住宅営業のクロージングのコツ|取材で聞いた営業3人の実例

住宅営業のクロージングのコツ|取材で聞いた営業3人の実例

図面と見積もりを出し、修正も終えると、お客さんに残るのは契約するかしないかの選択だけです。

その場面で営業マンが「契約をしてください!」と言ってお客さんの決断を待つと、たまらない沈黙の時間になります。

住宅営業のクロージングは、断定口調で言い切り、契約を家づくりの通過点として話すと決まりやすくなります。千葉のトップ営業Sさんは、上司の指導で「契約しませんか」を「契約をしましょう、私に任せてください」に変え、2年間芽が出なかった成績が信じられないぐらい変わりました。

本記事では、富山・千葉・東京の住宅営業3人への取材をもとに、クロージングのコツを解説します。

住宅営業にクロージングトークが欠かせない理由

住宅展示場で感じの良い接客を行い、魅力のあるプランを低価格で出せば、お客さんとの契約は自然と決まるものです。

話がほぼまとまっていれば、住宅営業が強く押さなくても決まるお客さんは決まります。

それでも私は、最後の一言である営業マンのクロージングトークは欠かせないと考えています。

クロージングトークがはっきりしている営業マンのほうが契約率は高まりますし、住宅会社にとっては何より早く建築請負契約に持ち込むことが大切です。

契約までにまごまごしていると、お客さんの心変わりもありますし、突発的な問題が起きて話が反故(ほご)になる可能性も十分にあります。

そのため私は、クロージングトークとクロージングに臨む態度を、住宅営業の重要な営業テクニックだと考えています。

反対に、最後の商談で信頼を壊して失注につながった行動は、住宅営業がクロージングで失注した行動で解説しています。

決断をはっきり促す住宅営業のクロージング(富山の女性営業Mさん)

富山県に、30代前半とみられる住宅営業の女性Mさんがいます。

Mさんはボーイッシュで小柄な風貌ですが、本人も認めるかなり気が強い性格です。

私が取材をする中で、Mさんのクロージングの強さが、成績だけでなく紹介受注にも大きく影響していることが分かりました。

私「紹介が非常に多いと聞きましたが、他の営業とは何が違うのでしょうかね」

Mさん「営業は強くなくてはいけないと思うのですよ。安いものを買うならどうでもいいんですけども、お客さんは強い営業についてくるものです」

私「その強い営業が、結果的に好成績につながっているわけですね」

Mさん「私はそう確信しています。クロージングのトークも曖昧な表現を使わずにストレートに言います。後は契約をするだけですからもう決めましょう、という感じですね」

私「紹介が多いのも、強気な性格が功を奏しているわけですか」

Mさん「ある方から聞いたのですが、ご友人に紹介してくれたときの言葉が、竹を割ったような性格の営業がいるよ(笑)だったらしいのです」

取材中のMさんは口を一文字にきりりと結び、ほとんど笑うことがありませんでした。それでも私には、お客さんにはっきりと決断を促すことがMさんの強みだとよく分かりました。

はっきり言い切る姿勢が接客をどう変えるかは、富裕層の接客のコツで解説しています。

「契約しませんか?」をやめた男性営業Sさんの転機(千葉)

千葉県の40代の男性住宅営業Sさんも、私にクロージングのさまざまな技を教えてくれました。その中で私の印象にいちばん残ったのは、Sさんが上司の一言でクロージングの言い方を変えた話です。

上司の一言で「契約をしましょう」に変えた

私「Sさんは今ぶっちぎりのトップ営業マンですけども、入社してしばらくは成績が振るわなかったらしいですね」

Sさん「2年間ぐらいは芽が出なかったですね。でもその当時の上司の一言がきっかけで、信じられないぐらい変わったんですよ」

私「クロージング手法を変えたのですよね」

Sさん「その通りです。それまでは契約を迫る時、契約をしませんか・・・と断わられやすそうな文言でお客さんに意思決定を迫っていました。そこで上司に言われたのが、契約をしましょう、私に任せてください、という断定口調のクロージングトークに変えろ、でした」

私も当時の上司に、同じことを言われた記憶があります。

私の上司は、契約を迫る場面で「契約しませんか?」「そろそろ契約という話をしたいのですが」という口調を使うのはダメだと言いました。

その場の空気感もあるので、私はこうした言い方が一概にダメだとは思いません。

ただ、基本的には弱気なトークはやめて「契約をしましょう」とはっきり迫れ、というのが私の上司の指導でした。

私は、自分が上司に言われたことを、Sさんの上司も同じように部下に指導していたとは思いもよりませんでした。Sさんからこの話が出たときは、二人で話が盛り上がってしまいました。

語尾を少し変えるだけで高いハードルになる

「契約しませんか?」という控えめなクロージングが板についた営業マンが、突然「契約しましょう」と言い方を変えるのは、できそうでできません。

営業マンが変えるのは語尾の少しだけですが、その少しの変化が高いハードルになっています。

裏を返せば、このハードルを越えた営業マンは、ほかの営業がなかなかまねできないクロージングを身につけたことになります。

Sさんは目線や声のトーンなどもかなり工夫してクロージングに臨んでいるそうですが、本記事では言い方の一点に絞って紹介しました。

反対に、完璧すぎる対応でお客さんに息苦しさを与え、契約をキャンセルされた千葉県の取材事例は、住宅営業に向いている人の特徴で解説しています。

契約を通過点に見せるクロージング(東京の男性営業Aさん)

契約を前にお客さんも営業マンも緊張を高めてしまう

住宅営業が初回面談から始めて、図面や見積もりを出して少し修正を加えれば、お客さんに残るのは契約をするかしないかの選択だけです。

図面を前にあれこれやっているうちはよいのですが、話が煮詰まってくると、お客さんは心の中で「そろそろ営業マンが決めてくれと言う頃だよな」と考えるでしょう。

営業マンのほうも「今回はビシッとクロージングをしなくちゃいけないな」と思うでしょう。

つまりお客さんも営業マンも、契約という恐ろしく高い山を前に緊張を高め、異常に高いハードルを自分たちで作ってしまうのです。

営業マンが「契約をしてください!」と言って、お客さんの決断を待つ場面を想像してみてください。

たまらない沈黙の時間です。

お客さんはいきなりイエスかノーかを迫られるので、目の前のプランでほぼいいと思っていても、ためらう気持ちは分かります。

契約後の段取りを話して緊張を薄める

東京で住宅営業をするAさんは、この緊張について面白い話をしてくれました。

Aさん「言葉では説明しにくいのですが、家づくりにおいて大事なのは契約の後であるという、我々がよく使う話をイメージしながらクロージングをします」

私「どういうことですか?話がよく見えないのですが」

話の趣旨が分からない私に、Aさんはお客さんに説明する場面を再現してくれました。

Aさん「プラン内容はほぼご満足いただけたと思いますし見積もりもほぼほぼ予算通りだと思います。この後の流れなんですけども、これで問題なければ契約になります。

しかし、契約した後が大変でして、打ち合わせでも丸3日は取っていただきたいですし、可能ならばキッチンメーカーのショールームにも一緒に行ってほしいのです。そこでショールームスタッフからいろんな話も聞いていただきたいですし、お客さんからも疑問や質問がたくさん出ると思うのですよ。全部決まったら着工直前に地鎮祭もありますので、地鎮祭をやるかやらないか、また出席される方は誰かなど決めることがとにかくたくさんあるんですよ・・・こんな感じで先の話を私はしていきます。イメージは伝わりましたか?」

営業マンがAさんのように話を進めていけば、お客さんからはこうした答えが返ってくるはずです。

「・・・そうですね・・・まあ、大体こんなところだと思うんですけども、ところで打ち合わせですが丸三日間ぐらいかかるんですか。それは大変ですよね。皆さんそんなものです?」

私も文章で書きながらもどかしいのですが、このイメージはなかなか伝わらないと思います。それでも私は、Aさんから直接この話を聞いたとき、腹に落ちて納得しました。

Aさんは、契約は家づくりの通過点に過ぎないとお客さんに意識させることを考えてクロージングをしています。契約はもちろん大事ですが、Aさんはその後に待っている楽しいことや大変なことを話して、契約の緊張感を薄めているそうです。

契約後に住宅会社の対応が変わったと感じたお客さんの不満とその防ぎ方は、住宅営業の契約後のクレーム対応で解説しています。

まとめ

取材した富山のMさんと千葉のSさんは、お客さんの決断をはっきり促しています。

富山のMさんは曖昧な表現を使わずに「もう決めましょう」と言い、千葉のSさんは「契約しませんか」を「契約をしましょう、私に任せてください」に変えて成績を伸ばしました。

東京のAさんは契約後の段取りを話し、契約を家づくりの通過点に見せて緊張を薄めています。

ぜひ本記事の3人の住宅営業の話を参考に、次の商談でお客さんに伝える最後の一言の語尾を見直してください。

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