小規模工務店はZEH対応を急ぐべき?コンサル現場で見た実態

小規模工務店はZEH対応を急ぐべき?コンサル現場で見た実態

建材会社がZEHのセミナーを開いても、取引先の小規模工務店はなかなか集まりません。周りの工務店がまだ本格的に動いていないため、取引先の工務店の多くは様子を見ています。

しかし国は、2030年に義務化の基準をZEHレベルまで引き上げる方針です。私は、マイナンバーカードと同じように、周りが動き出した瞬間に住宅業界が一気に流れると見ています。

本記事では、コンサル現場と住宅展示場で見たZEHへの向き合い方の実態と、小規模工務店が今からできる備えを解説します。

取引先の工務店がZEHに動かないと嘆く建材会社の社長

建材などを工務店に卸す会社は、全国の至るところにあります。

私はそうした会社のさまざまな社長と面識があり、本州のある県にある建材会社の社長とは、今、ZEH(ぜっち)について色々とやりとりをしている最中です。

その社長は以前から、私にこう話していました。

「取引先の工務店さんがなかなかZEHに真剣に取り組んでくれないんだよね。もう時間がないから早くしなくてはいけないんだけど」

ZEH啓蒙ビデオを作ることになったきっかけ

あるとき社長から「ZEH啓蒙ビデオがあれば面白いね」という話がふと出て、これがきっかけで私がそのビデオを作ることになりました。どんなシナリオにして、ポイントをどこに置くかは、私がまだじっくり考えている最中です。

私は、このビデオではZEHの細かい制度や内容には触れない予定です。ZEHの中身を勉強するためのビデオではなく、工務店の経営者の方に前向きに取り組んでもらうための啓蒙ビデオに仕上げたいと考えています。

私はまだ着手もしていないので、完成はだいぶ先になりますが、完成したらこのコラムで告知します。著作権などの問題があるため公開できるかは分かりませんが、問題がクリアできればYouTubeで見られるようにします。

小規模工務店がZEHを先送りしてはいけない理由

建材会社の社長は、小規模工務店がなかなかZEHに取り組んでくれないと嘆いていました。

私がコンサル現場で見てきた限りでも、ZEHを軽視している工務店が多いのは事実です。

多くの工務店は、周りの工務店がさほど取り組んでいない空気を感じて、「まだそんなに焦らなくてもいいんじゃないか」と考えています。

太陽光への賛否はあっても国の方向は一つ

ZEHにさまざまな意見があるのは、私も分かります。

太陽光パネルについても、載せるのが当たり前だという工務店もあれば、懐疑的な工務店もあります。

私はどちらの言い分も理解できますが、2025年に向けて国が目指す方向は一つです。

国がZEHの推進に向かっている以上、工務店がこの流れに逆らうのは得策ではありません。

2025年と2030年に待ち構えるハードル

国の目標は最終的には2050年ですが、当面は2025年と2030年に一定のハードルが待ち構えています。2030年には義務化の基準がZEHレベルまで引き上げられるため、工務店に残された猶予はあと7年しかありません。

「まだ7年あるか……」

この期限を聞いてこう受け止める工務店も、ものすごく多いのが実情です。

マイナンバーカードと同じ流れになる

マイナンバーカードは、なかなか普及が進みませんでした。

国はマイナポイントで一人最大2万ポイントを付与するという人参をぶら下げましたが、当初は思ったように取得者が増えませんでした。

ところが国が健康保険証とのひもづけを進め、最終的にすべてをマイナンバーカードに移行させると決めた瞬間に申し込みが殺到し、ここにきて取得人数は1億人を超えました。

私は、ZEHにも同じ匂いがすると感じています。

期限が近づけば周りの工務店が一気にZEHに動き出し、それを見たほかの工務店も大慌てで対応する情勢になると私は見ています。

そのとき慌てても遅いので、工務店の経営者は今のうちからZEHの内容と国のロードマップを頭に叩き込んでおくべきです。

結果的にやらざるを得ないのですから、取り組むなら早い方がいいに決まっています。

ZEH対応を2030年まで先送りしようとした一人親方が、お客さんに離れられた体験談は、工務店のZEH対応を急ぐべき理由で解説しています。

一条工務店が掲げる超ZEHと一般的なZEHの違い

一条工務店は、住宅の性能を前面に押し出して受注を伸ばしてきたハウスメーカーです。一条工務店はZEHでも業界最先端の取り組みをしてきましたが、単なるZEHでは他社と差別化がつきにくくなるため、「超ZEH」をうたってさらに先へ進む選択をしました。

※ 画像は一条工務店のホームページより転載しています。

一般的なハウスメーカーのZEHは、省エネと創エネでエネルギーを減らし、エネルギー収支をプラスマイナス0にすることを当面の目標にしています。一方で一条工務店の超ZEHは、超省エネと超創エネでエネルギー収支を大きくプラスに持っていく考え方です。

個人的には、ここまでの数字が必要なのかという疑問を私は持っています。それでも性能にこだわるお客さんが多いのは事実で、超ZEHのうたい文句は一定の訴求力を持っています。

もちろん、ここまでの性能を求めないお客さんも一定数います。

高い性能の住宅は望んでいても、太陽光パネルの廃棄問題やSDGsに懐疑的な考えを持つお客さんの中には、反対する人も出てくるでしょう。

一条工務店を検討しているお客さんが住宅展示場に来たときの対応は、住宅展示場の集客方法で解説しています。

住宅展示場の営業現場で交わされるZEHの会話

私が見てきた、比較的大きな住宅会社の住宅展示場で、お客さんと住宅営業がどんな会話をしているかを紹介します。

お客さんのZEHの認知度はまだ低い

お客さんの間でのZEHという言葉の認知度は、さほど高くありません。

少なくとも営業との会話の中で、お客さんからこの言葉が出ることはあまり多くなく、「ZEHには対応していますか?」と聞かれると営業が驚くぐらいです。

それならそんなに慌てる必要はないと工務店が考えるのは、早合点です。

2025年が迫ればZEHはニュースにもなりますし、大手ハウスメーカーは当然この基準をクリアしてくるので、営業現場でZEHの話をどんどん押し出してきます。

ZEHをまったく知らなかったお客さんも、営業からこの言葉を聞いて国のロードマップを説明されれば、「今どきZEH基準を軽視しているような工務店ではお話にならないね」と考えるようになります。

住友不動産でZEHの話を聞いた奥様との会話

ある大手ハウスメーカーの住宅展示場で、完全フリーで来場したお客さんと営業の会話を、私は現場で耳にしました。

奥様「〇〇ハウスさんはZEHには対応していますよね?」

営業「もちろん対応していますが、奥様はかなり勉強されているようですね?」

奥様「そういうわけでもありませんが、実は住友不動産さんを見学したときに、営業さんからその話を徹底的に聞かされて頭に入ってしまったのです」

この場面ではたまたま住友不動産の名前が出ましたが、十分に想定できる会話です。

ZEHを全面的に押し出すハウスメーカーに行ったお客さんは、ほかの住宅会社でも同じ質問をしたくなるのでしょう。

私が住友不動産の営業に聞いたところ、住友不動産の営業はお客さん向けに作り込んだ資料を用意し、それを使ってZEHの重要性を強く訴えているとのことでした。

初回面談でお客さんにZEHを伝えるトークと、ZEH仕様でない新築が住宅ローン減税の対象にならない点は、ZEH未対応による減税トラブルで解説しています。

小規模工務店が今から始めるZEHへの備え

ZEHセミナーに参加して国のロードマップを聞く

私は2050年に向けたロードマップの細かい内容もコラムで書こうと考えましたが、あまりに長くなるうえ、読んでも面白くないと思ってやめました。実際に面白くありませんし、この手の内容は文章で読むと理解するのがなかなか大変です。

ロードマップの背景にある、ZEHが国策として広がる理由と工務店がリフォームに目を向けるべき点は、国策としての工務店のZEH対応で解説しています。

そのため、ZEHに関するセミナーがあれば、工務店の経営者は積極的に参加して話を聞いてほしいと私は思います。

人が解説する話を聞いた方が圧倒的に理解しやすく、労力も少なくて済みます。

ところが、冒頭の建材会社の社長はこう言います。

「うちでもZEHに関するセミナーはちょこちょこやるのだけどもう参加者が少ないのだよね。そろそろ焦らないとヤバいはずだけど」

これが現状なのです。

まとめ

小規模工務店の多くは、周りの工務店が動いていないことを理由にZEHを先送りしています。しかし国は2030年に義務化の基準をZEHレベルまで引き上げる方針で、住宅展示場でも、住友不動産でZEHの話を聞いたお客さんが、ほかのハウスメーカーで同じ質問をしていました。

ぜひ本記事のコンサル現場と住宅展示場の事例を参考に、ZEHのセミナーへの参加を今から始めてください。

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