住友林業の敷地調査5万円の狙いは?工務店が学ぶ営業の理由2つ

住友林業の敷地調査5万円の狙いは?工務店が学ぶ営業の理由2つ

土地を持っているお客さんに「一度土地を見せてください」と伝えてはいるものの、敷地調査は時と場合に応じてしか行わず、調査結果は一枚の紙や地積測量図で済ませている工務店があります。

住友林業は、商談の初期段階で土地を持っているお客さんに「敷地調査をしましょう。ただし5万円をお預かりします」と持ちかけています。

この5万円には、お客さんの本気度を測り、お金を預ける行為でお客さんの気持ちを前に進めるという営業上の狙いがあります。

本記事では、住友林業が敷地調査で5万円を預かる狙いと調査の中身、そして工務店が敷地調査を受注につなげる方法を、積水ハウス出身の私の経験をもとに解説します。

ハウスメーカーが敷地調査を重視する2つの理由

大手ハウスメーカーや一定の規模がある住宅会社は、お客さんが所有する土地を建築請負契約の前に敷地調査するのが一般的です。

敷地調査は有料の場合も無料の場合もあり、調査内容のレベルにもかなり差がありますが、ハウスメーカーはどこも敷地調査を重視しています。

ハウスメーカーが重視する理由は明快で、2つあります。

お客さんの本気度を測れる

例えば、あなたが100坪の土地を持っていて、住宅展示場でハウスメーカーの営業担当者と話した後に、営業担当者からこう言われたとします。

「土地を測らせてもらえませんか。まずは土地を拝見しないと話が進まないので」

お客さんは、そのメーカーと話を進める気がないときや、まだその段階ではないと思うときには断るでしょう。

逆に、お客さんが前のめりになっていれば、おそらくこの提案を受け入れます。

営業担当者の側からすると、提案を受け入れたお客さんは「そこそこに脈がある」と判断できるわけです。

次回と次々回のアポイントが取れる

ハウスメーカーの営業担当者は、敷地調査の当日にはできるだけお施主さんに立ち会ってもらうように仕向けます。

立ち会いを取り付けた時点で、営業担当者は次回のアポイントを取れたことになります。

さらに、調査しっぱなしというわけにはいかないため、営業担当者は調査結果報告書を持って再びお施主さんと会う機会を作らなければなりません。

敷地調査のアポイントが1つ取れると、次回と次々回のアポイントが事実上自動的に取れるのです。

住友林業が敷地調査で5万円を預かる住宅営業上の狙い

住友林業もほかのハウスメーカーと同じように、お客さんに敷地調査を持ちかけます。住友林業に特徴的なのは、敷地調査を持ちかけるときに5万円の預かり金が発生することです。

敷地調査のアポイント自体がお客さんの本気度を測る手段になりますが、そこにお金が発生すると、営業が測れる本気度の深さが増します。

5万円は後で返ってくるお金ですが、お客さんに5万円という現金を人に預ける行為を経験させることに意味があります。

5万円を預けたお客さんは、気持ちが住友林業に傾くと同時に、住友林業との間に精神的なつながりもできるでしょう。

一方で、5万円と言われて面食らうお客さんもいますし、不信感を持って住友林業との商談を打ち切るお客さんもたまにいるようです。

お客さんの本気度とは別に、図面や見積もりを出す前に相手の素性を確かめる手順は、図面を盗む客の手口と確認手順で解説しています。

住友林業の敷地調査は他社よりレベルが高い

ブログなどで住友林業の敷地調査報告書を公開している施主は結構いて、他社の報告書も含めていろいろ見ている私の見立てでは、住友林業の報告書はかなりレベルが高いです。施主のブログには、次のようなコメントが目立ちます。

「住友林業の敷地調査が細かくてすごい」「何社か並行して見てもらったけども住友林業が一枚も二枚もレベルが高い」

住友林業の敷地調査は、主に次の項目を調べます。

調査項目調べる内容設計・工事での使い道
敷地内縦横の長さ、傾斜、法面(のりめん)、汚水桝(おすいます)など関連設備の位置敷地の形と設備の位置関係を正確に把握する
前面道路幅員、交通量、一方通行の有無事故が起こりにくく、車の出し入れがしやすい駐車場の配置を決める
電信柱位置、電線の高さ目障りな場所にないかを確かめ、工事中にクレーンのアームが電線に接触しないようにする
近隣の家建っている家、高さ、屋根の傾斜、窓の位置隣家と窓がかち合ったり、隣から覗き込まれたりしない窓の配置にする

前面道路と電信柱は基本事項ともいえる項目ですが、一般の工務店ではなかなか調べません。

近隣の家を調べる周辺状況のチェックも、住友林業の報告書ではかなり充実しています。

こうした調査を丁寧に行うことが、お客さんの心をつかんで建築請負契約に近づく出発点になります。

現地・役所・インフラ・法務局で確かめる調査項目と確認先は、土地調査チェックリストの書式で解説しています。

敷地調査で契約を取ってきた積水ハウス時代の経験

積水ハウスに在籍していた私も、住友林業と同じように敷地調査を営業戦略として多用しました。体験したからこそ分かりますが、敷地調査は受注獲得というか、お客さんとの距離を詰めるのに極めて有効な営業手段です。

当時の積水ハウスも、敷地調査への力の入れ方は現在のハウスメーカーと同じでした。

積水ハウスとしては、契約数が読みやすいという意味合いもあったでしょう。

支店全体で敷地調査を100件取れば、契約は30件程度あるだろうという見込みが立つからです。

私が住宅営業をしていたのは30年ほど前ですが、今でも多くのハウスメーカーが敷地調査を重要な戦略として採用しています。30年後の今も採用され続けていること自体が、敷地調査の重要性を証明していると私は考えています。

コンサルタントになった私は、住宅会社で営業指導をする中で実際の商談を見る機会も多くあり、営業が敷地調査のアポイントを取りに行く場面にもよく出くわします。

商談が濃いと敷地調査のアポ率が上がり、アポが取れると契約率もまた高まります。

この傾向は、私が営業をしていた頃と比べても何も変わっていません。

展示場での接客から敷地調査のアポ率を上げる方法は、住宅展示場の外回り接客で解説しています。

工務店が住友林業の敷地調査から学ぶべきこと

「報告書というような仰々しいものはない」静岡の工務店社長との会話

私は静岡県内のある工務店の社長と、次のような会話を交わしたことがあります。

私「敷地調査のアポイントを積極的に取るのと同時に、やるからにはしっかりと調査をして、ちゃんとした報告書を作成してください」

社長「土地を見るのが重要なのはわかっていますよ。だからもちろんお客さんにはそんな話をして土地を見るようにしています」

私「時と場合に応じてではなく積極的に取りに行って欲しいんですよ。あと敷地調査報告書のレベルはどんなもんですか?」

社長「報告書というような仰々しいものはないですよ。一枚の紙に書いて出すこともあれば、地積測量図を代用するようなこともありますね」

私から見れば、社長の答えでは話になりません。工務店の営業にとって敷地調査のアポイントを取ることは重要ですが、敷地調査報告書の名前に負けないレポートを出すことは、さらに重要だと認識してほしいと私は考えています。

競合他社が手を抜いた項目で上回る資料を出して商談に勝つ方法は、敷地調査の資料で競合に勝つ方法で解説しています。

商談の初期段階で敷地調査のアポイントを取りに行く

工務店の営業は、時と場合に応じて土地を見るのではなく、折衝の初期段階から敷地調査のアポイントを積極的に取りに行ってください。アポイントの切り出し方は住宅営業の敷地調査のアポ取りと差別化で解説しています。

まとめ

住友林業が敷地調査で5万円を預かるのは、お客さんの本気度を測り、お金を預ける行為で気持ちを前に進めるためです。敷地調査は家を建てるために必要な作業であると同時に、建築請負契約を取るための営業的な意味合いが大きい手段だと、私は敷地調査で契約を上げてきた経験から考えています。

工務店が真似すべきなのは、アポイントを初期段階で取りに行くことと、報告書の名前に負けない調査の中身の両方です。最初は慣れないかもしれませんが、ハウスメーカーはメリットがあるから敷地調査に力を入れています。

ぜひ本記事の住友林業の調査項目を参考に、次のお客さんから折衝の初期段階で敷地調査のアポイントを取りに行ってください。

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