住宅営業は数字で説得する|新築受注を増やしたデータ活用の事例

住宅営業は数字で説得する|新築受注を増やしたデータ活用の事例

現場の住宅営業を見ていると、数字のアピールが苦手な人がわんさかいます。私から言わせてもらえば、不思議で仕方がありません。

私がライバルより多くの新築受注を取れた理由の一つは、データを徹底的に活用したことです。2022年の年末に私が行ったお客さん取材でも、ある奥さんは、性能に関するUA値などの数値が住宅会社を決めた大きな要因だったと話しています。

本記事では、住宅営業がUA値やアンケート、収納率などの数字を商談に使う方法を、実際の会話例とともに解説します。

住宅営業が数字を前面に出すと説得力が上がる理由

住宅営業がお客さんへの説得力を高める武器の一つは、数字です。データでも、アンケートでも、実験数値でもかまいませんが、誰もがはっきり認識できる数字を前面に出す住宅営業が大きな力を発揮することに、異論のある人はいないでしょう。

営業マンがあれこれ言うよりも、数字で示せばケリが付く商談はたくさんあります。この手法を最も得意とするのは一条工務店で、一条工務店はその効果をよく理解しているので徹底的に実行しています。

本記事で紹介する商談で使える数字は、次の3つです。

数字のタイプ商談での使い方本記事の事例
性能の数値住宅会社の性能の高さを示す取材した奥さんが決め手に挙げたUA値
第三者のアンケート提案の根拠を補う、多くの人の選択を示す長谷工の収納アンケート、子供部屋の質問
標準値との比較一般的な数値の何倍あるかで示す収納率

住宅会社をUA値の数字で選んだ奥さんの取材話(2022年末のズーム取材)

2022年の年末に、私はズームを使ったお客さん取材を6件行いました。6件の取材ではいろいろな意見が出ましたが、ここで紹介するのはそのうちの1組のご夫婦の話です。

私「ご主人は営業の人柄を気に入ったことが業者選定の大きな理由になったようですが、奥様はどうですか?」

奥様「営業の〇〇さんがよくしてくれたのはもちろん高評価ですけど、性能に関するUA値などの数値が決定の大きな要因の一つです」

私「一般的には男性がデータや数値などを細かく検討するのに対し、女性である奥さんは住宅設備機器やデザインなどに目が行きがちなのですが、このような傾向とは逆だったということですね」

奥様「うちは真逆でしたね。主人は数値はあくまで数値であって誤差もあるだろうという考え方で、極端な数値の差がなければあまり気にしないんですよ。でも、素人である私たちが住宅会社を判断するには、数字しかないと思いませんか?」

このやり取りはズームで録画してあり、私の手元にしっかり残っています。私はこの原稿を書く直前にも録画を見直しましたが、奥様は自信を持って、毅然とこう発言していました。

少なくともこの奥様は、住宅会社が前面に打ち出したレベルの高い数字を見て安心したのです。契約したお客さんへの取材から分かる奥さんへの接客は、ハウスメーカーの営業トークと奥さんへの接客で解説しています。

アンケート結果を新築住宅の提案根拠にする会話例

リクルートやMy voiceのように、さまざまなアンケートを取って公表している企業があります。

マンションの長谷工が取った次のアンケートも、新築住宅の営業にうまく活用できます。

長谷工のデータによると、お客さんが収納で困っているもののトップは衣類です。

長谷工の収納に関するアンケート結果のグラフ(困っているもののトップは衣類)

このグラフは、長谷工のホームページから転載しています。

衣類収納を重視した理由をアンケートで補う会話

営業「これが今回のプランになりますが、ご要望に従って収納はたくさん取ってあります」

奥様「一見して収納がたくさんあるのは私も分かります。いい感じですよね」

営業「収納の絶対量はもちろん確保してあるのですが、今回特に注力したのは衣類の収納です。普段の収納スペースはもちろんですが、衣替えによって半年間はそのまま収納スペースに入れっぱなしになる衣類がたくさん出るはずです。それらの収納も徹底的に考えてプランニングしました」

奥様「確かにそうですよね。衣類はなかなかしまうのが難しいですから」

営業「これはマンションの長谷工さんが作成した収納に関するアンケートなのですが、これを見ても衣類にお困りの方がものすごく多いということがよく分かるかと思います」

この会話で、営業は提案の正当性を伝えています。営業は収納を重視したプランを出し、その中でも衣類の収納を特に考えて作ったと説明しているわけです。

資料を出さなくてもお客さんには十分通じる話ですが、営業は衣類の収納を重視した根拠を、客観的なアンケートで補っています。営業が根拠を添えて説明したほうが、説得力が出るのは明らかです。

衣類をはじめとする収納の悩みに応える提案の仕方は、住宅営業の収納提案トークで解説しています。

他の人の選択を気にするお客さんにアンケートの数字を示す

子供部屋の質問に見る多数派の心理

お客さんの中には、次のように考える人もいます。

「子供部屋は狭くて十分」

「そもそも子供部屋は不要だ」

不要というのはかなり極論ですが、子供部屋に関する定義や考え方は、この14、5年で大きく変わりました。

住宅展示場などで営業マンが「最近は子供部屋を作らない考え方も出てきましたよ」と振ると、お客さんは「どっちの方が多いんですかね?」「子供部屋を作らない方は全体の何割ぐらいいるんですか?」と聞いてきます。

展示場で子供部屋の希望を聞きながら子供連れのお客さんに接する方法は、子供連れ客の接客方法で解説しています。

人には、一般的に他の人がどちらを選んでいるかが気にかかる心理があります。

人と同じことが絶対に嫌だという人は話が変わってきますが、9割5分の人が子供部屋を作ると聞けば「では、うちも子供部屋を作った方がいいよね」と多数派につく傾向があります。

日本人はこの傾向が特に強いと言われており、多数派について無難に行こうという気持ちは私もよく分かります。

このような説明をするときに役立つのが、客観的な第三者が取ったアンケートです。住宅営業がお客さんをある方向に誘導したい場面で、この手法を使えます。

ここで言う誘導は、悪い意味ではありません。

プロから見て明らかに右へ行くべきだと思っても、お客さんが左へ行きたいと考えることもあります。

営業としては右へ誘導したいのですが、口頭だけではお客さんがなかなかついてきてくれないので、世論の動向を数値で示すわけです。

「満足度ナンバーワン」商法と同じ仕組み

ナンバーワンをうたって商品を売る販売手法のイメージ

最近ニュースになりましたが、さまざまな分野の商品で「お客様認知度ナンバーワン」「お客様好感度ナンバーワン」「お客様充実度3年連続ナンバーワン」などと、やたらにナンバーワンをうたって商品に花を添える商法があります。私は以前から胡散臭いやり方だと思って見ていましたが、売る側がこれを好んで使うのには、それなりの理由があります。

「お客様支持率ナンバーワン」と銘打った商品があれば、何を基準にどう調査したかはよく分からなくても、たくさんのお客さんが支持したのだろうと誰もが錯覚します。この商法のキーワードは「たくさんの人」です。

多くの人が満足したり納得したりしている数字はもちろん、逆にたくさんの人が不便を感じたり困ったりしている数字を出されても、どんな人でも気になります。住宅営業も、この仕組みを商談で使えます。

小規模工務店でもできる収納率の数字の使い方

収納率の標準値と比べてプランの数字を示す

収納率という言葉があります。

収納率は、家全体の面積に対して収納が何パーセントあるかを示した数字です。

明快な基準があるわけではありませんが、一般的な話として、建物面積に対して15%の収納があれば、収納がそこそこたくさんある間取りだと言えます。

15%を基準に設定すると、営業は次のように説明できます。

「今回のプランは収納率が30%あります。一般的には15%と言われておりますので、なんと2倍もあるんですよ」

15%が正しいかどうかは横に置きますが、営業は何かしらの客観的な根拠を踏まえた上で標準的な数値を出します。プランの数字が標準的な数値を大きく上回っていれば、営業は「収納がなんとなくたくさんある」という抽象的な表現ではなく、「一般的な収納量の2倍あります」と数字でアピールできます。

数字が苦手な住宅営業でも使える理由

住宅営業の中には数字が苦手だという方もいますが、数字が苦手かどうかと、数字を前面に出す営業手法とは話が全く違います。

営業が自分で計算をして答えを導くわけではないからです。

営業は数字をお客さんに示して、どちらが大きいか小さいかを見てもらえばよく、極めて簡単なやり方です。

社内の契約履歴や第三者のアンケートを集めて商談で使う方法は、住宅営業のデータ活用術で解説しています。

まとめ

住宅営業がお客さんへの説得力を高めるには、UA値などの性能数値、第三者のアンケート、収納率と標準値の比較といった数字を前面に出すことです。取材した奥様も、素人が住宅会社を判断するには数字しかないと話していました。

数字を使うのに計算の力はいりませんが、数字の持つ破壊力を今一度再認識してください。

ぜひ本記事の会話例を参考に、次の商談からアンケートやデータを使って数字を前面に打ち出してください。

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