住宅展示場の装飾は何を置く?工務店の単独展示場と8カ月の準備

地場の工務店が初めて住宅展示場を出すときは、総合住宅展示場には入れないため、自社で用意した土地に単独展示場を建てることになります。
住宅展示場の装飾は、建物の価格帯に合った家具、外観写真を並べたイーゼル、座って話し込めるスペースの3つで考えます。23年間展示場を見てきた私の経験では、外観写真が貼ってあるイーゼルの前で立ち止まり、夫婦で好みを言い合うお客さんが非常に多くいます。
本記事では、工務店の単独展示場の装飾の考え方と、オープン8カ月前から進める準備を解説します。
工務店の住宅展示場の装飾は3つの要素で考える
住宅会社が展示場を作る以上、中のディスプレイをどうするかは避けて通れません。あまりに安っぽい家具を並べても駄目ですし、ローコストの住宅を建てている工務店がやたらと高価な調度品を並べても、建物とちぐはぐな印象になります。
見学の足を止める外観写真のイーゼル
たとえば、建物の外観だけを写した写真をたくさん用意し、イーゼルに貼って展示場のあちこちに置きます。
23年間展示場を見てきたので私は自信を持っていますが、歩きながら見学するお客さんは、外観写真が複数貼ってあるイーゼルの前に差しかかると立ち止まって見るケースが非常に多いのです。
立ち止まったご夫婦は、写真を見ながら次のような意見を言い合います。
展示場の写真を接客中に見せるツールとして使う方法は、自社展示場の写真を使った住宅営業ツールで解説しています。
「私はこの白いのがいい」「この屋根瓦はあまり好きではない」「もっと可愛い色がでないと」
奥さんの好みを接客の中で聞き出す方法は、ハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。
座って話し込めるスペースを複数つくる
住宅展示場には、お客さんに座ってもらい、ゆっくり話し込んでもらう仕掛けが必要です。
そのため、見学の途中で足を止める写真を貼ったり、座って話ができるスペースを展示場の中に複数設けたりといった仕掛けと工夫が重要になります。
こうした仕掛けを挙げていくときりがなく、工務店が入念に案を練って準備すると、相当な時間がかかります。
座ってもらった後の会話の進め方は、住宅営業の初回接客のコツで解説しています。
装飾の前に押さえる、単独住宅展示場の入りにくさと真剣度の高いお客さん
ハウスメーカーの展示場の家は簡単に見られますが、お客さんが地元の工務店の家を見る機会はほとんどないのが実情です。
地場工務店の家を見たいお客さんは半分近くいる
私は積水ハウスに勤務していましたが、当時のことは今でもよく覚えています。
展示場の事務所に詰めていると来場を知らせるチャイムが鳴り、営業社員が順番に接客に出ていきます。
私の記憶では、私が接客したお客さんの70%は、ハウスメーカーではなく地元のパワービルダーや工務店で家を建てているはずです。
お客さんがハウスメーカーを選ばなかった理由はいろいろあり、値段が高すぎて手が出ないという理由で断念した人も多かったと思います。
ただ、意外にも、ハウスメーカーで建てる気はないもののとりあえず来てみた人や、地場工務店で建てると決めているのに展示場がないのでとりあえず来てみた人もいました。
私は、このようなお客さんが半分近くいると踏んでおり、地域性はあっても大きな誤差はないと考えています。
つまり、お客さんは地元の工務店が建てた家を見学したいという希望を持っています。
単独展示場は駐車場に入った時点で身構えられる
地場の工務店は総合住宅展示場に入れないため、おそらく自社で土地を買うか借りるかして、単独展示場を建てることになります。
総合住宅展示場には他社のモデルハウスがたくさん並んでいるので、お客さんは気軽にエリアの中へ入ってきます。
一方で単独展示場は、お客さんが敷地の駐車場に入った瞬間に事務所から「ロックオン」されるため、ふらっとは行きづらいと感じるのが普通です。
逆に、単独展示場までやって来るお客さんは、どのメーカーにするかは決めていなくても真剣度が高いといえます。
単独展示場に合わせた内装や接客マニュアル、座りやすい部屋づくりについては、単独住宅展示場を成功させる準備で解説しています。
他社と違う色を決めた展示場づくりを
私が関わり始めた関東地方の工務店も、展示場にどんな色を出すかで、ずいぶん悩んだようです。
何の特色もない一般的な展示場では、地場工務店に勝ち目はありません。
新築が減ることを考えると、住宅会社はついローコスト住宅に目が行きがちですが、私はこの方針に反対です。
工務店は、中高級路線で攻めるか、北欧調のように他のメーカーとは明らかに違う色を出すべきだと私は考えています。
工務店がハウスメーカーの向こうを張って、多くの集客数を狙う必要はありません。お客さんに次のように思ってもらえる特異性を出せば十分です。
「こんな家に住みたかったんだ!」
ユニークな宣伝で有名になったRIZAPは、かつて住宅事業にも乗り出していましたが、知っている人はほとんどいないと思います。
RIZAPが運営していた住宅会社は、特徴のあるユニークな住宅を展開していました。
RIZAPは経営自体にいろいろあったため住宅事業から手を引いてしまいましたが、狙いそのものは全く問題がなかったと私は思っています。
展示場オープン8カ月前から進めた準備(関東地方の工務店)
関東地方にある工務店は業績が好調で、一棟目となる展示場を出すことになりました。
私は社長と20年来の付き合いがあり、「ちょっと手伝ってよ」という軽い誘いをきっかけに、1年間関わることになりました。
私がこの工務店を手伝い始めたのは展示場オープンの8カ月前で、準備にはどうしてもこのくらいの期間がかかると考えてください。
展示場には出店費用も維持費もかかるので、住宅会社は思いつきで出すわけにはいきません。
展示場のメリットはたくさんありますが、工務店にとっては、それで費用をペイできるかどうかが分かれ目です。
ハウスメーカーは莫大な費用をかけて展示場を出していますが、その費用はすべて住宅の価格に跳ね返っています。
お客さんもそれを承知のうえで「保険料の一種だよね」と考える人が少なくないため、ハウスメーカーはそれなりにやっていけています。
地場工務店が展示場を建てるのはかなりの冒険で、私が社長であれば、なかなか踏ん切りがつかないと思います。
私がこの工務店で8カ月の間に進めたのは、展示場マニュアルの作成、営業社員の教育、展示場の設営の3つです。展示場の設営とは、家具や写真、座るスペースといった装飾の準備を指します。
接客トークと雑談まで書き込んだ展示場マニュアル
私は展示場マニュアルの作成を必須としています。
マニュアルというと無味乾燥なものを想像されがちですが、マニュアルの出来はピンキリで、ありきたりの説明だけに重点を置いたものでは面白くありません。
もちろん説明も重要なので、キッチンがどこのメーカー製か、標準の天井高が〇〇mであること、リビングダイニングが何畳あるかといった内容は、私も当然マニュアルに入れます。
そのうえで私が重視して細かく作り込むのは、次の3つです。
- お客さんの生活状況を自然に聞き取るトーク
- お客さんから突然出てくる質問への答え方
- 家とはまるっきり関係のない雑談
マニュアルを使ったロールプレイング
営業社員の教育では、展示場マニュアルを使いながらロールプレイングを徹底して行います。
私は、ロールプレイングを軽視している経営者が多いことが気にかかっています。
営業社員が頭で理解しているのと、実際にお客さんに話しかけるように説明するのとでは、まったく事情が異なります。
たとえばお客さんから、次のように聞かれたとします。
接客ロールプレイを含む展示場接客のマニュアルを動画で作る手順は、動画で作る住宅営業マニュアルで解説しています。
「おたくの会社はどんなアフターサービス体制になっているのですか?」
営業社員がこの質問に棒読みで答えるのと、目の前のお客さんに分かりやすく説明するのとでは、伝わり方がまるで違います。
私は住宅営業の研修でもロープレを毎回取り入れていますが、簡単な内容でも、実際に言葉に出させると詰まる営業社員が続出するのが実態です。
私はロープレ以外にもさまざまな営業ノウハウを座学で伝えており、こうした座学も極めて重要だと考えています。
まとめ
住宅展示場の装飾は、建物の価格帯に合った家具、足を止める外観写真のイーゼル、座って話し込めるスペースの3つで考えます。
展示場には、中高級路線や北欧調など、他のメーカーと違う色を出します。関東地方の工務店では、オープン8カ月前から展示場マニュアルの作成、営業社員の教育、展示場の設営を進めました。
ぜひ本記事の装飾の3つの要素を参考に、自社の展示場に置く家具と写真、座って話せる場所を決めてください。



