完成見学会の集客|小規模工務店の実邸を3年探した施主の声

大手ハウスメーカーや地域のパワービルダーは、2023年に見学会へ力を入れて仕掛けてきます。一方で、小規模工務店や家族経営の工務店には、見学会を一度もやってこなかった会社や、過去に実施したもののそれっきりになっている会社があります。
小規模工務店が建てた家の実例を見たいという需要は、極めて高いと私は言い切ります。2022年12月に私が取材したお施主さんは、3年間も見学会の情報を探し続けたのに、小さな工務店が主催するイベントは見つからなかったと話していました。
本記事では、小規模工務店が完成見学会で集客できる理由と、お施主さんへの頼み方、開催までの手順を解説します。
工務店の完成見学会に集客が見込める2023年の住宅業界
2022年から2023年にかけて住宅業界で変わることの一つが、リアルの見学会の急増だと私は見ています。
新築を考えている人に限らず、世の中の人々はコロナ疲れで今の状態に飽き飽きしています。
今は分野を問わずイベントを開けば人出が戻っており、完成見学会(お施主さんへの引き渡し前に、建てた家を公開する現場見学会)にも同じ理屈が当てはまります。
見学会に人を集めるイベントの企画は、電力会社や外車ディーラーなどと組む異業種コラボの完成見学会イベントで解説しています。
新築を検討しているお客さんは、実際に建っている家を見てみたいのです。
大手ハウスメーカーなどはこの絶好のチャンスを逃さずにつかもうとしており、小規模工務店がこの流れを傍観しているだけではいけません。
小規模経営の工務店や家族経営の工務店も、この流れに乗ってください。
地場工務店の完成見学会を3年探した施主の声(2022年12月の取材)
2022年12月20日、私はZoomであるお客さんを取材しました。
中国地方の某住宅会社から依頼を受け、3件のお客様に「なぜ契約してくれたのか?」などを私がヒアリングし、その内容を研修の題材として使うという仕事です。
3件のうちのお一方が、興味深い話をしていました。
私「現場見学会にいろいろ行かれたそうですが、他社ではどんなところに行かれましたか?」
お客様「積水ハウスさんやセキスイハイムさんなどにも行きましたし、地元にある住宅フランチャイズの会社にも3、4社は足を運びましたね」
私「いわゆる地場の工務店と言われるところには行かなかったのですか?」
お客様「本当は行きたかったのですよ。ハウスメーカーにしようとか工務店にしようとかなど、一切決めていなかったので、いろいろな規模の住宅会社や工法を見てみたかったのです。地元の小規模な工務店や設計事務所等の住宅もぜひ見てみたかったのですが、おそらく、そのような会社の現場がなかったと思います」
私「3年ぐらいかけていろいろ住宅メーカーを検討されたとお話されましたが、3年間も地場工務店の現場を探し続けてもなかったということですか?」
お客様「そうです。3年ほどの間、新築現場見学会の情報は目を皿のようにして探していましたが、小さな工務店が主催するイベントはなかったですね」
このお客様は、大手ハウスメーカーには展示場もショールームもあって見学するチャンスがいくらでもあり、新築の見学会も頻繁に開かれていると話していました。そのうえで、地場の工務店が主催するイベントはめったにない機会なので、あればぜひ行ってみたかったと強く言われたことが、私の印象に残っています。
紹介頼みの家族経営工務店が新規客7組を集めた見学会(東北)
着工棟数の多い大手が目立つのは当たり前ですが、私は地元工務店が行う見学会がとにかく少ないことが気にかかっています。積極的に開催している小規模工務店も多数ありますが、全国にある工務店の数を考えれば、開催している会社は本当にわずかです。
2008年ごろ、私は東北のある県で、家族経営の工務店と一緒に現場見学会を企画して開催しました。その工務店は年間3棟の新築と、あとはリフォームをぱらぱらとやる規模で、新築は友人や知人からの紹介を頼りに細々と受注している状況でした。
そうした経営を20年近く続けてきた工務店が土日の2日間で見学会を開いたところ、来場は10組程度で、そのうち7組が完全な新規のお客さんでした。社長と奥さんがものすごく喜んでいた姿を、私は今でも昨日のことのように思い出します。
ただし、社長と奥さんは接客にずいぶん戸惑っていたようでした。
それまでのこの工務店のお客さんは紹介の人や、下手をすると親しい友人だったので、社長と奥さんには完全に初対面の人と話した経験がほとんどなかったのです。
残念ながら、私が離れた後、その工務店が見学会を開くことはなかったようです。
紹介に頼らない新規客の見つけ方は、住宅営業の探客方法で解説しています。
「完成見学会はやりたくない」という工務店の2つの理由
レアケースかもしれませんが、「現場見学会はやりたくない」と話す工務店の経営者に、私は何人かお会いしました。やりたくない理由を聞くと、手順や段取りがよく分からないことと、お施主さんにそんなことを頼めないことの2つにほぼ集約されます。
お施主さんに家の公開を頼めない遠慮
お施主さんに頼めないという理由は、私がとても気になる反面、社長たちの気持ちもよく理解できます。
工務店の社長は、丹精込めて建てた家をお施主さんに引き渡す前に、まったく知らない他人へ開放することに抵抗があるわけです。
来場者が手袋をつけてスリッパを履くとしても、社長はお施主さんにお願いすること自体に強い抵抗を感じています。
私もこの気持ちは分からないでもありませんが、工務店が新しく受注を取っていくためには、遠慮せずにお施主さんへストレートに頼んでほしいと考えています。頼んだうえで「嫌です」と言われれば、工務店はやめればいいだけのことです。
マイホームを多くの人に見せたいお施主さんもいる
自分の家を他人に見られることをまったく許せない人がいる反面、できるだけ多くの人にマイホームを披露したいと考えるお施主さんも結構います。
よくできた家であればあるほどその傾向は強く、人間の心理として「どう?私の家はいいでしょう」となるものです。
そのため、工務店は新築の案件すべてで「現場見学会をやらせてもらえませんか?」とお施主さんにお願いする癖をつけてください。
お施主さんに家を借りる約束を取るタイミングや工事中に開ける見学会については、現場見学会の開催方法と家を借りるコツで解説しています。
小規模工務店が完成見学会の集客を始める手順
引き渡しの予定から年間の開催日を決める
中堅よりもっと大きいかもしれないある住宅会社は、2023年1月の時点で、年末までの現場見学会のスケジュールをほぼ固めていました。
この住宅会社は、2023年の年末に引き渡し予定のお客さんとも、そのお宅で見学会をやる約束をすでに取り付けています。
1月から12月までに確定している見学会だけで7現場あり、この住宅会社の営業部長は途中で確定する案件も含めて、年間最低でも14、15か所で開催できそうだと見立てていました。
年間3棟を新築する工務店であれば、その3棟すべてで見学会をやるつもりで仕事に取り組んでください。私はさまざまな媒体でこの主張をしていますが、小規模工務店を中心に、リアルの見学会に後ろ向きな方が多いように感じています。
見学会を開く現場で来場客に何を見せるかについては、完成見学会で打ち出すプランと見せ方で解説しています。
まとめ
小規模工務店や家族経営の工務店が建てた家を見たいという需要は、2023年の住宅業界に確かに存在します。2022年12月に取材したお施主さんの声も、2008年ごろの東北の見学会に新規のお客さんが7組来たことも、最初から見学会を放棄している工務店が受注の機会を逃していることを示しています。
機会があれば私は何度でも書くつもりですが、小規模工務店、とくに家族経営規模の工務店には、積極的に見学会を企画してほしいと強く進言します。工務店はお施主さんに遠慮しすぎず、新築の案件ごとにお願いするところから始めてください。
ぜひ本記事の施主の声と東北の事例を参考に、2023年に引き渡す家の中から完成見学会を開く日を決めてください。



