もっとも原始的な追客方法はノーアポでの直接訪問でしょう。
その他の手段として、電話、メール、DMなどが上げられるでしょう。
さらには、Instagram、TwitterなどSNSを使ったのも追客と言えます。
SNSは追客しない追客ともいえます。
こちらが一方的に発信する場を、お客さんが勝手に覗き込みに来るからです。
だから、営業として非常に効率がいい手法がSNSとなるわけですが、今回のコラムは私が積水ハウス時代に実際行っていたアナログなDM追客の考え方をお話しします。
紙媒体のアナログでもSNSを使ったデジタルでも、この双方で通用する発想方法になるので参考にしてください。
私が積水ハウス時代に実践していた効果的な追客DMの手法をお話しします
1年前の話ですが久々に大きな地震がありました。
震度6強はかなりのインパクトがあります。
東北地方の方はもちろんですが、日本中が「地震はやっぱり怖いよな」と感じたはずです。
私は積水ハウスに在籍していましたが、今のようにSNSやメールがなかった時代には、自分の管理客に対して定期的あるいは不定期にダイレクトメールを送っていました。
今回の地震を受けて「そういえば大きな地震があった後には必ずダイレクトメールを出していたよな」と思い出したのです。
もちろん地震がポイント。
大きな地震の直後にダイレクトメールを出していたのですが、その内容となぜそのようなダイレクトメールを出したのかについて説明したいと思います。
大きな地震が発生したら送付するDMを準備していた
「積水ハウスの耐震性」「耐震性は大事」
細かいことを覚えていませんが、おおよそこのようなタイトルを付けたダイレクトメールの文面を平時から準備していました。
内容は特に変わったものではありません。
積水ハウスは地震に強いです、構造は〇〇のようになっております、 地震保険をご存知ですか、などといったことについて、いろいろと書いた文章と資料を準備していました。
耐震性の重要性は誰もが関心を持つことですから、住宅営業の皆さんも耐震性に関するダイレクトメールを送ったことはあるでしょう。
昔は図書館に行ってコピーをしていました
文章を書きながらふと思い出したのですが、地震で家が壊れることがいかに恐ろしいかということを、図書館へ足を運び過去の大地震の被害状況などをつぶさに調べ、写真を入手しダイレクトメールに使用していました。
今のようにネットがある時代ではないので、その当時はこうした地道な作業をしていたのです。
ものすごく大変だったのですが、今のネット時代であれば簡単にこのような資料を作ることができます。
耐震性に関する資料を作って、お客さんに送るということ自体は昔も今も変わりませんし、それどころか阪神淡路大震災と東日本大震災を経験した今のほうが、お客さんの関心は 遥かに高いはずです。
ポイントはダイレクトメールを送るタイミングにある
耐震性のダイレクトメールは地震の直後に送るほうが効果あり
答えはこれになります。
例えば22年の3月1日に、耐震性に関する資料をお客さんにダイレクトメールで送ったとしましょう。
封書にはわかりやすく「耐震性に関する大事なお話」とでも書いておきましょうか。
では、これと全く同じダイレクトメールを同じく22年3月17日に発送したとします。
地震があったのは3月16日の夜遅くです。
ですから、お客さんに向けてダイレクトメールを発送できるのは翌日の17日になりますね。
すると、そのダイレクトメールがお客さん手元に届くのは、早くて翌日の18日かもしくは翌々日の19日となります。
ダイレクトメールを受け取ったお客さんの気持ちになってみる
もともと耐震性に関して非常に強い関心をいだいているお客さんなら別ですが、ごく一般的な方であっても、今回の地震の翌々日辺りに「耐震性に関する大事なお話」と書かれたダイレクトメールが住宅会社から来れば、開封率が高くなるのと同時に高い関心を持って文面を読んでくれると推測できます。
いかがでしょうか。
極めて単純かつ筋のとおった理論だと思いませんか。
全く同じ内容のダイレクトメールを送っても、お客さんがその問題に対して関心を示すのか示さないのかでは、その効果が大きく違うということです。
大きな地震は必ず起こる
日本の場合は震度6以上の大地震が数年に1度は日本のどこかで起こります。
震度6クラスになると、テレビも速報体制になりますし、ニュースでも大きく取り上げてその被害が報道されます。
そして、古い家などが崩壊している現場があれば、各局が競ってその映像を流します。
「家を建てるときの耐震性ってやはり大事だよな」
たまたま建築計画がある家庭であれば、こんな会話が夫婦内で交わされる方が自然だと私は思います。
大きな地震が起こるたびに、家庭内で同じような会話が繰り返されるわけですから、私はこれを見越して大きな地震が来るのを待っていたのです。
そして地震がいざ起こった時には、事前に準備していた文章と資料を、手元にある管理客の分を大急ぎでコピーし、そして切手を貼ってお客さんのお宅に送ったのです。
メールを使えば10分あれば配信可能
ダイレクトメールでももちろんいいのですが、メールを使ったらどうなるでしょうか。
理屈は全く同じです。
あらかじめメールの文型を作成しておきます。
そして、それに添付する写真等も準備しておきます。
これさえ揃っていれば、あとは大地震が起きた当日、もしくは翌日に一斉メールをすればよいのです。
同じ理屈で他のバージョンも 作成して準備する
大きな地震はかならず起きるという話をしました。
そして地震は家に直結する話ですから、ダイレクトメールの内容としてはパーフェクトです。
しかし、私はこの他にも次のようなダイレクトメールを準備していました。
「女の子がいるご家庭へ」
こんなタイトルをつけた記憶がありますが、数年に1度は発生する幼女や少女に対する凶悪事件を念頭に置いていたからです。
私が現役時代実際にあった事件の話をしましょう。
それは東京都で起こった記憶があるのですが、自宅で留守番をしていた小学校3年生の女の子が、家人が留守だと思って空き巣に入った賊に殺されるという事件が発生しました。
この翌日に送ったダイレクトメールがこれだったのです。
内容は一戸建てに関する防犯性の重要性についてや、防犯ガラスなど様々な防犯商品についてでした。
ダイレクトメールを送る対象は地震ほどには広くないですが、小学生以下の女の子がいる家庭を対象としました。
このような事件が起こったとき、小学生の女の子がいる家庭であれば高い関心を持って読んでくれるダイレクトメールとなるのです。
こうした発想で考えていくと、まだまだ何種類ものダイレクトメールが作れると思いませんか?
東日本大震災で発生した大津波は1,000年に1度かもしれません。
しかし数年に1度起こるような社会を震撼とさせる事故や事件であれば、それに対応するような文面を準備する価値はあります 。
まとめ
ダイレクトメールをむやみに出している会社が非常に多いと私は感じています。
ダイレクトメールは、まず開封してもらわないと話になりません。
その上で中身に興味を持って読み込んでもらわないと、やはり意味がありません。
そのために、私はこういう戦略をとっていました。
何げないことかもしれませんが、営業は心理学なのです。
全く同じ内容でも、真剣に目を通してもらうためには、それを発送する時期にも気を配ることが大事なのです。