小規模工務店の住宅展示場イベント事例|1日70人が来た地域貸し出し

小規模工務店の住宅展示場イベント事例|1日70人が来た地域貸し出し

住宅展示場は、中規模以上の住宅会社や大手ハウスメーカーが建てるものというイメージがあります。それでも小規模な工務店が独力で展示場を建て、奮闘している例は数多くあります。

中国地方にある従業員10人以下のS工務店は、来場客のいない平日に展示場を地域住民へ積極的に貸し出しています。趣味の展覧会を開いたときには、1日で70人が来場しました。

本記事では、S工務店と名古屋市内の工務店の事例をもとに、住宅展示場を使った地域イベントの中身と、会場に置いた仕掛けを解説します。

中国地方の小規模工務店S社が住宅展示場で地域の認知を集める仕掛け

S工務店は、中国地方にある従業員10人以下の地元密着の工務店です。

S工務店は常設の住宅展示場を持ちながら、分譲地開発の一角にも期間限定の展示場を設けています。

そのため、S工務店は常に展示場が二つある体制で営業活動をしています。

S工務店の社長はとにかくアイディアマンで、展示場には仕掛けがこれでもかと用意されています。

その充実ぶりは、大手ハウスメーカーが見ても参考になるほどです。

なお、事情があって外観や室内の写真は掲載できませんので、ご容赦ください。

社長の趣味を詰め込んだ楽しい自社展示場の実例は、人気の小規模工務店の自社展示場で解説しています。

玄関に立つ等身大のスパイダーマン

S工務店の常設展示場の入り口には、等身大のスパイダーマンが置いてあります。私がスパイダーマンを置いた理由を伺うと、社長は次のように話してくれました。

「スパイダーマンがいるお家だ、って言ってもらえるでしょ?道路からもすぐ見えるしこんな天井があってもいいじゃない」

ミサワホームは住宅展示場の玄関にミッフィーを掲げているので、スパイダーマンを掲げるのもありだと私は思います。

社長によると、スパイダーマンを見かけた子どもがきっかけで来店したお客さんもいたそうです。

そうしたお客さんは本当に数組で、契約になるわけでもありませんが、社長は地域の人に知ってもらえればそれでよいと考えています。

玄関を接客にどう使うかは、住宅展示場の玄関を使った接客術で解説しています。

家を建てる気がない人にも見学してほしい理由

私にも持論があります。

もし私が工務店を経営して住宅展示場を建てたら、家を建てる意思に関係なく、ぜひ見学してほしいと地域にアピールします。

来場が途切れず接客に追われるような状況では困りますが、実際にそうなることは考えられません。

地域に根ざす工務店にとっては、何より地域住民に存在を知ってもらい、身近に感じてもらうことが極めて重要です。なので、工務店は展示場をできる限り貸し出して、さまざまなイベントに使ってもらうべきだと私は考えています。

最初から多目的ルームを作った名古屋の工務店の住宅展示場

S工務店とは別に、住宅展示場を積極的に地域へ貸し出している工務店が名古屋市内にもあります。

名古屋の工務店も小規模ですが、他社と大きく違うのは、展示場を建てる段階から多目的ルームを作ったことです。

名古屋の工務店は、本来なら子ども部屋などを作るはずのスペースをぶち抜いて、20畳ほどの広い部屋を取りました。

展示場を見学に来たお客さんは、決まってこう質問します。

「この部屋は何ですか?」

営業担当の社員は、お客さんに次のように答えています。

「こちらはイベントルームと言いますか、多目的ルームでして、地域の人たちのご要望があればここを貸し出して何かやってもらうようなことを考えて作りました」

既存の展示場を平日に限って地域の催し物に貸し出す話はたまに聞きますが、最初から専用の部屋を作る住宅会社を私はほかに聞いたことがありません。名古屋の工務店が狙うのは中高級層の価格帯ですが、あえて2階のスペースの一角を大きく割いて、地域に開くコンセプトを打ち出しています。

S工務店が平日の住宅展示場で開いた地域イベント

S工務店は、展示場を新築するときに名古屋の工務店のような専用スペースまでは設けていません。

それでも平日は来場客がいないので、社長の考えでかなり積極的に展示場を地域住民に貸し出しています。

S工務店が開いたイベントは次の3つです。

地域住民に貸し出した住宅展示場のイメージ

建築学科の学生に構造を見せた見学会

S工務店の社長には、地元国立大学の建築学科の先生という知り合いがいました。何かのはずみで、その先生から社長に次のような相談があったそうです。

「うちの学生に普通の一戸建ての家の中身を見せたいな。社長の展示場少し覗かせてもらってもいい?それと家の中の構造見たいんだけど、問題ないかな」

S工務店の展示場は壁の一部に窓が付いていて、建物内部の構造を見られる仕組みになっています。建築学科の学生は、構造に加えて家の外観やインテリアまで一度に見ることができます。

知り合いの先生が家を建てることはありませんし、学生たちが家を建てることもまずあり得ません。

それでも構いません。

展示場はどのみち空いているので、有効に使えば問題ないと私は考えています。

写真・陶芸・水彩画を並べた趣味の展覧会

S工務店はSNSと手書きのチラシを地域にふんだんに配り、地域住民が持っている趣味の発表の場として展示場を使ってもらいました。

写真を趣味にしている人は、花や鉄道など狙う対象を決めて自分で撮り、自分で管理しているはずです。

撮った作品を多くの人に見てほしいという願望は、誰しもが持っているもので、S工務店はその場を提供したわけです。

私が実際のイベントの写真を拝見したところ、写真のほかに、陶芸をしている人が焼いた焼き物や、水彩画が趣味の人の作品も展示してありました。しかも偶然ですが、水彩画を出した人は芸術大学を卒業した方で、趣味というよりプロの領域の作品でした。

出展した本人はもちろん会場に来ますし、その家族や知人友人、こうした作品に関心のある近隣住民も足を運びました。

その結果、展覧会には1日で70人が来場しました。

三年前のイベントだったそうで、来場者から住宅の契約に結びついた人は残念ながらゼロだったようです。

それでも社長は、地域に場を提供していると知ってもらえたので、これでまったく問題ないと考えています。

地域の人が工務店に立ち寄りやすくなる仕掛けは、敷居を下げる工務店の集客の仕掛けで解説しています。

フリーマーケットに仕掛けた土地情報コーナーと防水の体感実験

フリーマーケットは住宅展示場イベントの定番中の定番ですが、やはり外せません。

S工務店の展示場は駐車場も含めてそれなりの敷地があるので、出店者は展示場の前にも中にもお店を広げられます。

展示場の中に入ったお客さんは、自然と建物の中を見学し、構造までばっちり見ることになります。

納戸に作った掘り出し物土地情報コーナー

S工務店は、展示場の中の大きめの納戸を使って「掘り出し物土地情報コーナー」を設けました。この仕掛けは、当時私が社長にアドバイスしたものです。

たくさんのお客さんが来場すれば、その中には必ず土地を探している人も紛れ込んでいます。家とは関係ないイベントでも、会場に土地情報がたくさん貼ってあれば、土地を探している人は思わず見たくなります。

イベント会場に最新の土地情報を用意して新規客を集めた例は、住宅展示場のクリスマスイベントの成功例で解説しています。

アスファルトルーフィングに釘を打つ防水の体感コーナー

S工務店は展示場の外にも、アスファルトルーフィングを使った防水仕様を説明する簡易的な実験コーナーを設けました。S工務店は木枠の上にアスファルトルーフィングを張って水をため、来場者にその上から釘を打ってもらいました。

釘を打っても水が漏れないという至極シンプルな造りですが、子どもが興味を示し、親と一緒になって釘を打ってくれたそうです。

体感コーナーは完全に余興の一種で、何か大きな成果をもたらすものではありません。

それでも会場がにぎわったのは確かで、社長はやって良かったとおっしゃっていました。

ほかの住宅会社のイベントの成否は、工務店の集客イベントの成功例と失敗例で解説しています。

まとめ

中国地方のS工務店は従業員10人以下の小さな住宅会社で、人手のやりくりが大変なのは明らかです。

それでもS工務店は、スパイダーマンの玄関、建築学科の見学会、趣味の展覧会、土地情報コーナーと防水の体感コーナーを置いたフリーマーケットと、さまざまな工夫で住宅展示場を地域に開いています。

名古屋の工務店のように、展示場を建てる段階から多目的ルームを作る方法もあります。

SNSを使った空中戦はもちろんガンガンやらなくてはいけませんが、人と人が顔を合わせるアナログのイベントをおろそかにするのは愚の骨頂だと私は考えています。

ぜひ本記事のS工務店の事例を参考に、展示場を持つ小規模な工務店の方は、空いている平日に地域へ展示場を貸し出すことから始めてください。

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