街角モデルハウスの効果は?小規模工務店の接客力が上がった事例

紹介や以前のお客さんからの依頼で受注してきた工務店がモデルハウスや現場見学会で人を集めても、来場したお客さんは営業担当と距離を取るケースが多くあります。営業担当が建築時期を聞いても、「何とも言えないね」とかわされることも少なくありません。
名古屋市内のF工務店は、街角モデルハウスを建てたことで変わりました。20代の営業マンは三か月ほどで高い確率でアポイントを取れるようになり、60代後半の社長自身の営業力と接客力も上がりました。
本記事では、街角モデルハウスが工務店にもたらした効果を、アンケート書式、ヒアリング、クロージング、知名度の4つの変化から解説します。
名古屋の小規模工務店が街角モデルハウスを建てた理由
F工務店は名古屋市内にある小規模工務店で、60代後半の社長と20代の営業マン一人の体制です。
社長は親の代から続く工務店を経営しています。
これまでの主な受注ルートは、社長の顔で案件を持ってくるか、以前のお客さんから紹介を受けるかのどちらかでした。
しかし社長は積極経営に乗り出すと決意し、一年半前に純粋な営業社員を雇って攻めに転じました。その流れで社長が建築を決めたのが、街角モデルハウスです。
期間限定の街角モデルハウスの始め方と名簿集めの効果は、街角モデルハウスの集客事例で解説しています。
展示場を保有したり、新築現場見学会などのイベントを開いたりすると、工務店には不特定多数のお客さんが来場します。紹介だけで受注している工務店には、この感覚がなかなかつかめません。
街角モデルハウスで見直した工務店のアンケート書式
一回のイベントで30組のお客さんが来場すれば、工務店の経営者がホクホクした気持ちになるのは当然です。しかし、いくら来場者が多くても、住所や氏名をはじめとするお客さんの情報を的確に手に入れられなければ、成果はほぼ0に等しいと言えます。
住所欄だけで携帯番号とメールアドレスの欄が無かった
F工務店には、お客さんが事務所に来たときに備えたアンケート書式のようなものが以前からありました。
ところが私から見ると、その書式はまさに抜け穴だらけでした。
初めて書式を見たときに私がすぐ気づいたのは、メールアドレスの欄が無いことです。
お客さんに住所を書いてもらう欄はあったものの、携帯電話番号の欄もメールアドレスの欄もありませんでした。
追客を考えると、住所だけではあまりにも弱すぎます。住宅営業は携帯番号はもちろん、メールアドレスも最初の来場時にしっかり取得するべきです。
来場客の情報は紹介者に聞けない
紹介だけで受注しているときは、お客さんにアンケートへ詳しく書いてもらわなくても、営業担当が紹介者に聞けば情報が手に入ります。そもそも紹介のお客さんとは、初対面でもある程度の信頼関係ができています。
一方で、イベントに来場するお客さんは警戒心が高く、営業担当と距離を取るケースも多いと考えてください。イベント当日の運営で注意する点は、展示場の再来場を生むイベント企画で解説しています。
来場客の建築時期を探るヒアリング技術(街角モデルハウスの接客)
私はF工務店と一年以上お付き合いしましたが、いちばん顕著だったのはお客さんからのヒアリング技術の向上だったと今でも思っています。
紹介で来るお客さんは家を建てる前提なので、住宅営業はストレートにどんどん質問をぶつけていけば済みます。
ある意味、営業担当が根掘り葉掘り聞いても構いません。
しかし、工務店が街角モデルハウスを作ってイベントを開くと、来場するお客さんの目的や意欲は千差万別です。

建築希望時期の質問にお客さんはストレートに答えない
建築希望時期が典型です。
モデルハウスに来るくらいですからお客さんに家を建てる希望はあるはずですが、すぐに家が欲しいのか、10年先なのかは全く分かりません。
そのため、街角モデルハウスで接客する営業担当は、軽い雑談を交わしながら建築時期を聞き出さなくてはいけません。
営業担当は次の質問から入るのですが、お客さんは決してストレートに答えてくれません。
営業「いつ頃お建てになる予定ですか?」
客「そうだね……まぁ、色々あって……うん……何とも言えないね」
これでは何のことか全く分かりませんよね(笑)。しかし、モデルハウスではこういう会話が頻発します。
相槌を打ちながら本当の建築時期を探る
ここで営業担当が突っ込んでいくと、お客さんは引いてしまいます。
営業担当は適当に相槌を打ちながら、本当の建築希望時期がいつなのかを少しずつ探っていきます。
住宅営業に必要な営業力は、この手探りのヒアリングを重ねることで身についていくのです。
モデルハウスの接客の入り口になる展示場前での声かけは、モデルハウス接客の呼び込みで解説しています。
クロージング力が身についた20代営業マン
ここで言うクロージング力は、押し売りではありません。私が小規模な工務店を見ていると、押す力、クロージング力、あるいは推進力と呼べる能力が弱いケースを多々見かけます。
曖昧な態度の来場客を次のアポイントへ進める推進力
紹介のお客さんや、事務所に直接積極的にアプローチしてきたお客さんであれば、商談は図面を出して見積もりを提示する段階まで進むことが多いでしょう。
しかし街角モデルハウスでは、消極的、あるいは曖昧な態度を示すお客さんが多くなります。
来場客からは、たとえば次のような言葉が出ます。
- 「ちょっと見に来ただけです」
- 「たまたま前を通りがかったものですから」
- 「建築はしますけども、まだその時期は未定なんです」
こうしたお客さんから次回のアポイントを取ったり、アポイントまでは取れなくても前向きな気持ちになってもらったりするには、営業担当がある程度話を誘導し、前に推し進める推進力が必要です。街角モデルハウスで接客すると、営業担当は推進力が無ければ話がなかなか前に進まないことにすぐ気づきます。
商談を契約へ進めるときの言い方は、住宅営業のクロージングのコツで解説しています。
三か月ほどでアポイントを高い確率で取れるようになった
F工務店には20代半ばの男性営業マンがいます。
この営業マンは極めて飲み込みが早く、街角モデルハウスで接客するようになってほどなく、推進力が足りないという問題点に気づきました。
私が執拗にアドバイスしたこともありますが、この営業マンは私の指摘をほぼ完璧に飲み込み、接客能力が著しく向上しました。
営業マンの推進力については、社長が心配したこともあります。
「ちょっと強引じゃないかな……」
しかし私から見れば、それくらいでちょうどいいほどでした。
そして営業マンは、ものの三か月程度でアポイントを高い確率で取れるようになったのです。
もちろん、これは営業マン本人の高い能力によるもので、営業マンは接客のコツを早くつかみ、センスもあったのだと思います。
社名を出した街角モデルハウスで上がった知名度
これは接客力とは関係の無い効果ですが、F工務店の社長が「会社の知名度が明らかに上がった気がする」と私に話していたのが印象的でした。
小規模工務店にとって、知名度と営業力は同一といってもよいほどです。大手ハウスメーカーは最初から知名度や信用力がある前提で営業活動をしているので、明らかに有利です。
工務店は街角モデルハウスを一定期間設ければ、モデルハウスの前に会社名を大きく出せます。
事務所の前にも会社名は出せますが、事務所の前に出すのと、実際に建てた建物の前に出すのとでは、インパクトが大きく違います。
街角モデルハウスに人を呼ぶイベントの例は、寄席イベントによる工務店の集客で解説しています。
まとめ
名古屋市内のF工務店は街角モデルハウスを導入し、アンケート書式を見直しました。
F工務店ではお客さんの建築時期を探るヒアリング技術が上がり、20代の営業マンは話を前に進める推進力を身につけ、会社の知名度も上がりました。
紹介客とは違う来場客を接客する経験が、20代の営業マンと社長の両方の接客力を高めました。
ぜひ本記事のF工務店の事例を参考に、自社の来場アンケートの項目と、モデルハウスでの接客の進め方を見直してください。



