住宅フランチャイズのデメリットとは?10社以上を見たコンサルの本音

私は23年間のコンサルティングで、10社以上の住宅フランチャイズに関わってきました。
住宅フランチャイズのデメリットは、加盟料・ロイヤリティ・展示場建設の負担と、看板と名刺の社名が違うためにお客さんが混乱しやすいことです。
それでも、住宅展示場の初回接客で「この会社を信用していいのか」という疑念を本部の看板で払える点は、費用の負担を上回ると私は判断しています。
本記事では、工務店が住宅フランチャイズに加盟したときのデメリットとメリット、本部とトラブルになる加盟店の動きを解説します。
工務店が住宅フランチャイズに加盟するデメリット
私が関わってきた住宅フランチャイズには、アイフルホーム、クレバリーホーム、フィアスホーム、WB工法、ブルースホームなどがあり、老舗から新興まで数多くの名前が挙がります。
私はこうした本部で営業マン向けの研修をすることもあれば、本部と一緒にさまざまな企画に携わることもありました。
その中で加盟店の営業現場を見てきた私が、工務店にとってのデメリットと考えるのは次の2点です。
加盟料・ロイヤリティ・展示場建設の費用がかかる
工務店がフランチャイズに加盟すると、加盟料に始まり、毎月のロイヤリティなどさまざまな負担がかかります。
ロイヤリティがない住宅フランチャイズもありますが、基本的には一定の金額がかかります。
さらに住宅展示場の建設まで考えると、工務店の経営者が加盟料と展示場建設の費用で二の足を踏むのは事実です。
ロイヤリティや加盟金の具体例は、AQビルダーの加盟金とロイヤリティで解説しています。
ただ、その金銭的負担を上回るだけの大きなメリットがあることは、私の経験から明らかです。
看板と名刺の社名が違うとお客さんが混乱する
フランチャイズ加盟店の営業現場を観察すると、営業マンはお客さんに「弊社は〇〇ホームのフランチャイズ加盟店です」と説明します。
ところが、お客さんの中には「フランチャイズ加盟店とはどういうこと?」となかなか理解してくれない人がいます。
混乱の原因は、加盟店がフランチャイズの名前を看板として大きく掲げているのに、営業マンが出す名刺には【〇〇工務店】などと実際の法人名が印刷されていることです。こうした混乱は実際に起きますが、それでも看板を使えることは住宅営業の上で極めて有利だと私は考えています。
住宅フランチャイズのメリットは住宅展示場での信頼の得やすさ
地場工務店としてお客さんを接客していたときと比べると、住宅フランチャイズに加盟した工務店は明らかに接客がしやすくなります。この手ごたえは、実際に経験しないと分かりにくいものです。
加盟で得られるメリットとデメリットの全体像は、工務店フランチャイズのメリット・デメリットで解説しています。
千葉ロッテマリーンズのスポンサーを使った接客トーク
クレバリーホームは全国47都道府県への出店を終えており、運営母体の新昭和は千葉ロッテマリーンズのスポンサーでもあります。
選手が打席に立つとき、ヘルメットにクレバリーホームと書かれているのを見た記憶がある方もいると思います。
外野フェンスにも、大きな文字で㈱新昭和と書かれています。
お客さんは住宅会社に対して、次の2つの疑念を持っています。
「この会社は信頼に値するのだろうか?」
「この営業マンは信頼に値するのだろうか?」
営業マンは、住宅展示場などでの初回接客で、この2点をなんとしてでも払拭しなくてはいけません。
クレバリーホームの加盟店は、クレバリーホームと名乗るだけで、お客さんに一定の安心感を与えられます。
私であれば、次のようなトークで自社の安心性と安全性を訴えます。
「クレバリーホームの運営母体は千葉ロッテマリーンズのスポンサーとなっていますが、プロ野球球団のスポンサーになるにはお金があるだけでは無理です。信頼のある企業しかなることはできません」
10年以上前の話になりますが、ホリエモンが近鉄球団を買収しようとしたとき、巨人を中心に猛烈な反対が起きました。
有名オーナーが「どこの馬の骨ともわからんやつが……」という趣旨の発言をした一件です。
この一件が示すように、莫大な資金力がある会社でも、社会的に認められなければ球団は買収できません。
クレバリーホームはスポンサーなので球団運営とは違いますが、信頼の裏付けという意味では大きく変わらないと私は考えています。
加盟審査があるので会社の信頼は担保される
フランチャイズに加盟した工務店は、あくまでも加盟店であり、本部とはまったくの別法人です。
しかし、工務店が加盟するときには本部の審査があるため、でたらめな工務店がクレバリーホームに加盟することはできません。
お客さんから見れば、加盟した時点で住宅会社としての一定の信頼性が担保されていることになります。
残るのは、2つ目の疑念である営業マン個人の信頼性です。
ただ、営業マン個人の信頼性については、積水ハウスやミサワホームといった大手ハウスメーカーでもまったく同じことが言えます。
そのため、有名なフランチャイズに加盟した工務店は、2つの疑念のうち1つをほぼクリアしたと判断できます。
本部のホームページと全国の加盟店網でお客さんが安心する
小さな工務店でも、見栄えのするホームページを作る会社が増えています。
それでも、フランチャイズ本部はホームページにお金をかけているので、見栄えもします。
また、加盟店が全国に行き渡っていると、その規模自体がお客さんにとっての信頼になります。
お客さんから見れば「すごいね!全国にネット網だ!」となるわけです。
住宅フランチャイズ本部とトラブルになる加盟店の動き
住宅フランチャイズの本部は、毎月のロイヤリティや、受注に応じた部材の販売で利益を上げています。加盟店の中には本部が困る動きをする工務店もあり、本部とのトラブルになることもあります。
実際にある話として、私がある有名な住宅フランチャイズに加盟したと仮定します。
私はそのフランチャイズ名を全面に打ち出した住宅展示場で集客と接客をし、お客さんとの商談がはかどったとします。
このまま本部の商品で契約すれば、私は本部に報告して部材を買い、そのマージンが本部に入るのが当然の流れです。
ところが、私が「本部へのマージンを払いたくないよな」と考える悪質なオーナーだったとします。
マージンを払いたくないのはどの工務店も同じですが、本部の名前で集客する以上、本部の商品で契約して利益の一部を本部に還元するのが既定路線です。
それでも営業社員は、接客で次のようなトークを使ってお客さんを誘導できてしまいます。
「〇〇ホームを気に入って頂いたようなのですが、ほぼ同じような仕様でしかも外観もほぼ同じようにして10%ほど安く建築することも可能ですよ」
このトークを使う工務店は、ブランド名を使わずに、本部の仕様やコンセプトを丸ごとまねて自社仕様で建ててしまいます。
そうすれば工務店は本部へのマージンをそのまま値引きに回せるので、他社と競合しても勝てる可能性が高くなります。
加盟して成果を出す工務店の特徴は、住宅フランチャイズ加盟で成功する条件で解説しています。
まとめ
工務店が住宅フランチャイズに加盟するデメリットは、加盟料・ロイヤリティ・展示場建設の費用と、看板と名刺の社名の違いでお客さんが混乱しやすいことです。一方で、クレバリーホームのように知名度のある看板は、住宅展示場の初回接客で会社への疑念を払う力があり、私はその価値が費用の負担を上回ると判断しています。
本部の名前で集客して自社仕様に誘導するやり方は、本部とのトラブルのもとになります。
ぜひ本記事の住宅フランチャイズの現場で見てきた事例を参考に、自社が加盟したときの接客の変化と費用の負担を比べてください。



