受注テクニック

積水ハウスはなぜ競合に強いのか

積水ハウスはなぜ競合に強いのか

私は積水ハウス出身ですが、その当時から今に至るまでこのようによく聞かれます。

「積水ハウスはなぜ競合に強いのですか?」

在籍当時ならば答えようがない質問でしたが、会社を離れて他メーカーの実情がわかると、この質問に対してある程度答えられるようになりました。

今と昔とでは中身が若干変わってはきましたが、競合に強い体質自体は全く変わっていません。

今日はこれについて言及していきますが、規模の大きな会社でも小さな会社でもおそらく充分に真似をできる内容になります。

かつて山一証券がまだ存在した時代は、野村証券、日興証券、大和証券を含めて4大証券と言われていましたが、野村證券はその中でも異彩を放ち競合に強い会社と言われていました。

同じ大手でも強い会社にはなんらかの秘密があるのです。

積水ハウスはなぜ競合に強いのか

営業社員の洗脳教育は大きく貢献した

洗脳なる単語を使うとなんだか誤解されそうですが、冷静になって分析すると洗脳としか言いようがない事実がありました。

ダイワハウスや一条工務店がぐんぐんと勢力を増しているのが現状ですが、ある一時までは住宅業界トップメーカーと言えばダントツで積水ハウスでした。

【累積100万棟】

これを達成した時に私は新卒で入社しましたが、最初に行った集団研修では毎日のようにこんな指導がありました。

「私たちは日本でトップのメーカーだ。お客様に支持されてきたからこそ達成した数字なので、競合に負けるなどもってのほかということを忘れないように。ちゃんと提案をすれば負けること自体がおかしいわけだよ。本来なら積水ハウスで素晴らしい住宅に住めるお客さんを他社の住宅に住ませてしまうことがあってはならないぞ」

かなりものすごい理屈です(笑)

ただ、一か月に及ぶ缶詰研修の間、毎日のようにこの種のことを繰り返し言われ続けました。

新卒ですから頭の中は空っぽですし余分な情報もありません。

今思い起こすとはなりますが、実際に自分で売るようになってから 競合案件の場合は「俺達には競合で勝つ社会的使命があるのだ!」 くらいのことは私も思っていました。

お客様の前でプランを書く

これも退社してからだんだんわかってきたことですが、他社と比べて大きく違うことがありました。

お客さんとの商談中にシャープペンシルを出し、方眼紙上に図面を書いていくのです。

かなり訓練をしたのでそこそこの綺麗さを持ってスラスラと間取りを書いてきました。

支店による差はあったかもしれませんが、他メーカーと比べるとかなり積極的にこれを推進していたことも積水ハウスの優位性と言えます。

同じようなことを日本ハウスホールディングス(旧東日本ハウス) もうやっていたので独自のものとは言えませんが、少なくとも他社よりは徹底的に訓練していたので、これが競合に強かった原因の一つと考えています。

客前での手書きプランは今でも有効

このことは今でもコンサルティング先でしつこく指導しているのですが、お客さんの前でプランを書くことは非常に効果が高いので実施すべきでしょう。

全部書いたら時間がいくらあっても足りませんので、部屋の一部だけで十分です。

もし子供部屋の話をしているのであれば、子供部屋の間取りをその場で書きながら説明してください。

大したことでないと思われるかもしれませんが、競合した場合この行為が他社との違いを際立たせるのです。

私が住宅会社の経営者であれば、営業社員にはこのプランニング能力を上げるための研修を徹底的に行うでしょう。

企画プラン能力の高さ

考える,頭

ハウスメーカーはたくさんの企画プランを持っています。

口頭で説明するのは難しいですが、積水ハウスが競合に強い一つの理由として、企画プランが良くできていることを挙げざるを得ないでしょう。

基本はフリープランで対応しますが、決まった間取りの中から選ぶ企画プランも各メーカーは大量に持っていると既述しました。

その当時もそうでしたが、現在使われている各社のプラン集を見比べると、積水ハウスは頭一つリードしている感があります。

ただ、以前と比べるとその差は相当縮まっていると感じますが、それでもなお積水ハウスの企画プラン集はよく練られたものが多いです。

企画プランのレベルが高いと受注に好影響を与える

①企画プラン同士の戦いでは明らかに有利になる

ご説明するでもありませんが、こちらが企画プランで競合会社も企画プランの場合、当然のことながら魅力的なプランを準備している会社が競合勝ちする確率が高くなります。

②注文で勝負する場合も有利になる

これには若干の説明を要します。

企画ではなく注文住宅でやるお客さんの場合、ヒアリングをしながら企画プランを見せるケースがあります。

お客さんにとっては海のものとも山のものともわからないプラン作成ですので「どんなプランをお考えですか」と言われても適切な返答ができません。

こうしたときに頼りとなるのが企画プラン集です。

お客さんからヒアリングしてある程度要望が分かった段階で、企画プランを見せ「ご希望のプランはこれに近いのではないですか?」 と話を向けると商談が進展しやすくなるのです。

この状況で企画プランの間取りの質が低いとうまくいきません。

よくできたプランだからこそ、このような状況になるのです。

豊富な人材

幹部クラスのある社員が話をしていたのですが「積水ハウスは今も昔も人的資源は豊富ですよね」とのこと。

今私は現役社員ではないので直接見聞きして比較することはできませんが、入社した当時に先輩社員たちのレベルの高さに驚いたことは今でもはっきり覚えています。

バラバラな学歴

優秀な人材というと、高学歴人間が集まっているのかと思いがちですが、こと住宅営業においてはこの法則はあまり当てはまりません。

あくまで人物本位で見るのが採用方針なので、結果的にそれが競合に強い人材を集めることに成功している要因となっています。

学歴は分かりやすい指針の一つですが、積水ハウスはそのあたりに全く一貫性がありません。

私の同期社員もそうでしたし、配属された支店の先輩たちを見ても学歴はまさに千差万別でした。

これが銀行ならば大学名だけで、出世コースに乗るかどうかを最初から選別されるでしょう。

そのような理不尽なシステムもなければ、空気も一切なかったことが、結果として営業力の強い野武士集団を形成していたと分析しています。

数字に対する貪欲な社風

大手ハウスメーカーの千葉支店に勤める高校の同級生がいたのですが、彼はその当時の社風を「普通の会社だし1棟受注しても一律3万円だよ」と話していたのを思い出しました。

この給与大勢と比較すると、積水ハウスは同業界でも給料が高いことで知られる会社でした。

この業界の悪い部分と裏表の関係にはなりますが、歩合給が高く売ると見返りが大きかったことが、競合に対する闘争心を燃やした理由のひとつであることは否めません。

私も2年目の給料は800万円を大きく超えてので、この数字は今であっても相当な高級といえます。

競合物件の折衝を月末などに行っていると、頭の中で「この物件を受注できれば来月の具合が〇〇万円増えるぞ!」などと計算をし気合を入れて折衝していたことを思い出します。

まとめ

競合に積水ハウスが強い理由を精緻に検討すれば、さまざまな要因が出てくるでしょう。

今回は私がパッと頭に浮かんだことを書き連ねましたが、どの業界であっても一般的に競合に強いと呼ばれる会社は、些細なことも含めて他社とは違う空気があります。

積水ハウスは今も昔も競合に強いと言われる会社の一つになりますが、最後の給与面だけを除けばどんな住宅会社であっても真似することができる内容を今回はあげました。

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森住宅コンサルタント株式会社 森 雅樹

森住宅コンサルタント株式会社 森 雅樹

積水ハウスと超零細工務店での営業経験を積み独立。現在は工務店のコンサルティングや、セミナー、執筆などをメイン業務に活動。現場見学会は企画から携わり、営業マンロープレも自らが設定を考え客役となり実施。国土交通省の認可組織である住活協リフォームにおいては全国加盟店向けに営業アドバイスなどを行う。 twitter・・https://twitter.com/iezukuri21 Instagram・・https://www.instagram.com/iezukuri21/ note・・https://note.com/91008082 youtube・・https://www.youtube.com/user/mo9100/videos

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