住宅営業は連絡の速さで勝つ|ハウスメーカー2社に競合勝ちした事例

A君のお客さんが比べた住宅会社の中には、返事が2〜3日後になる工務店も、催促されてやっと返事をするハウスメーカーもありました。
A君のお客さんは、連絡が遅いハウスメーカーを早々に候補から外しました。
新卒2年目のA君は翌日には返事をしていました。
A君が有名ハウスメーカー2社との競合に勝てたのは、お客さんから「レスポンスが圧倒的に早かった」と評価されたからです。
本記事では、A君の事例と私の顧客取材をもとに、連絡の速さが住宅会社選びをどう左右するかと、住宅会社が確かめたいことを解説します。
連絡の速さでハウスメーカー2社に勝った住宅営業A君の事例
私はビルダーや工務店のコンサルティングをしているので、行く先々で住宅営業の営業マンと話をしています。
話の中心は受注ですから、競合に勝った例も負けた例も、私はいやというほど耳にします。
単純に価格が安かっただけという競合勝ちも多いのですが、A君の案件は私が「なるほどね……」とうなった事例です。
A君は新卒2年目の住宅営業です。
A君は住宅展示場の接客を本格的に始めてから1年で、新築4棟とリフォームの大型案件1件を受注していました。
悪くもないが良くもない数字だと私は判断しています。
次の会話は、A君が直近で取った新築案件の話です。
お客さんがA君に伝えた決め手はレスポンスの速さ
私「今回は有名どころのハウスメーカー2社を相手にして結果的に競合勝ちしたのだけど、お客さんはあなたのどこを評価したんだろうね?」
A君「ただただ一生懸命やっただけで私もよくわかりませんが、お客さんから直接言われたのは、私のレスポンスが圧倒的に他社と比べて早かったということです」
A君はお客さんから直接そう言われたのですから、レスポンスの速さが受注の最大の理由だったと考えて問題ないでしょう。
インパクトのある話でも目新しい理由でもありません。
しかし営業のレスポンスの速さは、住宅会社側が想像している以上に、お客さんが住宅会社を決める理由になります。
返事が2〜3日後の工務店と、催促が必要なハウスメーカー
A君のレスポンスが早いと評価されたということは、競合の営業マンは相対的に遅かったということです。実際にこのお客さんは、最後まで残らなかった住宅会社の営業マンのことをA君に話していました。
最終候補に残りながら競合に負けた住宅会社がとった行動は、クロージングで失注した住宅営業の行動で解説しています。
| 住宅会社 | お客さんへの返事 | 結果 |
|---|---|---|
| A君の会社 | 翌日 | 受注 |
| 某工務店 | 2〜3日後 | 最後まで残らず |
| 誰もが知る有名ハウスメーカー | お客さんが催促してやっと返事が来たこともある | レスポンスの遅さが原因で早々に見切られた |
住宅営業の連絡が遅いと選ばれない理由(積水ハウス時代と顧客取材から)
積水ハウス時代の店長に言われた「とにかく早く対応しろ」
私が積水ハウスで住宅営業をしていた時代も、レスポンスの速さは徹底して意識していました。新卒で配属された住宅展示場の店長が、常日頃から私にこう指導していたからです。
「とにかく早く対応しろ。これだけで相当有利に立てるからな」
体に刷り込まれていることもありますが、記憶をたどると、私もA君と同じような経験を何回もしています。初契約のお客さんもそうで、私はご主人に「森君は動きが早いね~」と評価してもらったことを今でもはっきり覚えています。
積水ハウスの看板で取れた部分はもちろんあったはずですが、競合相手も全国の有名ハウスメーカーでしたので、看板だけで取った受注ではないと私は考えています。
それ以降、私は商談ベースに乗ると「少しでも早く返答しよう!」と自分に言い聞かせながら仕事をしていました。
顧客取材でほぼ全員が挙げる素早い営業の対応
私は長年にわたってお客さんの取材を重ねていて、この記事を書いた11月29日にも1件のZoom取材をこなし、12月にも5件のZoom取材を控えていました。こうした取材でお客さんに住宅会社の決定要因を聞くと、営業の素早い行動を挙げる方がほぼ全員です。
取材でお客さんが住宅会社の決め手に挙げた営業の行動は、契約の決め手になる住宅営業のレスポンスで解説しています。
営業のレスポンスの速さが大事なのは、新築の住宅営業でも、新築と縁のない不動産営業でも変わりません。住宅営業や不動産営業の方はすでに分かっている話だと思いますが、実際にそのスピードで動いている営業マンは、せいぜい10%から20%だろうと私は確信しています。
夜8時の図面変更を翌朝10時に届けたA君の対応
私はA君にさらに突っ込んでヒアリングをしました。
お客さんがレスポンスの速さを評価したのは分かりましたが、その中でもお客さんの心をいちばんつかんだ行動が何かを知りたかったからです。
A君からは、意外な答えが返ってきました。
「奥さんにこんなこと言われました。お客さんの家で折衝していて夜の8時ぐらいになったのですが、そのとき図面の軽微な変更依頼をされたのです。それを事務所に帰ってから手作業で修正して、翌日の10時にお宅にお邪魔して届けたんですよね。そうしたら、奥さんがものすごくびっくりした顔するんですよ」
夜遅くまで仕事をしたことがお客さんに伝わった
夜8時までお客さんの家にいて、それから事務所に帰って図面を直せば、相当遅い時間になることは誰でも見当がつきます。翌朝10時に変更プランが届いたことで、奥さんには、A君が遅くまで自分たちのために仕事をしていたことが分かったのです。
私が住宅営業をしていた平成初期の感覚では、夜の10時、11時にコーヒー片手にお客さんのプランを書くのは当たり前のことでした。
しかし働き方改革の時代には、営業がそんな時間に働いていること自体が、お客さんにとって衝撃的な事実だったわけです。
A君は、この一件からお客さんの信頼がさらに厚くなったと肌で感じたそうです。
今の時代、私から住宅営業の方にこれを真似しろとは言えませんが、お客さんがこうした感情を抱くのは事実です。何としてでも建築請負契約を取りたいのであれば、たまにこんなことがあってもいいのではないでしょうか。
お客さんの質問に10倍で返して熱意を示す対応は、新人の住宅営業が熱意で受注する方法で解説しています。
車のドアを開けて待っていたA君の丁寧な気遣い
私がお客さんに直接聞いたわけではありませんが、A君は、ばか丁寧な気遣いも奥さんに評価されていた可能性が高いと自己分析していました。
A君が、A君の会社が所有するショールームへ自分の車でお客さんを案内したときの話です。
お客さんがショールームで別のスタッフからカーテンの説明を受けている間に、A君は案内がそれで終わることを見越して席を外しました。
そしてA君は先に車に戻り、ドアを開けてお客さんを待っていたのです。
「ハイヤーじゃあるまいし、そんなことされたら恥ずかしいじゃないの~(笑)」
奥さんはそのときこう言ったそうですが、その後も何かあるたびに、このときの場面をニコニコしながら話すそうです。
「その時の私の対応を評価してくれたというか、かなり気に入ってくれたような感じがしてならないんですよね」
これはA君の自己分析ですが、私も的を射た分析だと思っています。奥さんへの接客の考え方は、契約客の取材から分かるハウスメーカー営業の奥さんへの接客トークで解説しています。
営業の連絡の遅さで失注しないために住宅会社ができること
社長や幹部が前線の営業の対応スピードを確かめる
住宅会社の社長や幹部の方は、前線の営業マンがお客さんの依頼に何日で返事をしているかを、今一度チェックしてください。短い連絡の入れ方は、住宅営業のお礼状の書き方で解説しています。
まとめ
A君の受注は、スピーディーな対応に加えて、夜遅くまで仕事をしてくれたこと、ハイヤーの運転手のようにドアを開けて待っていたことが大きく貢献したと、私はほぼ間違いないと思っています。間取り、価格、設備、アフターサービスがお客さんの住宅会社選びの大きなポイントなのはもちろんですが、A君の案件はそれ以外の部分が決定要因になったとすらいえるものでした。
住宅会社はどうしても営業テクニックを求めがちですが、お客さんはこんな初歩的で単純なことを高く評価し、それが住宅会社を決める最大のポイントになることが往々にしてあります。私はレスポンスの速さを軽視することはやめたほうがいいと強く進言いたします。
ぜひ本記事のA君の事例を参考に、自社の営業がお客さんへの返事に何日かけているかを確かめてください。



