コロナ前と後ではいろいろと細かい部分が変化しましたが、その一つは衛生概念でしょう。
コロナ前も玄関の近くに手洗い場を設ける発想があるにはありましたが、実際にそのような設計をするケースはほぼなかったのではないでしょうか。
ところが、今回の問題が発生してから、家の玄関に入ったすぐ横に手洗い場を設けるという考えが出てきました。
住宅会社の展示場などでもその思想を取り入れたものが散見されるようになりましたが、この設計が一気に標準になったかといえばそんなことはありません。
あくまでも一つの考え方ということにとどまり、一般化することはなかったと言えるでしょう。
しかし、衛生概念が変わったのは事実で、これからの工務店の発想としても 頭の片隅には常に入れておくべき事態になりました。
九州で行ったある現場見学会
玄関脇収納に手洗い場を設けたプラン
これはつい最近の話ですが、50坪を超える大きなお宅をお借りして現場見学会を行ないました。
場所は九州ですが、比較的のどかな場所に建っているので、日中でも人通りのまばらな閑散とした現場見学会会場でした。
結果的には 2日で新規のお客さんが8組お見えになったので、上出来だと言えるでしょう。
私はこのうち土曜日の午後立ち会ったのですが、その間にあった新規の来場は2組、そして継続のお客様が2組、さらには近隣の方が1組お見えになりました。
建物の玄関を入ると左側に玄関収納があり、そこに手洗い場を設けたプランニングのお宅でした。
違和感があると言えばあるのですが、実生活を考えれば玄関を入ってすぐに手が洗えるのは実に合理的ですし、理にかなったプランニングと言えます。
お客さんの反応はこんな感じ
私が興味を持ったのはお客さんがどのような反応を示すかでした。
結論から言いますと5組中4組の方は「面白いけどうちはいいかな・・・」といった反応薄で、これは私にとっても意外な結果でした。
残りの1組の方はある程度の関心を示しましたが、その場の雰囲気としては、自分たちのプランにそれを取り入れようという積極的な雰囲気は見られませんでした。
コロナ真っ只中の時には俄然注目されたプランニングですが、その時と比べると関心はかなり低下している気が私はします。
理にかなったプランだと思うが
とは言っても、これは非常に理にかなったプランだと私は思います。
もし私が住宅営業現役営業マンであれば、お客さんに対して積極的にこうしたプランを勧めるでしょう。
しかし、現状の営業現場を見ると、営業マン自体がお客さんにそうした話もしないし、お客さん自身もこのプランの話を持ち出すこともめっきり減ったような気がします。
お客さんが要望しないのだから、こちらから無理に振る必要もありませんが、私はこの理にかなった手洗い場の設置はどんどん勧めるべきだと思います。
コロナ禍だからこそ登場したこんな商品
コロナの中では面白いものも流行りました、というか流行らそうとしたというのが正解ですが。
コロナ菌だけでなく、花粉やその他の細菌を壁に吸着させるという、 摩訶不思議な話が私のもとに寄せられました。
古くからの知り合いに元三井ホームの営業マンがいます。
2020年の暮れに、彼が私の元に連絡をして来ました。
「コロナだけでなく花粉やその他の細菌を吸着するというと素材があって、それを室内のクロスの上から塗るという話があるんだけどもどう思う?」
要約するとこんな感じです(笑)
ひとまず話を彼から聞きましたが、今一つというか、内容が怪しいどうのこうのだけでなく、さすがにこれは流行らないだろうと思いましたね。
結論としてこの話は立ち消えになりましたが、その後全くわたくしの耳に入らないということは、何らかの問題があって頓挫したのでしょう。
庭ンピング・ベランピングに注目
現場見学会において集客力のあるものは何だろう?となるわけですが、庭ンピングやベランピングは一定の集客効果がのぞめると私は考えています。
最近は地上波のニュースで取り上げられることもなくなりましたが、コロナ真っ只中のときは、外出できないうっぷんを晴らすために、自宅の庭にテントを張ってキャンプ気分を味わうなどの新たな動きが出てきた話題になった記憶があるでしょう。
庭ンピング・ ベランピングなるあまり聞かない言葉が住宅関係のウェブ記事などに、ちょこちょこ出てきました。
これはキャンピングから発生した造語ですが、自宅の庭やベランダでキャンプまがいのことをしようと言う発想です。
コロナの産物ですが、これに関しては一過性のブームに終わることもなく、 一定の支持を得ている分野になります。
スノーピークなどこれらに関連した有名な会社もありますし、私が懇意にしているある大きな住宅会社は、展示場建設の際に2階の1部屋をスノーピークの商品でかためたぐらいです。
ですから、現場見学会としてお借りしたお宅のオーナーさんが、庭ンピングやベランピングを取り入れた家を建てた場合、これを大きく宣伝すれば 集客効果がある程度は期待できるでしょう。
アウトドアブーム
ある中堅のリフォーム会社は、お笑いタレントのHさんをCMキャラクターに使い、DIYをアピールして います。
この会社では室内のリフォームだけではなく、ベランダや庭などでキャンプ気分が味わえるようなリフォームを提唱して います。
こうした動きを見るに、一時期の大きなブームはピークを迎えましたが、一軒家を建てるときにアウトドアの要素も含めた建築プランを考える人は以前よりは確実に増えたということです。
このように考えると、アウトドアテイストが色濃く出ている戸建てを使った現場見学会であれば、一定の集客効果があると思います。
北陸地方にある人気住宅展示場はアウトドア志向
わたくしは2回お邪魔したことがある のですが、北陸地方に一風かわった住宅展示場があります。
経営する会社は住宅会社ではなく建材会社なのですが、そこが所有する住宅展示場庭には、十畳ほどのプールに加えサウナ室も完備、さらには庭でバーベキューをやることを想定した作りになっており、これが人気を始めています。
住宅会社の元請けではないので、この会社と取引のある工務店が自由に使っていいという設定になっているのですが、アウトドア志向もしくは自然派のお客さんであれば、その感性にバッチリ当てはまるような住宅展示場です。
この会社もスノーピークとコラボして、それを前面に押し出しているのですが、 社長曰く「この方向性は正解だった」とのこと。
まとめ
コロナになってから現場見学会の件数は激減しました。
あの状況で自分のお宅を不特定多数の人に見学させようという人が減るのは当然といえば当然のことです。
そのコロナもやっと終息しましたが、コロナの影響により建物の間取りや発想にも変化がありました。
革新的に何が変わったとまではいきませんが、玄関に手洗い場を設けるなどの 動きが出てきたのは事実です。
皆さんが今後現場見学会をやる時に、このような新しい発想をアピールして集客すれば、お客さんの目に留まる可能性が増えると思います。