現場監督の施主対応|連絡しない監督の本音と契約後のトラブル事例

施主は、現場で気になったことを現場監督にメールやLINEで送ります。ところが返信がなく、工事の内容に問題がなくても、施主は不満を抱えたまま後味の悪い引渡しを迎えます。
私が施主を取材していて感じる現場への不満の筆頭は、現場監督の連絡不足とレスポンスの遅さです。クレームの対象になった現場監督本人は私に、「レスポンスをよくしすぎるとエンドレス会話に陥る」ので意図的に間隔を空けていたと話しました。
本記事では、現場監督から連絡がない理由と、設計士やインテリアコーディネーターで起きた契約後のトラブル事例を解説します。
注文住宅の施主がいちばん不満に思うのは現場監督から連絡がないこと
建築請負契約を結んだ時点では、施主は営業社員を信用しており、住宅会社にも一定以上の期待を持っています。ところが、住宅業界では着工してから往々にしてトラブルが起き、ひどいケースでは訴訟にまで発展します。
現場で気になったことを送っても返信がない
施主は現場で見たちょっとしたことが気になり、現場監督にメールやLINEを送ります。
それなのに、現場監督からまったく返信がないという、普通では理解に苦しむことがよく起きています。
工事の内容が良いか悪いかに関わらず、施主との関係はこの連絡不足ですべてぶち壊しになります。
着工後の小さな行き違いが重なると、施主は何を見ても疑心暗鬼になります。
施主からは「手を抜いているのではないか」「打ち合わせ内容と材料が違っているのではないか」「現場監督はどうして毎日連絡をくれないのか」と、次から次へ不満が出てきます。
このような施主から紹介が出ることは、まずありません。
紹介の頼み方は紹介営業のコツで解説しています。
現場が多い住宅メーカーほど目が届かなくなる
小規模工務店は現場の数が少ないので、現場管理が行き届きやすく、社長がすべてを見るスタイルの会社であればこの種のトラブルは少ないと私は思います。
一方で、規模が大きい住宅会社は現場の数が膨大になり、それだけトラブルが起きやすくなります。
私がこの問題を工務店より住宅メーカーの問題だと考えるのは、規模が大きくなると目がどうしても届かなくなるからです。
規模が大きくなって現場に目が届かなくなった例は、急成長する住宅会社の現場の混乱で解説しています。
住宅会社の現場監督が施主に連絡しなかった本音(五年ほど前の取材)
五年ほど前、私は現場監督に不満を持つ施主を取材し、その後でクレームの対象になった現場監督本人に話を聞きました。
私「お客さんに会いましたが、かなり不満を持っていましたよ」
監督「確かに連絡がおろそかになったし、レスポンスが遅かったのは私も自覚しています」
私「ぶっちゃけた話、かなりうるさいお客さんでコンタクトを取るのが嫌だったということですかね」
監督「いやそんなことはないんですよ・・・正直な話をすると、あまりにレスポンスをよくしすぎることによって、エンドレス会話に陥っちゃうんですよね。だから意図的に間隔を開けたかったというのはあります」
私「そういうことを考えたんですね」
監督「これが駄目なことは分かっていますけど、休みの日にまでLINEが入ってくることがたまにあったので、正直いってたまらないといったところでした」
休日にも施主からLINEが入る
私には、この現場監督の気持ちも分からなくはありません。
メールはまだしも、LINEやショートメールになると、施主は悪意なく休日に連絡を入れてきます。
休日と分かっていて送ってくる施主もいますが、うっかり失念してLINEを送ってしまうケースも多いようです。
私は営業畑なので、現場監督の経験はありません。それでも、営業折衝中に施主から頻繁にLINEが入るのと比べると、現場監督に同じような連絡が入る方が圧倒的にプレッシャーは大きく、何かに追いかけられるような圧迫感があるだろうと私は考えています。
現場監督の連絡不足について経営者・管理職に確かめてほしいこと
現場監督の気持ちは分かりますが、私の答えは「うまくさばいてほしい」です。経営者や管理職の方は、自社の現場監督が同じように返信を遅らせていないか、確かめてみてください。
LINEの対応時間を決めて施主との連絡を続ける方法は、住宅クレームを防ぐ現場監督の連絡ルールで解説しています。
現場監督だけではない、設計士が施主の信頼を失うケース
契約後のトラブルは、設計士との打ち合わせでもけっこう起きています。トラブルというと大げさですが、設計の段階で施主の信頼を失う住宅会社があります。
設計士が要望を聞くだけの御用聞きで終わった
施主は建築に関しては素人なので、「設計士」と書かれた名刺を出された相手に高い期待をします。施主は、自分たちが驚くような奇想天外な提案や、コンセントの細かい位置まで的確なアドバイスをもらえるだろうと考えて打ち合わせに臨みます。
ところが、設計士が「お客さんのご希望をお聞かせください」と聞き、施主が答えた内容に対して、素人でも想像がつきそうな何の変哲もない間取りが提案されて終わるのは、よくあるクレームの事例です。
「申し訳ないけど、あまり面白くない間取りですね」
施主がこう言ってくれればまだよいのですが、実際の施主はこの言葉を飲み込み、腹にため込んでしまいます。表立ったクレームにはなりませんが、住宅会社に期待し、営業社員を信頼して契約した施主にとっては、設計のレベルが普通すぎて残念な結果になります。
「大きく見えれば問題ない」と答えた設計士(一年ほど前の取材)
設計に対する高い見識と技術があっても、施主の要望を汲めない設計士はダメだと私は考えています。
経営者や幹部の方には、社員である設計士にこの話をぜひ伝えてほしいと思います。
一年ほど前に私が取材した施主のご夫婦は、担当した設計士への苦言を口にしていました。
私「設計士に不満があるとおっしゃっていたようですが、どんな点にそうお感じになったでしょうか」
奥様「私たちが言っていることが伝わっていないんですよ。例えばですが、大きな開口が欲しいと言ったのに、ごく一般的なサッシが設計に入っているんです」
私「それに対してすぐに異を唱えたのですか」
主人「もちろんです。すぐにそのことを伝えたんですが、それに対する答えに驚愕したんですよ(笑)」
設計士がご主人の指摘に返した答えには、私も驚きました。
「開口部はそんなに大きくする必要はないですよ。もっと言えば大きく見えれば問題ないんです」
ご夫婦によると、設計士は本当にこのように言い放ったそうです。こんな設計士に担当されたら、施主はやる気をなくすと同時に、腹立たしく思うでしょう。
設計士の威圧感に施主が不満を持った別の例は、地場工務店で家を建てた施主の本音で解説しています。
インテリアコーディネーターに伝えた照明の要望が軽く流された事例
比較的大きな住宅会社には専属のインテリアコーディネーターがいて、デザインや内装関係を一手に引き受けます。照明もインテリアコーディネーターの担当に入ると私は思いますが、照明にこだわりを持つ施主が相性の悪いインテリアコーディネーターに当たると、大きな不満の原因になります。
「基本的知識が欠如したインテリアコーディネーター」というのは、私が取材した施主の言葉です。
このインテリアコーディネーターは基本的な知識をそれなりに持っていたはずですが、施主とのトラブルが重なったことで、このような評価になってしまいました。
施主によると照明提案はでたらめで、最大のミスは主寝室だったそうです。
奥様は光に敏感に反応する体質で、主寝室の照明には特に注意を払っていました。
ベッドに寝て上を見たときに光が直接目に入らない位置にダウンライトを付けるのは、照明計画のイロハのイです。
ただ、奥様は光が目に直接当たらなくても目が刺激を受けるので、そのことを再三インテリアコーディネーターに要望していたそうです。
提案された図面では、ダウンライトはそれなりの位置に付いていました。
それでも奥様は「この位置で本当に大丈夫か?」と再三再四不安を伝えましたが、インテリアコーディネーターの女性は深く受け取らずに軽く流したように、奥様には感じられたそうです。
結果は奥様が危惧したとおりで、主寝室はダウンライトがまぶしくて上を見ることができない状態になってしまいました。
まとめ
建築請負契約の時点では、施主は営業社員を信用しており、信頼関係は崩れていません。
信頼を崩すのは着工後の小さな行き違いの積み重ねで、その筆頭が現場監督から連絡がないことです。
設計士やインテリアコーディネーターが施主の要望を汲めなかった事例も、同じように施主に不満を残しました。
契約を取ることに力を入れる営業先行型の住宅会社にこそ、覚えておいてほしい点です。
ぜひ本記事の現場監督への取材と施主の事例を参考に、自社の現場監督が施主にどう連絡しているかを確かめてください。



