住宅展示場の集客方法|一条工務店帰りの想定外の客の体験談

住宅展示場の集客方法|一条工務店帰りの想定外の客の体験談

住宅展示場の集客でネットからの来場が増えても、来場したお客さんが他社で聞いたC値や保証期間を持ち出し、営業社員が答えに詰まったまま接客が終わる場面があります。

関西のローコスト住宅会社の展示場に、ネットで見つけて来場した30前後の夫婦は、一条工務店で聞いた気密性、60年保証の話、さらにその住宅会社が8年前に建てた住宅のコケの写真まで持ち込みました。住宅展示場の集客では、来場者を呼ぶ施策と、来場客が持ち込む情報に答える準備を一緒に考える必要があります。

本記事では、事務所のカメラで私が一部始終を見た接客の体験談をもとに、住宅展示場の集客方法と来場前に整えておく準備を解説します。

ネット集客で住宅展示場に来た夫婦の15分間の褒め言葉

私は関西地方のある住宅会社を、この半年ほど毎月のように訪問しています。先月、その住宅会社の住宅展示場に面白いお客さんが来場しました。

来場したのは30前後のご夫婦で、ご主人は几帳面というか、まじめですがちょっとクセを感じる人でした。

その反面、奥さんは最後までほとんど話さなかったという印象です。

ありふれた普通のご夫婦でしたが、事務所のカメラで接客を見ていた私は、一部始終をかぶりつきで観察することになりました。

それほど想定外のご夫婦だったのです。

ご主人は、接客が始まってから15分ほど、展示場をやたらめったら褒め続けました。

「素敵ですね~」「こんな家に住みたい!」くらいの言葉はよく耳にしますが、ご主人の褒め方は常軌を逸していました。

「偶然ネットで見つけたのですが運命の出会いかもしれません」

「こんな秀逸なデザインがあったのですね」

「経営者の方も素晴らしいではないですか」

「どうしたらこんなハイセンスな設計ができるのですか」

ご主人は高いテンションで、こうした言葉を言い続けました。いつもは私だけがモニターをのぞき込んでいますが、このときは近くにいたほかの営業社員もぞろぞろと寄ってきて、大盛り上がりになりました。

「なんすかこれ!なんでこんなに褒めるの?(笑)」

一条工務店の集客力を見せつけられた住宅展示場での質問攻め

不動産が専門の方はピンと来ないかもしれませんが、新築住宅の分野では一条工務店の営業力はつとに有名です。

「おたくのC値はいくつですか?」

「サッシはどんな素材を使ってますか?」

来場客からこうした質問が飛んでくると、私は「一条工務店に行って洗脳されたな」と反射的に思ってしまうほどで、一条工務店はすごいと私も思っています。このご主人もまさにこのパターンで、すっかり洗脳されてきたのがありありと分かり、接客した営業社員はたじたじの状態になりました。

いくら説明しても伝わらなかったC値の話

ご主人は、C値(住宅のすき間の量を表す数値)について、こう切り出しました。

「一条工務店では気密性が弊社は日本一と言っていましたが、妻は極度の寒がりなのであれはいいと思ったんですよ。おたくのC値はかなり劣っているのですか?」

正確に比較すれば、一条工務店の数字はやはり日本一でしょう。

ただ、現実論を言えば、住宅の気密性があそこまで高くなくても問題があるとは私は思いません。

それでも一条工務店を絶賛するお客さんが多いのは事実で、一条工務店はマーケティングというか、オペレーションがうまいと私は思っています。

一条工務店と競合したときにC値を聞かれた場面の答え方は、一条工務店との競合で使うトークで解説しています。

営業社員は、ご主人にあれこれと説明しました。

「一条さんは素晴らしいですが、弊社で建てても住み心地で不満に感じることはないと思います」

しかし、ご主人にはいくら説明しても分かってもらえませんでした。

ローコスト住宅は手を抜いているという言葉

この住宅会社はローコスト住宅の会社なので、全国区のハウスメーカーのような高い仕様を標準装備にしておらず、そもそも全国区のハウスメーカーに対抗しようとも考えていません。ところがご主人は、その点にも絡みまくりました。

「ローコストというと安い分だけどこかで手を抜いていないと筋が通らないと思うのですよね」

遠回しに言うお客さんはたまにいますが、「手を抜いている」という直接的な表現を私は初めて聞いて驚きました。ローコスト住宅会社の営業社員がこの言葉にどう答えているのかは、私も聞いてみたいところです。

室内の界壁をたたき出した

私を含めて4人でこの接客を見ていたところ、ご主人はやおら椅子から立ち上がり、壁をたたき始めました。

軽く「コンコン……」という感じです。

そしてご主人は、はっきりした大きな声で畳みかけてきました。

「なんだか軽い音がしますね。中はどうなっているのですか?」

中はどうなっているのかと聞かれても、ごく一般的な仕様なんですけどね(笑)。

しかも、ご主人がたたいたのは外壁ではなく、室内の界壁(かいへき)です。

コンコンとたたいて何が分かるのだろうかと私は思いましたが、ご主人は納得できない様子でした。

「保証期間は今どき60年でしょ?」と住宅展示場で迫られた

ご主人は、住宅の保証期間にも突っ込んできました。

「60年間の保証は当たり前だと思います。ローコストだからといってもそれはおかしいと思いますがね」

ここまで突っ込んでくるお客さんは、私も初めてです。接客した営業社員は、接客が終わった後に「まいったな~ 勘弁してよ~」と愚痴を言いながら事務所に戻ってきて、とにかくさんざんだったようです。

ハウスメーカーの保証期間合戦

各ハウスメーカーの住宅の保証期間は、20年前と比べて大幅に伸びており、これはハウスメーカーの大きな罪だと私は確信しています。

10年だった保証が20年、30年となり、今では60年保証をうたう住宅会社がごく一般的になりました。

なかには100年保証を掲げる住宅会社まであるようですが、100年間の保証などほぼ有名無実で、意味がないと私は思います。

社歴の倍以上を保証するという話

60年保証をうたうある住宅会社は、創業したのが25年前です。

社歴の倍以上の期間を保証すると言われても、私は首をかしげてしまいます。

ところがお客さんは、保証期間が長いと「なんだかすごーい」と受け止めてしまいます。

私は60年という保証期間をナンセンスだと思っていますが、そこは大手ハウスメーカーで、知名度というか看板の力でお客さんを信頼させているわけです。

誤解のないように言っておくと、私は60年保証をうたうハウスメーカーを「そんなの嘘だ」と糾弾しているわけではありません。

ただ、そんな長期間の保証が実際に履行されるのかという漠然とした不安を、私は感じています。

50年保証の検討を始めたローコスト住宅会社

実はこのローコスト住宅会社でも、周囲の環境からやむを得ず、50年保証にするかどうかを検討していました。

住宅展示場の現場で、お客さんから保証期間をあまりに突っつかれるので、住宅会社としてやむを得ず動き出したのです。

最終的には社長の判断になり、この原稿を書いている段階ではまだ決まっていませんが、おそらく50年保証の体制を打ち出すと私は感じています。

保証の体制を見直すときに押さえておきたい住宅設備保証の考え方は、住宅設備保証の重要性で解説しています。

築8年の自社物件の写真を見せて帰っていった夫婦

ここまでくると病的だと言わざるを得ませんが、ご主人は、このローコスト住宅会社が8年前に建てた住宅の写真を取り出して営業社員に見せました。今度はどんなダメ出しをするのだろうかと、私はカメラにかぶりつきになりました。

北側の外壁にコケが付いた写真

「白い外壁だと思うのですが北側に緑のコケらしきものがへばりついて見るも無残な状態になっています。これから新築してもこうなるということですよね?」

これには私もまいりました。

写真の内容は事実なので、営業社員は言い返しようがありません。

私は写真を直接見ていませんが、営業社員に聞くと、緑がかったコケがびっしり付いていて、物件も間違いなくこの住宅会社のものでした。

その住宅は川の隣にあり、コケが付いたのが北側だったことも影響しているのでしょう。

湿気が原因なのは明らかですが、それでもそこまで汚くなるのは論外だと私は思います。

カメラ越しにも、営業社員が答えに窮してしどろもどろになっているのが分かりました。

15分褒めてから叩いて溜飲を下げた

このほかにも面白い場面はまだありましたが、紙面の都合でここまでにします。それにしても、変わったお客さんはいるものです。

お客さんが最初からけんか腰ならまだ分かりますが、ご主人の最初の15分は、結局のところ褒め殺しだったのでしょうか。

ご主人はその後けちをつけまくって溜飲(りゅういん)を下げ、すっきりと帰っていきました。

意図的に持ち上げてから叩くというストーリーを、ご主人は最初から描いていたとしか私には思えません。

体験談から考える住宅展示場の集客方法

このご夫婦は、ネットでこの住宅会社を見つけ、一条工務店で聞いた数字と、ほかのハウスメーカーがうたう保証期間を物差しにして来場しました。

来場客から出た質問ごとに自社の答えをそろえる

この接客で実際に出た質問は、C値、サッシの素材、ローコストの理由、保証期間でした。

住宅会社は、来場客から出た質問を一つずつ書き出し、自社の数字と「なぜその仕様にしているのか」を1枚にまとめておくと、どの営業社員が接客しても同じ説明ができます。

ローコスト住宅会社の場合は、全国区のハウスメーカーの仕様に対抗しない理由まで書いておくと、「手を抜いている」と言われたときに営業社員が言葉に詰まりません。

C値のように数値を比べたがる来場客への対応は、性能にこだわる客の接客で解説しています。

来場前の段階で、標準仕様と価格の考え方をSNSやホームページで発信しておく方法もあり、その進め方はハウスメーカー・工務店のSNS集客で解説しています。

OB物件の外観を来場客より先に見て回る

ご主人は、この住宅会社が8年前に建てた住宅の写真を持ってきました。

住宅会社は、川沿いの敷地や北側の外壁など、湿気の影響を受けやすいOB物件を一覧にし、定期点検のときに外壁の汚れも確認しておきます。

汚れが見つかったOB物件には外壁の洗浄やメンテナンスを提案しておくと、来場客に写真を見せられたときにも、営業社員がその後の対応まで説明できます。

まとめ

関西のローコスト住宅会社の展示場へ来場したご夫婦は、ネットでこの住宅会社を見つけ、15分間褒め続けた後、一条工務店の気密性、60年保証、8年前に建てた自社物件のコケの写真を次々に持ち出して帰っていきました。来場者を呼ぶ集客の施策が実っても、来場客が持ち込む情報に答える準備が無ければ、接客は営業社員がしどろもどろになったまま終わります。

来場客から出た質問ごとに自社の答えをそろえることと、OB物件の外観を来場客より先に確認しておくことは、どちらも集客の施策と並行して始められます。

ぜひ本記事の体験談を参考に、来場客から実際に出た質問と自社のOB物件の状態を、住宅展示場の集客方法と一緒に見直してください。

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