富裕層の接客のコツ|住宅営業が取材で聞いた2億円超の家の決め手

富裕層の接客のコツ|住宅営業が取材で聞いた2億円超の家の決め手

住宅展示場で接客していると、身なりや話しぶりから「この人はお金持ちかな?」と感じるお客さんに出会います。

土地と建物を合わせて2億円以上の家を建てたAさんを私が取材したところ、Aさんが選んだのは2人でした。

土地は、自信を持って言い切り、周辺環境を自分の足で調べた不動産営業から買いました。

建物は、ワインの話が通じて、ダメなものはダメと言う一級建築士に任せました。

本記事では、Aさんへの取材と私の積水ハウス時代の体験談をもとに、富裕層の接客で住宅営業が変えるべきことを解説します。

富裕層のAさんが2億円超の土地と注文住宅を決めた経緯

Aさんは、ヨーロッパに本社がある日本法人の社長です。

Aさんはそれまで10年以上、ご夫婦でヨーロッパを転々としており、帰国して社長に就任するのを機に土地を買って家を建てることにしました。

年収は“たくさん”としておきますが、Aさんが購入したのは土地と建物を合わせて2億円以上の物件です。

1億円の土地や1億円の注文住宅を買う富裕層(アッパー層)は、生活レベルや交友関係が一般のお客さんとは違います。

そのため、富裕層のお客さんは持ち物や行動もハイレベルです。

住宅営業も不動産営業も、このレベルのお客さんはなんとしてでもつかまえたいのが本音で、そうであれば営業社員がお客さんのレベルに合わせるのは当然です。

Aさんは土地を不動産業者から買い、建物はハウスメーカー、工務店、一級建築士事務所の3社を同時に検討しました。

最初に訪ねたのは、友人に紹介されたハウスメーカーです。

ところが、Aさんにとってはどうにもこうにも話が面白くなく、間取りにも夢がないうえに提案もそっけないものでした。

次にAさんは工務店にも足を運びましたが、工務店はプランの提示までたどり着けませんでした。

工務店の担当者について、奥さんはこう話しています。

「あまりこの人と長く話をしたい気になれなかった」

最終的にAさんが建築請負契約を結んだのは、都内の一級建築士事務所でした。

富裕層が住宅用地をその場で決めた不動産営業の接客

紹介された土地を気に入ったことが前提ですが、Aさんは不動産会社の若い担当者をやたらと褒めちぎりました。

「不動産の若い営業マンが良かったんだよ!」

「彼は自信をもって言い切るんだよね」と褒められた土地説明

Aさんが挙げた1つめの理由は、担当者の言い切る姿勢でした。

「彼は自信をもって言い切るんだよね」

お客さんは、紹介された土地になんだかんだとけちをつけるものです。

一般的な分譲地でいえば「ゴミステーションが角にあるのはちょっと嫌だね」という類の指摘ですが、営業社員がこれにまったく動じずに対応できるかどうかが大事です。

分譲地での立地の伝え方は住宅営業の初回接客のコツで解説しています。

商店街と夜道まで自分で調べた周辺環境の資料

Aさんが挙げた2つめの理由は、担当者が周辺環境を知り尽くしていたことです。

「周辺環境を熟知しているんだよ」

1億円もする土地を買う人ですから、普段は高級車で都心に買い物に出かける暮らしかと思いきや、Aさんの奥さんは古き良き商店街が大好きでした。

担当の営業はそれを察知してか知らずか、土地の近くにある2つの商店街を調べ尽くした資料を机に広げました。

どんな店があるかはもちろん、担当の営業は自分でスマホを片手に撮った動画まで見せたのです。

土地を紹介するときに近隣を撮った映像で暮らしぶりを伝える方法は、周辺環境を映像で見せる土地提案で解説しています。

「この店のご主人はテレビにもよく出る人でユニークな方らしいんですよ。で、この魚屋さんは種類が豊富みたいですね」

担当の営業は商店街を動画で紹介した後、ほかの観点から見た周辺の生活環境も説明しました。

  • 治安:自ら警察署に行き、ホームページに載っていない話を聞いて、空き巣などの犯罪数まで調査
  • 夜間:女子大に通うお嬢さんを心配するAさんに、夜に歩いて撮った動画で、駅から明るい道だけを通って帰れるルートを説明
  • 金融機関:コンビニで用が足りる時代でも、銀行や郵便局の場所を調べて一覧に
  • 生活施設:大型スーパーや病院の情報

Aさんはこのプレゼンテーションを気に入り、その場で土地の購入を決めました。奥さんの好みを踏まえて提案を組み立てる接客は、ハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。

一級建築士が富裕層の信頼を初回面談でつかんだ理由

ハウスメーカーにも工務店にも満足できなかったAさんですが、ある一級建築士事務所で出会った先生は素晴らしく、Aさんは初回面談でお任せすることを決めました。

ワインとミーレの話が通じた一級建築士

「ワインに詳しかったので話が弾んだんだ」

Aさんはヨーロッパで暮らしていたころ、日本人だけでなくヨーロッパの知人も家に招いて、パーティーをする機会が多くありました。話の流れでワインのことが出ると、先生はワインのブランドだけでなく温度管理にも一定の見識を持っていて、Aさんはずいぶん感心したそうです。

背の高いワイングラスを食洗機で洗うには、食洗機にある程度の大きさがないと不便です。会話がそこに差し掛かったところで、先生の口から「やはり食洗機はミーレですよね」とドイツのメーカー名がポンと出てきました。

Miele(ミーレ)は1899年創業のドイツのメーカーで、ヨーロッパではBMWなどと同格のブランド力があります。

ヨーロッパ在任中もミーレを愛用していたAさんは、この単語が当たり前のように出てくる先生にすぐ信頼を寄せました。

余談ですが、ミーレの食洗機は音が小さく、ワイングラスなど背の高いものでも洗えるのが特徴で、Aさんご夫婦はこの2点を気に入っていたそうです。

「ダメなものはダメ」と言うイエスマンではない姿勢

「イエスマンではなくダメなものはダメと言ってくれたね」

お客さんの希望をただ聞いているだけの御用聞きスタイルは、Aさんのような富裕層には受けないと私は思います。

受注する住宅会社の側は「お金持ちの気分を害してはいけない」と考えるかもしれませんが、それはまったくの逆効果です。

社会の上層部で活躍している方だからこそ、御用聞きのような営業とは話をしたくないのです。

もちろん、居丈高にふるまえという意味ではありません。

営業社員はしっかりした応対をしながらも、家については自分がプロなので、お客さんの要望を聞いたうえで「これはおかしい。こちらにした方がよい」とはっきり伝えます。

契約の場面でも曖昧な言い方をやめて断定する話し方は、住宅営業のクロージングのコツで解説しています。

帽子で富裕層と気づいた住宅展示場の体験談(積水ハウス時代)

私も積水ハウス時代にさまざまなお客さんを相手にしましたが、アッパー層はたしかに何かが違いました。

私は接客を始めて「この人はお金持ちかな?」とあたりをつけると、接客の中身を変えていました。

社交界の匂いがする帽子をかぶった奥さん

いつものように住宅展示場で勤務していた日曜日に、50歳前後のご夫婦が来場されました。ご夫婦の生活ぶりの良さはすぐに分かりましたが、私が目に留めたのは奥さんの帽子です。

女性の皇族方がかぶっている帽子を思い浮かべてください。

説明が難しいのですが、日よけの帽子ではなく、明らかに社交界の匂いがする帽子で、奥さんがかぶっていたのはまさにそれでした。

私は「こんな帽子をかぶって展示場に来る人は初めて見たな」と思いながら接客を始めました。

ウォークインクローゼットで帽子の収納を聞いた会話

しばらくして、1階のウォークインクローゼットに入ったところで、私は奥さんにこう聞きました。

私「奥さんはたくさんお帽子をお持ちだと思いますが、収納にお困りではないですか?」

奥さん「そうなんですよ。帽子は重ねてしまうわけにはいかないので、思った以上に場所を取るんですよ」

この会話の瞬間に、私は「この人はアッパークラスの可能性が高い」と踏みました。手がかりは次の4つです。

  • 皇族のような帽子をかぶっての来場
  • 帽子をたくさん所有
  • 帽子を重ねずに保管
  • 夫婦からにじみ出る余裕のある生活感

帽子をたくさん持っているのに重ねて保管していないのは、一般的には考えられないと私はすぐに気づきました。

このご夫婦とは契約になり、ご夫婦は都内に一戸建てを所有したうえで別荘を建てました。

後で奥さんに聞くと、「帽子の話をすぐにしたのは森さんだけでしたよ」とのことでした。

アッパー層との折衝や接客にはコツがあり、私自身の経験のほかに、コンサル先の営業からもさまざまな事例を聞いています。

富裕層のお客さんが営業の熱意と人柄で住宅会社を選んだ案件は、富裕層から1億円超を受注した営業の事例で解説しています。

まとめ

2億円以上の家を建てたAさんは、言い切る自信と自分の足で調べた周辺環境の資料を持つ不動産営業から土地を買いました。

建物は、ワインやミーレの話が通じて、ダメなものはダメと言う一級建築士に任せました。

私が積水ハウス時代に別荘を契約したご夫婦の奥さんからは、帽子の話をすぐにしたのは私だけだったと聞きました。

アッパー層と一般のお客さんとでは、接客の中身もトークも違います。住宅営業は、お客さんの持ち物や話題から暮らしを読み、プロとして意見を言える準備をしておくことで、富裕層と対等に話せるようになります。

ぜひ本記事のAさんへの取材と帽子の体験談を参考に、住宅展示場で「この人はお金持ちかな?」と感じたお客さんへの接客を見直してください。

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