デザイナーズ住宅を売る工務店の4つの戦略|家具・雑貨コラボの事例

デザイナーズ住宅は、外観や内装の設計だけでなく、家具や雑貨で付加価値をつけて売ることもできます。山形県のある地場工務店は、ホームページのテイストを一変させた後、現場見学会の集客が2倍近くに増えたと私は聞いています。
本記事では、私が現在進行形で関わっている住宅会社の事例をもとに、工務店がデザイナーズ住宅を売るための4つの戦略を解説します。
工務店が売るデザイナーズ住宅は家具・雑貨で付加価値をつける
住宅会社はいろいろと知恵を絞って住宅販売に乗り出しており、その切り口の一つにデザイナーズ住宅があります。
本記事で扱うデザイナーズ住宅は、外観や内装のデザインだけを指すものではありません。
家具や雑貨でちょっとした付加価値をつけ、「おしゃれな住宅ですよ」という雰囲気を目いっぱい出した住宅のことです。
分かったような分からないような代物です。
建築家コラボ型のデザイナーズ住宅と工務店の競合負け事例
建築家とのコラボは、デザイナーズ住宅の中でもっともポピュラーなケースです。住宅会社が社内設計士ではなく、あえて社外の独立した設計事務所の先生などと組んで提案していく手法になります。
競合負けしたY社の「設計士を選べる」仕組み
つい先日、私のコンサル先の営業マンが、この手法を取るY社に競合負けしました。営業マンはかなり詰めていいところまでいっていたのですが、最終的にうっちゃられた形です。
私がY社を調べてみると、ホームページで「あなたとフィーリングのあう設計士を探しませんか?」という趣旨をうたっており、たしかに魅力的な内容でした。
私がY社に興味を持って家づくりを頼んだ場合、訪問から契約までの流れを書き出すと6段階になります。
- 私がY社を訪問する
- Y社の営業マンが要望を聞き、3人の設計士を推薦する
- 私が了承すれば、3人の設計士からプランが提示される
- 3人の設計士がそれぞれ見積もりを提示する
- 3人の中から私が1人を選ぶ
- 契約を結ぶ
契約までの満足感は高いが現場監理でトラブルも出る
私が入手した情報では、Y社のお客さんの契約するまでの満足感はかなり高くて上々とのことです。地場の工務店に頼むのと比べて、お客さんは設計士の“先生”にプランニングしてもらった感が強くなるので、その気持ちは私にもよく分かります。
地場の工務店がデザインを重視するお客さんに選ばれる方法は、デザインによる工務店の差別化事例で解説しています。
一方で、現場監理をめぐるトラブルや、社外の設計士と組むことによるトラブルを聞くのも事実です。この方式では施工会社と設計士が初めて組むケースも出てくるので、施工会社と設計士は意思疎通の課題をうまくクリアーしなければなりません。
東京ガスの関連会社OZONEが建築家との間を取り持つ仕組み
新宿に本社を構えるOZONEは東京ガスの関連会社で、家を建てたいお客さんと建築家の間を取り持つ仕事をしています。東京ガスという圧倒的なブランドの影響も大きいのですが、OZONEは顧客から強い支持を受けており、私はこの仕組みを秀逸だと見ています。
OZONEの紹介先はデザイナーズ住宅の会社だけではなく、一般的な工務店やごく普通の建築設計事務所も含まれます。それでも私の感想としては、紹介先には総じておしゃれな会社が多いのは間違いありません。
家具・雑貨ブランドと提携した住宅展示場の事例
架空の話になりますが、私が神戸市で従業員50人の工務店経営者だと仮定します。これまたありえない話ですが、私の工務店がIKEAと業務提携を結んで「森工務店×IKEA」というコラボ商品を出したとすると、おそらく大反響で、それなりに売れると私は思います。
IKEAほどの知名度はないものの、似たような取り組みで動いている住宅会社は実際にあります。
その住宅会社はある雑貨ブランドと提携し、展示場の中にブランドショップが提供する家具をたくさん展示しています。
「家具から始める家づくり」というキャッチフレーズも出しており、展示場での反応は上々で、明らかに効果を発揮しています。
ブランドに限らず異業種と組んで見学会に人を集める方法は、完成見学会の異業種コラボイベントで解説しています。
その住宅会社は、机やいすはもちろん、ちょっとした小物までを雑貨ブランドで統一しました。それによって、一般的な展示場とは明らかに違う雰囲気を作り出すことに成功しています。
ホームページと展示場の小物でデザイナーズ住宅のおしゃれ感を出す
私が工務店経営者で自社の単独展示場を持っているとしたら、デザイナーズ住宅を売るために4つの戦略を取ります。最初の2つは、お客さんが目にするホームページと展示場の見せ方を変える戦略です。
山形県の地場工務店がホームページのテイストを一変させた事例
私の記憶では山形県だったのですが、ごく普通の地場工務店がありました。その工務店のホームページもいかにもという感じで、おしゃれ感は全く感じられないものでした。
ところがあるとき、その工務店のホームページのテイストが突如として一変しました。
営業をはじめ社内設計士までもがマオカラー(イタリアファッションによくある、襟を立てたような装い)に身を包み、シリアスな表情を浮かべた全身写真で登場したのです。
従前のホームページでは本当にありふれた姿で笑顔を振りまいていた社員たちが、この変貌ぶりでした。
もともとデザイン性のいい住宅を建てていた工務店ではありましたが、このときからイメージ戦略を取り出しました。ここから先は人づてに聞いた話ですが、その工務店の現場見学会の集客は2倍近くに跳ね上がり、契約もそれに準ずる形で上がっていたそうです。
私なら、ホームページそのものをおしゃれ感に包まれたテイストに、それも思いっきり変えてみます。ホームページと合わせた発信の方法は、ハウスメーカー・工務店のSNS集客で解説しています。
展示場を一つのブランドの小物で統一して飾り付ける
IKEAと提携してIKEA製品で展示場を装飾するようなことは、一工務店にはできません。ただ、安くてもおしゃれな小物雑貨ブランドや家具ブランドがあれば、私は思い切ってそのブランドで展示場の飾り付けをします。
飾り付けは私がやってもダメなので、私は女性社員か、そのためだけに探した女性に依頼します。
男性ではダメです。
奥様の気を引くような仕掛けは、「これってかわいい!」という発想ができる女性に頼むべきだと私は考えています。
飾り付けは建築・デザイン系の学生アルバイトに頼む
プロのインテリアコーディネーターに頼めばそれなりの金額がかかりますが、安上がりに済ませる良い方法があります。工務店が建築やデザイン学科のある大学か専門学校に連絡を取り、「アルバイトの学生を探しているのですが」と伝えればOKです。
学校も積極的に紹介してくれますし、何より学生の意欲が違います。
生活費を稼ぐために飲食などのアルバイトをしている学生にしてみれば、「デザインの仕事ができて、しかも飲食なんかより圧倒的に割のいいバイトになる!」となるのは必至です。
住宅展示場を雑貨店と一体化させてデザイナーズ住宅の客を集める
残りの2つは、展示場そのものの使い方を変える戦略です。
男性はあまり関心を抱きませんが、女性はおしゃれな雑貨店に敏感に反応します。
展示場の横にスペースがあるなら、多少の経費をかけてでも雑貨屋さんを併設する手があり、工務店は家具ブランドと提携しなくても、自社でフィーリングの合う雑貨ブランドや家具屋を見つければ実現できます。
私がさらに踏み込んで勧めるのは、一般的な展示場をそのまま雑貨屋さんにしてしまうやり方です。
工務店が販売担当の社員かアルバイトを常駐させてスタートすれば、人が集まるのは間違いありません。
しかも展示場特有のハードルの高さも解消でき、お客さんに気軽に見学してもらえます。
展示場をショールームとして使う考え方は、住宅展示場のディスプレイ活用で解説しています。
ただし、普通の展示場なら営業が「アンケートをお願いします」と頼めますが、雑貨屋さんの形ではアンケートを取るのが難しくなります。それでも、私であれば工夫してやってみます。
雑貨店にした展示場には、私ならOB客や関連工事業者などをとにかく呼びます。
店内に人がぼちぼち入っていれば、初めてのお客さんも中に入りやすくなるからです。
OB客を呼ぶきっかけづくりは、寄席イベントによる工務店の集客で解説しています。
4つの戦略は、どれも展示場とインテリアショップを同化させるためのものです。「そうは言うけどね……」という声が聞こえてきそうですが、一つの戦略としては悪くないと私は考えています。
まとめ
デザイナーズ住宅は、建築家とのコラボやOZONEのような仲介に頼らなくても、家具や雑貨で付加価値をつけて売ることができます。建築家とのコラボはお客さんの満足感が高い反面、現場監理や意思疎通のトラブルを抱えやすい手法です。
私が工務店経営者なら、ホームページのテイストを思いっきり変え、展示場を一つのブランドの小物で飾り、展示場を雑貨屋さんと一体化させ、OB客や関連工事業者を呼びます。飾り付けを建築・デザイン系の学生アルバイトに頼めば、費用も抑えられます。
ぜひ本記事の4つの戦略を参考に、自社のホームページと展示場でおしゃれ感をどこまで出せるかを見直してください。



