住宅営業の新人研修は役割で伸びる|年間6棟を取った第二新卒の事例

入社時の集合研修を終えた新人営業が住宅展示場に配属されると、ほとんどの住宅会社では上司からの具体的な指導がなくなります。中には、契約を取れないまま辞めていく新人営業もいます。
私のコンサル先の工務店では、仕事がなく辞めかけていた第二新卒のB君にSNS担当を任せたところ、B君は年間6棟を受注する住宅営業に育ちました。新人研修の後に、本人の得意分野で責任のある役割を持たせると、新人の意欲と成績は大きく変わります。
本記事では、役割を持たせた成功例と失敗例をもとに、住宅営業の新人研修と配属後の育て方を解説します。
住宅営業の新人研修が集合研修で終わる工務店の現状
地場工務店でも大手ハウスメーカーでも、営業職として社員を採用した以上、住宅会社には社員を育てる義務があると私は考えています。ところが規模を問わずほとんどの住宅会社では、いまだに「習うより慣れろ」が当たり前になっており、入社時の集合研修を終えて展示場に配属した後は「自分で工夫しろ」という指導が大半を占めています。
新人営業が自分で工夫するしかない部分も確かに多いのですが、上司が指導のポイントを押さえていれば、営業社員の能力は大きく伸びます。
経営者の立場で見ると、営業社員を採用して契約ゼロのまま1年で退社されたら、住宅会社は500万円を捨てたのとほぼ同じことになります。
その状態はどう考えても得策ではありません。
入社直後の集合研修の組み立て方は、住宅営業の新卒研修の事例で解説しています。
工務店の新人研修で役割を持たせた体験談(第二新卒のB君)
ここからは私のコンサル先の話で、従業員10人程度の小規模工務店の事例です。
展示場も見学会も止まった2020年4月の入社
B君がその工務店に入社したのは、コロナ禍に突入した2020年4月でした。B君は前年に入った会社が合わずに退社し、改めて就職先を探して入社した、いわゆる第二新卒の人物です。
この工務店は小規模ながら自前の住宅展示場を持っており、コロナ前はお客さんの来場もそこそこあり、不定期に開くイベントも好調でした。ところが2020年4月からはイベントがまったく開けなくなり、全国の住宅展示場も閑古鳥が鳴く状態になりました。
展示場が寂しくなり現場見学会も開けない中で、新入社員のB君にはやる仕事がありませんでした。
B君は毎日9時に出社するものの、仕事は過去の来場者名簿を見て電話やメールをすることくらいで、あとはネットやカタログで住宅関係の勉強を自習するだけの毎日でした。
過去の来場者名簿を新人がどう使うかは、住宅営業の新卒研修での放棄リスト訪問で解説しています。
最近私がB君と話したとき、B君は当時を振り返ってこう笑い飛ばしていました。
「あの時はもうやめようかと思っていましたよ。だってやることがないんですから(笑)」
私がB君の立場でも、同じ状態に陥ったと思います。
社長の「B君、やってみるかい?」でSNS担当に

集客の激減に頭を悩ませた社長が考えついたのは、SNSの活用でした。
SNSの活用はこの工務店に限らずどの住宅会社も考えたことですが、社長にはSNSの知識がほぼありませんでした。
そんなとき、社長がB君にふと話しかけたことがきっかけになります。
社長「B君は若いからSNSとかプライベートでもやるのだろ?」
B君「やっていますね。主にはTwitterとtiktokですけど、最近はYouTubeチャンネルも開設しました」
社長「コロナになってインスタライブとか工務店がやり始めたじゃない。うちもやろうかと思ってるんだけどさ……B君、やってみるかい?」
コロナがなければ、この工務店がインスタライブやYouTubeを始めることはなかったはずです。周囲の状況を見てさすがに焦った社長がSNSの活用を考え始めたとき、たまたま入社したばかりのB君が目の前にいたのです。
B君にとっても、社長の話は渡りに船でした。時間を持て余して嫌気がさしていたところに、知識もあり大好きなSNSの仕事を任されたので、B君は二つ返事で引き受けてのめり込んでいきました。
SNS担当と並行して年間6棟を受注
B君は初期の頃、インスタライブ、Twitter、YouTube、TikTokと手を出しすぎて、どれも中途半端になりました。最終的にB君はInstagramとYouTubeチャンネルに絞り、最近では投稿の内容もかなり濃くなってフォロワーもついてきました。
B君は営業職なので、SNSだけに集中するわけにはいきません。
B君は自分でも受注を取らなくてはならず、今では年間6棟を取る力をつけました。
SNSの効果で工務店全体の注目度も上がっており、B君は自分で受注した6棟以上の利益を会社にもたらしています。
雑務に納得できず退社した新卒営業の事例
新人に仕事を任せても、うまくいかないことがたまにあります。私が現在進行形で関わっている住宅会社で、営業として採用した新卒社員が退社した事例です。
私が初めて会ったとき、新卒社員はごく普通の青年に見えました。
その住宅会社は所帯が小さく、新入社員にも細々とした業務をやってもらわざるを得ない状態でした。
社長は雑務でもいろいろなことを経験できるので本人のためになると考えていましたが、新卒社員の受け止め方はまったく違っていました。
「色々とやらされるのは納得できません」
新卒社員から突然こう抗議されて、社長はきょとんとしたそうです。
小規模な住宅会社に新卒で入れば、法務局に行く、司法書士の先生のところに行くといった雑務があるのは当然で、社長に指示されて文句を言う新人は普通は考えられません。
ところが新卒社員は、営業職として入社したのになぜ細々とした雑務をやらされるのかが、どうしても理解できなかったようです。
結局、新卒社員は退社し、社長は採用をもっと慎重にやるべきだったと深く反省していました。若手営業が辞めていく別の例は、住宅営業を辞めたいと思ったときの体験談で解説しています。
住宅営業の新人に任せる仕事の例
B君の事例は、コロナという予期できないきっかけで、たまたまうまく運んだものでした。
それでも、社員にやる気を出させて前向きに取り組ませる方法の一つは、本人の得意分野を見つけて責任を持たせることだと私は考えています。
住宅会社は営業社員が入社したら、本来の受注活動にプラスアルファで何かを任せてみてください。

SNS担当
SNSの知識と慣れでは、住宅会社のベテラン社員は今の若者にかないません。
若手社員にとってSNSは日常で、完全に生活の一部になっていることが多いからです。
若手社員はSNS運用を仕事として任されても抵抗がなく、プライベートのSNSにマンネリを感じている場合もあるので、とても新鮮に、意欲的に取り組んでくれます。
競合他社調査
どの住宅会社にも競合する住宅会社があり、たまに当たる程度ではなく「また〇〇工務店か」としょっちゅう当たる競合先もあるかもしれません。
そうした競合先の特徴を、あなたの会社は調べているでしょうか。
おそらく、ほとんどの住宅会社は調べていないと私は思います。
私は現役時代、競合するハウスメーカーの調査を徹底的に行っており、突っ込んだ話をすれば担当者ごとの特徴や情報まで手に入れていました。
住宅会社がここまでやる必要はありませんが、新入社員はお客さんを抱えていないので、それほど忙しくはありません。
上司は新入社員の余った時間を使い、会社の利益につながる責任ある仕事を任せるのです。
私が新卒でこのような命令を社長から受ければ、真剣に取り組むことは間違いありません。
競合先の調査のほかに、1年目の新人が取り組む他社展示場での接客体験やロールプレイングは、住宅営業の新人研修で1年目にやることで解説しています。
まとめ
住宅営業の新人研修は、入社時の集合研修だけでは終わりません。
配属後に本人の得意分野を見つけて責任のある役割を持たせたところ、SNS担当を任されたB君は、自分の受注と会社の集客の両方で成果を出しました。
一方で、雑務に納得できず退社した新卒社員の事例では、社長は採用をもっと慎重にやるべきだったと反省していました。
社員教育を仕事にしている私にとって一番悲しいのは、若くしてこの仕事を選んだ社員が大した成績も残せず、嫌気がさして消えていくことです。本記事の内容は、私が現場で実践して手応えを感じたものです。
ぜひ本記事のB君の事例を参考に、新人営業の得意分野を見つけ、受注活動とあわせて任せる役割を決めてください。



