ここ数年にわたって延々と話題になっているテーマですが、新築は確実に半減する方向に向かっています。
心の中では新築をなんとか続けたいものの、世の中の動向を見るとリフォームもやったほうがいいんじゃないか、リノベーションはどうだ、という声が皆さんの耳にも届いていることだと思います。
新築の方が単価は高いですし一度受注を取ればあとは工事に集中できますので、新築だけをやってきた工務店の皆さんからすると、本音としてはリフォームやりたくないというところでしょう。
しかし、時代は大きく動いています。
この原稿を書き始める一時間ほど前まで、ある人物とリモートで打ち合わせをしていました。
リノベーションに関する打ち合わせを2時間にわたってしていたのですが、話をすればするほど新築だけでいくことの難しさを再確認しました。
国策に逆らう工務店は淘汰される
ZEHをまだ甘く捉えている工務店の多さに驚愕
この写真を見てください。
10月2日に私が撮影したものですが、名古屋市内の地下鉄で見かけた中吊り広告です。
ご覧いただければ分かるようにZEHをアピールしています。
最近全国各地の大都市に行くと、ZEHを謳ったマンションの広告を頻繁に見かけるようになってきました。
三年前はありえなかった現象なのですが、この動きは今後も加速してくると思われます。
この話は新築がどうのこうの、リフォームがどうのこうのという話ではありませんが、皆さんご存知のように、ZEHは国策ですので必ずこちらの方に世の中は走っていくことになります。
ZEHは国策になりますので、対応してない工務店は真剣に考えてなくてはいけないということですが、これはリフォームやリノベーションにも当てはまります。
リフォームリノベーションも国策
結局こういうことです。
新築が半減するのは国も当然分っています。
さらには膨大な空き家の存在も大きな社会問題になっているのもこれまた国は分っています。
さらにはSDGs問題に絡めて、作っては壊すという日本の住宅産業そのものにも国は着目している訳です。
これらの要因を考えると、新築はもちろんやるわけですが、リフォームにも目を向けざるを得ないことがわかってきます。
そして、国も極力リフォームに力を入れるように指導しているのが現状でしょう。
国交省が推進するリフォーム認可団体
一般にはまだ知られてないのですが、国交省が認可するリフォーム団体が全国にはたくさんあります。
どの団体でも構わないのですが、いずれかに所属すれば間接的に国が認可した工務店もしくはリフォーム会社という位置づけになります。
この団体の制度のことや経緯について私は詳しく知っているのですが、結論を言いますと国策としてリフォームを推進する方向に向かっているということです。
リフォーム、リノベーション、呼称はどうでもいいのですが、国がこちらに目を向けているのは明らかです。
この認可団体を作ったのも、国の方向性を考えれば納得できるでしょう。
つまり、新築は今まで通り受注獲得を目指せばいいのですが、それと並行してリフォームやリノベーションを視野に入れた動きが必要になるのです。
今日は某社とこんな打ち合わせをしました
某社と言っても20年来の知人である同業者のコンサルタントですが、彼(Hさん)は業界の動きに精通しており時代を先駆けた動きをすることで有名な人間です。
そんな彼とのやり取りです。
私 「最近の新築の動きはどう?」
Hさん「予定通り順調に萎んでいますよ(笑)」
私 「やっぱりリフォームかな?」
Hさん「リフォームもそうですが空き家対策など総合的に考えるとリノベーションでしょうね。これは明らかに動くと考えているので、いま早速リサーチをかけています」
中古物件をリノベーションして売る
この動きが加速するというのです。
彼の読みはこれまでことごとく当たっているので、今日の話は私も真剣に聞いていました。
もちろん、リフォームの増加は想定内なので、自分の仕事でもリフォームは意図して増やしてきました。
某大手リフォーム会社(T社)
ハウスメーカー系のリフォーム会社があるのですが、こちらの研修をしばらくの間引き受けてやっていました。
幹部社員の方とは研修の合間や打ち合わせでいろいろな話をするわけですが、リフォームの動きが明らかに活発になってきたというのです。
ハウスメーカーの場合は自社で建てた新築が膨大な数ありますので 、必然的にリフォームの契約数も伸びてくるわけですが、話を聞いてると自社案件だけでなく、それ以外のリフォームの数も増えてきたというのです。
具体的なメーカー名はお話できませんし数字をあげることはできないのですが、とにかく増えてきたという事実だけは皆さんにお伝えしておきます。
ハウスメーカーはどこも同じですが、このあたりの動きには敏感に反応しますので、自社案件のリフォームプラス他社が建てた案件のリフォームをどうやって取ろうかと画策します。
しかし、ほかの大手ハウスメーカーの物件は、その会社ががっちり囲い込んでいるのでなかなか入り込むことができません。
そこでターゲットとなるのが、地元の工務店で建てた在来木造の住宅となります。
ある大手住宅メーカーの幹部社員がこんなことを話していました。
「リフォームの市場が日に日に広がっているんですけども、ターゲットはズバリ地元の住宅会社工務店、さらには大工さんが建てた家になりますね。結構簡単に受注が取れるんですよ。理由は簡単でこうした業者の人が、お客さんのアフターフォローほとんどしてないからです」
私もこれにはまったく同感で、接点のある工務店の皆さんの多くがこれまで建てたお客さんのアフターフォローが手薄になってるのに加えて、そのお客さんからリフォームを取ろうという意欲の低さも私は懸念していたからです。
加えてこの幹部は「森さんの研修やコンサルティングで自社で建築したお客さんのリフォーム受注取得のノウハウなんてのを、あまり教えないでくださいよ(笑)」と私に言ったのが印象的でした。
新築をやめろと言っているわけではありません
新築をやるなら尖った部分がないとダメ
新築を放棄しろなどとは言いません。
新築着工数が半減するとはいえ、それでも40~50万戸という家が建つわけですから。
そして、それを日本に存在する住宅会社が請け負うことになるからです。
1/10に減るのであれば転業も考えなくてはいけませんが、半減であればそれを狙っていくのも手です。
ただし、尖っていなくてはダメ。
分かりやすい事例でいうと、他にはないような構造のフランチャイズに加盟してその工法を追求する、デザイン事務所と組んで外観が他にはないような唯一無比のものを目指す。
例えばこんなことでしょう。
尖るとはこういう意味で、他社にないような魅力あるアイテムを身につけないと新築だけでやるのはかなり厳しいと私は考えています。
今からでもリフォームを検討してください
だから私はことあるごとにリフォームを検討して欲しいと全国各地の工務店で話をしています。
しかし、社長が2の足を踏む気持ちもよく理解しております。
リフォームになると細かい手間が当然増えるのと同時に、新築と違って見積もりが複雑になったり、解体して初めてわかることも多数あるのでトラブルが起きやすいからです。
しかし、既述のHさんはこの辺りを解決する方法をさまざまな人たちと組んで模索しているのです。
請負金額よりもオーバーする工事が発生してしまっては、赤字の仕事になってしまうでしょう。
この辺りを解決するような仕組みができれば、皆さんにとっても魅力的に映ると思いますがいかがでしょう。
まとめ
「国策には従え」
「国策は買い」
原理原則です。
国がストックビジネスに注目する中、私たち住宅業界もリフォームに目を向けざるを得ません。
ここを甘く見ると必ず大きなしっぺ返しを食らうとわたくしは断言します。
今からでも遅くないので、リフォームにも目を向けどのような形で開拓すれば良いのかを真剣に考えてください。