住宅営業マニュアルは動画で作る|展示場接客の撮影手順と90分の構成

住宅営業と名の付く社員を抱える住宅会社なら、何らかの教育マニュアルがあってしかるべきです。
多くの住宅会社はそれを文章でまとめていますが、私のお勧めは動画です。
私が今まさに手がけている小規模工務店Hホームの展示場接客マニュアルも、動画で作っています。
少数精鋭の工務店でも、従業員1,000人を超える会社でも、この考え方は変わりません。撮った動画をYouTubeに上げておけば、営業社員はいつでも簡単に見返せます。
本記事では、住宅営業マニュアルを動画で作る手順と、展示場の商品説明・接客ロールプレイ・競合対策の撮り方を解説します。
住宅営業マニュアルを文字ではなく動画で作る理由
Hホームが文字ベースから動画に切り替えた経緯
Hホームは展示場を1つ所有している工務店です。
Hホームは当初、一般的な文字ベースで接客マニュアルを作る予定でした。
私もそのつもりで依頼をお引き受けし、打ち合わせを進めていました。
ただ、私自身がYouTubeのチャンネルを3つ運営していることもあり、動画の効力や効果を肌で感じていました。
そこで私は社長に、営業マニュアルも動画で作ってはどうかと提案しました。
社長が二つ返事でOKをくれたので、私はさっそくシナリオを書いて撮影に取りかかりました。
小窓の補足説明で商品知識を理解しやすくなる
もちろん、文章のマニュアルでもかまいません。
しかし動画であれば、営業社員は展示場の場面を見ながら、該当する商品や補足説明を画面の小窓で確認できるので、はるかに簡単に理解できます。
これほど分かりやすく、かつ成果の上がる手法はないと、私は経験上断言します。
住宅展示場の接客マニュアルに入れる内容と目次の例
私が作る展示場の接客マニュアルは、3つのパートで組み立てます。展示場の各場所を説明するパート、社員が営業社員とお客さんを演じるロールプレイのパート、お客さんの性格や設定を変えたパートです。
展示場の接客マニュアルをオープン後まで続けて整える考え方は、単独住宅展示場を成功させる準備で解説しています。
このマニュアルが扱うのは、住宅展示場での接客の場面です。展示場以外の初回接客、たとえば分譲地での接客の進め方は、住宅営業の初回接客のコツで解説しています。
玄関から順に撮る展示場の商品説明
私はまず展示場の入口から入り、すべてを流すように撮影しながら、間取りや商品を説明するシーンを徹底的に撮ります。
玄関ホールで説明する6つの項目
玄関であれば、撮る項目はだいたい次の6つです。
- 玄関ホールに使われている床の素材
- シューズクロークに靴が何足入るか
- 上り框(あがりかまち)の読み方や高さ
- 光の採り方
- 玄関の素材や施錠方法
- 玄関脇にクローゼットがあれば、その説明
タイルの大きさや玄関ドアの防犯性能まで説明する
玄関ホールの床の素材は、簡単に言えばタイルです。
私はそのうえで、タイルのメリットとデメリット、さらに10cm角と30cm角のタイルの違いまで説明する場面を撮ります。
これだけの情報があれば、営業社員はお客さんと玄関に立ったとき、足元を見ながらちょっとした話ができます。
玄関の足元を見ながらのちょっとした話を広げるコツは、展示場接客の雑談力を上げる方法で解説しています。
試しに、自社の若手営業社員に「10cm角のタイルと30cm角のタイルは何が違うのか?」と聞いてみてください。
答えられそうで、案外答えられないのがこの質問です。
玄関ドアの素材も同じです。
玄関ドアは商品によって断熱性が全然違いますし、防犯はツーロックが当たり前で、商品によってはさらに防犯性能を高めたものもあります。
営業社員は、お客さんが防犯に興味を抱いていると察知したら、次のような話ができます。
「弊社が標準で使っているドアは、防犯に特に注力した〇〇社製の特殊なものになります」
どこまでマニュアルに入れるかは難しい問題ですが、私はこうした膨大な情報を動画の中に入れ込んでいきます。
玄関ホールの後は、キッチン、リビング、ダイニング、トイレ、お風呂と、各場所を同じ発想で撮影してください。
これだけでも30〜40分にはなるはずです。
マニュアル動画に入れる接客ロールプレイ(ワインセラーの場面)
役者といっても、住宅会社がプロの役者を使う必要は全くありません。社員で分担して営業社員役、旦那さん役、奥さん役を決め、演技をしてもらいます。
ワインセラーの前で交わす会話を答え方別に撮る
この写真はHホームとは別の住宅会社のもので、その住宅会社でも同じように展示場のマニュアルを作成しています。写真は私がカメラを持って撮影したシーンのキャプチャーで、展示場に備え付けのワインセラーについて社員同士に会話してもらっている場面です。
客 「これは何ですか」
営業「ワインセラーになります。そして横にはグラスをかけるための場所もとってあります。ところでワインはお好きなんですか?」
客 「私はさほど飲まないんですけども妻が好きなんですよ」
営業「それでしたら新築のこの機会にワインセラーなど作ることをお勧めしますよ。予算はさほどかかりませんので検討されてみてください。生活の質がグッと上がりますよ」
このシーンでは、お客さんが「ワインが好きだ」と答えるパターンもあれば、全くワインを飲まないと答えるパターンもあります。私はそれぞれのパターンを撮影し、営業社員がどう答えればいいかを動画に収めます。
奥さんに料理が好きかを聞く場面は2〜3パターン撮る
このワインセラーの目の前にはキッチンがあるので、営業社員が奥さんに料理が好きかどうかを確認するシーンも撮ります。
奥さんの答えによって営業の返し方はいろいろ考えられますが、私が想定して撮るのは2パターンか3パターンぐらいです。
奥さんへの接客の考え方は、ハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。
組み合わせは無限にあるので全部は撮れませんが、複数のパターンを動画に収めておけば、営業社員は普段デスクで広げているノートパソコンでその場面を呼び出せます。
「ワインが好きっていうふうに答えたら、こんな感じで答えればいいんだよな」
営業社員はこうして、肩ひじ張らずに勉強できます。
無口な客と競合を気に入った客もマニュアルで想定する
3つ目のパートでは、お客さんの性格や設定を変えた場面を撮影します。
まず、何もしゃべらないお客さんです。
展示場には、たまにこのようなお客さんが来ます。
映像にするのは難しいのですが、私は無口なお客さんに何とか話してもらうための問いかけ方を念頭に置いて撮影します。
次に、競合の住宅会社を気に入ったお客さんです。
この設定は競合対策と考えればよく、自社がよく競合する住宅会社を想定し、お客さんがその会社の展示場に行って非常に気に入ったという設定にします。
天井高を例に挙げます。
客 「天井高の標準は何センチですか?」
営業「弊社は2,400mmになります」
客 「〇〇ホームは2,700mmが標準だと言っていましたよ。ずいぶん違いますね」
営業社員から見れば、天井高で競合会社に30cmも負けているわけですが、ここで動揺してはいけません。営業社員は、なぜ自社の標準が2,400mmなのかを、お客さんに理論立てて話します。
住宅会社は、競合会社を気に入ったお客さんが口にしそうなことを社員同士で話し合い、それを役者役の社員に演じてもらってください。想定が細かくなるほど、その競合会社に対する競争力が増すのは言うまでもありません。
動画マニュアルを自社で完成させる手順
撮りたいネタは全体で90分程度に絞る
こうして考えていくと、撮影のネタはいくらでもひねり出せます。
ただ、撮るのは簡単でも、形にするにはとてつもない労力が要ります。
そのため、全体で90分程度に収まるように項目を取捨選択してから、撮影に取りかかってください。
撮影は3時間、編集には2ヶ月を見込む
撮影そのものは、3時間もあれば十分にできます。
時間がかかるのはその後の編集で、編集作業に要する時間は膨大です。
Hホームの案件で私がいただいている期間は約50日ですが、どうも押しそうなので、あと10日いただいて合計2ヶ月で完成させる予定です。
編集の得意な社員を見つけて80点を目指す
住宅会社が動画制作の業者に丸投げすると、相当な経費がかかります。
なので、可能な限り自社の社員を使い、映像の編集が得意な社員を見つけて、なんとか作ってください。
第三者に販売するマニュアルではないので、ある程度の精度が保てれば全く問題ありません。
80点程度を目指してチャレンジしてください。完成までには相当な汗を流さなければなりませんが、一度できてしまえば「大変だったけど作ってよかったな」と思えることを、私が断言します。
まとめ
住宅営業マニュアルは、文章よりも動画で作るほうが営業社員にとって分かりやすく、これからの時代はどう考えても動画になります。展示場の商品説明、社員が演じる接客ロールプレイ、お客さんの性格や競合を想定した場面の3つのパートを、90分程度に収めて撮るのが私の作り方です。
ぜひ本記事の撮影の手順を参考に、自社の展示場で玄関ホールの説明シーンから1本目の動画を撮ってみてください。



