住宅営業のノウハウをAIに聞いた5つの質問|競合対策と紹介の取り方

私が住宅営業の悩みをAIに聞いたところ、競合の弱点はWeb上の評判の域を出ませんでしたが、紹介については「顧客の期待を超えること」、営業社員の再生については「あなたに問題があるのではないか?」という、現場で通用する答えが返ってきました。
紹介についての答えは、私が取材した兵庫県の大工さんの事例とも一致しています。本記事では、AIに投げた5つの質問と回答をもとに、住宅営業のノウハウとAIの使い方を解説します。
住宅営業のノウハウをAIに聞いた競合対策(積水ハウス・アキュラホーム)
AIはまだ発展途上の部分もありますが、1年前と比べると回答の精度は格段に上がっています。
住宅業界の動向や傾向を調べるのにも、AIは有効な道具になります。
前回の記事のまとめでも書いたとおり、住宅会社はAIを避けるのではなく、営業戦略の場で積極的に使うことを考えてください。
住宅営業の現場では、日々競合が起きています。
競合相手が街中の小さな工務店だと情報を手に入れるのは難しいのですが、積水ハウスのような大きなハウスメーカーであれば、AIに欠点を質問するだけで相手の弱点を瞬時に把握できます。
私が2社についてAIに聞いたところ、AIが挙げた弱点は下の表の5点でした。
| AIへの質問 | AIの回答 |
|---|---|
| 「積水ハウスの欠点は何ですか?」 | 土地や設計に関するトラブルが過去にあった |
| 「積水ハウスの欠点は何ですか?」 | 一部のユーザーから営業担当者に対する不満の声が聞かれている |
| 「積水ハウスの欠点は何ですか?」 | 自然に囲まれた土地に設計が適さない場合があり、CGイメージと実際の建物の乖離(かいり)が問題になることがある |
| 「アキュラホームにはどのような問題があるのか」 | デザインと実際の出来栄えに乖離がある |
| 「アキュラホームにはどのような問題があるのか」 | 営業やアフターサービスの対応に問題があり、特に工事後のフォローが十分でない |
積水ハウスの欠点にAIが挙げた3つの中身
土地や設計のトラブルという回答は、具体的な名前こそ出ていませんが、明らかに国立市であった景観問題を思い起こさせます。
マンションが建ったことで富士山が半分見えなくなり、ほぼ完成していた建物をすべて壊して10億円以上の赤字を出した一件です。
五反田の地面師事件もありましたので、AIはそのあたりも指している可能性があります。
営業担当者への不満という回答は、私には微妙に感じられました。
他の大手ハウスメーカーについて同じ質問をしても、まったく同じ回答が出てくると私は予想しています。
会社が大きい分だけクレームの数も多いので、どうしてもこの手の話が出てくるのでしょう。
自然に囲まれた土地に積水ハウスの設計が合わないという回答は、私にはよく意味が分かりません。ただ、AIがこうして拾ってきた以上、実際にこの種のクレームがあったのでしょう。
積水ハウスについては、今回のAIは不発でした(笑)。
競合対策にそのまま使えるネタは1つもありませんでしたが、AIの回答は嘘ではないので、Web上にこうした話があったことは事実でしょう。
住宅営業が使うにしても、あくまで参考にとどめる情報です。
アキュラホームの問題にAIが挙げた2つの中身
デザインと出来栄えの乖離が実際にどうなのかは、私には分かりません。
ただ、AIがこう回答している以上、Web上にこうした意見が散見されることは確かです。
仮にこれが本当だとすれば、住宅営業がアキュラホームと競合したときに、この話を嫌味なく織り込んでお客さんに伝えるのはありかもしれません。
私はお客さんへの取材を数多くこなしていますが、ここだけの話、アキュラホームに対するクレームはちょこちょこ出るのが実情です。
これは私の意見ではなく、取材すると本当に出てくる話で、同じ内容をAIもはじき出したわけですから、それなりの問題が実際に出ていると見るのが妥当ではないでしょうか。
契約したお客さんへの取材から分かる接客の傾向は、ハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。
負けが確定した競合でAIを持ち出すトーク
私が住宅営業の立場でアキュラホームと競合したら、お客さんにこんなことを言うかもしれません。
私「各社のメーカーの評判をAIで聞いてみるとかなり正確な情報が出てくるので、お客さんも一度AIで調べてみてください」
もちろん、このトークには危険があります。
お客さんがAIで営業社員の会社を調べて悪い評判が出てきたら目も当てられませんし、使うAIによって回答内容が違うこともよくあります。
それでも、競合してほぼ負けが確定した段階であれば、営業社員が一か八かでこのくらいのことを言ってもいいかもしれません。
一条工務店との競合でAIがどのような対策を返したかは、AIに聞いた住宅営業の集客と展示場接客で解説しています。
紹介をもらう住宅営業のノウハウ(兵庫県の大工クマさんの行灯)
私が「住宅営業において紹介をもらうにはどうしたらよいのか?」とAIに聞くと、大量の回答が出てきましたが、基本的にはあまり面白い内容はありませんでした。
その中から1つだけ紹介すると、AIは次のように答えています。
「顧客の期待を超えることで自然と紹介の機会が増えます。例えば細かい要望に対応したり、予想外のサプライズを提供したりしてみてください」
AIの答えは基本的な話ですが、お客さんを感動させ、紹介したくなる気持ちになってもらうには欠かせない発想であることは間違いありません。
誘導尋問で行灯の希望を聞き出した大工のクマさん
AIの回答を読んで、私は兵庫県のある住宅会社で取材した大工さんを思い出しました。
大工さんは社員からクマさんと呼ばれて親しまれている髭面の方で、引渡しのたびに手作りの木工品をお客さんにプレゼントしているそうです。
私が取材に行ったときにクマさんが見せてくれたのは、和室用の手作りの行灯(あんどん)でした。
クマさんは、お客さんとの雑談の中で「和室に洒落た行灯があったらいいよね」という希望を事前にキャッチしていました。
ただ、これはたまたまそういう話になったわけではなく、クマさんが誘導尋問をしながらお客さんの欲しい物を探り、聞き出した結果です。
お客さんはもちろん喜び、クマさんには営業社員を差し置いて、お客さんから紹介が数多く舞い込むそうです。
AIがはじき出した答えに沿ったことが、現実の住宅会社で起きていたわけです。
紹介の頼み方そのものは、紹介営業のコツで解説しています。
成績の上がらない住宅営業社員を再生させるノウハウ(工務店の社長向け)
経営者の方必見です(笑)。
私は「工務店の社長をしているが、成績のまったく上がらない住宅営業社員を再生させるにはどうしたらいいのか」とAIに聞きました。
知識を習得させる、ロールプレイングで徹底的に鍛えるといった答えはもちろん出てきましたが、ここまでは想定内です。
ロールプレイングで鍛える際の材料として、父親が反対しているお客さんへの切り返しをAIに聞いた結果は、AIで検証した住宅営業の応酬話法で解説しています。
AIが返した「あなたに問題があるのではないか?」
AIの答えの中で意表をついたのが、「あなたに問題があるのではないか?」という一言で、私はまさに核心をついた答えだと思いました。
AIはその後も具体的に回答を続けています。
要約すると、住宅営業で営業社員が数字を上げるにはモチベーションが最低条件だと前置きしたうえで、社長がモチベーションを上げる努力を怠っているか、その重要性に気づいてすらいないのではないか、と書かれていました。
工務店の社長に、言われてみて思い当たる節はないでしょうか。
「24時間働けますか」だった積水ハウス時代の支店長
私は積水ハウスの出身ですが、1990年代の住宅営業の世界は、まさに「24時間働けますか」の時代でした。
当時の積水ハウスは隔週休2日制でしたが、月に2回ある火曜日と水曜日の連休は、ほぼ毎回どちらか1日が出勤になっていました。
研修が入ることもあれば、当時の住宅供給公社の抽選会があることもあり、営業社員は結果的に出勤することになってしまうのです。
時代背景はあったにせよ、営業社員のモチベーションは当然落ちていました。
「研修は自分のためにやるんだろう。だったらそれを業務時間にやるなんてのはもってのほかで、休みの日に勉強するのは当然の話じゃないか?」
これが当時の支店長の口癖でした。私は「はい」と答えたものの、心の中では「それは支店長、おかしくないですか……」と思っていました。
そういう意味で時代はまともになりましたが、その分、社長や幹部は、限られた時間の中で営業社員に高いパフォーマンスを発揮させる努力をしなくてはいけない世の中になったのです。
「タマホームはなぜ潰れないのか」にAIが返した答え
タマホーム関係の方がご覧になっていたら申し訳ございません。
ただ、この問いは業界の7不思議の1つと言われているので、ご勘弁ください。
私の質問に対して、AIは3つの理由を挙げました。
- リフォームや不動産などへの多角化を図っており、リスク分散が経営の安定に寄与している
- 昨年の粗利などは悪化したものの、企業努力で挽回する動きに出ている
- 根も葉もない噂レベルの話
前の2つは想定内の回答でしたが、3つ目は私の目を引きました。
AIがこう答える以上、そうした情報もネットにそれなりにあるということでしょう。
私はタマホームの内部事情までは知りませんが、業界内でいろいろと噂が立ってから、早くも20年以上が経っています。
まとめ
2回にわたってAIを取り上げましたが、住宅営業のノウハウとしてAIが役に立ったのは、紹介を生む「期待を超える対応」と、営業社員の再生で社長自身を問う視点でした。積水ハウスやアキュラホームの弱点はWeb上の評判の域を出ず、競合対策では参考程度にとどめるのが妥当です。
小さな住宅会社では対応が難しいでしょうが、大規模な住宅会社や総合住宅展示場の運営会社であれば、AIを使ってお客さんとライブチャットを交わすといった手法も考えられます。
ぜひ本記事の5つの質問とAIの回答を参考に、自社の競合対策や営業社員の育成にAIをどう使うかを考えてください。



