皆さんのお考えは色々あるでしょうが、コロナは実質的に終焉したと私は考えています。
日本政府が「マスクを外してもいいですよ」とアナウンスをした日から私も妻もしっかり外して活動していました。
それでも当日にマスクをはずしているのは本当にごく少数で、皆さん慎重な方が多いなと思っていたのを思い出します。
というわけで、コロナ前と後では住宅業界においても、お客さんの来場ルートやイベント実施方法などに大きな変化がありました。
コロナ以前はフリーのお客さんが住宅展示場に数多くやってきましたが、コロナになってから予約制が主流となり、コロナ終息後もこの形が幅を利かせる結果になっています。
展示場を所有する会社はそれなりの対策を考えていただきたいですが、展示場所有していない住宅会社の方は、現場見学会が大きな集客手法になるはずです。
コロナ後の現場見学会はどういったことに着目すべきなのでしょうか。
コロナ後の現場見学会・・・①来場予約はアリかナシか?
現場見学会は予約にすべきか?
これは悩ましい問題ですが、私のコンサル先では次のような話を皆さんにしています。
「予約制度を前面に出した上でフリーでもどうぞと呼び掛ける」
基本的にはこの手法を推進しています。
予約を前面に押し出しているのは、コロナがどうのこうのという理由ではありません。
あくまでも一人一人のお客さんに対してしっかりした接客をしたいので予約でお願いします、という趣旨です。
ですから、飛び込みのお客さんでも歓迎となるわけです。
予約の理由がコロナとなると、その一方で飛び込みもOKというのは矛盾した話になってしまいますので、このような理論づけをしています。
予約については大手メーカーでもやり方は2分されているようで、どちらが良いのかは結論が出てはいないと言えるでしょう。
コロナ前にあったこんな会社
コロナ以前にも、もちろん完全予約制で現場見学会を実施していた住宅会社はありました。
名古屋市緑区にある設計事務所の現場見学会がまさにこれでした。
今現在やっているかどうかは確認していませんが、この設計事務所の先生の方針で、現場見学会は全てが予約制です。
しかも驚いたことに、来場された方には3,000円のギフト券まで配っていました。
「そんなやり方して大丈夫なの?」
このような声が聞こえてきそうですが、先生はこの手法を何年も前から自社の確立した定番にしていました。
先生の考えはこのようになります。
「ぶらっとやってくるお客さんも相手にしたいですが、私の考えは真剣に住宅を考えている人のみと対応したいのです。こう話すと3,000円の金券をもらいにくるお客さんであふれかえるんじゃないか?こう言われそうですが、そうはならないから面白いのです」
皆さん同じ疑問を持ったのではないでしょうか。
ところが先生は次のように言ってのけたのです。
「普通そう思いますよね?ところが、そうはなりません。 もちろん中には明らかに金券目的の来場もありますが、3,000円の金券がもらえるからラッキーだと思う人はほとんどいないんですよ。それどころか、建築予定がない方は3,000円だけもらうのは悪いと思うんでしょうね。ですから、3,000円の金券を配る前と後では今の方が圧倒的にお客さんのランクが上がったんです」
これは人間の心理を突いた戦略です。
金券目当てでくるお客さんがいるのは事実ですが、 一回の現場見学会で1組来るかどうかだそうです。
こう考えたら、この経費はほとんど無視してもいいということになるでしょう。
現場見学会の会場確保
話をがらりと変えましょう。
コロナ真っ盛りの頃は、現場見学会として会場を借りること自体が極めて難しかったと思います。
貸す側のお客さんとしては当然のことでしょう。
どこに菌があるかわからない状態で、不特定多数の人を自分が住む家の中に招き入れるわけですから、そのような住宅会社の申し出を断るのもうなずけます。
そのような厳しい時代もピークを越えたので、今はずいぶん楽になってきたはずです。
契約時にお願いするのがベスト
現場見学会として建物を借りるのは、 建築請負契約を結ぶ時が一番適しています。
想定できる会話はこんな感じでしょうか。
工務店「このような感じでいかがでしょうか。問題なければご契約 していただきたいのですが」
お客様「そうですね・・・だいたいいいんですけども、もう少し価格が何とかなりませんか。ここにある30万円の端数だけ切ってもらうとか(笑)」
工務店「うーん、困りましたね・・・では私からも一つだけ条件を提示させてください。この30万円は切らして頂きますが、その代わり建物が完成したとき2日間だけで結構ですので、現場見学会の会場として使わせていただきたいと思うのですがいかがでしょう」
このようなバーター取引です。
あくまでもお客さんが値引きなどの要望を出したときに切っていきたい営業トークですが、結構な確率でお客さんは交渉に乗ってくれます。
こちらからも条件を出す癖をつける
これは現場見学会の会場確保の場合の話ですが、何かしらお客様から要望があった場合は、こちらからも同じく要望を出して取引をするという癖をつけてください。
これは全く問題のない交渉事だと思います。
私は積水ハウスの現役時代から、このトークを使っていましたので、 現在のコンサルティング先でも営業社員にはこのように話をして現場見学会の会場を確保するよう指導しています。
ここだけのマル秘話
コロナ禍にあったちょっとした裏話をしましょう。
誰もが知る大手ハウスメーカーがあるのですが、この会社はコロナ真っ只中の時に、現場見学会の会場が確保できなかったので、相当無茶な戦略をとっていました。
「現場見学会会場として自宅を貸してくれるならば一坪当たり10万円お値引きします」
にわかには信じられませんよね(笑)
本当の話ですよ。
当日は可能な限り庭を完成させるとなお効果的
現場見学会でよくあるパターンですが、建物が完成しているものの、庭が全くできてないというケースが散見されます。
散見されるというより、圧倒的にこのケースが多いではないでしょうか。
せっかくお客さんを呼んで建物見せるわけですから、庭も完成している方が、PR効果が高いのは言うまでもありません。
ところが、なぜこのようなことが起きるのでしょうか?
商談を進めるときに建物と外構を別に考えるから
答はこうなります。
社長でも営業担当者でもいいのですが、お客さんと建物の話を詰める時に、建物がメインで外構はおまけと考えてないでしょうか。
私も営業出身ですからこの気持ちはよくわかります。
しかし、あくまでも外交と建物がセットで、初めて素敵な家づくりの 完成とすると考えている工務店や営業担当者の案件では、外構だけ遅れるケースはほぼありません。
完全に意識レベルの問題なのですが、皆さんの会社はいかがでしょうか。
何か特殊な事情があって建物と外構は全く別物で、建物ができた後に外構工事に入るようなシステムを取っている会社の方には申し訳ない話となります。
しかし、繰り返しますが、工程上の問題がどうのこうのというよりも、とにかく建物だけを完成させよう、外構はその後でおいおいできればいいだろう、という担当者の気持ちが最大の問題ではないでしょうか。
効果的な現場見学会を実施するのであれば、現場見学会当日は外構もできていた方が、お客さんの満足度やお客さんに対する訴求力がアップするのは言うまでもありません。
ちょっとしたことなのですが、この辺りにも気を配っていただくと現場見学会での成約率アップに寄与します。
まとめ
「第9波が来ている」こうしたコロナ関連ニュースもテレビで流れますが、世の中一般的にコロナは一区切りついたとの認識でいいと思います。
コロナが落ち着いたら現場見学会の話をシリーズ化して記事にしようとずっと考えていました。
今日を第一回目として、これからさまざまな観点で、住宅会社の皆様に現場見学会のポイントをお伝えしていきますのでご期待ください。