| 項目 | 失敗した工務店 | 成功した工務店 |
|---|---|---|
| 規模 | 社員5名の町の工務店 | 年間10棟程度の工務店 |
| 動画の中身 | 社長の自己紹介・会社案内、社長と棟梁のうんちく | 収納の工夫とこだわり |
| 尺と本数 | うんちく動画は1本30分程度、全部で10本程度 | 1本10分程度を3本 |
| 結果 | 新規の人にマイナスの印象を与えかねない | 社長が講演で紹介しないでと言うほどの自信 |
なぜ得意なのかを根拠になる人物に話してもらう
たとえば、ある工務店が一般的な工務店の1/2の工期で住宅を完成させる施工能力を持っているとします。この場合、工務店は工期の短さを前面に打ち出しますが、動画で重要になるのは「どうして1/2の工期でできるのか」の説明です。
工務店に他社の追随を許さない特徴があるなら、動画ではその特徴を実行できる根拠を示します。
デザイン性が高い工務店であれば、そのデザインを実現している優れたインテリアコーディネーターを紹介し、その人物にYouTubeの中で話してもらいます。
どの強みを扱うときも、強みとその根拠をセットにする発想で企画してください。
1本目のあとに続ける動画ネタの作り方や、編集・アップ方法のハードルの越え方は、工務店のYouTube発信と動画ネタで解説しています。
まとめ
工務店のYouTubeは、社長の棒読みや30分の長尺動画では新規のお客さんにマイナスの印象を与え、自社の強みとその根拠を短い動画で伝えた工務店は成功しています。このコラムでYouTubeをたびたび題材にしているのは、それだけ工務店の経営に大きな利益をもたらすツールだと私が考えているからです。
それでも、YouTubeに手をつけていない工務店は多いのが実情です。
最初の一歩さえ越えてしまえば、動画づくりは完全なルーティンワークになります。
弊社でもYouTubeの企画作成などを請け負っていますので、お気軽にご相談ください。
ぜひ本記事の2社の事例を参考に、自社の強みとその根拠を伝える1本目の動画づくりに取りかかってください。



