住宅展示場の呼び込みノルマ|月7件連れ出すトップ営業の手法

大型ショールームを持つ住宅会社では、営業マンはショールームへのお客さんの連れ出しを求められます。ところが住宅展示場から施設まで遠いと、お客さんは1日がかりになるため、普通はそう簡単に同意を取れません。
関東地方のパワービルダーで働くトップ営業マンのA君は、勤務する住宅展示場から車で片道2時間かかるショールームへ、コロナ前は毎月平均7件のお客さんを連れ出していました。A君が呼び込みで続けているのは、お客さんのメリットを伝えること、ショールームの内容を完全に覚えること、周辺のレジャー施設まで提案することの3つです。
本記事では、住宅展示場の営業マンが負う連れ出しのノルマと、遠いショールームへお客さんを呼び込むA君の方法を解説します。
住宅展示場の営業マンに課される「連れ出し」のノルマ
積水ハウスやダイワハウスなどの全国区ハウスメーカーは、全国各地に大型のショールームを持っています。
地域の有力パワービルダーの中にも、立派な施設を持つ住宅会社が全国各地にあります。
そうした住宅会社に籍を置く住宅営業マンはたくさんいますが、その中にはショールームをうまく活用して受注につなげる営業マンが少なからずいます。
「ショールームへお客さんを誘致せよ!」という号令は、どの住宅会社でも同じです。
関東地方のあるパワービルダーも、本社のある県内に大型施設を所有しています。
このパワービルダーの営業部長は、営業マンにさかんにはっぱをかけ続けています。
「とにかくここへ連れ出しを図るように。それが契約率のアップに大きくつながるのだ!」
実際の数字を見ても、その効果は歴然としています。
施設に連れ出して案内したお客さんの契約率は、そうでない案件と比べると突出して高いのです。
お客さんがわざわざ時間を取ってショールームまで足を運んでくれる時点で勝算がそれなりに高いので、当たり前と言えば当たり前ですがね。
しかし、営業マンはそのような事情は一切考えずに、ショールームに連れ出すことを必死で考えてください。
このパワービルダーで売っている営業マンは、全員がこの施設を徹底的に活用しています。
連れ出し数が増えれば、契約数もそれに準じて上がってきます。
住宅展示場の前で声をかける呼び込みが来場者数や契約数に与える効果は、住宅展示場の呼び込みの効果で解説しています。
住宅展示場から片道2時間のショールームへ月7件を呼び込むA君
関東地方のパワービルダーで働く営業マンのA君は、毎月7件のお客さんとアポを取り、ショールームに連れ出しています。
すごいと思いませんか?
この数字はコロナで若干落ちてはいるものの、コロナ前の平均連れ出し件数です。
成約率30%でも連れ出しの分母で勝つ
A君の平均契約数は、毎月2棟プラスαです。
A君は契約したお客さんもすべてショールームに連れて行っているので、連れ出したお客さんの成約率は30%程度になります。
他の営業マンの成約率が70%程度なので、A君の成約率そのものはダントツで低いのです。
ただ、A君は連れ出しの分母を他の営業マンより圧倒的に多く保っています。
歩留まりは関係ありません。
分子である契約の絶対数が大きければ、それで大成功です。
渋滞すると片道4時間かかる距離
A君について驚くべきなのは、勤務する住宅展示場からショールームまで車で2時間かかることです。
片道の時間なので、往復では4時間の道のりになります。
営業マンにとっては問題ありませんが、お客さんは1日がかりで行くことになり、普通はそう簡単に同意を取れるとは思えません。
ショールームまでの距離が遠いと言われたときの誘い方は、ショールーム誘客トークの事例で解説しています。
途中で渋滞などがあると、さらに大変です。
A君から直接聞いた話では、「最悪の時は片道4時間かかりましたよ」というほどでした。
積水ハウスなどの大手メーカーも各地にショールームを所有していますが、営業所の場所によっては同じようにとんでもない時間がかかります。
そのため、ショールーム案内を全く念頭に置いていない営業マンが多いのも事実です。
遠いショールームへ呼び込むためにA君が続けている準備
私はA君に、驚くべき連れ出し数の秘密を直接聞いてみました。A君の答えは、次の3つの準備でした。
ショールームに行くお客さんのメリットを具体的に伝える
何らかの行動をお客さんに勧めるとき、その行動がお客さんにとってどんな利益になるのかを明快に伝えるのは、営業の基本です。
たとえば、あなたが20,000円のボールペンを売るときも同じです。
一般的には自分のために買うには高すぎるボールペンですが、20,000円を支払う価値があることをしっかり伝えます。
満足感や見栄、気分の良さもありますし、年収が他人の数倍ある人にとっては相対的に安いものになります。
営業マンは、その人にとってこのボールペンを買うことに明確なメリットがあるかどうかを教えてあげるのです。
住宅に話を戻すと、自宅から2時間も離れた場所で現場見学会があったとします。
普通のお客さんなら「それは遠いな~」となって当たり前の距離です。
しかし、室内の床を総大理石張りにして、お風呂は純金製がいいという希望を持つお客さんがいて、そこへ偶然にも同じような家の現場見学会があったとしたらどうでしょうか。
このお客さんにとって、その現場は唯一無二で、足を運ぶ価値は多大です。
営業マンは、こう誘えばいいのです。
「あなたの希望にピッタリ。お風呂が黄金に輝き、床という床はすべて大理石仕様となっております」
A君はこれを徹底的に実行しているそうです。
A君が勤務する住宅会社のショールームはかなりの大箱で、中には地震を体験できる部屋まで備わっています。
A君は、地震を心配するお客さんには地震を体験できる部屋のことを徹底的に伝え、こう熱弁します。
「お子さんには地震が怖いものだということを教育する絶好の機会です」
展示物のデータと隣の展示場の間取りまで覚える
A君に言わせると、ショールームの内容を完全に記憶することが難しく、他の営業マンがなかなか真似できないそうです。
完璧に内容を把握するのは難しいと私も思います。
A君はすべての展示物の内容はもちろん、手を当てて温かさの違いを体感するサッシの実物大実験のデータまで完全に覚えているとのことです。
暖かさなどを体感で伝えてお客さんを誘う声かけは、モデルハウス接客の呼び込みトークで解説しています。
A君は、ショールームに併設している住宅展示場の間取りも完全に把握していて、お客さんを誘うときにはこう話すそうです。
「4号棟は収納を相当多く取ってあり、この展示場の2倍程度の割合になっています。これだけ収納の面積を広く取った展示場はないと思いますよ。収納の多い家は最優先の希望事項とのお話でしたので、この展示場は見る価値があります。ショールームの真横にありますので合わせてご覧下さい」
私は実際に誘い出すトークを現場で聞いたわけではありません。ただ、A君の直属の店長に聞くと、A君をべた褒めしていました。
「Aはとにかくショールームのことを熟知してますし、お客さんが思わず足を運びたくなるようなトークをガンガン展開していくから感心しますよ」
周辺のレジャー施設を家族向けのコースにして見せる
A君が勤務する住宅会社のショールームの周辺(周辺といってもかなり広範囲ですが)にはレジャー施設が多くあります。A君は基本的に、家族でショールームを見学したついでに遊びに行けるコースも提案するそうです。
「いろんな施設がありますが、適当に推薦したりはしませんよ。その家族に合った内容というか、思わず遊びに行きたくなるようなコースを選んで話をします」
私が実際に見せてもらったのは、遊びのコースをまとめた資料です。
A君のタブレットに収めてあったコースは全部で6コースあり、学習系や自然系など目的もいろいろでした。
片道2時間の距離を使って1日つぶすのだから、レジャーがてらでどうですか、という提案です。
まとめ
住宅展示場の営業マンにとって、ショールームへの連れ出し件数は契約数に直結する数字です。関東のパワービルダーのA君は、片道2時間という不利な距離でも、お客さんのメリットを具体的に伝え、ショールームの内容を完全に覚え、周辺のレジャーまで提案することで、毎月7件の連れ出しを続けていました。
成約率が低くても、連れ出しの分母を増やせば契約の絶対数は伸びます。来場客から要望を聞き出す初回の進め方は住宅営業の初回接客のコツで、次回のアポにつなげる方法は住宅営業のアポ取りで解説しています。
ぜひ本記事のA君の3つの準備を参考に、自社のショールームや住宅展示場へお客さんを呼び込むトークを見直してください。



