紹介営業の仕組み化|紹介受注を伸ばした住宅会社2社の社長の動き方

紹介営業の仕組み化|紹介受注を伸ばした住宅会社2社の社長の動き方

紹介情報をやたらと集めてくる営業社員が一人いても、ほかの営業社員はごく普通の紹介件数で終わっている住宅会社があります。

紹介営業の仕組み化に成功している住宅会社では、社長が紹介を会社全体の方針にしています。Bホームは営業・設計・事務の全社員に紹介情報1件ごと3,000円の商品券を出して年間200件前後の情報を集め、A工務店は契約前後の返信日数を記録して、紹介が総受注の半分を占めるまでになりました。

本記事では、2社の事例をもとに、紹介営業を一人の営業社員の腕に頼らず会社の仕組みにする方法を解説します。

紹介営業の仕組み化が住宅会社の経営に必要な理由

このサイトの別の記事で紹介した北陸地方の女性営業は、会社の方針に従ったわけではなく、独自のやり方で紹介の実績を積み重ねてきた営業社員でした。ところが、その住宅会社にいる十人近いほかの営業社員は、ごく普通の紹介情報量で終わっています。

その女性営業が契約したお客さんへのマメな連絡と速いレスポンスで紹介を集めてきた様子は、紹介が集まる住宅営業の違いで解説しています。

突出した営業社員が一人いるのも悪くはありませんが、経営者から見れば、普通より頭一つ抜け出した営業社員がたくさんいるほうが理想の経営に近づきます。紹介営業の仕組み化とは、紹介を一人の腕に任せず、会社全体で紹介が集まる状態をつくることです。

会社全体で紹介受注に取り組んで成功している例として、私はBホームとA工務店を紹介します。

全社員で紹介営業に取り組む住宅会社Bホームの仕組み化

創業時から紹介受注を社是にした積水ハウス出身の社長

私はBホームの社長と15年来の付き合いがあり、Bホームはその地域でしっかりと根を張った住宅会社として知られています。社長は積水ハウスの出身で理念も私とほぼ同じなので、私は話をしなくても社長の考え方や経営方針がすぐに分かります。

社長はゼロから住宅会社を起こし、創業当時から紹介受注を目指すことを社是として地道に取り組んできたそうです。

積水ハウスには紹介受注が取れて一人前という風土があり、社長はその考え方を引き継いでいます。

社長はBホームを展示場を3つ構えるまでの住宅会社に育て、その大きな原動力は紹介だったと言い切ります。

採用面接で営業・設計・事務の全員に方針を伝えた

Bホームの社長は、営業社員だけでなく全社員に紹介受注の意識を持たせました。営業社員だけに発破をかけて紹介受注を取らせる住宅会社はたまにありますが、事務の社員まで含めて紹介の意識を持たせようとする住宅会社は、まずありません。

会社を興したとき、Bホームの社員は全員が新しく入った社員でした。

社長は採用面接で、営業でも設計でも事務でも、紹介受注をもらうという意識を毎日のように持ってほしいと伝えたそうです。

社長は昔からの知り合いも3人引き入れましたが、その3人にもこの方針を話し、賛同してもらうことを条件に勤めてもらいました。

面接で応募者の考え方をどう確かめるかは、ハウスメーカー営業の面接で聞く質問で解説しています。

紹介情報1件に3,000円の商品券を出した創業期

社長は笑いながら話していましたが、創業当時のBホームは、紹介情報を持ってきた社員に、営業社員かどうかを問わず1件あたり一律3,000円の商品券を配っていました。

「できればこんなことやりたくなかったけどね(笑)」

社長はこう話していましたが、スタートダッシュの段階ではやむを得ないと判断したようです。社長の姿勢は少しずつ社内に浸透し、社員にも「この社長はとにかく紹介情報を出せと言っているようだな」ということが強く伝わっていきました。

紹介を評価する社内の空気をつくり、営業が自分から紹介を頼む習慣を根づかせる方法は、紹介受注を増やす仕組みで解説しています。

Bホームの商品券代は毎月5万円から8万円程度で、紹介情報は月に15件〜25件程度、年間にすれば200件前後集まった計算になります。

もちろん、紹介情報といっても商談に乗るものはごくわずかでした。

ほとんどは将来的には家が欲しい人や、話だけなら聞いてもいいという人で、社員に無理やり頼まれて付き合いで話を聞いた人も相当数いたようです。

それでもBホームは、年間100万円を超えない経費で大量の情報を手に入れました。100万円かからない金額で四つ相撲の商談ができるお客さんを毎月1件程度取れるのであれば、経営者にとってこれほどよい方法はありません。

「紹介してください」と言わないBホームの紹介依頼

家を建てる予定がない人にも会社の話を聞いてもらう

一般的な住宅会社では、営業社員がお客さんに「誰か家を建てるお友達やお知り合いはいらっしゃいませんか?」と問いかけます。

ところが、Bホームの社員は違う言い方をします。

「Bホームのことを知っていただきたいので、住宅建築予定の有無に関わらず会社の話を聞いてくれる方を探しています」

営業社員が「家を建てる方を探しています」「ご紹介ください」と頼むと、間口を極端に絞ることになります。Bホームは紹介という言葉をあえて伏せ、Bホームという会社があることを知ってもらう戦略に徹しています。

OB客には引っ越したばかりの人でもよいと伝える

BホームはOB客への紹介依頼でも、一般的な住宅会社とは頼み方が違います。Bホームの頼み方を要約すると、次の言葉になります。

「家を建てようが建てなかろうが関係ありません。昨日新居に引っ越したばかりの方でも構いませんので、弊社の話をいろんな人に聞いていただきたいのです」

私はこの戦略を聞いたとき、「私がやっていたことと同じだな」とすぐに思いました。

私は積水ハウスの現役当時、同じ発想を個人でやっており、Bホームはその発想を会社として全面展開しています。

個人か法人かの差はあっても発想の基本は同じで、積水ハウスで培われたものだと私は納得しました。

新卒の営業社員にOB客を回らせる方法は、住宅営業の新卒研修での放棄リスト訪問で解説しています。

契約後の対応を数字で管理するA工務店の紹介営業

A工務店は規模こそ小さいものの、紹介が総受注量の半分を占める優良工務店です。A工務店の体制は自然にできたわけではなく、社長が確固たる方向性を見据えて誘導した結果です。

工務店が契約後のお客さんへの対応を管理するイメージ

契約後に満足度が下がる法則を防ぐ

A工務店の社長の方針は単純です。

社長の頭には、営業社員は契約前には耳障りのいいことを言うものの契約後の対応がおろそかになり、それがお客さんの満足度を下げるという法則が叩き込まれていました。

社長は、これが原理原則であれば、そうならないようにすれば満足度が上がって紹介も必ず増えると信じて動いたのです。

返信にかかった日数を契約前後で比べる

A工務店は、契約前後を問わず、お客さんとのやり取りをすべて記録に残しています。昔なら手間のかかる作業でしたが、今は簡単にできてしまいます。

たとえば契約前の2月10日にお客さんから連絡があり、営業社員が翌日の2月11日に返信したとすると、返信にかかった日数は1日です。契約後の3月4日にお客さんから問い合わせがあり、営業社員が3月6日に返信したとすると、こちらは返信に2日かかっています。

1日では答えられない内容だったのかもしれませんが、この2つのやり取りだけを比べると、契約後のレスポンスが遅れたという結論になります。A工務店はこうしたやり取りを集めて全体の数字にしているので、契約後にレスポンスの速さが落ちている営業社員が一目で分かります。

契約後の返信を早めるなど、紹介が多い住宅営業が契約後に続けている対応は、契約後も続ける紹介営業のコツで解説しています。

陰口が出ても社長は方針を変えなかった

A工務店は会社設立当初からこの管理をしていたわけではなく、ある日突然管理の方法を変えたので、社員の反発があるのも当然でした。社長に表立って文句を言う社員はいなかったものの、陰口はそれとなく社長の耳に届いていたようです。

それでも社長は臆することなく方針を貫きました。実績として紹介が出始めたうえに社員も新しい管理に慣れたので、不満は意外なほどあっさり消えていったそうです。

会社のやり方を変えるとき、社長は右へ左へとふらふらせず、まっすぐ突っ走る必要があります。社員は社長のふらつきを敏感に察知するので、社長がぶれないことで、社内に「社長がこうと決めたのならば、やるしかないだろう」という雰囲気が生まれます。

まとめ

紹介営業を仕組み化している住宅会社では、社長が紹介を会社の方針として決め、ぶれずに続けています。

Bホームは全社員に紹介の意識を持たせ、紹介という言葉を伏せて会社の話を聞いてくれる人を探しました。

A工務店は契約前後の返信日数を記録し、契約後の対応が落ちる営業社員を見つけられるようにしました。

BホームとA工務店の取り組みはどちらも難しい内容ではなく、どの住宅会社でも実行できます。

ただ、簡単そうに見えて続けるのは難しいので、社長自身が先頭に立つことが欠かせません。

実行した経営者は「こんなことで紹介件数が上がるんだ……」と、意外なほど驚かれることでしょう。

ぜひ本記事の2社の事例を参考に、自社の紹介営業を一人の営業社員任せから会社の仕組みに変えてください。

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