今日の主人公はお客さんです。
私は仕事の中でお客さんを取材する機会も多くあります。
まれには自分でそのようなお客さんとコンタクトを取って行うこともありますが、9割方は住宅会社からの依頼で外部の人間として取材に当たります。
平均して毎月二件程度は行っていますので、営業にとって参考になる話がどんどんと耳に入ってきます。
今日はそんな中からご紹介したいのですが、ある住宅会社のトンデモ営業にブチ切れたというか、呆れ果てて縁を切ったお客さんの話です。
Aホームとしておきますが、この会社はそこそこ知名度がある会社だと思ってください。
私も個人的に営業はおろか設計社員もそれなりに面識がある会社ですが、今回はその営業の対応があまりにもひどかったという実際にあった話です。
〇〇ホームの営業社員にブチ切れた
アポイントを何度も変更する
Aホームはそこそこに知名度があると書きましたが、営業社員に対する評判は今一つ芳しくありません。
その一つがアポイントの頻繁なる変更です。
ある方から聞いた話をご紹介しましょう。
私「担当営業のスケジュール管理がいい加減でいやになったということですか?」
奥様「そうなんですよ。来週の金曜日の何時とちゃんと決めるんですが、前日になるとメールが入り、その予定を延ばしてくれと言ってくるんです」
私「何度ですか?」
奥様「何度もです(笑)」
私「にわかには信じられないのですが」
奥様「私たちも不思議だったんですが、たまたまルーズな営業マンに当たったんですかね」
私が直接聞いた話はこれだけですが、同じような話はネットにかなり多く転がっています。
忙しすぎる営業マン
原因はほぼこれで間違いないでしょう。
Aホームの営業マンが忙しすぎることが原因だと推測しています。
この会社は一人で何役もこなさなくてはならない営業体制になっており、そのためスケジューリングをしてもそこに予定を入れざるを得ないことになるのでしょう。
もちろん、それが契約を左右する重要なアポイントであれば最優先するはずですが、さほど重要じゃないお客さんや案件だと判断すれば営業社員はそれを後回しにすることでしょう。
今のところ契約は順調かもしれませんが、このような悪評が積み重なると、突如としてどこかで営業体制が崩れると私は思っています。
すべてにいいかげんな営業にブチ切れた
こちらも同じ会社の話ですが、あるお客さんがAホームとWホームのどちらかにするまで絞り込みました。
ところが最終的にはAホームのデタラメぶりに嫌気が差して、商談を中断した事例です。
折衝当初からAホームの対応に不信感を持っていた方だったのですが、その高いデザイン性や若干安い価格に大きな魅力を感じていたので切り切れずにいたのです。
ところが、この二社に絞り込んだ段階で、とうとう我慢ができなくなり最終的にWホームに決定したのです。
私はこのお客さんと面識はありませんが、担当だったWホームの 営業担当者からこの話を耳に しました。
この担当者は私にこのように教えてくれたのです。
「向こうの営業はかなりいい加減だったみたいですね。とにかく契約を急かすし、話し方やその態度が駅前でたむろしているお兄ちゃんみたいな感じらしいのです。それでも、伸びている会社として有名だしデザインのセンスも気に入っていたので我慢していたそうです。ところが、最終的にはあまりのいい加減さに不安になり、契約をお断りしたとのこと。メールで断りを入れたらしいのですが、電話がすぐにかかってきて、かなり強い調子でその理由を聞かれたようです。結果的にはそれでますます不快になったわけですけどね(笑)」
どんな事情があったか私は直接には知りませんが、この話を聞くだけでも、いかにいい加減かが想像できます。
とにかく連絡をよこさない態度にあきれた
この理由も大きかったようですね。
営業とお客さんとの折衝過程では、営業社員もわからないことがあるのは当然の話で「これはお調べして後日メールでご連絡しますね」というやり取りが頻繁に起こるでしょう。
ところがこの営業は、こうした会話の後何の連絡もよこさないことが頻発したらしいのです。
実際に顔を合わせた時にそのあたりをやんわりと問いただすのですが、営業はへらへらしながら「すいませんね~」と言って済ますだけだったようです。
ご夫婦は「いい加減な営業だよな」としょっちゅう話をしてたらしいのですが、最終的に積もり積もったものが噴出して、契約をやめることにしたわけです。
ネットに載っていたこんな話
これまでの話は私が直接見聞きしたことが情報ソースでしたが、次の話はネットに載っていた話とお断りしておきます。
真偽のほどは定かではありませんが、内容を読むと「ほぼ間違いないだろうなあ・・・」というものでしたのでご紹介しましょう。
ツイッターでブチ切れる施主
私はツイッター(現X)をやっていますが、そこには様々な施主の喜びに満ちたコメントがある一方で、不満や鬱憤をぶちまける内容も多数載っています。
対象となる住宅会社名を隠すケースも多いですが、発信を匿名でできるという特性もあり、具体的に住宅会社名を出して猛攻撃する内容も多数あります。
Aホームはこうした中でも結構常連と言える会社だと私は思っていますが、見ていると「こんなことってあるのかな?」と言いたくなるような文言もかなりあります。
しかし、丹念に読み込んでいくと、多少オーバーに書いていることは想定されますが、内容はかなり確度の高いものとみて間違いないものが多いと感じます。
いつまでたっても着工しない
契約済みの方になりますが、どうやら予定通りの着工ができずにかなりイラついているようでした。
契約上の着工日から三か月経過してもいまだに着工できず、具体的な着工予定も会社側からされていないとのこと。
これが本当ならばふざけた話ですが、この方は営業に何回聞いても「申し訳ございません!いろいろ現場の都合がありまして、予定が立たない状況です。今しばらくお待ちください」
このような返事しか返って来ないと怒りをぶちまけていたのです。
事の顛末は見届けていませんが、この会社の現場は相当混乱していることを私は知っていますので、このような事態が全国で発生しても決して不思議ではないでしょう。
特に営業力が強い会社でありがちな事例ですが、どうしても受注を最優先するので、現場が多少混乱してもとりあえず取って来いということになるのです。
取るだけ取って後はお客さんに何とか納得してもらうということでしょう。
急成長の会社にありがちなパターン
Aホームに限りませんが、急成長の会社はどうしても現場が粗雑になります。
また、そのような絶好調住宅会社は営業力だけはどういうわけだか強烈です。
ですから、受注する数が多いものの、昨今の職人さん不足も手伝って現場はどうしてもさばききれない状態が発生してしまいます。
「受注を少し止めればいいじゃないか」
こじんまりとした工務店を経営している皆さんは、このような感想を持つでしょう。
ところが急成長している大きな会社は止まれないのです。
受注できるものはどんどん受注してしまおう、が大原則で、これが大きな問題となるわけです。
この問題は営業の歩合給が大きく影響しています。
Aホームに関しては歩合給の部分が極めて高い割合を占めているので、仮に会社が受注をセーブしろなどと言えば「俺の歩合給はどうなるんだ!」となり現場営業の不満が爆発するでしょう。
高額の歩合給を設定している限り、この問題は避けることができない大きな課題となり目の前に立ちふさがるのです。
まとめ
地域密着で地道に工務店を営まれている方には理解しがたいと思いますが、実際には施工能力を考えずに受注に邁進してしまう、住宅メーカーの構造的な問題が存在します。
ただ受注がなかなか取れない方にとっては、純粋に羨ましい限りかもしれません。
入社したばかりの若い営業マンでも、元気と勢いで受注がけっこう取れてしまうケースも多々あります。
施工にさまざまな問題をはらんでいても、デザイン性の高さや見た目の華やかさにお客さんはどうしても惹かれてしまいます。
小規模工務店の皆さんは、こうした大手の住宅会社の性質をよく勉強し対抗措置を取らなくてはなりません。