第二のウッドショックは来る?住宅会社が警戒する3つの引き金

前回のウッドショックは一旦収束し、木材自体は手に入るようになったので、以前と比べれば状況はずいぶん改善されました。それでも資材の単価は上がったままで、感覚的にはウッドショックがいまも続いているような気がします。
住宅関係者の間では、ロサンゼルスの山火事、世界各地で増える山火事、ロシア産の紛争木材の3つをきっかけに、第二のウッドショックが遠くない未来にやってくるという見方があります。すでに体制を整え、木材を押さえにかかっている住宅会社も結構出始めているようです。
本記事では、私が日々接する住宅関係者から漏れ伝わってくる第二のウッドショックの危険性と、工務店・住宅会社が取れる備えを解説します。
第二のウッドショックが住宅会社で警戒される理由
ウッドショックは、住宅用の木材が足りなくなり、価格が急に上がる状況を指します。木材自体は手に入るようになったとはいえ、住宅会社にとって、再びウッドショックがやってこない保証はどこにもありません。
直近のウッドショックの印象が強いため、後にも先にもあの1回しかなかったような錯覚を起こしがちですが、4年前に発生したウッドショックは実は3回目に当たるものでした。大きな地震が一定の期間を経て起こるのと同じように、ウッドショックもこの先また起こると思ってほぼ間違いないと私は考えています。
問題はその時期ですが、ロサンゼルスの山火事やロシアの戦争といった要因が引き金となり、第二のウッドショックが比較的早く起こる可能性があります。
住宅会社が警戒する第二のウッドショックの3つの引き金
ロサンゼルスの山火事が呼んだ「木材がなくなる」という連想
ロサンゼルスの山火事はまだ完全鎮火に至っておらず、わずか数秒でアメリカンフットボールのコート一面分がなくなっていくほどの勢いだそうです。
山火事で燃えるのはもちろん木なので、ニュースを見て「あっ!」と思い、家に使う木材がなくなるのではないかと連想した住宅関係者が結構います。
燃えた木が住宅用に輸出される予定だったなら問題ですが、普通に山に生えている木が燃えても住宅には影響しないだろうという意見もあります。それでも私は、心理的な影響が実は大きいと見ています。
株価の変動は、すべてが論理的に説明できるものではありません。
投資家心理によって、株価上昇のしっかりした裏付けがないにもかかわらず、ご祝儀的な相場で株価が上がることはいくらでもあります。
第二のウッドショックについても似たことを話す住宅関係者が多く、ロサンゼルスの山林の消失が「木材がなくなるからウッドショックの原因になるのではないか」という疑心暗鬼を引き起こしています。
私も、こうした話をあながち聞き捨てるわけにはいかないと考えています。
世界各地で増え続ける山火事
ロサンゼルス以外でも、世界各地でかなりの山火事が起きています。スペインやポルトガルなどで大きな山火事があるとすぐに世界配信され、日本にいる私たちの耳にも届きますが、それ以外の山火事はニュースにもなりません。
世界規模で見ると、山火事は明らかに増えており、焼失面積も激増しています。住宅建設に使う予定だった山がなくなっているケースも多々あると考えられるので、山火事が木材などの部材の高騰を招く可能性は十分にあると私は考えています。
ロシア産の「紛争木材」と長引く戦争
木材業界には「紛争木材」という特殊な用語があります。
現在の世界情勢では、ロシアの例が最も分かりやすいでしょう。
ロシアとウクライナは戦争中で、ロシア産の木材は紛争木材と位置付けられ、基本的には使わないようにしようという流れがあります。
紛争当事国の木材を買えば、その国の利益となり、その利益がミサイルや戦車となって戦争の終結を遅らせてしまいます。木材の供給におけるロシアの影響は極めて大きく、戦争が長期化しているため、ウッドショックの危険性は引き続き存在しています。
ウクライナ戦争が始まる直前に、ロシアの製材工場を買収した会社がありましたが、その会社は戦争開始と同時に頭を抱えたことでしょう。まさかこんな戦争が起こるとは誰も思いもよりませんし、私たちに予見することなどできるわけがありません。
前回のウッドショックで工務店が直面した木材不足
前回のウッドショックで、住宅業界の世界は変わったと私は感じています。あのときの住宅会社や工務店は、何が起こったのか分からないという状況でした。
九州の材木卸問屋にも回せる木材がなかった
私も様々な住宅関係者から声をかけられました。関東の住宅会社の社長からは、次のように相談されました。
「木を融通してくれそうな建材会社を知りませんか」
私はその社長に、九州の材木卸問屋を紹介しました。
九州から関東へ運べばコストも上がって大変ですが、背に腹は代えられません。
いくらお金を出しても買えない状況だったので、関東の社長にとっては部材を確保できるだけでもましだったからです。
しかし、紹介した九州の材木卸問屋の社長の答えは次のようなものでした。
「申し訳ないけど回せる木材はない」
前回のウッドショックでは、単価がどうこうという前に、部材そのものがないという状況だったのです。
施工面積の縮小が住宅フランチャイズ本部まで及んでいる
ウッドショックの影響は、その後の住宅価格の高止まりにも大きく影を落としています。新築するお客さんの数が減ると同時に、一棟あたりの施工面積がどんどん減っているのが業界の実態です。
一棟あたりの施工面積が減っていることは、住宅フランチャイズの本部も直撃しています。
加盟店が受注する数がそのまま本部の利益に跳ね返る仕組みなので、受注棟数が同じであっても施工面積が減れば、加盟店から本部に発注する木材の量が減り、本部の利益を圧迫します。
すべてが連鎖するため、ウッドショックの影響は住宅フランチャイズの本部にも影を落としているのです。
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木材を先に押さえる住宅会社と第二のウッドショックへの備え
外国に工場を持つ住宅会社の役員の話
第二のウッドショックの噂が耳に入れば、それなりの規模がある住宅会社は先手を打ちます。
事業を続ける限り、住宅会社は木材を買い続けなければいけないので、若干の費用やリスクを伴っても、ウッドショックの再来に比べればましだからです。
外国に工場を持つある住宅会社の役員の方は、こう話していました。
「うちはもう先手を打ってあるので、もしウッドショックが来ても基本的には問題ないですよ」
現時点では、木材を押さえる動きはごく一部の住宅会社で起こっているだけです。
ただ、住宅業界は狭い業界なので、噂が広まればあれよあれよと皆が動き出す可能性は十分にあると私は思っています。
私にパニックを引き起こそうという気はさらさらありませんが、噂があるという事実だけは、工務店の経営者も頭の片隅に留めておいて損はないでしょう。
先物買いかRC住宅への転向か
前回もそうでしたが、住宅会社がウッドショックに対応するには、いわゆる先物買い的な行動を起こすか、木造を放棄してRC住宅に転向するぐらいしか手はないと私は考えています。現実論としてはそこまで考えていられないと思いますが、もし再びウッドショックが起こったらという心構えだけはしておくべきです。
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商談の雑談で第二のウッドショックの話をする
いま家を検討しているお客さんにウッドショックの認知度を聞いたら、次のように答えられれば良い方で、多くのお客さんは言葉すら知らないかもしれません。
「なんかそんな話ありましたね……」
お客さんを脅すわけではありませんが、私は、本記事の内容を住宅営業が雑談の一部としてお客さんに話してもいいと思います。未知の話ではありますが、情報の取捨選択をするのはお客さんなので、問題はないでしょう。
まとめ
第二のウッドショックは、ロサンゼルスの山火事が呼んだ連想、世界各地で増える山火事、ロシア産の紛争木材の3つをきっかけに起こる可能性があります。4年前のウッドショックが3回目だったように、ウッドショックはこの先も起こると思ってほぼ間違いないでしょう。
外国に工場を持つ住宅会社のように木材を先に押さえる動きはまだ一部ですが、狭い業界で噂が広まれば、多くの会社が一気に動き出すかもしれません。工務店としては、もし再びウッドショックが起こったらという心構えだけはしておくべきです。
ぜひ本記事の第二のウッドショックの3つの引き金を参考に、自社の木材の仕入れ先とお客さんへの説明を見直してください。



