住宅営業のショールーム誘客トーク|3年連続トップ営業の事例

自社に大型のショールームや宿泊体験棟があり、上司から毎月の誘客目標が出ていても、お客さんを施設までまったく連れ出せない営業マンもいます。
年間引き渡し数が二千棟レベルのA社には、ショールームへの連れ出し数で3年連続トップの営業マン、Hさんがいます。
Hさんは施設の詳細を調べ尽くしたうえで腹の底から真剣に誘い、片道2時間の距離も「たった2時間」と言い切っています。
営業トークと心の持ちようを変えれば、誘客の数字は大きく変わります。
本記事では、Hさんへの取材をもとに、住宅営業がショールームや宿泊体験施設にお客さんを呼ぶトークと考え方を解説します。
住宅営業がショールームに客を連れ出すと契約率が上がる
積水ハウスや大和ハウスなどの大手ハウスメーカーは、全国の拠点に見どころ満載の大型ショールームを持っています。
積水ハウスは納得工房などの名前を付けたショールームを複数か所で運営していて、営業マンがお客さんを連れて行くと契約率は急上昇します。
大手ハウスメーカーだけでなく地域の有力パワービルダーも含めれば、全国には相当数の施設があります。
ホームページを見て、営業との接点がないまま足を運ぶお客さんも数多くいます。
それでも来場の中心は、営業マンによる直接の誘致です。
そのため、勤務する住宅会社が一定規模のショールームを持っているなら、そのショールームに何組を連れて行けるかがそのまま営業成績に直結すると言っても過言ではありません。
一方で、立派な施設を持ちながら活用しきれていない住宅会社もあります。
今から20年前、私がコンサルティングで通っていた九州のある住宅会社も大きな施設を持っていました。
真面目一徹で県警出身の会長は、私が訪れるたびに「こんな立派な施設を作ったのにどうしてもっと活用しないんだろうか」と、同じ話を何回も繰り返していました。
ショールームへの連れ出し数が3年連続トップの住宅営業Hさん(A社)
某大企業のためA社とさせていただきますが、A社は年間引き渡し数が二千棟レベルの住宅会社です。
A社は全国に1か所だけ巨大な自社テーマパークを持っていて、実にさまざまな展示がしてあります。
私自身も数回見学したことがあり、直近では8月にビデオを片手に最新の状況を見てきました。
A社には注文住宅と分譲住宅を合わせて200人を超える営業マンが在籍していて、上層部から「折衝客を一人でも多く施設へ連れ出すように努力せよ」と通達が出ています。
営業マンがこれだけ多いと、まったく連れ出せない人がいる一方で、群を抜いて高い数字を出す人もいます。
私は今回の訪問でトップ営業マンのHさんに会い、30分ほど話を聞きました。
私「Hさんは〇〇市にあるショールームへお客さんを連れ出す数がダントツのトップだそうですね」
Hさん「おかげさまでこの3年間連続でトップになりました」
私「3年連続でトップとのことですが、それにははっきりとした理由があると思うんですよ。意識の面でもそうですし、営業トークも何かしっかりと考えてるんではないですか?」
Hさん「確かにそうですね。まず最初に心がけていることですが……」
Hさんの話の続きは、私が要約して紹介します。
施設を調べ尽くしてから腹の底から誘う
Hさんがまず心がけているのは、施設の詳細を徹底的に調べておくことです。
連れ出しに成功していない営業マンに施設の詳細を尋ねると、「そんな場所ありましたっけ?」というそっけない答えが返ってくることさえあります。
営業マンがお客さんを施設まで引っ張ってくるのに、営業マン自身がその施設の中身を知らないのはナンセンスの一言です。
次にHさんが挙げたのは、腹の底から真剣に誘うことでした。
「弊社には大型施設があるのですがよかったら来ませんか?」というふわふわした態度では、お客さんは来ません。
Hさんの誘い方はまったく違います。
「半日はお時間をいただきますが家を建てるのであれば絶対に見ておいた方が良い施設を弊社は持っています。どこで建てるかは別にして、家づくりの全てが腹にきれいに落ちますので、今度の日曜日に時間を取ってもらえませんか?」
2つの誘い方を並べると、お客さんへの伝わり方の違いがよく分かります。本当に見せたい施設なら、上辺だけのトークではなくお腹の底から声を出せ、というのがHさんの考えです。
「距離が遠い」と言われたときの切り返し
施設までの距離の悩みは、私が住宅営業からよく聞く内容です。
自社の施設が素晴らしいことは分かっていても、勤務している営業所から施設まで時間がかかる営業マンもいます。
10分もあれば行ける近場の展示場に勤める人がいる一方で、遠い営業所の営業マンは心の中で「あいつらはいいけども俺が連れ出そうと思うと片道2時間はかかってしまうんだよ。簡単にOKが取れるはずないじゃないか」と思っているわけです。
片道2時間は確かに遠い距離です。しかし、取材を受けてくれたHさんの答えは違いました。
Hさん「私の営業所から施設までは片道2時間かかるのですが、私から言わせれば2時間なんて大した距離じゃありません。“たった2時間の距離にこんなに素晴らしい施設があります。だから行きましょう”基本的にはこれで終わりです」
普通の営業マンなら、ショールームまで2時間かかると聞いた時点で「片道2時間はきついよな」と心の中で結論を出してしまうと私は思います。
Hさんの発想はまったく逆で、一生に一回の買い物に大いに参考になる施設を、片道たったの2時間で見学できると考えています。
物は言いようで、Hさん自身も「このトークは意外に効いているんじゃないか」と自己分析していました。
片道2時間の施設へ毎月7件を連れ出すトップ営業の事例は、住宅展示場の呼び込みノルマで解説しています。
宿泊体験棟への誘い方もショールームと同じ考え方
ショールームとは少し色が違いますが、宿泊体験ができる施設を持っている住宅会社もあります。
住宅展示場と宿泊棟を兼ねているケースが多く、お客さんに宿泊体験をしてもらうと契約率が飛躍的に高まります。
そのため、上司から営業マンに「毎月一組の宿泊体験アポを目標に動け」といった指示が出るわけです。

ただ、宿泊体験のアポはハードルが高く、お客さんから取るのは至難の業と考える営業マンが多いようです。
その中でHさんは、宿泊体験への誘致実績も抜群です。
理屈はショールームと同じで、Hさんは一生に一度の高価な買い物をするのだから宿泊体験は絶対に必要です、と言い切っています。
営業マンは「よかったら宿泊しませんか」と誘うのではなく、次のように断言してください。
「これから50年60年と住み続ける家ですので、その性能などについては実際に泊まってみて納得して購入すべきです。ですから宿泊体験をしましょう」
宿泊体験に限らず、お客さんに日程を取ってもらうときの考え方は住宅営業のアポ取りのコツで解説しています。
他社のショールームにも住宅営業が同行する理由(パナソニックの例)
自社のショールームがなくても、連れ出しの考え方は変わりません。
たとえば、住宅会社から車で1時間ほど走ったところにパナソニックのショールームがあるとします。
そのショールームはたいへんよくできていて、家を建てる人が見れば間取りの決定や住宅設備機器の選定に大きく役立つと、誰もが感じる施設だと仮定します。
私が住宅営業であれば、お客さんを何とか説得してこのショールームに連れ出します。
理由の一つは、パナソニックのショールームに同行することで、お客さんとのつながりを深めたいからです。
もう一つは、ショールームの見学がお客さんにとって本当に役に立つと、私が心の底から思っているからです。
この2点があるので、私は必死になってショールームへ誘います。
もちろん、ショールームの中身が薄いしょぼいものでは話になりません。お客さんから「森さんに勧められてきたけど、これは大正解だね」という感想をもらえるショールームだと営業マン自身が認識しているなら、万難を排して勧めるべきです。
取引先の施設を活かしきれていないことも含めた小規模工務店の課題は、小規模工務店が抱える課題と対策で解説しています。
まとめ
大型の自社ショールームを持つ住宅会社では、毎月の目標を決めてお客さんの誘客が行われますが、結果は営業マンの力量で変わります。A社のHさんは、施設を調べ尽くし、腹の底から真剣に誘い、距離の遠さも「たった2時間」と言い換えて、3年連続で連れ出し数トップになりました。
宿泊体験棟でも他社のショールームでも、営業マン自身が「この施設はお客さんの役に立つ」と心の底から思えるかどうかで、誘い方の強さが変わります。
ぜひ本記事のHさんのトークを参考に、次の商談で自社のショールームや宿泊体験棟への誘い方を見直してください。



