街角モデルハウスの集客|ポイ活に頼らず名簿80件を集めた工務店

街角モデルハウスの集客|ポイ活に頼らず名簿80件を集めた工務店

住宅展示場の中には、予約サイトやポイントサイトを経由してモデルハウスを見学すると、ギフト券やポイントがもらえるキャンペーンを行っているところがあります。一方で、常設の展示場を持たない小規模な工務店は、こうした来場の入り口を持てません。

名古屋市の従業員が10人に満たない工務店は、自社で買った土地に建てた家を10か月間「街角モデルハウス」として使い、新規客の名簿を80件ほど集めました。そのうち15件は、家を見かけたお客さんが自分から問い合わせてきたものです。

本記事では、街角モデルハウスの仕組みと始め方、効果と実際の事例を解説します。

街角モデルハウスとは工務店が期間限定で使うモデルハウス

街角モデルハウスという言葉を、聞いたことがあるでしょうか。街角モデルハウスは、期間限定の住宅展示場と言い換えてもよいものです。

例えば、街中に10区画の分譲地があるとします。

住宅会社がその中の1区画に建売住宅を建て、しばらくの間住宅展示場として使うのが1つの形です。

また、住宅会社が通常の建築請負契約で一戸建てを建てた後、半年間程度その家を自社の展示場として使わせてもらう形もあります。

どちらの形でも、住宅会社はその家をしばらくモデルハウスとして使い、お客さんの接客に使います。

自社で建てた家の場合は、半年程度経ってから建売住宅として売却します。

私は、この街角モデルハウスが小規模工務店にとって最高の武器になると考えています。

ポイ活の特典がなくても来場がある工務店のモデルハウス

宣伝しなくても毎月来場がある常設モデルハウス

私は積水ハウス出身なので、住宅展示場があるのが当たり前の環境で育ってきました。

もちろん、私が展示場でぼーっと待っているだけで、お客さんがわんさか来たわけではありません。

来場がとても少ない展示場もありましたし、閑散期には土日でもほとんどお客さんが来ないことが頻繁にありました。

展示場を構えていても、私たちは現場見学会を頻繁に開いて新規のお客さんを呼び込んだものです。

それでも、常設のモデルハウスがあることは、住宅営業にとって極めて有利です。住宅会社がモデルハウスを持っていれば、極端な話、宣伝を全くしなくても毎月数組のお客さんが来る可能性が高いからです。

住宅展示場からの出展撤退が相次ぐなかで工務店がとれる街角モデルの戦略は、住宅展示場の撤退と工務店の集客戦略で解説しています。

特に今は、住宅会社がホームページやインスタグラム、TwitterなどのSNSで宣伝を無料でできる時代になりました。

こう考えると、モデルハウスの威力がいかに大きいかがわかってもらえるはずです。

SNSでの発信の仕方はハウスメーカー・工務店のSNS集客で解説しています。

断熱性などの強みを見て体感してもらえる

例えば、あなたの工務店が断熱性に優れた住宅を得意にしているとします。この場合、街角モデルハウスがあれば、営業社員はお客さんに視覚的に訴えられますし、お客さんにその断熱性を体感してもらうこともできます。

ところが、営業社員が断熱性を口頭やカタログだけで説明するのは、なかなか難しいものがあります。

大手ハウスメーカーのように知名度が高い住宅会社であれば、モデルハウスがなくても強みを伝えにくい部分をカバーできるかもしれません。

しかし、小規模工務店がモデルハウスなしでカバーするのは難しいと私は考えます。

ポイ活目的の来場予約と、家を見かけた来場の違い

ポイ活のキャンペーンでは、お客さんが広告や予約サイトから住宅展示場と日時を選んで来場予約をし、モデルハウスを見学したあと、条件を満たすと特典を受け取ります。この場合、お客さんの来場のきっかけには、特典を受け取ることが含まれています。

一方で、街角モデルハウスは街中に建っているため、通りがかりに家を見かけた人が、特典がなくても自分から訪ねてくることがあります。後述する名古屋の工務店の事例が、その例です。

工務店が街角モデルハウスを始める2つの方法

工務店が街角モデルハウスを運用する方法には、基本的に2つのパターンがあります。

お施主さんの家を引き渡し前に借りる

1つの方法は、通常の建築請負契約をして家を建てるお客さんのお宅を、住宅会社が一定期間だけ借りることです。ただし、このケースは滅多になく、住宅会社がお客さんの了解を得るのは相当難しいと言えます。

例えば、3月31日に引き渡しできる物件があるとします。

住宅会社はこのお施主さんにお願いして、引き渡しを8月末日まで待ってほしいと頼むわけです。

住宅会社は相当な無理を言うことになるので、お施主さんからの絶大な信頼があるのと同時に、それなりの値引きをするのが当然でしょう。

大きな信頼があり、大幅な値引きを提供したとしても、お施主さんがそれほど長く待てるケースは稀だと私は思います。しかし、中にはこの条件を飲んでくれるお施主さんもいるので、住宅会社がダメ元で頼んでみるのは一考の余地があります。

自社で買った土地に建てて半年運用してから売る

こちらが一般的なケースです。

あなたの工務店が、住宅地に適した土地を見つけて首尾よく買えたとします。

すると、工務店には2つの選択肢が生まれます。

1つの選択肢は、建築条件を付けてすぐに売却にかかることです。

土地の場所が良いほどすぐにお客さんがつき、建築条件付きなので工務店は建物の請負契約も取れます。

この進め方はこれで構いませんが、会社の資金繰りに余裕があるなら、工務店はこの土地に家を建て、半年程度でいいので街角モデルハウスとして運用します。

街角モデルハウスとして運用する期間の決め方や季節ごとのキャッチコピーは、街角モデルハウス運営のコツで解説しています。

工務店は半年経った段階で、建売住宅として売却活動に入れば問題ありません。

もちろん、新築してからしばらく時間が経っているので、価格は少し落とすことになると思います。

しかし、街角モデルハウスで得た新規のお客さんが契約に結びつけば、本来は100の利益だったところが500にも1,000にも化けます。

建売住宅として売るときの進め方は建売住宅の販売方法で解説しています。

街角モデルハウスの効果(名古屋の工務店の事例)

街角モデルハウスに効果はあります。

当然こうなります(笑)。

維持経費などを一切考えなければ、街角モデルハウスがマイナスに働くことはありえません。

もちろん、住宅会社が資金的に耐えられることが最低条件です。半年ぐらい街角モデルハウスを維持できる余力があるなら、私は住宅会社が積極的に投資してチャレンジするべきだと考えます。

工務店が土地建物をすぐに売却すれば、25%〜30%の利益が会社に入ります。

会社の資金繰りを考えれば、この考え方を否定することはできません。

しかし、街角モデルハウスを運用する半年間には、新規のお客さんの情報が得られ、商談中のお客さんのランクアップも進みます。

さらに、街角モデルハウス自体が会社の大きな宣伝媒体になり、工務店の知名度アップにもつながります。

街中の分譲地に建つ新築一戸建てのモデルハウス

10か月で新規客の名簿80件、自分から来た15件のうち3件が契約

名古屋市の、従業員が10人に満たない工務店の話です。

この工務店は資金繰りが楽な会社ではありませんでしたが、社長が私のアドバイスに乗ってくれて、土地を購入して自社の建物を建築しました。

そして、工務店はその建物を10か月にわたって街角モデルハウスとして運用しました。

工務店は期間中に展示場イベントなども頻繁に行い、10か月間で新規客の名簿を80件ほど獲得できました。

しかも、80件のうち15件は、お客さんが自分からアプローチしてきたものです。

工務店が営業を仕掛けたわけでも、お客さんがイベントで来場したわけでもなく、街角モデルハウスを見かけた方が10か月の間に15人も現れたのです。

15人のうち3件が契約に至りました。従業員が10人に満たない工務店が、集客に関しては何の努力もせずに3件の契約を取ったことになります。

来場客を接客する経験で工務店の営業力や接客力がどう変わるかは、街角モデルハウスの効果と接客力で解説しています。

受注が増えすぎて、売却もイベントにした

工務店は、残りの65件の名簿からも、イベントなどの活動を通じて10件以上の契約を取っています。

最後には新規受注を取りすぎて、工務店は完全なキャパオーバーになってしまいました。

展示場イベントの企画の立て方は寄席イベントによる工務店の集客で解説しています。

「そろそろ売却しようか?」というこのタイミングで、工務店は街角モデルハウスを売却する決断をしました。

工務店は売却キャンペーンもイベント形式で行い、さらなる集客を促しました。

そして、このモデルハウスを売却したことで、工務店にはさらに利益が出ました。

まとめ

街角モデルハウスは、住宅会社が分譲地の1区画などに建てた家を、期間限定の住宅展示場として使う方法です。運用の方法は、お施主さんの家を引き渡し前に借りる方法と、自社で買った土地に建てて半年程度使ってから建売住宅として売る方法の2つがあります。

ポイ活の特典がなくても、家を見かけたお客さんが自分から訪ねてくることがあります。

名古屋の工務店は、10か月の運用で新規客の名簿を80件ほど集めて受注がキャパオーバーになり、最後は売却でも利益を出しました。

半年ほど維持できる資金の余力があることが、この方法の最低条件です。

ぜひ本記事の名古屋の工務店の事例を参考に、自社に街角モデルハウスを運用できる土地と資金の余力があるかを確かめてください。

あなたへのおすすめ