住宅営業が外構提案をしない理由|400万円の庭で焦った体験談

住宅営業が外構提案をしない理由|400万円の庭で焦った体験談

住宅営業の商談では、お客さんの要望を聞いて建物のプランと見積もりを出し、建築請負契約を目指します。その流れの中で外構の見積もりまで出す住宅営業はまれです。

住宅営業が外構の提案をしないのは、外構の知識が乏しいうえに、商談が長引き、お客さんの関心が建物から外構へ移ってしまうからです。私は現役時代、400万円の外構プランを見たお客さんから「150万円分を建物から削ってもいい」と言われ、焦りまくった経験があります。

本記事では、住宅営業が外構の提案をしない理由と、外構を提案すべきお客さん・触れない方がいいお客さんの見分け方を解説します。

外構に詳しい住宅営業がほとんどいない工務店の現実

住宅営業の中で、庭や樹木、草木について明るい知識を持っている人はどのくらいいるでしょうか。

かくいう私も、大した知識はありません。

現役の営業マン時代を思い返しても、お客さんと庭の話をすることはありましたが、私は内心「あまり詳しくないのだから、それ以上話を深掘りするのはやめてほしいなぁ……」と思っていました。

住宅営業はあくまでも建物を売る仕事で、外構の知識はあるに越したことはないものの、必須ではありません。

そのため私は、基本的な話はできても深い話はせず、無意識に外構の話題を避けていました。

外構の話で盛り上がってしまうと、私の浅い知識が露呈してしまうからです。

私は23年間にわたって工務店などのコンサル事業をしていますが、コンサル先で出会う住宅営業の中に、外構に詳しい人はほとんど記憶にありません。コンサル先では外構が話題になりにくいという事情もありますが、それを差し引いても、外構に詳しい住宅営業はそれほどいないのが現実です。

住宅営業が外構の提案で商談をややこしくしたくない理由

住宅営業が建築請負契約を取る流れの中で、外構の見積もりを出して契約を取るパターンもあります。

しかし一般的には、住宅営業が外構の見積もりを出すこと自体がまれです。

住宅営業の本心として、家以外のことで商談をややこしくしたくないという心理が働くからです。

外構は本来、建物とは関係のない話です。

住宅営業が外構の話を下手に持ち出すと、話が外構にそれてしまい、契約までの時間が延びてしまいます。

さらに厄介なのは、外構の提案によってお客さんの関心が建物から外構に移ってしまうことで、私自身がその状況に陥ったことがあります。

400万円の外構プランで「建物を削ってもいい」と言われた体験談

私が現役時代に担当したお客さんは、建物だけで商談していれば、とっくに決まっていた契約案件でした。

それにもかかわらず、私はサービス精神で外構の見積もりも取り、お客さんに提示しました。

そのときに実際に交わした会話を再現します。

森「こちらが外構のプランとお見積りになります。結構いい値段なんですけどもお客さんのご要望をすべて入れました」

客「いいですね!このお庭はいいですね!でも400万円となると流石に厳しいです」

森「確かに外構に400万円をかけられる方というのはそんなにいらっしゃらないと思います。これについては建物を建てられた後、余裕のある時に整備すればいいんじゃないでしょうかね」

客「最初はそう思っていたんですけども、こうやってお庭のプランを見てしまうと、やはり引渡しと同時に綺麗な庭ができているのは理想ですよね」

森「理想としてはそうですよね。ただ、あとは、まぁ、予算の問題がありますので、もし同時にやるのであればこの400万円の予算から、あと150万円削ってなんとか250万円でできるところまで落ち着けるというところになるのでしょうか」

客「それは分かりますが、このプランも気に入ってしまったんですよね。ここに400万円かけて、アップした150万円分を建物から削ってもいいと私は思っています」

外構は後回しになるはずだった

私にとっては背中に汗が流れるやり取りで、このときも内心「これはやばい!変な話をしちゃったなー」と焦りまくりました。

私の予定では、お客さんは外構プランを見て喜んでくれるものの、「家を建てた後に余裕を見てからこういうのを考えます」という結論に落ち着くと勝手に考えていました。

ところが話は全く違う方向に動き、お客さんは外構工事で増えた分を、なんと建物から削ると言い出したのです。

結果としては、お客さんに建物と外構をセットで契約していただき、事なきを得ました。それ以降の折衝では、私は外構の話をするタイミングにとても注意を払うようになりました。

外構の話を切り出すときの入り方は、生垣から入る外構の営業トークで解説しています。

私の外構プランを安いメーカーに出される危険

このときは事なきを得ましたが、下手をすると、お客さんが私の提案したプランと同じようなプランを、もっと安いメーカーに発注する可能性も十分にありました。安いメーカーに頼めば、お客さんは間取りを希望どおりにしたうえで、気に入った庭まで実現できます。

外構を提案すべき客と触れない方がいい客の分かれ目

住宅営業が外構を提案するかどうかは、お客さんの予算の余裕で決めるべきだと私は考えています。

ローコストで建てる若いお客さんには触れない

世の中にはローコストメーカーがあり、土地と建物を両方購入するお客さんにとっては力強い味方です。

年齢が若く、収入がそれほど多くないお客さんにとっては、なおさらです。

なんとか住宅ローンを組んでローコストで建てようとするお客さんが、外構まで手が回らないのは当たり前のことです。

そのような商談の場で住宅営業がきれいな庭のプレゼンテーションを持っていけば、外構の提案は営業的に全く無意味になるか、逆にお客さんをがっかりさせることにもなりかねません。お客さんからイヤミと取られても仕方がないと私は思います。

年収2,000万円クラスのお客さんには積極的に提案する

一方、中古高級住宅となると話は変わってきます。

極端な例ですが、年収が2,000万円、自己資金が5,000万円ほどあり、土地と建物を合わせて1億円ほどの物件を検討しているお客さんがいたとします。

このようなお客さんには、住宅営業は外構をしっかり提案すべきで、逆に提案しなくてはだめです。

建物を外から見たときは外構とセットできれいに見せるべきですし、家の中から見る庭の風景も重要なアイテムになります。このクラスのお客さんは外構もやるのが当然と考える人が多いので、住宅営業が外構に触れないと、かえって物足りないと思われる可能性が高いと私は推測しています。

積水ハウス時代の使い分け

私は積水ハウスにいたのでよく分かるのですが、積水ハウスをはじめとした大手住宅メーカーは、お客さんの幅が実に広いです。

ハウスメーカーで建てようと思えばなんとかなるだろうというお客さんから、年収が2,000万円、3,000万円というお客さんまで、それなりにたくさん来場します。

そのため私は、ギリギリで建てるお客さんには外構に触れず、かなり余裕のあるお客さんには毎回外構にも触れてプランを提案していました。

予算の余裕によって変わるお客さんの反応に合わせた話し方は、お客さんの反応別の庭の提案トークで解説しています。

外構の提案を他社との差別化につなげる進め方

他社と差別化しようとするなら、住宅営業は積極的に外構の話もして、建物と総合的に提案したほうが受注に近づくと私は考えています。お客さんの条件に合わせた提案の組み立て方は、建売住宅の販売方法で解説しています。

庭木や芝生の知識は自分で勉強しておく

本記事では、外構の細かい知識には全く触れていません。

つつじの扱い、芝生を根付かせる方法、シンボルツリーに適した品種といった知識は、住宅営業がご自分で勉強してください。

今後の商談で外構の知識が役立つときはやってくると、私は断言します。

シンボルツリーや芝生など商談で使える外構の知識は、住宅営業が覚えたい外構知識で解説しています。

まとめ

住宅営業が外構の提案をしないのは、外構の知識が乏しく、商談が長引いたり、お客さんの関心が建物から外構に移ったりするからです。家をギリギリで建てるお客さんには外構に触れない方が無難な反面、年収が高く生活に余裕のあるお客さんほど、住宅営業から外構に触れるようにしてください。

ぜひ本記事の体験談とお客さんの見分け方を参考に、次の商談からお客さんの予算に合わせた外構の提案を組み立ててください。

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