住宅展示場の冷やかし客の見分け方|玄関で40分話し続けた女性の実例

住宅展示場の冷やかし客の見分け方|玄関で40分話し続けた女性の実例

住宅展示場の玄関で「土地は100坪のもあれば300坪もある」と話し始めたお客さんが、15分たってもリビングに上がらず話し続けることがあります。

住宅展示場の冷やかし客には、世間話をしに来るだけの人と、無料のプラン提案で間取りのアイデアを持ち帰る人がいて、どちらも最初は最高のお客さんに見えます。福岡県内の総合住宅展示場で40分間話し続けた女性も、私が入社2年目に担当した電器店の男性も、店長や営業課長が名前を見て、過去に同じ接客をした相手だと気づいた人でした。

本記事では、2つの実例をもとに、住宅展示場の冷やかし客の見分け方と、住宅営業としての対応を解説します。

住宅展示場で40分話し続けた冷やかし客(福岡の総合住宅展示場)

総合住宅展示場のように来場客が多い場所には、一戸建てを建てたい人に混じって、困った人もちらほらとやってきます。

家を建てたい夢は本当かもしれませんが、話を聞いていると現実的な話ではなく、単なる時間つぶしに来たとしか思えない人がごく稀にいます。

福岡県内のある総合住宅展示場には、各ハウスメーカーの間で顔と名前が知れ渡っている女性がいて、住宅会社の営業社員が世間話に付き合わされました。

なお、住宅展示場に想定外のお客さんが来た別の例は、住宅展示場の集客方法で解説しています。

若手営業社員との面談中に鳴った来場チャイム

昨年末、ちょうど1年ほど前に、私は福岡県内のある総合住宅展示場に出向き、若手営業社員5人と対面で面談をしていました。

3人目の面談が終わった頃に来場者を知らせるチャイムが鳴り、私と話していた新卒の男性営業社員がさっそく接客に出ていきました。

私はリビングにいたので、新卒の営業社員の接客を見ようと考え、リビングの片隅に立って玄関の会話を聞くことにしました。

総合住宅展示場の来場予約とフリー来場の実態や初回接客の事例は、住宅展示場の集客の実態で解説しています。

玄関で次々に明かされた100坪・300坪の土地

リビングにいても玄関先の声は聞こえるので、私が聞き耳を立てていると、女性と営業社員のこんなやり取りが聞こえてきました。

女性「土地は市内のあちこちにあるのだけども、建築地をまだ決めかねているのよね。住宅ローンを借りるつもりもないし、主人も他界して私一人だから、そんなに大きなお家は要らないんだけどね。でも、どうせだったら、早くきれいな家にして住みたいじゃないの」

営業「いろいろと住宅会社を回られたのですか?」

女性「かなり回ったわよ。もうそろそろ具体的にプランを書いてもらって、見積もりを出してもらおうかなぁ~なんて思ってたところなのよ」

営業「そうですか! ぜひ弊社の展示場をご覧いただきたいので、まずは、どうぞお上がりください・・・」

女性「それでね、ちょっと聞いてほしいのだけども、私が持っている土地というのがね、100坪のもあれば300坪もあるのだけども・・・」

私の記憶では最初の5分ぐらいで、女性は住宅会社にとって最高の情報をどんどん自己開示してくれました。

新卒の営業社員はもちろん、私も心の中で「最高のお客さんが来たな。彼ひとりでは厳しいかもしれないから店長でも呼んでこようかな」と考えていました。

ところが、女性は10分たっても15分たってもリビングに上がりません。

営業社員は「さあ、お上がりください」と誘導しましたが、女性は営業社員にほとんどしゃべる隙を与えず、自分の話を延々と続けました。

15分もこの調子が続いたところで、私も「これはちょっとおかしくないか?」と思い始めました。

結局、女性は40分ほど靴も脱がずに玄関の椅子に座り、ほぼ一方的に話し続けました。営業社員は最後のほうは頭がボーっとしてクラクラしたそうですが、女性もさすがに疲れたのか「今日はこれで帰るね」と言い残して住宅展示場を後にしました。

店長がアンケートの名前を見て気づいた常連の女性

接客を終えた新卒の営業社員は、私にこう話しました。

「いやぁ、参りましたよ。最初はすごいお客さんに当たったと思ったのですが、延々と自分の話を一方的に話すだけなのですよね。あの人はこれからどうしたらいいですか?」

私と営業社員は、女性が書いたアンケートを手に2階の事務室へ戻りました。事務室にいた店長にアンケートを渡したところ、店長の口から意外な一言が出ました。

「あっ、この人だめですよ(笑)」

店長が名前を見た瞬間に気づくほど、女性は有名な人でした。

女性はふらっと住宅展示場にやってきては、中を見学することなくすぐに座り込み、自分の話を一方的にまくし立てるのです。

店長自身もその1年くらい前に女性を接客したことがあり、店長に話を聞くと、そのときも今回とまったく同じ状況だったそうです。

無料プランで間取りを持ち帰った冷やかし客(住宅営業2年目の体験談)

次は、私が現役の住宅営業だった頃の少し古い話で、入社2年目の私が、とんでもない人を担当した経験です。

住宅展示場で来場客を接客する住宅営業

二世帯60坪の商談がトントン拍子に進んだ

ある日、電器店を営む自営業の男性が一人で住宅展示場に来場しました。

私がいつもどおり接客すると、話はトントン拍子に進み、アポイントも簡単に取れました。

男性は更地を所有していて、建物は60坪程度の二世帯住宅でしたので、私は意気揚々とアポイントを取ったことを店長に報告しました。

2年目だったので先輩の同行もなく、私は一人で淡々と折衝を進めましたが、途中でトラブルもストレスも感じないまま、商談はグングン前に進みました。

私がファーストプランを提案すると、男性は「なかなかいい感じだね・・・あの・・・もう少しだけ直してくれる?」と言い、次回のアポイントもすぐに取れました。

クロージング直前の「あなたからコンタクトしなくていいから」

私が再度プランを提案し、あとはクロージングだけという段階で、男性から予期せぬ言葉が出ました。

「一回ここで考えたいので、その気になったら連絡するね。それまであなたからコンタクトしなくていいから」

私は、冷たい感じであっさりと言われた感触を今でもはっきり覚えています。それまですんなりと進んでいた商談が、いきなり断ち切られたのです。

営業課長も同じ男性に無料プランを出していた

連絡するなと言われたので私も動けずにいるうちに、1か月ほどがあっという間に過ぎました。

そんなときの営業会議で、この案件を目ざとく見つけた営業課長が「この人どうなっている?そろそろ返事もらえよ」と私を詰めてきました。

営業課長としては当然の指摘ですが、私が商談の経緯を説明すると、営業課長は途中で私を止めてこうつぶやきました。

「あれ・・・この名前は見覚えがあるな。あっ、思い出した、この人電気屋さんだよな。17~8年前だけど、まんまといっぱい食わされたことがあるよ。この案件は終了だ、次に行け」

営業課長も、私とまったく同じ経験をしていました。

男性はハウスメーカーに無料でプランを提案させて、間取りのアイデアをパクっていたわけです。

総合住宅展示場で何十人、何百人と接客していると、いろいろな人が来るものだと、私は当時も感じました。

冷やかし客は「調子が良すぎる」住宅営業の商談で見分ける

「調子が良すぎる人には気をつけろ」は、住宅営業における鉄則の一つです。電器店の男性との折衝はどんどん進みましたが、私はなんともよそよそしい雰囲気が実は気になっていました。

商談が煮詰まってくれば、お客さんと営業の人間関係もこなれて、温かい空気になるのが普通です。

温かくはならなくても、お客さんがシビアな目でプランや見積もりを精査して、張り詰めた雰囲気になるのなら私も理解できます。

しかし男性はそのどちらでもなく、微妙な距離を取りながら、私と目を合わせることもあまりなかったので、私は違和感を抱いていました。

2つの実例で冷やかし客に見られたサインを並べると、次の表になります。

冷やかし客のサイン当てはまった実例
住宅会社に都合の良い情報を最初から次々に話す福岡の女性(土地は100坪も300坪もある、住宅ローンは借りない)
誘導してもリビングに上がらず、一方的に話し続ける福岡の女性(玄関の椅子に40分ほど座ったまま)
商談は順調なのに、営業との距離が縮まらない電器店の男性(目を合わせることがあまりない)
クロージングの直前に営業からの連絡を断る電器店の男性(「あなたからコンタクトしなくていいから」)

無料プランを頼む客は冷やかし客とは限らない

住宅展示場には、お客さんに悪気がないまま折衝がどんどん進むパターンもあります。無料で図面を引くと言っているのは住宅会社の側ですが、ほとんどのお客さんは、やる気もないのに無料で図面を描いてもらうのは気が引けるのが普通です。

しかし、人はいろいろです。住宅営業の「図面を無料でお出ししますよ」という言葉を額面どおりに受け取り、せっかくそう言うのなら図面を書いてくださいと、ニコニコしながら同意するお客さんも結構います。

このお客さんには、まったく非がありません。

お客さんは、今すぐ建築するとは言っていないからです。

住宅営業マンの側が、心の中で勝手に「プラン出したらなんだかんだ言って契約してくれるんじゃないかな」と都合よく解釈しているに過ぎません。

契約する気がないままプランの出し直しが続く客の見極め方は、間取りが決まらない客への対応で解説しています。

まとめ

本記事で紹介した2つの実例は、いずれもお客さんではありませんでした。

福岡の総合住宅展示場の女性は、お客さんである可能性をすべて否定はできませんが、諸状況を考えればお客さんではないでしょう。

電器店の男性は、どう考えてもお客さんではありません。

営業社員はもちろん、上司の方もこのような来場ケースがあることを念頭に置いて、部下の指導にあたってください。

ぜひ本記事の2つの実例を参考に、いま進めている商談の中に冷やかし客が混じっていないかを、上司と部下で一緒に見直してください。

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