工務店はYouTubeで集客できる?住宅系YouTuberの影響力と活用事例

大手ハウスメーカーから小規模の工務店まで、多くの住宅会社がYouTubeに自社チャンネルを持っています。
家を建てる前の人やすでに建てたお施主さんも、動画で発信しています。
年間3,000棟以上を施工する住宅グループでは、ある住宅系YouTuberが自社の断熱材を動画で取り上げた翌日に、メルマガ会員が100人以上増えました。
一方で、工務店が自社でYouTubeを始めても、企画や撮影、編集にこだわらなければ再生回数は伸びません。それでも従業員10名以下の工務店が名簿客550人へのDMに動画のQRコードを貼ったところ、18人のお客さんが読み込みました。
本記事では、住宅系YouTuberの影響力の実例と、工務店がYouTubeで成功するための課題、費用をかけずに既存客へ動画を届ける活用法を解説します。
住宅系YouTuberの影響力はハウスメーカーも無視できない
住宅系YouTuberという呼び名は、この数年で出てきた言葉です。
住宅系YouTuberは、これから家を建てようとする人たちへ有益な情報を発信し続けています。
動画の再生回数は少なくても数千回、多いものでは数十万回に及び、その影響力は大手ハウスメーカーも無視できないほどになっています。
断熱材の動画の翌日にメルマガ会員が100人以上増えた
私は昨年末に、年間3,000棟以上を施工する住宅グループの役員氏とZOOMで話をしました。
役員氏から聞いた話に、私は「むむむ!」と思いました。
私「そういえばユーチューバーの〇〇さんが最新号で御社の断熱材を取り上げていましたよね」
役員氏「森先生も見ましたか?」
私「相変わらず良くできているなと」
役員氏「あの映像がアップされた翌日にうちのメルマガ会員数が100人以上一気に増えたのですよ」
私「1日で?」
役員氏「そうです。想像以上の影響力ですよ」
この話には、私もさすがに驚きました。
抗議を考えた動画に、結果的に感謝することになった
役員氏に話をさらに聞き込むと、役員氏の会社は当初、YouTuberに警告しようと考えていたそうです。
動画の一部が事実と若干異なっており、少し攻撃的、あるいは中傷的な内容もあったからです。
しかし、動画には自社をうまく褒めているところも多分にあったため、社内では「ギリのラインをうまくついているのだよね(笑)」という話になり、抗議は見送ったといいます。
会員数が爆増するという結果まで出たので、役員氏の会社は文句を言うどころか、逆に感謝しなくてはいけない立場になりました。
ハウスメーカーの中には、住宅系YouTuberに目をつけている会社も実際にあります。私は、ハウスメーカーが水面下で打診しているのではないかと見ていますが、住宅系YouTuberはあくまで中立な立場で発信しているので、今後どうなるのか興味深く見ています。
住宅系YouTubeの内容を確認してから来場客を迎える事前準備については、紹介会社経由の来場客への接客で解説しています。
工務店へ年間300件超を紹介する住宅系YouTuberの事例

住宅系YouTuberの中には、視聴者を工務店に紹介して稼いでいる人もいます。
Qホームとしておきますが、全国にまたがるグループで、住宅業界の人なら誰もが知っている名前の住宅会社があり、Qホームの本部に勤めていた人が独立してYouTuberをやっています。
私もそのYouTuberの存在だけは知っていましたが、先週、別件のビジネスで打ち合わせをしたAさんが、こんな話を教えてくれました。
Aさん「ユーチューバーの〇〇って知っていますか?」
森「名前は知っていますよ」
Aさん「私と同じQホームにいたのですが、独立してYouTuberをやっていて、今の年収は3,000万、4,000万いやもっとかもしれませんね」
森「えっ!」
さすがに私も驚きました。桁外れに稼ぐYouTuberよりは少ないものの、一般の人から見れば驚くほどの金額です。
Qホーム出身のYouTuberは、YouTubeで間取りの注意点やポイントを解説しています。
軽妙な話のテンポに、間取りを見る面白い視点が加わり、大人気を集めているようです。
Aさんによると、ほどなくして視聴者から次のような声が多く寄せられるようになったそうです。
「〇〇さんが推奨する間取りで家を建てたい」
Qホーム出身のYouTuberは、こうした視聴者を工務店に紹介して稼いでいます。
私もお客さんから工務店の紹介を頼まれることはありますが、多くても年に1件か2件です。
一方、Qホーム出身のYouTuberは年間に300件を優に超える数を工務店に紹介しているそうです。
工務店がYouTubeで成功するための3つの課題
プロの設計士が発信者になって、YouTubeに取り組んでいる事例もかなりあります。
私も勉強がてらいろいろな設計士のYouTubeを見ていますが、チャンネル登録者数が多く、視聴回数が数万回に及ぶチャンネルも多数あります。
おそらく、設計士のもとには視聴者から直接「私の家も設計してほしい」という問い合わせが入っているはずです。
ただ、工務店や設計士の方が「私もやってみようかな」と思っても、YouTubeで成功するには課題がたくさんあります。
視聴者が「こんな視点があったんだ」と思える企画力
YouTubeで発信する内容は、視聴者を引きつけるものでなくてはいけません。
あまりに一般的な内容ではつまらないので、見ている人が「こんな視点があったんだ」と思うことが欠かせない条件です。
設計士であれば、さまざまな知識や現場の経験を持っているので、ネタはそこから拾えば足ります。
ただし、内容がいくら良くても、設計士がうまくまとめて企画しなければ視聴回数は上がりません。
照明と撮影機材のレベル
「俺はこの道30年だ」という人が、知識も経験も鋭い視点も持っていたとしても、YouTubeで成功するには映像の作り込みというハードルがあります。
いくら内容が濃くても、見ていてつまらない映像には誰も関心を示しません。
その大前提として、発信する側としては照明にもこだわり、撮影機材も一定のレベルを満たしたものをそろえたいところです。
NHKのアルバイトで知った編集の大変さ
私は学生時代に、NHKでアルバイトをしたことがあります。
当時、全国で人気だった女性アナウンサーに桜井洋子さんという方がいて、私はアルバイトを通じて桜井アナと接点がありました。
そのとき桜井アナから「テレビの世界で一番大変なのは編集なのよ」と言われたことが、今でも記憶に強く残っています。
NHKの編集室をのぞくと、現場で撮影した映像を専属のスタッフがかぶりつきで編集している光景をよく目にしました。視聴者を飽きさせずに映像を見せられるかどうかは編集にかかっていると、私はこのとき理解しました。
ネタ集めや編集の手間を越えて社長がYouTube発信を続ける方法は、YouTube発信の3つのハードルと動画ネタで解説しています。
再生回数が少なくても工務店がYouTubeを使う意味

ここまでの話とは180度違いますが、工務店が使う動画には凝った編集も高価な機材もいりません。最低限のレベルを保っていれば、工務店がYouTubeを使う意味は十分にあります。
完全な新規客をYouTubeで引きつけようとすると、工務店は撮影と編集に凝りまくり、数万回の再生を目指さなくてはなりません。しかし、すでに名簿化しているお客さんへの情報提供としてYouTubeを使うのであれば、工務店は再生回数をある意味まったく気にしなくて構いません。
社長がカメラに向かって話す会社案内
既存客向けの動画で典型的なのは、カメラを固定し、社長がカメラに向かって会社案内をする動画です。
映像としては面白くなく、変化もないので、再生数が何千回も伸びることは考えられません。
私の推測では、1年たっても100回から300回程度です。
それでも、社長の会社案内の動画は、ホームページに載っている会社案内と比べて、社長の人柄が手に取るように分かります。
動画を見たお客さんが「この会社にしてみよう!」とまで決めることは考えにくいのですが、社長の人柄が伝われば、お客さんが「この会社に問い合わせをしてみようかな」と思うきっかけには十分になります。
動画に経費がかかるのであれば工務店も考えてしまいますが、YouTubeは無料で発信できます。無料でできるのであれば、大きな問題はないとは思いませんか?
YouTube以外のSNSの使い方は、ハウスメーカー・工務店のSNS集客で解説しています。
名簿客へのDMにYouTubeのQRコードを貼る活用法
動画をQRコードにしてDMに貼る手順
私が今行っているのは、次の方法です。
- 新しい動画を撮影し、YouTubeに上げる
- 動画のURLをQRコードにする
- 既存の名簿客に送るDMに、QRコードを貼り付ける
- QRコードを何人が読み取ったかを確認する
お客さんは手持ちのスマホでQRコードを簡単に読み取れ、工務店の側も読み取った人数を簡単に調べられます。
550人に送って18人が読み込んだ小規模工務店の結果
従業員10名以下の小規模工務店では、毎月定期的に送っているDMに、新しく撮影した動画のQRコードを貼りました。その結果、DMを送った550人のうち、QRコードを読み込んだお客さんは18人でした。
社長が発信する動画とQRコードを印刷したチラシを組み合わせる方法は、工務店の動画集客の事例で解説しています。
550人に対して18人というのは、極めて大きな数字です。
通常のDMは、お客さんに読まれているのかどうか分からず、開封されたかどうかさえ判別できません。
しかし、18人がQRコードを読み込んだということは、DMの開封率はその数倍あると私は考えています。
名簿客への発信をDM以外でも続ける方法は、工務店のSNS集客の事例で解説しています。
まとめ
住宅系YouTuberの影響力は、1本の動画でメルマガ会員が1日に100人以上増えたり、年間300件を超える工務店への紹介につながったりするほど大きくなっています。一方で、工務店が新規客を狙って自社でYouTubeを始めるには、企画力、照明と撮影機材、編集という課題があります。
既存の名簿客に向けた動画であれば、固定カメラで社長が話すだけでも人柄が伝わり、費用をかけずに発信できます。550人へのDMで18人がQRコードを読み込んだ小規模工務店のように、再生回数を気にせずに始められます。
ぜひ本記事のQRコードを使ったDMの事例を参考に、自社の名簿客へ社長の動画を届けてみてください。



