企画プランを売る住宅営業の勧め方|積水ハウス時代の体験談

住宅営業が企画プラン集を見せても、お客さんから「私たちの要望を聞いてもらいたいので、フリープランでやりたい」と言われる商談があります。そう言われると、住宅営業もそのまま0からプランを描き始めるので、住宅会社が企画プラン集を作っても受注にはつながりません。
私は積水ハウス時代、入社3年目まで企画プランしか売れないルールの中でプラン集のほぼすべてを暗記し、企画プランを相当数売りました。企画プランは住宅営業が本気で勧めれば売れる商品で、工務店でも参考プランとして使えば、お客さんと具体的な間取りの話を早く始められます。
本記事では、私が企画プランを売れた理由と、工務店が企画プランを商談で使うときのトークを解説します。
大手住宅会社の企画プラン集と工務店の違い
積水ハウスには数多くの企画プラン集があった
規模の大きい住宅会社になると、企画プランを準備しているケースが増えてきます。
積水ハウスなどの大手ハウスメーカーには数多くの企画プランがあり、それぞれがきれいなプラン集になっています。
大手メーカーの中には、豪華なプラン集を作っている会社もあれば、二色刷りの見るからにお金をかけていない安価なプラン集を作っている会社もあります。
これに対して家族経営や小規模の工務店には、この手のプラン集はまず存在しません。
中規模の地場ビルダーでも、プラン集がまったくない会社の方が多いかもしれません。
私は積水ハウス時代のプラン集を今も手元に持っていますが、当時はこの企画プランが私の受注の大きな武器になりました。
積水ハウスの企画プランの質を含めた営業の強さは、積水ハウスの営業研修と商談の強さで解説しています。
企画プランはお客さんへの押し付けではない
工務店の経営者や住宅営業の中には、企画プランを「建売を図面にしたようなもの」と捉え、お客さんに押し付けるものだと考える方がいますが、私はそうは考えていません。企画プランを売ってきた私の経験では、企画プランが原因でお客さんの苦情を招いたり、満足度が大きく下がったりした事実はほぼなかったと認識しています。
企画プランを嫌う考え方の根には、生涯にわたって住む家を十パターンの企画の中から選んでもらうのは失礼極まりない、という思いがあるのでしょう。
しかし、お客さんがそのプランに納得して、しかも値段が安ければ、住宅会社とお客さんの双方にとってウィンウィンだと私は考えます。
工務店の中にはこの考え方をどうしても受け入れられない方が多いようですが、私はその気持ちもよく分かりますし、一概に否定しているわけではありません。
工務店が企画プランを「参考プラン」として使う商談
企画プランに抵抗がある工務店は、企画プランを「参考プラン」と置き換えてみてはどうでしょうか。
仮に工務店が企画プランを30パターンか40パターン程度準備したとします。
住宅営業がお客さんにプラン集を紹介し、たまたま気に入ったものがあればそのまま建ててもらい、希望に近いプランがあればそれを参考にフリープランを描いていけばよいのです。
参考プランを見せるときの会話
営業「弊社はお客さんの要望を伺って0からプランを考えていきますが、参考プランもご用意していますのでお見せしますね」
客 「参考プランということはこの中から選んで建てるということですか?」
営業「もし気に入ったものがあればそうしていただいても結構です。その場合はかなりお安くできることになります。また、イメージに近いものを選んで頂いて、それをもとにご希望を伺うと話がスムーズに進みますし、お客さんも私達にご要望を伝えやすいかと思います」
客 「なるほど確かにそうですね。ところで企画プランというのは全く変更ができないのですか?」
営業「そんなことはありません。ある一定のルールはありますが、その範囲であれば変更は可能です。ただし、変更の度合いによって金額が変わりますので、それは都度計算させていただきます」
このような流れにすると、住宅営業は商談をスムーズに進められます。
偶然お客さんの希望に沿う企画プランがあれば、お客さんにとっても安く建てられるので悪い話ではありません。
初回の商談の組み立ては、住宅営業の初回接客のコツで解説しています。
入社3年目まで企画プランしか売れなかった積水ハウス時代
積水ハウスでは会社のシステムとして、入社3年目まで営業社員は企画プランしか売れない決まりになっていました。企画プラン以外は売ってはいけないので、私は展示場で接客したお客さんに企画プランを熱心に勧め、その結果たくさんの企画プランを売りました。
この話をすると、「百人接客すれば一人ぐらいは企画プランで納得する人もいるだろうが、そんなに多くのお客さんが企画プランで納得するはずがない」という疑問を持たれます。私はこの質問をこれまで数多く受けてきましたが、「一生懸命説明したから企画プランが売れた」としか答えようがありません。
断られたら担当を先輩に譲るルールがあった
接客したお客さんがどうしても企画プランでは嫌だと言った場合、私は担当を外れて先輩に譲らなくてはいけないルールでした。
営業としては担当を手放すことはどうしても避けたいので、私はお客さんに企画プランの良さを腹の底から伝えるしかありませんでした。
一歩間違えば押し売りになりますが、当時の企画プランは極めてよく練り込まれていて、プランそのもののレベルが高いものでした。
営業10年目の中堅社員はフリープランに逃げた
一方で、営業10年目の中堅社員にとって、この企画プランを売るのはなかなか難しいという現実がありました。
中堅社員に営業力がなかったわけではありません。
間取りが決まったプランをお客さんに勧めるには、営業社員の力量と熱意がどうしても必要になります。
中堅社員にとっては、そんな面倒なことをするより「せっかくですからプランを描きますので、お客さんのご要望をお聞かせください」と切り出した方が、楽に商談を進められるからです。
端的に言えば、中堅社員はフリープランに逃げていたと表現できます。
フリープランで要望を聞いても間取りが決まらないお客さんへの対応は、間取りが決まらない客への対応で解説しています。
プラン集のほぼすべてを暗記した
入社1年目から3年目までの営業社員は、どんなお客さんにも企画プランをアピールすることになります。
そうなると、営業社員は勧めるプランのメリットとデメリットを含めた情報を、一つでも多く身につける必要があります。
そのため私はプラン集を穴のあくほど見つめ、当時会社にあったプラン集のほぼすべてを暗記していました。
企画プランが売れない住宅営業の商談
仮に、企画プランを用意していても、メインは0からプランを描くスタイルで、企画プランはあくまで企画プランという扱いの工務店があるとします。その工務店の住宅営業が企画プランを紹介した商談を例に挙げます。
営業「弊社は0からプランニングをするフリー設計システムなのですが、企画プランも50通りご用意しております。もし、この中でご希望に沿うものがあれば、そちらの方がかなりお安く出来ますよ。プラン集はこちらになります」
客 「なかなか参考になりそうなプランがたくさんありますね・・・ただ、これはこれとして、私たちの要望を聞いてもらいたいものですから、フリープランでやりたいのですが」
営業「はい、わかりました。一生に一度の家ですからね、決まった間取りから選ぶのは面白くないですよね」
この会話は一見すると何の問題もありませんが、この工務店の企画プランはいつまでたっても売れないでしょう。お客さんに企画プランを紹介した時点で、住宅営業の頭の中にある「どうせ企画プランだから真剣に勧める気はないけどね」という気持ちが、お客さんに透けて見えるからです。
積水ハウス時代に企画プランを勧めたトーク
私はお客さんに企画プランを勧めるとき、最初に次のように話していました。
「積水ハウスは基本的にフリープランで設計しますが、企画プランも多数用意しています。企画といっても構造などはフリープランと全く変わらないので、もしご希望に近い企画プランがあればそれを選んでいただいて、そこに若干の修正を加えた方が圧倒的にお得になりますよ!」
このトークの後に、私はプランを指し示しながら言葉を続けました。
「例えば〇〇プラン集NO45をご覧ください。この間取りはほぼご希望に合致していると思います」
私がお客さんの前に該当プランを出すと、ほぼすべてのケースでお客さんから「確かに私たちの希望にほぼ合致していますね。ちなみにこれだとおいくらになるのですか?」と聞かれました。
この流れに持ち込めると、企画プランに若干の変更を加えて受注できる可能性が大きくなります。
ご夫婦への話し方は、ハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。
まとめ
企画プランは、住宅営業が本気で勧めれば売れる商品です。私が積水ハウス時代に企画プランを売れたのは、企画プランしか売れないルールの中で、プラン集をほぼすべて覚えて一生懸命説明したからでした。
工務店で企画プランしか売れないという状況はまずありませんが、企画プランを準備しておくと、住宅営業はお客さんと具体的な間取りの話をしやすくなります。参考プランとして話の導入に使っても、値段を付けて企画プランそのものを売ってもかまいません。
ぜひ本記事の積水ハウス時代のトークを参考に、自社の企画プラン集を用意して、商談で勧めてみてください。



