工務店のリフォーム受注はOB施主から|築17年宅への訪問体験談

工務店のリフォーム受注はOB施主から|築17年宅への訪問体験談

新築の着工戸数が大きく減るという予測は、工務店の経営者なら何度も目にしているはずの数字です。

それでも工務店のみなさんは、まだまだのんびりしています。

実際には、工務店の経営者の本音は「わかってはいるけど簡単に対応策なんて打てない」というところだと私は思います。

工務店がリフォームで活路を開くなら、狙う相手はこれまで家を建てたOB施主です。

私が建築後17年のOB施主宅へノーアポで同行訪問したとき、出てきた奥さんは「ちょうどよかったわ!」と言い、工務店にその場で給湯器とシステムキッチンの見積もりを依頼しました。

本記事では、新築激減の予測データと、工務店がOB施主からリフォームを受注するための訪問の進め方を解説します。

新築が激減する時代に工務店がリフォームへ進出すべき理由

新設住宅着工戸数は2030年度に63万戸まで減る見込み

野村総合研究所は、新設住宅着工戸数が2018年度の95万戸から、2025年度には73万戸、2030年度には63万戸まで減ると予測しています。

利用関係別に見ると、2030年度には持家が20万戸、分譲住宅が16万戸、貸家(給与住宅を含む)が27万戸になる見込みです。野村総合研究所は、相続税制改正による貸家の供給増加が定着した場合、年間5万戸程度の上乗せがあるとも見込んでいます。

この予測の推移を表にしたものが下の画像です(国交省データより)。

新設住宅着工戸数の実績と2030年度までの予測をまとめた表

2018年度から2030年度までに、新築の着工数は30%以上減る計算になります。

もちろん推測値ではありますが、私が工務店経営者であれば焦りまくり、会社の体力や受注残があるうちに対策を練ります。

2030年になって「新築契約が全然取れないよ」と天を仰いでも遅いと、私は工務店の経営者に強く警告したいと思います。

新築を主軸にしながらリフォームにじりじり進出する

住宅業界では「新築が激減する代わりにリフォームが伸びる」という話が、ずいぶん昔から言われてきました。

大手住設メーカーも数年前に「リフォームの時代だ!」と意気込んで仕掛けましたが、それからぱっとしない状態が続いています。

ただ、ロケットスタートはできていないものの、リフォームがじわじわと伸びているのは事実で、国もストック産業の推進へ明確に舵を切って音頭を取っています。

こうした事情を考えると、工務店が新築をやめてリフォームに業態を変えるのは極端な話です。

私は、工務店は新築をメインに据えながら、リフォームにじりじりと進出するのが正解だと考えています。

新築を軸にしながらリフォームへ進出するときに最初にやることは、新築中心の工務店のリフォーム受注の始め方で解説しています。

工務店がリフォームの新規客を宣伝で取りにいっても勝てない理由

私は、新築しかやっていない工務店に、いきなりリフォームの宣伝を始めるよう勧めているわけではありません。工務店がよほど戦略的にやらないと、虻蜂取らず(あぶはちとらず)で会社がダメになりかねないからです。

「リフォームも始めました」

「なんでもやりますのでお気軽にご連絡を」

どちらもありがちなキャッチコピーですが、新築専門の工務店がいかにもついでに始めたという感じが否めません。

私は23年間にわたって住宅会社のコンサルティングを行っていますが、このパターンが一番ダメです。

やっつけ仕事感が半端ないうえに、「リフォームもやったら少しは儲かるかな?」という雰囲気が色濃くにじみ出てしまいます。

そもそもリフォームの市場には、リフォーム専業会社がひしめいています。そこへ後発で、リフォームについては素人の工務店が打って出ても、勝ち目はありません。

建築後17年のOB施主宅へノーアポで訪問した体験談

私は、国交省の認可団体である全国組織のリフォーム団体に深く関与しています。

国交省のホームページにも掲載されているこの団体に向けて、私はリフォーム営業マニュアルを作成しました。

マニュアルを作るにあたり、私は5都府県を回って実際にお客さん宅を訪問し、ネタを集めました。

ある県では、建築後17年が経った家を、新築を担当した工務店の方と一緒にいきなり訪問しました。

「クレームを拾いに行くだけでは」と渋った工務店の営業担当者

誤解のないように補足すると、訪問した工務店はしっかりしたものを作る、信頼のある工務店です。ただ、その工務店は社員数の問題もあり、建築した後のフォローをまめにできていませんでした。

人間関係は、顔を合わせたり声を掛け合ったりすることが基本です。

新築時に施主と密な関係を築いていても、17年間ほぼやり取りがなければ、関係は当然薄くなります。

工務店の営業担当者が「行ったらクレームを拾いに行くだけじゃないかな……」「久しぶりに顔を出したら藪蛇(やぶへび)になるのでは?」と心配する気持ちも、私にはよく分かりました。

訪問したのは、工務店の担当者、団体の本部担当者、私の3人で、アポは取っていませんでした。

工務店の担当者は「行きたくないな~」とこぼしていましたし、私もそれまでの事情をまったく知らないので、本当にクレームをもらう可能性もありました。

クレームが出たら、そのときは謝るしかないと私は考えていました。

「ちょうどよかったわ!」と給湯器とシステムキッチンの見積もりを頼まれた

ところが、呼び鈴を鳴らして出てきた奥さんは、まったく想定外の話をしました。

担当者「こんにちは○○工務店の△△です」

奥さん「あら! 久しぶりね~ どうしちゃったの? 今日は何よ」

担当者「いや……その……あまりにお久しぶりなのですが、建築後17年経ちまして、何か不具合とかそんな問題がおこっていないかと思いまして顔を出させていただきました」

奥さん「ちょうどよかったわ! 実は給湯器などが、少し調子が悪いのと、システムキッチンを新しいものに買い替えようかと思っていたところなのよね」

これは私の目の前で交わされた会話です。

工務店の担当者は、下手をしたら怒られると思っていたところへ「ちょうどよかった!」と言われたので、すっかりびっくりしていました(笑)。

工務店はその場で見積もりを依頼され、後日現地調査を行って見積もりを提出しました。

奥さんは見積もりどおりの金額で、値引きも一切なく契約しました。

工事はシステムキッチンの入れ替えを含む大型リフォームだったので、契約金額もそれなりに膨らみました。

後日聞いた話では、奥さんは地元で知名度のあるリフォーム会社に連絡する寸前だったそうです。本来なら新築した工務店に連絡するところですが、奥さんはあまりに接触がなかったので、その工務店が頭に浮かばなかったと話していました。

接触が途切れたOB施主へ手紙かメールを送り、電話で確認してアポイントを取る手順は、OB客へのアポ取りの手紙と電話で解説しています。

OB施主がリフォームを新築した工務店に頼まない2つの理由

接点を持たない工務店にはリフォームの依頼が来ない

工務店の経営者の中には「リフォームの依頼なら、新築した会社に連絡してくるだろう」と考える人がいますが、それはあまりに早計です。

工務店が施主との関係を保ち続けていれば話は違いますが、何のフォローもしていない工務店に連絡が来るわけはありません。

逆に言えば、工務店が施主との接点を持ち続けていれば、施主がリフォームを検討したときに連絡が入る可能性は高くなります。

施主は「新築専門の工務店はリフォームをやらない」と思い込んでいる

施主が新築した工務店にリフォームを頼まない理由は、もう一つあります。

たとえば新築して20年が経った施主が「そろそろ内装のリフォームでもしようかな?」と考えたとき、その施主は「私の家を建てた○○工務店は新築専門でリフォームはやらないだろう」と勝手に考えてしまうのです。

工務店からすれば「いやいや、リフォームもなんでもやりますよ」と言いたいところですが、施主はそう考えてはくれません。工務店の思いと施主の認識の間には大きなギャップがあることを、経営者は覚えておいてください。

OB施主を回って直接聞き、年末のカレンダー配りから改装工事を受注した例は、カレンダー配りでのリフォーム受注事例で解説しています。

工務店がOB施主との接点を持ち続ける方法

私はこの理屈が分かっていたので、先のリフォーム団体ではOB施主への訪問活動を行い、そこで得た実証データを使ってマニュアルを作りました。マニュアルに沿って活動した九州のある会社は、順調に成績を上げています。

工務店がやることは難しくありません。とにかく、ほったらかしになっているOB施主を、社員総出で手分けして訪問してください。

コロナ禍で訪問しづらい家には、手紙やメールで連絡してもかまいませんし、ZOOMなどで面談する方法もあります。

手紙やショートメールの書き方は住宅営業のお礼状の書き方で解説しています。

OB施主から知人を紹介してもらう頼み方は紹介営業のコツで解説しています。

OB施主から紹介を受けるときに渡すカードと添える手紙は、紹介カードテンプレートで解説しています。

まとめ

新築が激減する時代に、工務店が取れる対応策の一つはリフォームです。工務店は新規のリフォーム客を宣伝で取りにいくのではなく、これまで家を建てたOB施主からリフォームを取りにいきます。

新築を任せてもらえたということは、工務店は一度その施主から大きな信頼を勝ち得ています。

そんなアドバンテージを持ちながら、街中のリフォーム専業会社に受注を取られるのは道理に合いません。

リフォーム専業会社の方には申し訳ない話ですが、私は新築専門の工務店に対して、このようなアドバイスをせざるを得ません。

ぜひ本記事の建築後17年のOB施主宅への訪問事例を参考に、自社のOB施主を回る段取りを社内で決めてください。

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