若い奥さんの心をつかむ工務店の接客|23歳女性社員が語る3つ

工務店の社長が30歳ぐらいの若いご夫婦と商談をしても、提案したキッチンやデザインが奥さんに気に入られず、話がそのまま流れてしまうことがあります。
一年ほど前に私が講師を務めたリモートセミナーでは、住設機器メーカーの23歳の女性社員が、この悩みへの答えを20分で話しました。
女性社員が工務店に伝えたのは、奥さんに「かわいいと思いませんか?」と聞くこと、ピンタレストを見ること、共感を態度で見せることの3つです。
本記事では、その女性社員の話をもとに、若い奥さんの好みをつかむ工務店の接客と提案の方法を解説します。
若い奥さんの感性を工務店に伝えた23歳女性社員のセミナー
今から一年ほど前、ある会社がリモートセミナーを開き、私が講師として登壇しました。
このセミナーは、私が60分話した後に、もう一人の講師が20分話す構成でした。
私はこの仕事を20年以上やっているので、講師業が専門といってもいい立場です。
一方、もう一人の講師は弱冠23歳の女性で、講師を仕事にしている人ではなく、ある住設機器メーカーの一般社員でした。
ところが、参加者から極めて高い満足を得たのは、この女性社員の話でした。このセミナーの参加満足度は98%です。
テーマは「このキッチンを見て若い女性はどう感じるのか」
女性社員が掲げたテーマは、副題を除いて要約すると「このキッチンを見て若い女性はどう感じるのか」でした。女性社員の話が好評だったのは、まずこのテーマ設定がうまく当たり、話した中身も聴講者の心をつかんだからです。
私は、70歳の工務店経営者がこのテーマを見たら、次のように考えると思っています。
「この前も30歳ぐらいの若い夫婦と商談をしたけども、私が提案したキッチンやその他のデザインがどうも気に食わないらしく、結局はその話に流れちゃったよ。若い女性の感性なんか俺にわかるわけがないけど、なんかヒントがあるかもしれないよね」
工務店の経営者がこのセミナーに参加した動機は、ここにあると私は考えています。
工務店歴が30年でも40年でも、経営者が実際に相手にするお客さんは若いご夫婦が多いはずです。
特に男性経営者で、30歳前後の若い女性の感性を理解できる人は、なかなかいないのではないでしょうか。
若い奥さんの感性に近い女性営業を社内で生かすときの問題点と強みは、住宅営業の女性が抱える問題点と強みで解説しています。
経験とプライドが提案の邪魔をする工務店経営者
工務店を40年間やってきたプライドや経験則が邪魔をして、経営者が「キッチンというのはこういうもんなんだ」「和室に床の間は絶対つけなくちゃだめだよ」「俺はこのクロスはあんまり好きじゃないな」といった考えに陥っていることがあります。このコラムの読者のほとんどは当てはまらないと、私は思っています。
ただ、このリモートセミナーについては、後から参加者の年齢や、手がけている家のデザイン性を確認したところ、残念ながら多くの参加者が当てはまっていました。
工務店の提案は若い奥さんの「かわいい」で判断する
私は自分の60分を話し終えた後、女性社員の20分を画面越しに一緒に聞いていました。20分はあっという間でしたが、私の印象に最も残ったのは次のくだりです。
「若い奥さんと話をしていて絶対チェックしてほしいことがあります。キッチンでもなんでもいいんですけども、これって可愛いと思いませんか?と聞いてください。これを聞いても反応が渋ければ違うテイストの提案をすべきです。かわいいと即座に返事があればどんどん押してください」
インテリアコーディネーターの先輩と同じ指摘
女性社員のこの話は、私が現役時代にインテリアコーディネーターの女性の先輩から聞いた指摘と全く同じで、不意に出た話に私も「あっ」と驚きました。まさに鉄板とも言える法則なのでしょう。
男性は日常会話で「かわいい」という言葉をあまり使いませんが、女性はその使用頻度が急に上がります。
女性は物事を感覚的に捉えていて、直感的にかわいいと感じたものは、相当な好感度を持って受け入れています。
そのため女性社員は、奥さんが「かわいい」と口にしたら、工務店の担当者は自分の提案を信じてそのまま突き進めとアドバイスしたのです。
奥さんの心をつかむ提案の具体例は、奥さんの心をつかむ収納提案トークで解説しています。
受講した工務店社長が反省した「素人は黙っていろ」
私は、セミナーを受講した工務店の社長と、一社だけですがその後に話をしました。社長は女性社員の話について、こう話していました。
「あの話は衝撃的だった」
受講した本人がこう言うのですから、よほどインパクトがあった話なのでしょう。
お客さんに合わせる発想がなかった工務店
社長は、これまでお客さんに合わせるという発想があまりなかったと反省しきりで、その姿が私には印象的でした。お客さんを無視するとまではいかなくても、昔ながらの工務店にありがちな「素人は黙っていろ」的な考えが頭の中にあったと、社長は素直に認めていました。
お客さんの見栄やプライドを読み取り、時代感覚を営業に教える方法は、住宅営業の新人教育での見栄とプライドの読み方で解説しています。
販売のことしか頭になかった積水ハウス時代の私
大手ハウスメーカーは、女性である奥さんをターゲットにした販売戦略を血眼になって研究しています。私が積水ハウスで営業していた時代ですら、心理学なども取り上げて、女性をいかに積水ハウスになびかせるかという話が営業会議の俎上(そじょう)に上がっていました。
社長の気持ちは、私にもよく分かります。
私のように営業職としてハウスメーカーに入社した人間は、売ることしか頭にありませんでした。
特に若手の頃の私は、住宅の知識がほぼない状態で営業していたので、お客さんに木のうんちくや家の風格を語る営業は、やりたくてもできませんでした。
しかし、販売では知識がないことが功を奏します。
知識がない分、私は、お客さんにどうすればうまくアピールできるか、奥さんの関心を買うにはどんなアプローチをすればいいかを考えたからです。
腕と技のある工務店に、私のような頭の中が販売一色の人間のノウハウが融合すれば、良いものを作り、強い販売力で売る工務店ができると、私はつくづく思います。
ピンタレストで若い奥さんが見ている家の画像を知る

持ち時間は20分しかなかったので、女性社員も多岐にわたる話はできませんでしたが、工務店に強く呼びかけた内容がもう一つありました。それが、ピンタレストです。
参加した工務店の半分以上が名前も知らなかった
SNSに詳しい人なら説明はいりませんが、ピンタレストと聞いても何のことか分からない人も一定数います。
今回のセミナーに参加した工務店も、半分以上が名前すら聞いたことがないという状態でした。
女性社員はそれを踏まえて、セミナーで次のように呼びかけました。
「ピンタレストってみなさんご存知ですか?インスタグラムに似たようなものとざっくり思ってもらえばいいのですが、奥様はピンタレストを眺めながらマイホームに対する夢をふくらましているケースが多いことを認識した方がいいと思います」
女性社員はこの後ピンタレストを簡単に説明しましたが、伝えたかったのは、若い女性がピンタレストを頻繁に見ているということでした。
そのため女性社員は、工務店の人はまずピンタレストを自分で体験して、どんな画像が載っているかを見るべきだと話しました。
インスタグラムはかなり知られていますが、ピンタレストになると認知度は大きく下がります。
奥さんの話に共感を見せる3つの動き
女性社員が最後に力強く話したのは、共感でした。
女性は共感してくれる人に好感を持つという話は、いろいろな本にも書いてあり、女性自身もよく指摘します。
女性社員は、奥さんが話したことや感じたことに対して、内容は何でもいいので、工務店の人に次の3つを見せてほしいと締めくくりました。
- 大きくうなずく
- 顔の表情を使って強い同意を見せる
- 「奥さんのおっしゃっていることはよくわかります。私の妻もまったく同じことを言いますからね」と言葉に出す
共感する気持ちが奥さんに感じられない工務店はアウトだと、女性社員は言い切りました。
共感についてのこの原則は、大昔も今も変わっていないと私は感じています。
奥さんへの接客で使う言葉は、契約客への取材をもとにした奥さんに好かれるハウスメーカーの営業トークで解説しています。
よくある質問
工務店向けの勉強会に若い女性の視点を入れるには、誰に話してもらえばいいですか?
私は、話し手がプロの講師である必要は全くないと考えています。若い奥さんの気持ちが分かる女性であれば、講師業をしていなくても話し手は務まります。
まとめ
23歳の女性社員がセミナーで工務店に伝えたのは、奥さんに「これってかわいいと思いませんか?」と聞いて反応を確かめること、ピンタレストで奥さんが見ている画像を知ること、奥さんの話に大きくうなずいて共感を見せることの3つでした。
このコラムの読者のほとんどには当てはまらない内容だと、私は思っています。ただ、自分の経験則だけでキッチンやクロスを提案していたと自覚した人は、ぜひ考えを改めてください。
ぜひ本記事の女性社員の3つの助言を参考に、次の若いご夫婦との打ち合わせで、奥さんの「かわいい」を聞き取ってください。



