住宅営業の競合調査は展示場巡りで|若手4人を客として送った事例

地元で名の知れた住宅会社が、特定の一社との競合でだけ負ける率が急に増えました。
社長に聞いても営業部長に聞いても、理由は分かりませんでした。
私のコンサル先である、東北地方の中堅住宅会社B社の話です。
原因を探るために私が提案したのは、若手社員に客のふりをさせ、競合の住宅展示場を巡って接客を受けさせることでした。住宅営業にとって住宅展示場巡りは、営業力が必ず上がる研修です。
本記事では、住宅営業が客のふりで住宅展示場を巡るときの準備と質問、身分を明かして見学を頼む方法を解説します。
住宅展示場巡りを住宅営業の研修にする理由
現場見学会や住宅展示場での接客技術を上げる方法はいろいろあります。
その中で私が強く勧めるのは、客のふりをして他社の住宅展示場へ行くことです。
私はコンサル先でいろいろなことを社員にやってもらっていますが、展示場へ行って実際に接客を受けることは、重要なプログラムの一つにしています。
客のふりをして行くことへの抵抗感
「身分を隠して行くのは抵抗あるな」という意見も当然あります。
それでも、はっきり言わせてもらうと、これはどの住宅会社もやっていることで、この程度はお互い様です。
私も積水ハウスの現役当時、接客をしながら「この人業者っぽいな」と感じることがたまにありましたが、そのくらいは問題ないと考えていました。
接客される側に回ると見えるもの
普段は接客する側にいる営業社員が接客される側に回ると、ものすごく新鮮に感じます。営業社員は素晴らしいトークに出会うこともありますし、なんだかしっくりこない接客を受けることも多々あります。
思わず聞き入ってしまう営業の話があれば、営業社員はそれを取り入れて真似すればいいのです。
接客がピンと来なかった場合は、「なぜあんな不自然な感じがしたのだろう」と営業社員自身が原因を探ってください。
攻守が入れ替わると、ふだんはまったく見ることのできない側面が見えるため、営業力は間違いなく上がります。
持ち帰ったトークを社内の全員に広げる方法は、動画で作る住宅営業マニュアルで解説しています。
東北のB社が若手4人で行った住宅展示場巡り
私はコンサル先で、ほぼ毎回のように若手社員に展示場潜入をやってもらいます。
東北地方のB社は、その地域ではそこそこ名の知れた、地元では堅実なことで有名な住宅会社です。
私はB社に対して、負け続けていた競合会社の住宅展示場へ潜入することを提案しました。
私はB社の若手4人を指名し、その競合会社の展示場へ私服で接客を受けに行かせました。顔が知られてはまずいので、4人にはB社と営業エリアが重ならない、遠く離れた4つの住宅展示場に足を運んでもらいました。
客として展示場に入る覆面調査で、競合の営業が口にした悪口や嘘の実例は、住宅展示場の覆面調査の実例で解説しています。
住宅展示場巡りの前に決めておく3つの質問
営業社員が何となく潜入しても意味はありますが、B社の場合は競合に負ける理由を探ることが目的でした。そのため、私は営業に投げかける質問を事前に決めて、4人に持たせました。
「B社さんってどんな会社ですか?」と自社の評判を聞く
競合会社の営業は、B社とよく競合している以上、B社のことをそれなりに知っているはずです。
大した内容は聞けないかもしれませんが、B社が完敗している原因をつかめる場合もあります。
4つの展示場のうちの一つでは、実際に次の会話がありました。
B社「B社さんもこの辺りでは有名な住宅会社ですけどもオタクとは何が違うんですか?」
営業「B社さんも確かにいい家づくりをしていると思いますが、我々と違うのは外壁なんですよ。外壁の耐久性が大きく違うので、初期段階での家の値段はあまり変わらないのですが、長期で見るとメンテナンスコストが数100万円単位で違ってきます」
B社「B社に行ってオプションでお願いしますと言えば外壁は変えられるんですかね」
営業「他社さんのことですからよくわからないのですが、40坪クラスの家で+250万円程度を出すと、そのような仕様になると聞いたことがあります。ですから坪で6万円上がってしまいますので、ちょっと考えてしまうんじゃないでしょうか」
「おたくはどんな会社ですか」と強みを聞く
この質問は、言い換えると「御社の強みは何ですか」という問いで、その住宅会社の強みやアピールポイントをストレートに聞くものです。
私の感覚では、大手メーカーでもこの質問にきちんと答えられる営業は半分もいません。
住宅会社にはそれぞれ色やコンセプトがあるので、営業がそれを答えられるかどうかは確かめておきたいところです。
B社の場合は、この質問をすることで自社の弱みが反面教師として分かります。
例えばアキュラホームの営業にこの質問をぶつけると、すがすがしいぐらい答えが首尾一貫しています。
アキュラホームの社長はCMでもおなじみの元大工で、「カンナ社長」として知られています。
アキュラホームの営業は決まってこの話から入り、自社がいかに木造住宅に精通し、木造住宅に思い入れがあるかを話します。
アキュラホームのすべての営業が同じ話をするので、聞いている側には会社の姿勢やポリシーがすぐに分かります。
もし自社にこの質問に答えられない営業がいた場合は、全社を挙げて意思統一を図ってください。
「とにかく収納に困ってるんです」と悩みをぶつける
家を新築するときに収納の問題を片付けたいと考える人が多いのは、説明するまでもありません。どの住宅会社もこうしたニーズに答えようと努力し、それなりのノウハウを持っているので、納得のいく答えが返ってこないほうがおかしいと考えるべきです。
客 「とにかく収納不足で困ってるんですよ」
営業「そうですね収納はねとにかくたくさんとりましょう」
営業がこんな会話で終わる住宅会社は話にならず、潜入しても何の収穫もありません。一方で、次のような答えが返ってきたらどうでしょうか。
客「とにかく収納不足で困っているんですよ」
営業「私たちは専門の収納コンサルタントを配備して、お客さんの打合せ時には一人プロが必ずついてアドバイスをする仕組みになっています」
実際にこのような対応をする住宅会社はあります。
もし競合会社がこう答えたら、自社はすぐに調査して対処する必要があります。
収納コンサルタントを置く会社と競合した場合、収納に関しては完敗になるからです。
質問事項はほかにもたくさん考えられます。展示場潜入の前には、こうして質問をあらかじめ準備してから、営業社員に聞かせてください。
身分を明かして住宅展示場を見学する方法
新卒社員が総合住宅展示場で見学を頼む言い方
総合住宅展示場でよく見かけるのが、新卒で入った営業社員が自分の身分を明かして他社のモデルハウスを見学するパターンです。どの住宅会社もお互い様と分かっているので、大半はまず間違いなく見学させてくれます。
例えば自社が地元に根付く小規模な工務店なら、近くの総合住宅展示場にある積水ハウス、一条工務店、へーベルなどのモデルハウスに新卒社員を行かせてください。新卒社員が次のように言って正面から入れば、断られることはまずありません。
「〇〇工務店の新卒社員なのですが中を見学させてもらえないでしょうか」
まとめ
住宅営業にとって住宅展示場巡りは、接客される側に回って、競合のトークと自社の評価を知るための研修です。B社の若手は競合の展示場を巡り、競合の営業が外壁の耐久性でB社と比べていることを聞き出しました。
客のふりをするのが難しければ、新卒社員が身分を明かして見学を頼む方法もあります。私の経験では、攻守を入れ替える経験を積ませれば効果が出ます。
ぜひ本記事の3つの質問を参考に、自社の若手社員に競合の住宅展示場を巡らせてください。



