完成見学会で打ち出すプラン|来場客5組の反応と工務店の見せ方

つい最近私が立ち会った九州の完成見学会では、玄関収納に設けた手洗い場を見た5組のうち4組が「面白いけどうちはいいかな」という反応でした。一方で私は、庭ンピングやベランピングのようなアウトドアの要素には、一定の集客効果が見込めると考えています。
本記事では、九州と北陸の事例をもとに、完成見学会で来場客が見るポイントと、工務店が見学会で打ち出したいプランを解説します。
コロナ後の衛生プランへの反応(九州の完成見学会と住宅営業の視点)
コロナ前と後で住宅の細かい部分はいろいろと変わりましたが、その一つは衛生の考え方です。コロナ前も玄関の近くに手洗い場を設ける発想はありましたが、実際にそう設計するケースはほぼなかったのではないでしょうか。
コロナ禍に入ってから、玄関を入ってすぐ横に手洗い場を設ける考えが出てきて、住宅会社の住宅展示場でもその考えを取り入れたものが散見されるようになりました。
ただ、この設計は一気に標準になったわけではなく、一つの考え方にとどまっています。
それでも衛生の考え方が変わったのは事実なので、工務店はこれからの間取りを考えるときに、頭の片隅に常に入れておくべきです。
玄関収納に手洗い場を設けた50坪超のお宅
私はつい最近、九州で50坪を超える大きなお宅をお借りして完成見学会を行いました。
会場は比較的のどかな場所に建っていて、日中でも人通りがまばらでしたが、2日間で新規のお客さんが8組来場したので、上出来だと言えます。
私は土曜日の午後に立ち会い、その間に新規のお客さんが2組、継続のお客さんが2組、近隣の方が1組来場しました。
見学会の予約の受け方や、契約時の交渉で施主から会場をお借りするトークは、現場見学会の予約制と会場確保で解説しています。
このお宅は、玄関を入ると左側に玄関収納があり、そこに手洗い場を設けたプランでした。違和感があると言えばありますが、実生活を考えれば、玄関を入ってすぐに手を洗えるのは実に合理的で、理にかなったプランだと私は思います。
5組中4組は「面白いけどうちはいいかな」
私が興味を持ったのは、この手洗い場にお客さんがどんな反応を示すかでした。5組のうち4組は次のような薄い反応で、私にとっても意外な結果でした。
「面白いけどうちはいいかな……」
残りの1組はある程度の関心を示しましたが、自分たちのプランに取り入れようという積極的な雰囲気は見られませんでした。コロナ真っただ中には俄然注目されたプランですが、私はその頃と比べて来場客の関心がかなり下がっていると感じます。
もし私が現役の住宅営業であれば、お客さんにこのプランを積極的に勧めます。
しかし、現状の営業現場を見ると、住宅営業がお客さんにこの話をすることも、お客さんがこのプランを持ち出すことも、めっきり減ったように私は感じます。
お客さんが要望しないのですから、住宅営業から無理に振る必要はありませんが、私はこの手洗い場の設置をどんどん勧めるべきだと思います。
完成見学会で初めて会う来場客への声のかけ方は住宅営業の初回接客のコツで、完成見学会の後のお礼の連絡は口下手な住宅営業のお礼状とショートメールで解説しています。
クロスの上から塗る抗菌塗料の話は立ち消えになった
コロナ禍には、流行らせようとした面白いものもありました。新型コロナウイルスだけでなく、花粉やその他の細菌を壁に吸着させるという摩訶不思議(まかふしぎ)な話も、私のもとに寄せられました。
私の古くからの知り合いに元三井ホームの営業マンがいて、2020年の暮れに彼が私に連絡をしてきました。彼の話を要約すると、次のような内容です(笑)。
「コロナだけでなく花粉やその他の細菌を吸着する素材があって、それを室内のクロスの上から塗るという話があるんだけど、どう思う?」
私はひとまず彼から話を聞きましたが、内容が怪しいかどうか以前に、さすがにこれは流行らないだろうと思いました。結局この話は立ち消えになり、その後も私の耳にまったく入ってこないので、何らかの問題があって頓挫(とんざ)したのでしょう。
庭ンピング・ベランピングの家は完成見学会で集客が見込める(住宅展示場の事例)
玄関の手洗い場とは反対に、コロナ禍に生まれて一定の支持を得ているのが、庭ンピング・ベランピングという住宅の楽しみ方です。
コロナ禍に生まれた庭ンピング・ベランピング
庭ンピング・ベランピングはキャンピングから生まれた造語で、自宅の庭やベランダでキャンプのようなことをしようという発想です。コロナ真っただ中には、外出できないうっぷんを晴らすために、自宅の庭にテントを張ってキャンプ気分を味わう動きが話題になり、住宅関係のウェブ記事にもこの言葉がちょこちょこ出てきました。
最近は、地上波のニュースが庭ンピングを取り上げることもなくなりました。それでも庭ンピング・ベランピングは一過性のブームに終わっていません。
住宅展示場やリフォーム会社もアウトドアを打ち出している
アウトドアの分野にはスノーピークのような有名な会社もあり、私が懇意にしている大きな住宅会社は、住宅展示場を建てる際に2階の1部屋をスノーピークの商品で固めたほどです。また、ある中堅のリフォーム会社はお笑いタレントのHさんをCMキャラクターに使ってDIYをアピールしており、室内だけでなく、ベランダや庭でキャンプ気分を味わえるリフォームを提唱しています。
こうした動きを見ると、一時期の大きなブームはピークを越えましたが、一戸建てを建てるときにアウトドアの要素も含めたプランを考える人が以前より増えたのは間違いありません。そのため、完成見学会にお借りしたお宅のオーナーさんが庭ンピングやベランピングを取り入れた家を建てた場合や、アウトドアのテイストが色濃く出た一戸建ての場合は、それを大きく宣伝すれば、ある程度の集客効果が期待できると私は考えています。
見学会に使うお宅を施主に借りる頼み方や年間の開催予定の立て方は、小規模工務店の完成見学会の集客で解説しています。
完成見学会の参考になる北陸のアウトドア志向の住宅展示場
私は、北陸地方にある一風変わった住宅展示場に2回お邪魔したことがあります。
この住宅展示場を経営しているのは住宅会社ではなく建材会社です。
庭には十畳ほどのプールに加えてサウナ室も完備され、庭でバーベキューをすることを想定した作りになっていて、これが人気を集めています。
建材会社は住宅の元請けではないので、この建材会社と取引のある工務店がこの住宅展示場を自由に使ってよいという設定になっています。
アウトドア志向や自然派のお客さんであれば、その感性にぴったり当てはまる住宅展示場です。
この建材会社もスノーピークとコラボして前面に押し出しており、社長は次のように話していました。
アウトドア製品会社など異業種と組んで人を集める企画は、完成見学会の異業種コラボイベントで解説しています。
「この方向性は正解だった」
まとめ
コロナ禍の間は、自分のお宅を不特定多数の人に見せようという施主が減り、完成見学会の件数は激減しました。
コロナ禍がようやく落ち着いた現状では、住宅の間取りや発想にも変化が残っています。
革新的に何かが変わったわけではありませんが、玄関に手洗い場を設けるなどの動きが出てきたのは事実で、九州の完成見学会で関心が薄かった手洗い場とは対照的に、庭ンピング・ベランピングなどのアウトドアの要素は一定の支持を得ています。
工務店がこれから完成見学会を行うときに、こうした新しい発想を取り入れた家をアピールして集客すれば、お客さんの目に留まる可能性が増えると私は思います。
ぜひ本記事の九州と北陸の事例を参考に、次の完成見学会で打ち出すプランを決めてください。



