50代以上のお客さんの接客のコツ|定年後の聞き方と提案事例

50代以上のお客さんは、体力が落ちていく悩みと、定年後の暮らしをどうするかという悩みを抱えています。
住宅営業がこの2つから提案を考えると、接客の中身が変わります。
和室の要望が出たときに掘りごたつを勧めることや、58歳のお客さんに定年後の過ごし方を聞くことが、次回のアポイントにつながります。
本記事では、50代以上のお客さんの悩みから考える接客のコツと、年齢の差を埋められない若手営業がやるべきことを解説します。
50代以上のお客さんへの住宅営業の接客は「悩み」から考える
住宅展示場でも現場見学会でも、お客さんを接客する瞬間は住宅営業にとって緊張する場面です。
初回面談がほぼすべてを決めるので、営業社員がここでつまずくと、その先はありません。
かといって、営業社員がぬるい接客をしていては次回のアポイントが取れず、話が前に進みません。
住宅営業には、適度な距離感を保ちながら1時間程度の接客でお客さんとの距離を詰め、時々ぐっと迫る接客が求められます。
そのため、入社1年目、2年目の営業社員がなかなかうまくいかないのも当然です。
初回接客の進め方は住宅営業の初回接客のコツで解説しています。
年代によって接客を変えるのは基本中の基本です。
50代以上のお客さんの場合は、その年代が抱えている悩みを考えることが、すべての提案の出発点になります。
50歳を超えている私は、自分と重ねればこのあたりを簡単に理解できます。
しかし、30歳の営業社員が50歳を超えた人の気持ちを理解するのは難しいと私は考えています。
私が接客で考える50代以上のお客さんの悩みは、体力面と定年後の暮らしの2つです。
体力が落ちる50代以上のお客さんに住宅営業が勧める間取りと設備
床に座ると立ち上がるのが大変になる
人は年をとると、体力も気力も落ちていきます。
特に体力が落ちると、家の中での事故の確率が増え、面倒なことを避けて動くのも億劫になります。
住宅営業がこの気持ちを理解できると、提案の内容も一味変わります。
あぐらをかいて床に座った状態から起き上がるところをイメージしてください。
20代の若者なら簡単に立ち上がれますが、60歳になると「よいしょ」の掛け声とともに立ち上がる機会が増えます。
おしりを床につけて座ると立ち上がるのが大変になるので、住宅営業は完全に座らなくてもいい間取りや設備を提案するのが1つのポイントです。
和室の要望が出たら掘りごたつを勧める
具体的な事例を1つ挙げると、和室の掘りごたつです。
最近は和室自体を設けない住宅も多く、和室が無ければ掘りごたつもありません。
それでも、お客さんの要望を聞いて和室の話が出たら、住宅営業は掘りごたつを積極的に勧めてほしいと私は考えています。
「掘りごたつにするといくらぐらいかかるの?」
お客さんからは当然このような質問が出るので、営業社員は掘りごたつの金額を積算部に確認し、事前に頭に入れておきましょう。
50歳、60歳前後のお客さんは、今は問題がなくても、70歳を超えたときに「あのとき掘りごたつにしておけばよかったな」と後悔する可能性が十分にあります。
住宅営業は、このことをお客さんにストレートに伝えてください。
営業社員がこうした提案を重ねると、お客さんは「この営業ならもう一度話してもいいかな……」という気持ちになり、アポイントを取れる確率が上がります。
次の打ち合わせにつなげる方法は住宅営業のアポ取りのコツで解説しています。
筋肉を維持するためのフィットネスルーム
健康面から考えると、フィットネスルームの提案もありです。
コロナの影響もあり、新築時にフィットネスルームを別に作るお客さんが増えました。
数としてはわずかですが、このようなニーズが増えたのは紛れもない事実です。
20代、30代の若い人は、筋肉をつけるためやダイエットのためにフィットネスをします。
一方、高い年齢に差し掛かった人にとっては、筋肉を維持することが主な目的になります。
お客さんに経済的な余裕と土地の余裕があるなら、住宅営業は老化を防ぐためにも、狭くてもいいのでフィットネスルームを提案してみましょう。
お客さんにとっては思いもよらない提案になることが多いのですが、営業社員のアドバイスで考えが変わり、体力を維持する部屋を作ろうとなるかもしれません。
定年を控えた50代のお客さんには定年後の暮らしを聞く
雇用延長か退職かで間取りが変わる
一般的なサラリーマンで、60歳が定年だと仮定します。58歳のお客さんが来場した場合、そのお客さんは定年を見据えていろいろ考えを巡らせている時期です。
私が営業であれば、このお客さんには必ず「定年後はどうされるんですか」と聞きます。
もちろん、お客さん自身もそんなことは分からないでしょう。
雇用延長してそのまま勤めるのも、仕事をすぱっと辞めて第2の人生をゆっくり過ごすのも、どちらもあり得る選択です。
ところが、雇用延長と退職では、家の間取りも生活スタイルも大きく違います。
雇用延長して勤めるなら、お客さんの生活スタイルは今とさほど変わりません。
一方で、会社を辞めて貯金と年金だけで暮らす人もいれば、一念発起して何かの仕事を始める人もいます。
ネット社会ですから、ユーチューバーになって稼いでみようと考えているお客さんもいるかもしれません。
58歳前後のお客さんが家を建てるのは、35歳のサラリーマンが家を建てるのとはわけが違います。
35歳であれば定年までまだ25年から30年あるので、お客さんは定年後のことを考えようがありません。
58歳前後のお客さんには定年後の生活スタイルのヒアリングが欠かせないので、住宅営業はお客さんの気持ちになってケースごとの提案をしてください。
奥さんの不安は笑いを交えて聞く
住宅営業は、奥さんの話を聞くことも重要です。今まで日中は家にいなかったご主人が一日中家にいて顔を突き合わせる生活になるので、奥さんは内心不安を抱いているかもしれません。
「定年後の夫がうっとうしい」
「定年後の主人と話す事がない」
ネットで調べると、このようなことが書かれた掲示板が散見されます。奥さんがこうした書き込みを見て不安を感じることは、容易に想像できます。
初対面では、営業社員もなかなかここまで踏み込めません。それでも、夫婦の会話の中からお互いの距離感や考えをそれとなく感じ取り、このあたりで突っ込んでもいいかな……と思ったら、営業社員は笑いを少し入れながら話してみましょう。
「ご主人が定年されると、ずっと家の中に居るご主人に対して、奥さんが困ってしまうなんていうケースが結構あるんですよね(笑)」
そこから話が広がればしめたものです。奥さんとの話し方はハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。
「趣味は特にない」と言われたら営業が話を誘導する
特に仕事をしないご主人であれば、夫婦2人で過ごす時間がいきなり増えるので、お互いのプライベートの時間を保つ工夫をした間取りが必要です。その間取りを提案するためにも、住宅営業はお客さんの趣味を聞いておきたいところですが、ここにも困るパターンがあります。
「ご趣味は何ですか」
「特に……ないかな」
お客さんが明確な趣味を言ってくれれば話もしやすいのですが、このように言われると営業社員は打つ手がありません。その場合は、営業社員がお客さんと雑談をしながら、「〇〇なんてことをされたらどうですか」「定年過ぎに〇〇なことをされる方は多いですよ」と話を誘導してあげてください。
50代以上の気持ちが分からない若手営業へのアドバイス
若手の営業社員がどうしても越えられない差が、年齢です。
25歳の営業社員が65歳の人の生活を理解できるかと聞かれれば、私は無理だと答えます。
営業社員は、体力が今より落ちるんだろうな……という程度のことは想像できますが、それもあくまで想像にすぎません。
精神的なものになると、さらに厄介な領域に入ります。子どもが育って家を出た寂しさや、社会問題になっている50-80問題(老老介護)なども、その状況に直面した経験がなければ、営業社員にとってはやはり絵空事です。
私は若手営業に、理解できないのは仕方がないという前提で、年長者に話を聞いてほしいとアドバイスしています。ネットの力も絶大で、営業社員は自分がまだ経験していない年齢の人が抱える悩みや問題の具体例を、ネットで調べることができます。
まとめ
50代以上のお客さんの接客は、体力の衰えと定年後の暮らしという2つの悩みから考えます。和室の要望には掘りごたつを、経済的な余裕と土地の余裕があるお客さんにはフィットネスルームを提案し、定年後の過ごし方や奥さんの不安、趣味まで聞くことで、住宅営業の提案の中身が変わります。
20代、30代の若い営業がこうした細かい点に気づくと、お客さんもそのことに気づきます。その結果、次回のアポイント率が上がり、商談に進んでからの成約率も高まります。
ぜひ本記事の掘りごたつの提案や定年後のヒアリングを参考に、次に来場する50代以上のお客さんの接客を組み立ててください。



