会社の大小は関係ありません。
少数精鋭であろうが、従業員1,000人越えの大会社だろうが、住宅営業と名の付く社員を抱えている会社であれば、何らかの教育マニュアルがあってしかるべきです。
普通はこれを文章にまとめて整えているケースが圧倒的に多いのですが、私のお勧めはズバリ動画です。
今日のコラムは、今私がまさに取り掛かっている、ある小規模工務店の展示場接客マニュアルについて話を進めていきましょう。
結論を先に話しますが、教育マニュアルは動画につきます。
これほど分かりやすいものはありませんし、その動画をユーチューブ上に上げておけば、いつでも簡単にアクセスすることができるので、これ以上便利なことはありません。
今回のコラムを読んだのをきっかけにして、みなさんの会社でもぜひ動画を活用した営業教育をしてください。
これほど分かりやすく、かつ成果の上がる手法はないと私の経験上断言いたします。
Hホーム展示場の接客マニュアル
最初は文字ベースで作成を考えていた
この会社は展示場を1つ所有しているのですが、当初は一般的な文字ベースでの接客マニュアル作成を考えていました。
私もそのつもりでお引き受けして打ち合わせを進めてたのですが、私自身がyoutubeを3チャンネル運営していることもあり、動画の効力や効果を肌で感じていました。
ですから社長に、今回の営業マニュアルも動画で作ったらどうでしょうかという話をご提案したのです。
社長は二つ返事でOK
社長は私の提案に二つ返事でOKをくれたので、さっそくシナリオを書いて撮影に取り掛かりました。
これ自体は3時間もあれば充分できてしまうのですが、問題はその編集になります。
編集作業をやった方ならわかるはずですが、これにかかる時間は膨大なもの。
私が今回いただいている時間は約50日ですが、どうも押しそうなので、あと10日いただいて合計2ヶ月で完成させる予定です。
どんな構成で作ればいいのか
①全体の流れはどうするか
私の作り方になりますが、それをお話ししましょう。
まず初めに展示場の入り口から入ってすべてを流すように撮影するのですが、展示場の間取りや商品の説明をするシーンを徹底的に撮ります。
例えば玄関なら、ポイントはこのような感じでしょう。
・ 玄関ホールに使われている床の素材
・ シューズクロークには何足入るのか
・ 上り框の読み方や高さについて
・ 光の採り方はどうしているか
・ 玄関の素材や施錠方法
・ 玄関脇クローゼットがあるのならばその説明
ざっとこのあたりでいいでしょう。
例えば、玄関ホールの床の素材ですが、簡単に言ってしまえばタイルとなります。
それを踏まえた上で、タイルのメリットやデメリット、さらには10cm角のタイルもあれば30cm角のタイルもあるので、その違いなども説明として動画で撮ります。
これだけの情報があれば、実際にお客さんと玄関に立った時に下を見ながらちょっとした話ができるでしょう。
試しにみなさんの会社にいる若手の営業マンに聞いてみてください。
「10cm角のタイルと30cm角のタイルは何が違うのか?」
答えられそうで、案外答えられないのがこの質問でしょう。
玄関ドアの素材も同じことです。
断熱性も商品によって全然違いますし、防犯に関してもツーロックが当たり前ですし、商品によってはさらに防犯性能を高めたものもあるでしょう。
お客さんを接客した時、防犯に関して興味を抱いていることを察知した場合は「弊社が標準で使っているドアは防犯に特に注力した〇〇社製の特殊なものになります」といった話ができるでしょう。
このように、どこまでマニュアルに入れるかは難しい問題になりますが、膨大な情報を動画の中に入れ込んでいくのです。
ところが、これらを文章で書かれたらどうでしょうか。
もちろん、文章でもいいのですが、やはり動画を見ながら、さらにはそれに該当するような商品や補足説明を小窓に貼り付けながら説明していけば、見る方としては非常に簡単に理解することができるでしょう。
このような形で、玄関ホールから始まりキッチン、リビング、ダイニング、トイレ、お風呂と各場所について同じような発想で撮影をしてください。
これだけでも30~40分にはなるはずです。
②役者を投入する
役者といってもプロの役者を使う必要は全くありません。
社員で分担し営業社員役、旦那さん役、奥さん役を設定して演技をしてもらいましょう。
この写真を見てください。
この写真はHホームとは別の会社になりますが、やはり同じように展示場のマニュアルを作成中です。
このシーンは私がカメラを持って撮影したシーンのキャプチャーになりますが、ここでは展示場に備え付けてあるワインセラーについて会話を交わしてもらっています。
こんなシーンも設定しました。
客 「これは何ですか」
営業「ワインセラーになります。そして横にはグラスをかけるための場所もとってあります。ところでワインはお好きなんですか?」
客 「私はさほど飲まないんですけども妻が好きなんですよ」
営業「それでしたら新築のこの機会にワインセラーなど作ることをお勧めしますよ。予算はさほどかかりませんので検討されてみてください。生活の質がグッと上がりますよ」
こんな会話をしているシーンです。
このシーンではお客さんが「ワインが好きだ」答えるパターンもあれば、全くワインを飲まないパターンもあるでしょう。
それぞれのシーンを撮影して、それに対してどんな答えをすればいいのかを動画で撮影するのです。
これに付随して目の前にキッチンがありますが、奥さんに対して料理が好きかどうかを確認するシーンも撮影します。
これに対しても、奥さんの答えによっていろいろな営業の対応トークが考えられますが、2パターンか3パターンぐらいを想定して撮影するのです。
組み合わせは無限にありますのでこれ以上はできませんが、複数パターンを撮影して動画に納めれば、営業社員が普段デスクで広げているノートパソコンを操作することにより、このシーンが目の前に現れます。
「ワインが好きっていうふうに答えたらこんな感じで答えればいいんだよな」
といった形で肩肘張らずに勉強ができるのです。
③お客さんの性格や設定を色々変えて撮影
何もしゃべらないお客さん
たまにいますよね、このような方が。
映像にするのは難しいのですが、無口なお客さんに対して何とかして話してもらうような問いかけ方法は何か?を念頭において撮影します。
〇〇ホームが気に入っています
これは競合対策と考えればよいのですが、あなたの会社でよく競合する住宅会社を想定してください。
その上で、お客さんがその会社の展示場に行って非常に気に入ったとの設定にするのです。
天井高を例に挙げましょう。
客 「天井高の標準は何センチですか?」
営業「 弊社は2,400cmになります」
客「〇〇ホームは2700cmが標準だと言っていましたよ。ずいぶん違いますね」
このように言われたらどうでしょうか。
あなたとしては、30cmも競合会社に天井高が負けているわけですが、ここで動揺してはいけません。
なぜ 2,400cmなのかということを、理論的にお客さんに話すのです。
このような形で、競合会社を気に入ったお客さんが口にしそうなことを皆さんで話し合った上で、それを動画の中で役者役に演じてもらうのです。
これが細かくなればなるほどその会社に対する競合力が増してくるのは、言うまでもありません。
ネタは無限に出てくる
こうして書いていくと、ネタはいくらでもひねり出すことができます。
無限に動画を撮ることが可能なのですが、前述したように撮るのは簡単でもこれを形にするにはとてつもない労力を必要とします。
ですから、全体でせいぜい90分程度に収まるぐらいに項目を取捨選択して撮影に取り掛かってください。
完成させるには相当な汗を流さなくてはいけませんが、一度できてしまえば「大変だったけど作ってよかったな」と必ずなることを私が断言しましょう。
まとめ
動画で営業マニュアルや教科書を作る。
これからの時代はどう考えてもこうなります。
ただ、業者に丸投げすると、相当な経費がかかることはいうまでもありません。
ですから、可能な限り自社社員を使い、映像の編集が得意な社員を見つけてなんとか作ってください。
第三者に販売するわけではありませんので、ある程度の精度が保てれば全く問題ありません。
80点程度を目指してチャレンジしてみましょう。