住宅営業の基礎知識|新人に入社直後から教えるべき5項目

住宅営業の基礎知識|新人に入社直後から教えるべき5項目

新卒の住宅営業が入社しても、先輩の背中を見て覚えろと言われるだけでは、新人は「落とし掛け」も「巾木」も分からないまま現場に出ることになります。契約が取れても、その後の手続きが分からずに着工前に行き詰まる新人もいます。

住宅営業の基礎知識として住宅会社が入社直後に教えるべきものは、ビジネスマナー、建築用語、建築法規、契約から着工までの流れ、先輩の接客の観察の5つです。私はこの5つを、積水ハウスの新卒時代に苦労した経験と、受注が好調な住宅会社の新卒教育を見てきた経験から選びました。

本記事では、新人の住宅営業に5つの基礎知識を教える方法と、教えないまま現場に出したときに起きる問題を解説します。

住宅営業の基礎知識は入社直後に住宅会社が教える5項目

2025年4月を迎え、新卒を採用した住宅会社は新人の教育を始める時期になりました。

新築営業でもリフォーム営業でも、住宅会社が営業を採用したら教育をしなくてはなりません。

このご時世に、先輩の背中を見ろというだけの指導をしている住宅会社はないと思いますが、教えるべきことは入社時からカリキュラムを組んで教える必要があります。

最低限のことは会社が指導する体制を取るのが当然で、そこから先の伸びが個人の資質や責任になると私は考えています。

ビジネスマナーの研修は、最低限実施してください。

私が積水ハウスに入社したときに受けた研修にも、このメニューがありました。

今思い出しても通りいっぺんの内容でしたが、新人はそれまで学生だったわけですから、最低限のマナー研修は必要です。

新卒研修全体の組み立て方は住宅営業の新卒研修の事例で解説しています。

建築用語は住宅営業の基礎知識としてテストで覚えさせる

新人の住宅営業に「落とし掛け(おとしがけ)」と言っても、分からなくて当たり前です。住宅会社は、和室に関する用語はもちろん、巾木(はばき)のようにどの住宅にも出てくる言葉を、新人にまず覚えさせてください。

建築用語は机上で勉強できるので、会社が一定期間勉強するよう通知したうえで、テストまでやってください。テストをすると伝えて1週間も勉強させれば、新人は随分と言葉を覚えてくれます。

ところが、こんな簡単なことすら指導しない住宅会社がほとんどで、私は極めて残念に思っています。

新人が建築用語を知らないのは、営業の個人能力の問題ではありません。

会社の人間がやるべきことを指示してやらせれば、個人の能力の差はあっても、新人はそれなりに知識を蓄えてくれます。

建築法規の知識は市街化調整区域の案件で苦労した(積水ハウス時代)

住宅の建築には、北側斜線のようなメジャーな法規に加えて、さまざまな法律があります。市街化調整区域の問題はややこしく、建て替えも場所によってはややこしい条例が絡みます。

私も積水ハウスに新卒で入社したとき、こうした法律知識を身につけるのに苦労しました。

当時はパソコンがなかったので、私はひたすら本を読んでいましたが、簡単には頭に入りません。

結局、私は現場で実際にそのケースに当たったときに、初めて調べて身につけるという状態でした。

私が市街化調整区域の中に家を建てる案件を担当したとき、それまで持っていた知識は「市街化調整区域には家は建てられない」ということだけでした。

ところが実際には、市街化調整区域でも家を建てられるケースがあることを、私はその案件で初めて知りました。

私は店長にいろいろ話を聞いたのはもちろん、設計担当や法務局の人にも聞き、さらには他メーカーで仲良くなった営業にまで話を聞く始末でした。

私は苦労しながら覚えましたが、新人にこうした無駄な動きをさせないためにも、住宅会社は建築法規を入社後に教えるべきです。

建築法規を含めて新人に座学で覚えさせる知識の範囲は、住宅営業の新人に覚えさせる知識で解説しています。

契約後の流れを知らない住宅営業は着工前に行き詰まる

新人の住宅営業にとって意外な難関になるのが、家が建つまでのスケジュールです。お客さんと折衝して契約するまではいいのですが、新築住宅は契約してからの流れが実にややこしいのです。

契約から着工までに住宅営業がやる手続き

契約後は一般的に、設計やインテリアコーディネーターを交えた内外装の打ち合わせに入り、住宅営業はその間にもさまざまな手続きを進めます。

契約後の場面住宅営業がやること
内外装の打ち合わせ変更が出たら追加の代金をもらう
役所の手続き打ち合わせの途中に役所へ行って手続きをする
金融機関への申請書類を作って金融機関に申請する
境界線の問題行政書士や土地家屋調査士に入ってもらうタイミングを決め、決められた経費を払う
お金の回収追加代金や経費の回収を担う

住宅営業が最も神経をとがらせなくてはいけないのはお金の話で、金融機関に出す書類でプロの住宅営業がミスをするわけにはいきません。

こうした段取りが頭に入っていないと、着工がなかなかできず、住宅営業がテンパってしまうケースが多発します。

住宅営業がこの仕事から離脱する原因の上位に来るのも、契約後の煩雑な手続きをこなせないことです。

OJT任せにすると社長や幹部が尻拭いをする

住宅会社が「実際にお客さんがついてからのOJTでいい」と考えていると、新人の担当案件が大きなトラブルに発展しかねません。

そうなったときに尻拭いをするのは社長や幹部です。

そのため、住宅会社は契約後の流れを入社直後に教えてください。

契約後の流れとあわせて新人に教えたいお金の知識は、新人住宅営業に教えるお金と家づくりの流れで解説しています。

先輩の接客を観察させると新人の住宅営業がいちばん伸びる

新人の住宅営業がいちばん伸びるのは、実際の折衝場面を観察させる方法です。

言葉でいろいろ説明するよりも、先輩営業が現場でお客さんと何を話しているかを、新人に見せるのです。

いちばんいいのは先輩が商談している横に新人が座ってそのまま聞くことですが、お客さんにとっては違和感があるので、若干のハードルがあります。

住宅展示場や現場見学会の接客を見せる

最も簡単なのは、住宅展示場や現場見学会での接客を見せる方法です。

新人は先輩の接客を見ることで、何を話したらいいのかを体感的に覚えます。

先輩が各部屋をどう説明するかはもちろん、お客さんからもいろいろな質問が出るので、新人は自分が同じ場面に立ったらどう答えればいいかもつかめます。

そのため、住宅会社はイベントがあれば、とにかく新人に接客シーンを見せてください。

接客で出る雑談への備え方は住宅営業ロープレの進め方で解説しています。

展示場のカメラで接客を学ばせる中国地方の住宅会社

住宅展示場を構えている住宅会社の多くは、カメラも設置していると思います。

中国地方のある住宅会社は、10年以上前から展示場に設置してあるモニターを使い、新卒に接客の勉強をさせています。

実際の接客がそのまま教材になるこの方法は、社長が信念を持って進めているもので、営業社員の力が明らかに早くついていることが外部の私にもよく分かります。

先輩の接客見学を含め、1年目の新人に取り組ませる研修の中身は、住宅営業の新人研修の進め方で解説しています。

よくある質問

中途採用の経験者にも基礎知識を教える必要はありますか?

私は、新卒であれ中途であれ、住宅会社が営業を採用したら教育は必要だと考えています。中途採用の見極め方はハウスメーカー営業の面接で聞く質問で解説しています。

4月に新卒を採れない小規模な会社は、いつ教えればいいですか?

小規模な会社では4月に新卒を採るのは難しいと思いますが、4月でなくても、新入社員を迎えたらその時点で同じ5項目から教え始めてください。

まとめ

住宅営業の基礎知識は、ビジネスマナー、建築用語、建築法規、契約から着工までの流れ、先輩の接客の観察の5つです。建築用語はテストで覚えさせ、契約後の流れはOJTを待たずに教え、接客は住宅展示場や現場見学会、カメラの映像で見せることで、新人は早く力をつけます。

習うより慣れろ、先輩の背中を見ろ、はあまりにも前近代的な指導方法です。住宅会社が仕組みを作り、体系立てて教えれば、社員の力は必ず伸びると信じて取り組んでください。

ぜひ本記事の5つの基礎知識を参考に、新入社員を迎えた直後のカリキュラムを組んでください。

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