住宅営業の庭の提案|お客さんの反応3パターン別トークと社内教育

ハウスメーカーなどの営業社員の頭の中は建物の受注を取ることでいっぱいになり、庭はプラスアルファのおまけという位置付けになりがちです。
私は、住宅営業は建物と庭をセットで提案するべきだと考えています。「庭まで手が回らない」と言うお客さんに対しても、私であれば最低限の予算で整う外構の図を提案図面に描いて持っていきます。
本記事では、住宅営業が庭の提案をしない理由と、お客さんの3つの反応別のトーク、営業社員に外構の知識を身につけさせる社内教育の進め方を解説します。
住宅営業が庭の提案をしない2つの理由
ハウスメーカーなどの営業社員が庭の話をしないことについて、一概に営業社員が悪いとは言えません。庭については、お客さんの考えと営業社員の考えが一致しているからです。
お客さんは庭を家とは別物と考えている
お客さんの側には、庭は家とは別物で、後で余裕があれば自分たちで整えようと考える人が多くいます。お客さんは庭について、たとえばこんなふうに考えています。
庭も作りたいけど、住宅会社は関係ないよね。庭は別途、自分で業者を探してお願いしよう。
もっとも、庭にかける余裕がまったくないお客さんは別として、庭も家づくりの一環としてしっかり組み込んでいるお客さんも多くいます。
ところが、そうしたお客さんと折衝しても、営業社員の頭の中は建物一色です。
私には、これが不思議でなりません。
営業社員は外構や庭の知識が乏しい
住宅会社の経営者や管理職の方によく聞いていただきたいのですが、一般論として、ハウスメーカーなどの営業社員は外構や庭の知識があまりないと考えてください。営業社員の頭の中は、たとえばこうなっています。
庭の受注も取れればいいけど、あくまで私は住宅販売の営業社員だ。
お客さんから庭も一緒に提案してほしいと言われればそれなりに動くけど、言われなければ積極的に話を進めることはない。
余分な提案をして話をぐちゃぐちゃにしたくないし、そもそも庭に関する知識があまりない。
お客さんと営業社員の両者が庭づくりについて本来向くべき方向とは真逆を向いているので、住宅会社は庭の受注をなかなか取れません。
その大きな原因が、営業社員の知識不足です。
営業社員は、外構や庭、草木に関する知識があれば、自分からお客さんに庭の話をします。
反対に、中途半端な知識しかないか、ほぼ知識がなければ、営業社員から庭の話を持ち出すことはまずありません。
恥をかくどころか、建物の受注そのものが飛ぶ原因になるわけですから、営業社員が庭の話を避けるのは当然の話です。
営業社員が外構の話を避ける事情と、外構を提案すべきお客さんの見分け方は、住宅営業が外構提案をしない理由で解説しています。
工務店こそ庭の提案で大手ハウスメーカーと差をつける
特に小規模工務店の経営者に、声を大にしてお伝えしたい話です。
住宅会社の知名度、信頼性、施工力、情報量などは、大きな会社が有利と考えてよいでしょう。
工務店がいくら高い施工能力や匠の技術を持っていても、それを一般のお客さんに伝えるのはハードルが高いものです。
こうした事情を踏まえると、工務店はお客さんに家と庭をセットにして提案するべきだと私は考えます。
庭にかける余裕のあるお客さんに家と庭をセットで提案すれば、他社とは違う営業になりますし、そこでいい話ができれば、お客さんの気持ちを大きく動かすこともできます。
新築の需要が確実に減る中で、住宅会社が庭で利益を取るという発想は極めて重要です。
庭やアプローチまで見せる住宅展示場など、大手と競合したときに工務店が使える武器は、工務店が大手ハウスメーカーに勝つ武器で解説しています。
庭の提案につなげる質問とお客さんの反応別トーク
私が営業社員にしてほしいのは、打ち合わせの中でお客さんに次の質問をすることです。
営業「今回の家づくりですが、お庭はどのように考えられていますか」
お客さんの反応はだいたい3つに分かれ、反応によって営業社員の返し方が変わります。
予算がない客にも最低限の外構図を持っていく
客「庭まではさすがに手が回らないですね」
営業社員がそのまま引き下がって間取りだけを提案する手もありますが、私であればそうはしません。私はお客さんの予算が回らないことは承知の上で、提案図面に庭の図も描いて持っていきます。
ただし、予算がないと言っているお客さんに、500万円や1000万円もかかる外構図を持っていくと、かえって嫌味になります。
私なら、最低限の予算で整えられる外構をひとまず提案します。
営業社員が外構の仕事を取ることはまずありませんが、プレゼンテーション図面の見栄えがよくなりますし、建物だけでなく庭の話もできるので、折衝の中身は建物だけのときより濃くなります。
見積もりを付けずに庭の図面を添える提案のしかたと、商談で使える外構知識は、住宅営業の外構提案と外構知識で解説しています。
ある程度考えている客には「お庭もセットで考えてみます」と返す
客「ある程度は考えていますけども、そんなにお金はかけられないですよね」
このお客さんは、予算がないと言うお客さんとはかなり様子が違います。
このような反応をしたお客さんは、建物と同時ではないにせよ、ある程度の庭を整備することが頭にあると考えられます。
この場合、営業社員はすかさず次のように返してください。
営業「承知しました。では、やるやらないは別にして、私の方でお庭もセットで考えてみます。家を引き立たせるには、お庭の存在は重要ですので」
このお客さんの場合も、住宅会社が実際に庭を受注するかどうかは関係ありません。営業社員が家と庭をセットで提案すると、窓の高さや大きさを選んだ理由も、庭と絡めて説得力のある説明ができます。
作り込みたい客には庭も提案する住宅会社だと伝える
客「当然ですね。お庭もしっかりと作り込みたいと考えています」
このお客さんに対しては、営業社員に確認してほしいことがあります。
お客さんが庭の工事を住宅会社ではなく外構工事屋さんに別途発注するつもりでいないか、という点です。
住宅会社としては、庭も一緒に受注した方が良いものができるのと同時に、利益も取ることができます。
ここが、お客さんと営業社員の意識のギャップです。
この場合、営業社員はお客さんに次のように伝えてください。
営業「誤解されているお客さんが多いのですが、弊社は住宅だけでなく庭もセットと考えていますので、そちらも含めてご提案させていただいております。ただ、多くの住宅会社ではなかなかそこまではいかないと思いますが……」
積水ハウス時代に私が庭を取りにいかなかった理由
庭を取りにいかない営業社員の事情は、私自身の経験でもあります。
積水ハウスの営業社員だった当時、ご多分にもれず私も庭の知識はほぼない状態でした。
たまにお客さんから庭の見積もりを頼まれると、私は希望を聞いて見積もりを外部に投げていましたが、自分から積極的に庭を取りにいったことは一度もありません。
今思えばもったいない限りですが、私が庭を取りにいかなかったのには大きな理由が2つありました。
理由の一つは、私に庭の知識がなかったうえに、上司も庭を受注しろとは一切言わなかったことです。
もう一つは、庭の受注を取っても歩合給があまりつかなかったことです。
歩合給の仕組みは住宅会社によって違うので、私から何とも言いようがありません。ただ、少なくとも当時の私は、ややこしい話をしてせっかく取っても歩合が少なく、しかもトラブルに発展するおそれがある仕事は、できるだけ避けようと考えていました。
経営者が営業社員に外構と庭の知識を教える
経営者の方にぜひお願いしたいのですが、営業社員を集めて、しつこいぐらい次のことを言ってください。
社長「君たちが日頃の営業で住宅を販売することに尽力しているのはわかるけども、庭のことは頭の外にないだろうか。そういう発想は今すぐ捨ててもらい、庭とセットで家を販売するという考えに転換してもらいたい」
私が社長であれば、このことを口うるさく言います。
そのうえで、営業社員の知識不足に手を打つのが経営幹部の仕事です。
外構や庭の専門家を連れてきて、3時間程度びっちり勉強会をしてください。
営業社員は3時間もいろいろなことを聞けば、一通りのことを身につけます。
営業社員が詳しいお客さんにかなうことはありませんが、ある程度の基礎知識があれば、そうしたお客さんとも対等に話ができますし、話を合わせることもできます。営業社員がこの会話から庭の見積もりを出すところまでこぎつければ、その中の何件かは受注に結びつきます。
まとめ
住宅営業が庭の提案をしないのは、お客さんも営業社員も庭を家づくりとは別物と考えていて、営業社員に外構や庭の知識が乏しいからです。家と庭をセットで提案すれば、知名度で大手に劣る工務店でも、他社とは違う営業ができます。
営業社員は打ち合わせで「お庭はどのように考えられていますか」と聞き、お客さんの反応に合わせて外構図や提案の範囲を変えてください。経営者は「庭とセットで家を販売する」と言い続け、専門家を呼んで3時間の勉強会を開いてください。
ぜひ本記事の3つの反応別トークを参考に、次の打ち合わせでお客さんに庭の考えを聞いてみてください。



