住宅リフォーム事業者団体登録制度とは?工務店の加入メリットと事例

住宅リフォーム事業者団体登録制度とは?工務店の加入メリットと事例

地域の工務店がリフォームに力を入れ始めても、住宅展示場に来たお客さんから「おたくの会社は新築だけでしょ?」と言われ、近くのリフォーム専業会社に見積もりを頼まれてしまうことがあります。

住宅リフォーム事業者団体登録制度は、国土交通省が要件を満たすリフォーム事業者の団体を登録・公表する制度で、加盟した工務店は登録団体のマークを営業に使えます。中部地方の工務店F社は、このマークを商談で見せてお客さんの態度を変え、自社で初めて1,000万円を超えるフルリフォームを受注しました。

本記事では、住宅リフォーム事業者団体登録制度の仕組みと、工務店が登録団体に加入するメリット、F社の受注事例を解説します。

住宅リフォーム事業者団体登録制度とは?消費者が工務店を選ぶ目安になる国の仕組み

国の住宅政策は、これまでの新築一辺倒から、ストック住宅つまりリフォームに力を入れる方針へと舵を切っています。

ただ、当初の目標と比べると進み具合は遅れていると言わざるを得ず、日本人に根強い新築信仰がその妨げになっているのも事実だと私は思います。

それでもリフォーム市場が年々活況になっていることはさまざまな数字が示しており、国土交通省が旗を振って市場の活性化を進めています。

その動きの中で登場したのが、住宅リフォーム事業者団体登録制度です。

国土交通省の告示で2014年に創設された

国土交通省は告示によってこの制度を創設し、要件を満たす住宅リフォーム事業者団体を国が登録・公表しています。

消費者は、国が公表した登録団体の情報を、リフォーム事業者を選ぶときの判断材料にできます。

制度の原文は国土交通省「住宅リフォーム事業者団体登録制度」のページで確認できます。

登録団体制度のほかにリフォームに関わる公的な仕組みについては、リフォーム工事の公的制度で解説しています。

項目内容
根拠国土交通省の告示
告示の公布・施行平成26年(2014年)9月1日
一部改正令和2年(2020年)12月23日
目的住宅リフォーム事業の健全な発達と、消費者が安心してリフォームできる市場環境の整備
団体を通じて確保すること住宅リフォーム事業者の業務の適正な運営、消費者への情報提供

性能の低い既存住宅と悪徳リフォーム業者が背景にある

国土交通省の文章を読み進めると、国の考えは明快です。

SDGs(私は反対ですが)に代表されるように、持続可能な社会を目指すことが国際的な流れになっていますが、日本の住宅は欧米各国と比べて寿命が短く、スクラップアンドビルドで住宅産業を支えているのは周知の事実です。

そのため、新築一辺倒の政策を見直し、中古住宅の流通を促すことが喫緊の課題になっています。

ところが、日本の住宅は断熱性や気密性などの基準が甘く、既存の建物の中には性能が著しく低いものが多数あります。さらにリフォームに注目が集まるにつれ、悪徳リフォーム業者や、悪徳とまではいかなくてもレベルの低い工事をする工務店が多数存在することを、国は問題視しています。

これから新築する住宅は、断熱性や気密性の基準を厳しくすれば質が上がっていくと私は思います。しかし、リフォームの分野で一定のレベルに達していない業者が市場を闊歩(かっぽ)すると、中古住宅市場の信頼が落ち、ストック住宅が日本の文化として定着しない原因になります。

工務店が住宅リフォーム事業者団体に加入するメリット

小規模から中規模の工務店であれば、登録団体に加入していることが極めて大きな利益をもたらすと私は考えています。

国の登録団体の会員であることが信用の証になる

上の表も国土交通省のホームページからそのまま移したもので、国交省は16の団体を登録しており、それぞれの団体に優良なリフォーム事業者が会員として加わっています。つまり、地域の工務店はこのどれかの団体に加盟すれば、間接的に国のお墨付きを得ている証になります。

もちろん加盟には一定の審査があり、技術レベルの低い工務店や、財務に大きな不安を抱えている工務店は簡単には入れません。ただし、審査基準は団体ごとに設けられているので、ハードルの高い団体もあれば低い団体もあります。

登録団体の一つである住活協の研修や加盟金については、住活協リフォームの加盟内容と受注事例で解説しています。

登録団体のマークを商談で見せられる

どの団体に加盟していても、工務店は国の登録団体の会員であることを示す下のマークを使えます。

マークがあれば、工務店の営業マンはお客さんとの商談でこれを見せながら、次のように話せます。

「国交省認定の〇〇という団体に弊社は加盟しております」

工務店F社が登録団体のマークで1,000万円超を受注した事例

中部地方にある従業員30人程度の地場工務店F社での話です。

F社はそれまでリフォームをほとんど手がけていませんでした。

しかし、ご多分に漏れず新築の受注が以前より減り、さらに10年後、20年後には新築が激減するという情報に接した社長が「リフォームもしっかりやっていこう」と戦略を転換し、登録団体の1つに加盟しました。

加盟したことで、F社は登録団体のマークを営業活動で堂々と使えるようになりました。

地域の工務店がリフォームに取り組むべき理由は、工務店がリフォーム事業を手がけるメリットで解説しています。

住宅展示場に飛び込みで来た60代のご夫婦

お盆直前の、気温がかなり上がった蒸し暑い日のことです。

F社が持つ住宅展示場に、60代のご夫婦が飛び込みでやってきました。

接客した営業マンは、私に次のように報告してくれました。

「建て替えかリフォームで悩んでいるということでした。弊社以外にもリフォーム専業の会社に足を運んでいて、そこから見積もりをもらおうかどうか悩んでいるところだとのことでした」

このご夫婦とF社の営業マンの間では、次のような会話があったそうです。

主人「おたくの会社は新築だけでしょ?」

営業「いいえ、リフォームも積極的といいますか得意にしている工務店です」

主人「それは知らなかった。てっきり新築しかやらないものだと思っていて、すぐ近くにある〇〇リフォームに昨日行ったんだよね。まだ見積もりは取ってないけど、そちらで出してもらおうかと悩んでいるんだよ」

営業「住宅リフォーム事業者団体登録制度をご存じですか?」

主人「聞いたことないね」

営業「確かにほとんどの方がこの存在をご存じないと思いますが、弊社は国交省から認定を受けました〇〇というリフォーム団体に加盟しております。この団体には当然なのですが、一定の技術レベルや信用力等がないと加盟することができません。このマークをご覧いただきたいのですが……」

営業マンはこのように話を進め、登録団体のマークをご夫婦に見せました。リフォーム専業会社と工務店の競合については、OB施主のフォローを怠る工務店の弱みで解説しています。

登録団体のマークを見せた途端に態度が変わった

営業マンは「この説明をした途端にお客さんの表情ががらりと変わり、一気に前向きになったんですよね」と報告してくれました。

単純に「弊社はリフォームをやりますよ」と言うだけでは、ご夫婦の態度はこうは変わらなかったということです。

建て替えかリフォームかは別として、F社はご夫婦に「F社にリフォームを任せても大丈夫だ」という確信を持ってもらうことに成功しました。

工務店F社で初めての1,000万円を超えるフルリフォーム

競合はそれなりにあり、F社は値引きも多少したようですが、建て替えに匹敵するフルリフォームを受注しました。受注金額はもちろん1,000万円を超えており、1,000万円を超えるリフォームはF社にとって初めてのことでした。

展示場の初回面談から大型の全面リフォームを受注した別の事例は、全面リフォーム4000万円の受注事例で解説しています。

いちばん驚いたのはF社の社長です。

「リフォームで1,000万円を超えるような金額を取れるんだね!」と熱く語っていた社長の顔が非常に印象的でした。

登録団体への加入後にF社が営業で変えた3つのこと

どんなことでも、一度成功体験を積むと次の方向性がはっきりします。F社はこの受注をきっかけに、営業のやり方を次の3点で変えました。

  • 「リフォームもやっています」ではなく「リフォームも大変得意にしております」と言い方を変えた
  • 国交省の登録団体に加盟している正式会員であることを全面的に押し出すようにした
  • 登録団体のマークを、お客さんの目につくところに掲示するようにした

その結果、F社は今も順調にリフォームを受注できています。得意分野の打ち出し方は、リフォームの得意分野を確立する営業戦略で解説しています。

まとめ

住宅リフォーム事業者団体登録制度は、国土交通省が2014年に告示で創設し、要件を満たすリフォーム事業者の団体を国が登録・公表する制度です。工務店は登録団体のどれかに加盟すれば、国のお墨付きを示すマークを商談で使えます。

お客さんから新築の会社だと思われていた中部地方の工務店F社は、このマークを見せてお客さんの信頼を得て、自社で初めて1,000万円を超えるフルリフォームを受注しました。

ぜひ本記事のF社の事例を参考に、自社が加盟できる登録団体を国交省の一覧から探してください。

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