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2030年を見据えてZEHが動き出す

2030年を見据えてZEHが動き出す

ハウスメーカーや地域の有力ビルダーは問題なく対応しているはずですが、小規模工務店に中にはZEHを甘くとらえているケースがかなりあるのが現状です。

ZEHについては少し前にこのコラムでも取り上げましたが、 やはりまだまだ危機意識のない小規模工務店の皆さんと、すでに動き出している住宅会社の差が顕著になっている気がします。

6月に入るとこの問題をメインにしたセミナーを、5回すでに予定している私ですが、 セミナーの依頼主が私にこのような内容を指定するわけですから、世の中が三年前とは激変しているという証拠でしょう。

ZEHに関してつい最近あった話なども交えて今回のコラムを進めていきたいと思います。

2030年を見据えてZEHが動き出す

「ZEHを甘く見ていたよ」と後悔した一人親方

つい最近あった話をします。

家族経営の工務店ですが、今の社長は先代から続く三代目のベテラン大工です。

Aさんとしておきましょう。

Aさんは60代後半の現場歴50余年の超ベテランです。

一人親方という言葉の響きから、腕はあるが頑固で人の話を聞かないというイメージを持たれがちですが、Aさんは建築を極めて理論的に捉えており、耐震性については一時間ぐらい楽にさまざまな論点から語れる能力を持っています。

ただ、昔から国が推進する方向性に関してかなり疑問を持っており「〇〇はハウスメーカーと結託して推進している内容だからダメだよ」「〇〇はある圧力団体からかなり国交省に対して強いプッシュがあったみたいだね」と切って捨てる傾向がありました。

今回のZEHに関しても、大まかな方向性としては反対しないものの、高気密高断熱に住宅を持って行く姿勢に対して 完全に異を唱えています。

現実的にものを考えるAさんなので「2030年までにはなんとか対応せざるを得ないのが現状だろうね」と理解はしているのですが、今すぐに対応することに関してはかたくなに抵抗し、お客さんにもそのように主張してしまうのです。

実際にこんなやり取りがあった

私は現場を見たわけではありませんが、つい先日Aさんからこんな話を聞きました。

「一か月ぐらい前かな~ 図面を2回ほど出して順調に進んでいた人がいたんだけども、急にZEHの話をしだしたんだよ。僕はまだ対応する必要はないと言ったんだけども、お客さんは絶対に引き下がらないんだよね。結局それっきりだよ」

どうやらこのお客さんは、親戚からZEHのことを吹き込まれたようで、ZEHに対して後ろ向きなAさんに対して決定的な不信感を抱いてしまったのです。

Aさんは実に頭脳明晰で、建築に対する理論や思想は確固たるものを確立しているのですが、それゆえに自分が信じていることは、お客さんに対してもガンガンと主張しすぎることが多いのです。

Aさんの性格にはまるお客さんは心酔してしまうのですが、 今回のように決定的な決裂を生んでしまうことも多いのです。

それでも構わないという方ならいいのですが、ZEHに関しては絶対に得策ではありません。

世の中がZEH推進へ進んでいる以上、これに抗うのは究極の悪手だと私は考えます。

ZEHに的を絞ったセミナーを依頼された

6月の末ですが2日間にわたって、ある県でリアルセミナーを行ないます。

主催する社長と私はリモートによる打ち合わせでこんな会話をしました。

社長「お久しぶりですね。リアルセミナーをお願いしたのはコロナ前ですからもう三年経ってしまいましたが、久々にこちらに足を運んでもらって2日間のセミナーをやってもらいたいんですよ」
私 「ZEHについてですよね。どんな内容ですか?」
社長「うちの取引先でもZEHに対する認識がまだまだ低い工務店さん多くて困っているんですよ。そういった社長さんたちにガツンと言ってあげてほしいんですけど」
私 「いいですよ。ガツンと言いましょう(笑)」

工務店をお客さんとしている会社にとっては、彼らの衰退はイコール自分たちの衰退につながるので、何がなんでも小規模工務店の皆さんには生き残ってもらわないと困るのです。

ですから、ZEHについて過敏になっているのですね。

本来なら社長が工務店に向かって「いい加減にしてくれ! 早く目を覚ませ!」と言いたいのですがそこはお客様ですのでそんなことを言うわけにはいきません(笑)

そこで私が登場となるのです。

私は部外者ですので好き勝手言えますし、コンサルタントという肩書きですので、なおさら堂々と構えて言い切ることが可能なのです。

事前にZEH推薦の啓蒙ビデオを作成

社長はエンジン全開で、このセミナーに対する気合いの入れ方は半端ではありません。

なんといっても、わざわざ事前にゼッチ啓蒙のビデオを作成したぐらいですから、その気持ちは想像に難くありません。

もちろんこのビデオはセミナー以外にも使うわけですが、 今回のセミナーがそのお披露目となります。

ビデオの構成や企画、さらには編集もすべて私が担当し、 撮影だけを外部のプロフェッショナルにお願いしたビデオです。

このビデオはおそらく全国の3,000社程度の工務店さんが この2~3年の間に見る事になると思いますので、もし目にとまったら「あのコラムで言ってたやつだ」と思ってください。

ただしZEHを既に推進している方には、何の意味もないビデオです。

某パワービルダーは徹底的にZEHを推進

女性,商談

名前を聞けばかなりの人が知っているだろうと思われる有名パワービルダーがあります。

つい二年ほど前までは、こちらの会社でもZEHは推進していたものの、営業社員から率先してお客さんに提案するような営業方針は取っていませんでした。

ところが、昨年からこの方針を大きく転換し、お客さんを接客する際には、ZEHの話を早い段階で切り出すようになったのです。

お客さんのZEH認識率は今現在で半分程度らしいのですが、 今後は他の大手メーカーもZEHを前面に押し出してくるので、この認知率が急激に上昇すると私は思っています。

大手やパワービルダーが煽れば、お客さんも「今後の家づくりはZEH仕様が当たり前なんだ」となるのが自然の成り行きでしょう。

このように脳内にインプットされたお客さんが、あなたの工務店に足を運んだとしましょう。

当然ZEHの話が出てくると考えているはずですが、あなたからZEHの話が全く出てこなければ、どのように感じるでしょうか。

「〇〇ハウスの営業さんは、これからの時代ZEH仕様が当たり前ですと言っていたのにこの人は話すらしないな」

こう思われてしまい、信頼を失うことは明らかです。

周りがこのような現状になっているので、まだZEHに対して後ろ向き、もしくは見て見ぬふりをしている工務店があればすぐに方針を転換してください。

ちなみに、セミナー依頼を受けた社長の会社は住宅会社ではないのに住宅展示場を自前で所有しています。

取引先の工務店にそこを自由に使ってくれ、という趣旨なのですが、もちろんそこはゼッチ仕様であり全館空調仕様になっています。

まとめ

ゼッチに関してコラムに書くのはこれで2回目ですが、しばらくしたらまた書きたいと思いますし、さらにしばらくしたら再度書こうと思っています。

なぜしつこく食い下がるかというと、ZEHは国策でありこれについて行かないと、工務店の存続が危うくなるという私からのメッセージだからです。

既に動いているところはそのまま前進してください。

後ろ向きの方は今日から方針転換を図ってください。

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森住宅コンサルタント株式会社 森 雅樹

森住宅コンサルタント株式会社 森 雅樹

積水ハウスと超零細工務店での営業経験を積み独立。現在は工務店のコンサルティングや、セミナー、執筆などをメイン業務に活動。現場見学会は企画から携わり、営業マンロープレも自らが設定を考え客役となり実施。国土交通省の認可組織である住活協リフォームにおいては全国加盟店向けに営業アドバイスなどを行う。 twitter・・https://twitter.com/iezukuri21 Instagram・・https://www.instagram.com/iezukuri21/ note・・https://note.com/91008082 youtube・・https://www.youtube.com/user/mo9100/videos

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