注文住宅の営業のコツは行動量|月400件訪問した私の体験談

住宅営業のスケジュール帳に建築請負契約や打合せの予定が並んでいても、予定と予定の間の空いた時間に何をするのかは、明確に決まっていないことが多いものです。
注文住宅の営業のコツは、効率を工夫する前に行動量を確保することです。
私は新卒で月400件の訪問ノルマをこなし、空いた2時間に見込み客5件へ電話を入れる習慣を店長から身につけさせられました。
そのおかげで、ライバルより多くの注文住宅を受注できました。
本記事では、訪問件数、家の話をする経験値、週間単位の行動予定という3つの面から、行動量の増やし方を私の体験談をもとに解説します。
注文住宅の営業のコツは効率より先に行動量
私は新築とリフォーム専門の営業コンサルタントです。
この仕事を始めたきっかけは、私自身が住宅営業時代にほかの営業よりも多くの受注を上げたことでした。
私の受注の中には、自分でいろいろ工夫して取れたものもあります。
単なる根性論で突破したものや、私にもともと備わっていた感性が功を奏したものもありました。
私はこれまで住宅営業ノウハウの単行本を20冊以上書いてきました。
ライバルより多く受注できた理由のうち、本記事で取り上げるのが行動量です。
住宅営業にとって効率は大事ですが、絶対的な行動量は欠かせません。
工務店の方は工務店の立場で、ハウスメーカーの方はハウスメーカーの立場で読んでください。経営者や幹部社員の方には、部下を指導するときの参考にしていただければと思います。
月400件の訪問ノルマに学ぶ注文住宅営業のコツ
1日15、6件訪問しても会えるのは半数
月400件の訪問は、新卒で入社した私に課されたノルマです。
訪問先には純粋な飛び込みも含まれます。
先輩たちがほとんどアプローチしていないお客さんのリストや、ほかの経路で手に入れたリストへの訪問も含まれます。
飛び込みを含む個人宅への訪問で話を聞いてもらう工夫は、個人宅への訪問営業の事前予告で解説しています。
コロナという特殊な事情は横に置いて考えます。
月25日稼働とすると、私は1日あたり15、6件の訪問をこなさなければなりませんでした。
この件数には不在も含まれるので、私が実際に会えるのは計算上せいぜい半数の7、8件です。
ほかに業務が何もなければ、住宅営業にとって簡単にこなせる量です。
しかし実際には、雑務や建築請負契約の見込み客との折衝もあるので、計算どおりにはいきません。
また、今は直接訪問しなくてもお客さんと接触する方法がさまざまあります。
そのため、このノルマをそのまま当てはめるのはナンセンスだと私は思います。
訪問以外の接触方法は、口下手な住宅営業のお礼状とショートメールの使い方で解説しています。
ナンセンスでも、やれば数字は上がる
そのまま当てはめるのはナンセンスでも、住宅営業が今このノルマを実際にやれば、成果は出ると私は思います。
どの程度かは分かりませんが、おそらく数字は上がります。
ただし、私が営業であればやりたくありませんし、経営者であっても部下にここまでやれとは言いません。
一方で、訪問販売のスタイルを取るリフォーム会社などには、すさまじい実績を上げている営業が多数いるのも事実です。
そうした営業は優れた営業トークを持っているうえに、なんとしても数字を取ってやろうという気概も持っています。
そして、そうした営業が決まって口にするのが「量は質を凌駕(りょうが)する」という言葉です。
分母を増やせば分子が増えるという事実は、厳然と存在します。
繰り返しますが、私個人が営業であれば、絶対にやりたくありません(笑)。
それでも、住宅営業はこの原則が働くことだけは頭に入れておくべきです。
「人と家の話をする経験値を積め」という店長の口癖
30年前、私の上司だった店長は「人と家の話をする経験値を積め」と毎日のように口にしていました。
この教えは30年前も今もまったく変わらないと、私は断言します。
住宅営業は、家に関する雑談をたくさんして経験値を積むべきです。
相手はお客さんでも自分の友人でも構いません。
毎月約50人と家の話をした経験値
この経験値は、訪問活動とつながっています。私が毎月400件のノルマをこなした結果、実際に顔を合わせて、内容の濃淡はあるものの家の話までできたのは、月に約50人でした。
仮にこれを1年続ければ、約600人と話すことになります。そこで経験した会話のパターンは、かけがえのない財産になります。
過去の見込み客を訪ねて家の話をする経験値を積む方法は、住宅営業のアポなし訪問の進め方で解説しています。
「おたくは高いじゃない」に答えられなかった訪問(積水ハウス時代)
私には、今でもはっきり覚えている会話があります。以前住宅展示場に来たお客さんのお宅を訪ね、インターホンで呼びかけたときのことです。
私「こんにちは。積水ハウスと申しますが、5年ほど前に弊社の展示場にお越しいただいたかと思います。その後ご計画はどうなったかと思い伺いました」
私がこう呼びかけると、奥様が玄関ドアを開けて顔を出してくれました。
奥様「積水ハウスはいいんだけども、おたくは高いじゃない。なんであんなに高いの?(笑)」
私「そうですね、確かにいい値段がするかと思いますが……その……あのう……」
私は笑ってごまかして、その場を終えました。家の話はある程度できるようになった頃でしたが、あまりにストレートな質問に、私は答えられなかったのです。
私は奥様に言われたことを手元のノートにメモし、事務所に帰ってから先輩に報告しました。先輩がいろいろとアドバイスをくれたおかげで、それ以降、私は似たような質問に澱(よど)みなく答えられるようになりました。
週間単位で行動予定を立てる住宅営業は少ない

私も当時は苦手でしたが、週間単位で営業の行動予定を立てることは極めて重要です。私自身の経験に加えて、コンサル先の住宅会社を見ても、先々の行動予定まで立てて動いている住宅営業マンはあまりいないと言わざるを得ません。
中堅社員以上で、建築請負契約の予定や契約後のお客さんの予定が詰まっている営業は、スケジュール帳を見るとそれなりに予定が埋まっているように見えます。
ところが、確定した予定が1日に2件あるとしても、その営業が残りの空いた時間に何をするのかは、明確に決まっていません。
細々とした雑務はたくさんあるので詳細まで決めるのは不可能ですが、営業が空き時間に具体的な予定を1つ入れるだけで、営業効率は上がります。
契約と打合せの間の2時間に電話5件を入れさせた店長
新卒で入ったときの店長には今でも感謝しています。私はこの店長から、スケジュールの立て方をしっかり教わりました。
店長「週明けの予定はどうなっているか見せてみろ」
私「契約やら色決めやら結構ありますし、あとは市役所や法務局にも行くのでかなり細々としています」
店長「月曜日は午前中がSさんの契約でご自宅まで行くわけだな。その後昼頃に帰ってきて、3時からFさんとインテリアコーディネーターを入れての打合せだ」
私「そうです。この日は夜もアポイントがあるので、ほぼほぼパンパンですね」
店長「Sさんの契約が終わって昼帰って来るわけだけど、次の打合せは3時だろ?この間に何か具体的なスケジュールを一つ入れろ。どんなことができる?」
私「えっと……そうですね、見込み客に若干数は電話をかけてもいいかなという気はしますが」
店長「よし、ではそれをやれ。見込み客5件の名前をここに書いてからまた俺に提出しろ」
私は午前中に契約を終えて事務所に戻った後、3時からの打合せまで2時間の余裕がありました。
表向き私はそこで雑務をするつもりでしたが、実際にはダラダラ過ごして終わる可能性が濃厚だったと思います。
店長はそのあたりを鋭く見抜いて、私に指示を出したのです。
予定表を出すたびに詰められ、先回りする癖がついた
店長が予定表を出すたびに同じ詰め方をするので、私は指摘されないように先回りしてスケジュールを組む癖が身につきました。私がほぼスケジュールを埋める癖をつけた頃には、店長は私に何も言わなくなりました。
事務所にいれば2時間などあっという間に過ぎますが、この間に5本の電話をかけるだけで、その先の数字に大きな差が出ます。私自身が体感しているので自信を持って言えます。
こうして入れ込んだ電話でアポが取れたり、アポが取れないまでも久しぶりのお客さんと少し話してコミュニケーションを取れたりといった成果がありました。
電話からアポにつなげる進め方は、住宅営業のアポ取りのコツで解説しています。
私は当時から、店長の指導は的を射た優れたものだと認識していました。
そのため、店長を信じて苦労しながらも続け、やがて無意識にできるようになりました。
前線の営業マンは、自分に鞭(むち)打ってでもこの方法をやってみてください。
かなりしんどいと思いますが、予定を詰めることは、そのまま行動量を増やすことになります。
住宅営業の上司が行動量を指導するときの注意
上司の立場からのパワハラはいけませんし、過度なプレッシャーを与えることにも私は反対です。私が住宅営業だった時代はこうした風潮がはびこっていて、どう見ても論外としか言いようがない上司がいたのも事実です。
それでも、行動量を保つことが、住宅営業として成功するための大きな柱であることは間違いありません。
ただ、営業が上から言われて嫌々やったり、パワハラで強要されたりしても、成果は出ません。
上司が部下を指導する場合には、なぜ行動量を増やすのかを説明する必要があります。
前線の営業マンは、上司に言われなくてもこのことを理解し、率先して行動してみてください。
まとめ
私がライバルより多くの注文住宅を受注できた理由の1つは、行動量でした。
私は月400件の訪問で毎月約50人と家の話をし、答えられなかった質問を先輩に聞いて次に備えました。
さらに、契約と打合せの間の2時間にも電話を入れました。
こうした積み重ねが、受注の差になりました。
ぜひ本記事の店長とのやり取りを参考に、来週の予定表の空き時間に、見込み客への電話を1つ書き込んでください。



