工務店のチラシ集客は時代遅れ?SNS併用の見学会事例と作り方

工務店の集客はSNSに移ったと言われ、紙のチラシをやめる工務店が出てきました。一方で、InstagramやFacebookの投稿を続けているのに、現場見学会の来場数が頭打ちのままの工務店もあります。
関東の小規模工務店は2024年秋の現場見学会で、自社作成のチラシ3000枚を社員が手配りし、新規来場7組のうち3組をチラシで集めました。チラシ集客の時代は終わっておらず、SNSと併用すれば今も成果が出ます。
本記事では、この見学会の事例をもとに、工務店のチラシとSNSの組み合わせ方と、手書きチラシの作り方を解説します。
工務店のチラシ集客はSNSの時代に終わったのか
チラシか、SNSかという問題は、すでに決着がついたかのように語られています。しかし私は、時代は明らかにSNSに移ったものの、工務店は紙媒体による集客もおろそかにしてはならないと考えています。
紙媒体をやめた有力工務店がチラシを戻した理由
私がかつてコンサルで通っていた地域の有力工務店は、一時期、紙媒体の集客を基本的にやめました。
しかし、その工務店は結果的に紙媒体を元に戻しています。
紙媒体の比率は以前より減ったものの、最終的にはSNSと紙媒体のハイブリッド集客で落ち着きました。
考えてみれば当たり前の話で、世の中にはSNSをやらない人が大勢います。
普段からSNSを見ている人でも、工務店の広告が目に止まるとは限りません。
そのため、SNSとはまったく違う世界である紙媒体のチラシ配布も重要になります。
コロナ禍を経てチラシやポスティングによる集客がどう変わったかは、工務店のポスティング・チラシ集客の現状で解説しています。
チラシの作成費と配布費をゼロに近づける考え方
紙媒体の弱みは費用対効果にあります。
SNSは、社内にある程度詳しい社員がいれば、広告費ゼロで打つことができます。
それに対して紙媒体のチラシは印刷費用がかかり、自社で配れなければ新聞折り込みで配布してもらうなどの手間が生じるため、万単位、あるいは10万単位の費用がかかります。
逆に言えば、チラシの作成費も配布費もゼロに近づけられるなら、工務店はチラシを打つべきだと私は考えます。
チラシとSNSを併用した工務店の現場見学会の事例(関東・2024年秋)
関東地方の小規模工務店で行った新築現場見学会の数字を紹介します。爆発的な成果を収めたわけではありませんが、費用対効果を考えれば十分と言える結果でした。
開催した工務店と集客の内容
開催したのは、社員数8名、前年度の完工数が6棟の工務店です。
社長と専務の兄弟が営業を担当し、妹さんが経理を担当しています。
典型的な家族経営に近いこの工務店では、受注棟数が落ちてきた気配を社長が察知し、現場見学会に力を入れ始めました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開催時期 | 2024年秋 |
| デジタルの広告媒体 | 自社運営のYouTube、X、Instagram、Facebook |
| チラシ | 自社作成のチラシ3000枚を社員が手配り |
| 広告の総経費 | 5万4000円 |
| 新規来場者 | 7組(チラシを見ての来場が3組) |
| 再来場 | 6組 |
| 2025年2月時点の結果 | 契約0組、折衝中2組 |
チラシ3000枚で3組が来場した結果の分析
新規来場者のうち3組がチラシを見たと明言したので、3000枚に対して3組が来場したことになります。
1回の見学会ですべてを語ることはできませんが、チラシで人が集まったのは事実です。
SNS経由の来場は4組でしたから、SNSとアナログの成果は五分五分と言えます。
チラシを配った後、その反応を数字で捉えて次に生かす方法は、データでチラシ集客の効果を高める方法で解説しています。
契約できるかどうかはまだ分かりませんが、私はこの見学会をひとまず成功と言ってよいと考えています。見学会に来たお客さんを次の打ち合わせにつなげる方法は、住宅営業のアポ取りのコツで解説しています。
工務店のチラシ集客とSNSの組み合わせ方
現場見学会などのイベント集客について、私はSNSとアナログを下の3点で考えています。
- SNSと紙媒体の併用がベスト
- SNSだけでも大きな問題はない
- 紙媒体だけではダメ
紙媒体だけで成功している工務店を私は知らない
SNSだけで成功している会社はたくさんあり、私のクライアント先にも同じ形で成功している工務店が複数あります。
しかし、紙媒体だけで成功している会社を、私は現状では知りません。
私の知らないところに成功事例があるかもしれませんが、極めてまれだと言ってよいでしょう。
そのため、私が断言できるのは、費用対効果も考えたハイブリッド戦略です。3点のどれでもSNSは欠かせないので、工務店は最低限SNSの分野には取り組まなければなりません。
三重県の工務店がDM200通とSNS・YouTube動画を組み合わせて見学会を開いた実例は、ポスティングなしの現場見学会の集客実例で解説しています。
SNSを続けても来場が増えないときはチラシを打つ
話を聞いていると、InstagramとFacebookをやっている工務店はそれなりにありますが、内容がかなりマンネリ化しているうえに、集客効果も頭打ちのところが多いと私は感じています。
SNSだけで想定以上の集客を上げている工務店は、その路線で突っ走ればよいでしょう。
しかし、SNSをだらだらと続けても数字に変化が見られないなら、その工務店はSNSだけでは届いていない層があると考えるべきです。
もちろん、工務店の建てる住宅が魅力的でコストパフォーマンスもよく、アフターサービスなどで信頼されていることが大前提です。
それらがそろっているのにSNSだけで思うような集客ができないなら、私はアナログのチラシを打つことをすすめます。
私のコンサル経験では、この手法を取れば、ほぼ間違いなく数字が上がります。
集客チラシを手書きで作るコツ
絵心のある描き手を学生やランサーズで探す
手書きチラシはいちばんハードルが高い手法ですが、私は工務店に可能な限り手書きのチラシを作ることをすすめています。
ただし、稚拙なタッチではダメです。
社内にある程度絵心がある社員がいればその人に任せ、そのような人材がいない場合は外部で探します。
手っ取り早いのは、高校や専門学校、大学に連絡して「工務店の集客チラシを描いてくれる学生を探しています」と伝える方法で、1枚5000円から1万円程度でいくらでも募集できます。もう少しシステマチックに進めたい工務店は、ランサーズやクラウドワークスといった仲介業者を通じて描き手を探す方法もあります。
仲介業者は20%のマージンを取りますが、よくできたシステムになっているので、慣れれば使い勝手がよく、良い人材が見つかれば以降のイベントでも同じ人に継続して発注できます。ランサーズでは、ランサーズの登録者検索から描き手を探せます。
現場見学会の見どころを施主の暮らしで具体的に書く
SNSでもチラシでも、イベントの集客文句を見ていると、一般的すぎて焦点がぼやけているものが多く見られます。
たとえば「広々としたリビングに収納がたくさんある家」というキャッチコピーは、雰囲気はそれなりに伝わりますが抽象的です。
収納にフォーカスするなら、私は次のような表現のほうがお客さんの目に止まると考えます。
- 漫画大好きなご主人が学生時代から買い集めた膨大な単行本を収納できる家です
- 育ち盛りの小学生と中学生の男の子がいるお施主様の家ですが、洗濯物が散乱しないよう工夫に工夫を重ねた脱衣洗面所の収納をご覧ください
- 60代のご夫婦が新婚以来長きにわたって集め続けた数多くの食器を、見せながらしまう工夫を凝らした設計をご覧いただきます
具体的な言葉にすると、お客さんは「面白そうだな、行ってみようかな」と感じます。たとえば、小学生と中学生の男の子を3人育てている30代の女性なら、2つ目のコピーを見てこう考えると私は思います。
「うちと同じだわ。私のところも小学生と中学生の男の子3人で、洗濯物の処理だけで毎日戦争だもんね。この家はそれをうまく整理して、生活感を出さないようにしているということなのかな……どうなっているのかしら」
この反応は、自分の暮らしとの重なり、いわゆるダブりです。お客さんは、自分と同じような生活境遇の家を見られる、あるいはいま困っていることを解決した事例を見られると感じたとき、現場見学会に足を運びます。
このキャッチコピーの考え方は、SNSでもチラシでも変わりません。
見た目がきれいなInstagramでも、そこに書かれた言葉が陳腐では効果が半減します。
工務店が集客の文言を作るときは、上のキャッチコピーを参考に、具体的な内容に絞ってください。
現場見学会の告知動画に社長や社員が出る
余談になりますが、私は日頃から分野に限らずYouTubeを見ており、つい先日、興味深い動画を見ました。神戸三宮にある昼スナックのママが、女の子の募集をメインにしたYouTubeを発信していたのです。
動画のメインは時給や給料の仕組みの説明ですが、ママは途中で脱線しながら、自分がどのような方針で人を使っているか、女の子にどのように稼いでもらいたいかなども話していました。
私はその動画を見て、店を探している女の子なら「この店、悪くないかもしれない」と感じるのではないかと思いました。
動画によって、ママの考え方や人柄、雰囲気が分かりやすく伝わっているからです。
工務店も同じです。
私は、現場見学会の告知動画に社長や社員が出て来場を呼びかけることをすすめます。
お客さんは建物だけでなく、動画で話している社員の姿も見ています。
動画で紹介した建物以外のところにお客さんが惹かれれば、「ちょっと行ってみようかな」「この社長、面白そうだな」となり、来場数が増える可能性が高まります。
まとめ
今の時代、SNSが欠かせないことは間違いありません。
しかし、世の中のセミナーには「SNSでどうやって集客をするか」というキャッチコピーがあちこちに転がっており、工務店がSNSだけにしか目を向けないのは実にもったいないと私は断言します。
住宅関連のセミナー会社やツール販売会社にとっては、「今どき手書きチラシの話をしても受講者が集まらない」というのが本音だと思います。
関東の小規模工務店は、広告の総経費5万4000円の現場見学会で、チラシとSNSから五分五分の来場を集めました。私はチラシ作成の段階から工務店にアドバイスしているコンサルタントとして、現場で得た実績をもとに、SNSとチラシのハイブリッド集客をすすめています。
ぜひ本記事の見学会の事例と手書きチラシのコツを参考に、自社のSNSが届いていない層へのチラシ集客を試してください。



