売れる住宅営業の特徴は?自社で家を建てた中途社員の体験談

同じ住宅会社で同じ商品を売っていても、入社1年半で他の営業社員のお手本になる住宅営業もいれば、プランにダメ出しをされるたびに「修正してきますね」と持ち帰る住宅営業もいます。
パワービルダーに中途入社したS君と契約したお客さんにZOOMで取材すると、ご夫婦は「会社を心の底から好きなことが伝わってきた」「プランに自信を持っていた」「メモを取るポイントが私たちの思いと一致した」の3点を挙げました。
本記事では、自分の家を建てた会社に入社したS君と、S君の顧客への取材をもとに、売れる住宅営業の特徴を解説します。
自社で家を建てて入社した売れる住宅営業S君(パワービルダーの中途社員)
私は、関東地方に本社があるパワービルダーの営業社員とZOOMで面談しました。
私はこの営業社員を、ここではS君と呼びます。
S君は入社して1年半ほどしか経っていませんが、成績は極めて優秀で、他の営業社員が参考にする要素をすでに多く持っていました。
S君は新卒ではなく、28歳で中途入社した営業社員です。
中途入社で成績のよい営業社員は珍しくありませんが、S君は入社する前に、自宅をこのパワービルダーで建てていました。
自分が家を建てた住宅会社に営業社員として入社するのはまれなパターンで、私はこの23年間で、同じ経歴の営業社員に3人会っています。
中途入社の営業社員を受け入れたときに最初にやる指導については、異業種からの中途社員の育て方で解説しています。
S君は入社の動機を、ストレートにこう話しました。
「自宅をこの会社で建てたのですが惚れたんですよ!」
普通のお客さんは「この建物はいいな~」と思う程度で、転職までは考えません。S君は、自社に惚れ込んだ理由として次の4点を挙げました。
- 冬の暖かさに感激した
- 営業マンの真摯な態度
- 奥さんの喜ぶ姿
- 満足度が高い会社だというネット記事が出た
前の勤め先への不満も転職の理由の一つでしたが、S君は住宅営業という仕事のすばらしさに気づき、自分がその幸福感を与える側に回りたいと強く感じるようになったそうです。
契約したお客さんが挙げた売れる住宅営業の3つの特徴
S君とZOOMで話した直後に、私はS君が契約したお客さんにもZOOMで取材しました。取材にはご主人と奥さんの2人が応じてくれ、私はそのやり取りから、S君の成績が好調な理由が分かってきました。
会社を心の底から好きなことが伝わってくる
「Sさんは会社を心の底から好きであることが伝わってきました」
私には、この言葉が極めて印象的でした。ご夫婦はそろってこの点を挙げ、S君は商談のどこかのタイミングで、自分がこの会社に転職した経緯と、転職してますます会社が好きになったことを熱く語っていたそうです。
出したプランの根拠を自信をもって話す
「Sさんは自分が出したプランに自信を持っていましたよ」
どの住宅営業もプラン提案は自信をもって出しているはずですが、私は、実際にそうできている営業社員がどれだけいるかは怪しいと見ています。お客さんにちょっとダメ出しをされると、「修正してきますね」と簡単に持ち帰ってしまってはいないでしょうか。
お客さんの要望ですから、営業社員が聞いて修正すること自体はかまいません。
ただ、私は営業社員に、お客さんの主張をいったん受け止めたうえで、そのプランになった理由や根拠を自信をもって説明してほしいと考えています。
私はこの取材に限らず、この点を評価するお客さんにこれまで何度も会ってきたので、住宅営業の方には強く勧めています。
社長や幹部の方は、部下の営業社員にこの点を教えてください。
本当に大事なことです。
強い要望が出たタイミングでメモを取る
「メモを取るポイントが私たちの思いと一致したのです」
住宅営業がメモを取るのは当然で、メモを取らない営業社員はまずいません。お客さんがS君を評価したのは、メモを取ったことではなく、メモを取るタイミングでした。
S君は、お客さんが「これは私たちの強い要望なのだよね」「これは嫌だな」「これだけはしっかり守ってほしいよ」という強い希望を話したときや、それをにおわせたときに、その場でメモを取るそうです。お客さんから見ると、「Sさんは私たちのことを分かってくれている」と感じられるわけです。
マツダ愛を語られて400万円の車を買った新人時代の体験談
自社への愛を語る営業トークがお客さんの気持ちを動かすことを、私は自分が客の立場になって体験しています。
ユーノスの部長は商品より会社への惚れ込みを語った
私が新入社員だった年の6月、いつもは厳しい上司から「たまには定時に上がって気分転換に車でも見に行こうか?」といきなり誘われ、私は返答に困りました。
私たちが車で展示場から20分ほど走って着いたのは、ユーノス(マツダ系の販売ブランドで、現在は存在しません)の販売店です。
店に着くと、すぐにユーノスの営業マンが私に挨拶をしてきました。
営業「森様ですね。お待ちしておりました」
私「はい、どうも……」
営業「こちらがスリーローターのユーノスコスモです」
私「あ、そうですか……」
上司「いい車だろ? これ買えよ」
おいおいとはこのことです(笑)。値段を聞くと400万円で、新卒の営業マンが買うにはあまりにも無謀な車でした。
私がのらりくらりとごまかしていると、らちが明かないと踏んだユーノスの営業マンが自分の上司を連れてきました。出てきたのは地域の統括部長をしていた50代の方で、髭を蓄えた、雑居ビルの地下にあるバーのマスターのような雰囲気の人でした。
部長「今日はようこそお越しくださいました」
私「はい、でもさすがにこの車は高いですね」
部長「おっしゃる通りです。たしかに高い車ですが……ただね、この車は本当にいい車なんですよ。そもそもはこのロータリーエンジンを開発したマツダという会社に私は惚れこみましてね……」
部長はこうして、“マツダ愛”“ロータリーエンジン愛”を語り始めました。
私は細かいやり取りは覚えていませんが、「いいこと言うな~」と感じたことだけは今でもはっきり覚えています。
部長は商品の説明ではなく、自分がどれだけマツダやユーノスコスモを好きかを話していたのに、客の私は悪い気がせず、感銘さえ覚えました。
住宅営業でも同じことが言えます。押しつけはいけませんが、営業社員が自分の住宅会社をどれだけ好きかという気持ちをお客さんに伝えることは、販売促進の一つになります。
自社の商品と会社に自信を持つ営業社員の育て方は、住宅営業で売れる人と売れない人の差で解説しています。
頭金1万円で契約し、4年間ローンを返した
余談ですが、私はこのときユーノスコスモを買ってしまいました。ネットで「ユーノスコスモ13b」と検索すると、このときの車が出てきます。
とはいえ、新卒が400万円の車を買えるわけがありません。
私の上司は「財布を見せろよ……1万円あるな。これ頭金でいけ」と、今なら社会問題になりそうな業務命令を出し、私はその場で契約しました。
これで尻に火が付いた私は、住宅を売りました。
住宅を売れば歩合が入ってくるので、私はその歩合でローンを返していきました。
返済は毎月4万円、ボーナス時25万円で、それが4年間続き、本当にきつい4年間でした。
「仕事が楽しくて仕方がない」と語ったS君
私がS君と直接話して印象に残ったのは、S君が自分で決めた転職を「最高の判断だった」と言い切ったことです。S君は「仕事が楽しくて仕方がない」と何度も繰り返し、私はやはりこの気持ちが大事だと感じました。
「お客さんが一生に一度の買い物をするときのお手伝いができるのは最高だと思いませんか?」
べたな話ですが、営業社員から真正面からこう語りかけられたのは、私には初めての経験でした。私もあらためて勉強させられた時間でした。
まとめ
入社1年半で他の営業社員の手本になったS君は、自分の家を建てたパワービルダーに中途入社した住宅営業です。S君と契約したお客さんは、会社を心の底から好きなことが伝わってきたこと、プランに自信を持っていたこと、強い要望の場面でメモを取ったことを評価していました。
私がユーノスの部長から400万円の車を買ったように、自社への愛は押しつけでなければお客さんの気持ちを動かします。
ぜひ本記事のS君の3つの特徴を参考に、次の商談で自社を選んだ理由とプランの根拠を自分の言葉で話してください。



