住宅営業のプレゼンのコツ|同じ資料をやめた積水ハウス時代の体験談

プラン図面を見た目よく整えて商談に出しているのに新築の受注が伸びない住宅営業の資料を並べると、別々のお客さんに同じ内容のプレゼン資料を出していることがよくあります。
住宅営業のプレゼンは、お客さんが興味を持っていることと困っていることに的を絞った図面を1枚加えるだけで、他社と差が付きます。
私が面談した入社2年目のH君は、AさんとBさんに瓜二つの資料を出していました。
私は積水ハウス時代にこの2点に焦点を当てた資料に切り替え、お客さんから他社より量も質も上だと認めてもらえるようになりました。
本記事では、若手営業社員との面談と私の体験談をもとに、お客さんごとに変える住宅営業のプレゼンのコツと、図面のつくり方を解説します。
住宅営業のプレゼンがAさんにもBさんにも同じだった若手社員
私はある若手営業社員とリモートで個人面談をしました。面談を終えた30分後に私がこの原稿を書き始めたのは、どうしても気になる点が残ったからです。
面談の1週間前、私は30人程度を対象にリモート研修を行い、その参加者全員と個人面談をしていました。
入社2年目のH君も、その参加者の一人です。
H君は画面越しでも明るいキャラクターが伝わってきて、お客さんへの人当たりに問題があるとは私には思えませんでした。
ところが、H君の昨年の成績が振るわなかった原因を話し合っていくと、ある1つの点に行き着きました。原因はほかにも多々あるはずですが、間違いなくその1つだと私が考えたのがプレゼンテーションです。
私「プレゼンテーションの工夫はしている?」
H君「正直工夫はしてないですね。ただ見た目は綺麗に作っていますので、お客さんウケはそんなに悪くないと思います」
私「そうは言うけど、事前に提出してもらったAさんとBさんへのプレゼンテーションを見ると、内容が全く同じだよね」
H君「言われてみれば瓜二つです」
新築受注が伸びない原因の一つとして、プレゼンテーションのマンネリが挙げられます。
工務店もハウスメーカーもプレゼン資料がマンネリになっている
プレゼンテーションのマンネリは、大手ハウスメーカーでも地場の工務店でも関係なく起きています。私はとにかく、住宅営業のプレゼンテーションの硬直化が気になってしかたがありません。
本来、プレゼンテーションの内容はお客さんによって違うのが当然です。
もちろん基本的な部分は共通で、建物の構造を説明する資料はAさんにもBさんにも同じものになります。
しかし、AさんとBさんが関心を示すポイントは違うはずなので、そのポイントに応じてプレゼンテーションを変えるのは当たり前の話です。
住宅営業のプレゼンのコツはお客さんの興味と困りごとに絞ること
住宅営業がお客さんごとに変える部分は、お客さんが興味を持っていることと、お客さんが困っていることの2つです。
犬好きの客には散歩帰りの動線と餌置き場の図面
私は以前、ゴールデンレトリバーを室内犬として飼っていました。室内で大型犬を飼うくらいですから、私も妻も犬好きです。
その私がお客さんとして、ある工務店に足を運んだとします。
私が建物への要望を出すと、工務店の営業さんはその要望をもとにプレゼンテーション図面と見積もりを用意してくれるはずです。
その打ち合わせで、次のような会話があったらどうでしょうか。
工務店「この前の打ち合わせに基づいて、今日はプランとお見積もりをお持ちしましたよ」
私「楽しみにしていましたよ」
工務店「こちらが間取りになります」
工務店の営業さんは、このようにして私に間取りの説明を始めます。説明の途中で、話が次のように展開したとします。
工務店「ところで森さんは無類の犬好きで、今も二匹の大型犬を室内で飼われていますよね。当たり前ですが新居に移られても同じような状況でワンちゃんと過ごすことになりますが、こんなことを私は考えてきました」
私「犬がなにか関係しているのですか」
工務店「おっしゃる通りです。大型になると餌の量も半端じゃありませんので、餌置き場の確保も大事ですし、散歩から帰ってきたら足を洗って、それを拭いて室内にあげるという動作が必要になります。そのあたりの動線も含めたものを一枚の図面に落としてきました」
こう話しながら営業さんが犬に的を絞ったプレゼンテーション図面を1枚見せてくれたら、犬好きの私と妻はワクワクしながら隅々まで見るでしょう。この図面を提案された私は楽しい気持ちになりますし、私が犬好きだと察してくれた営業マンを高く評価することにもなります。
お皿を集める趣味の客には収納とディスプレイの図面
犬好きのお客さんには犬のプレゼンテーションをすればよく、猫好きのお客さんなら犬を猫に入れ替えるだけです。ペット以外の趣味でも、住宅営業の考え方は変わりません。
たとえば、日本各地を回ってお皿を買い集めるのが趣味のお客さんなら、私は集めたお皿を普段の生活で使いやすい場所に収納する案を考えます。
可能であれば、お皿を飾って外から見られるディスプレイもつくれればいいと考えます。
お客さんの趣味に着目したプレゼンテーション図面を出せば、お客さんはその図面を食い入るように見てくれます。
お客さんの趣味の話に付いていくための知識の持ち方は、富裕層の接客のコツで解説しています。
タコ足配線に困る奥様にはキッチンのコンセント図面
お客さんが困っていることは無数にあり、キッチンはその代表例です。
営業「今のキッチンで奥様がお困りのことは何ですか」
奥様「不満だらけだけど、電化製品が増えたおかげでタコ足配線なのよね。あれはストレス以外の何物でもないわ」
事前にこのようなヒアリングをしていれば、私ならキッチンのコンセントだけに的を絞ったプレゼンテーション図面を1枚つくっていきます。
私はお客さんが持っている電化製品を調べ、新築を機に買うと予想される電化製品も含めて、コンセントの数を割り出します。
そのうえで電化製品の置き場所を考え、コンセントを各所に配置した図面を奥様にお見せするのです。
この図面を見て関心を示さない奥様は、おそらくいないでしょう。奥様への接客の考え方は、ハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。
他社と差別化を図るプレゼンテーションをしたい住宅営業は、この2つを押さえた図面を提案してみてください。誰にでもできます。
お客さんに合わせた図面を手間をかけて出す前に、相手が一般客を装った同業者ではないかを確かめる方法は、図面を盗む客の手口と確認手順で解説しています。
積水ハウス時代に契約が取れたプレゼンの工夫
私が積水ハウス時代に契約をたくさん取れた理由は、当時も色々と分析しましたが、プレゼンテーションを工夫していたことが大きかったと言えます。
どの住宅会社にも、その会社独自のプレゼンテーション資料の基本形があります。
積水ハウスにも決まった形があり、私も最初はその形に倣って、全く同じプレゼンテーション資料を量産していました。
しかし、あるとき私の頭の中に大きな疑問が生じました。
「お客さんはみんな違うのに、プレゼンテーションだけ全く同じというのは妙だよな?」
この疑問が、私がプレゼンテーションを工夫し始めたきっかけです。工夫を重ねた末に私がたどり着いたのが、お客さんの関心と困りごとに焦点を当てる手法でした。
もちろん、この手法だけで契約が取れたわけではありません。
それでも、私が出したプレゼンテーション図面を見るお客さんの顔色から、他社とは何かが違っていることは明々白々でした。
私は実際に、何回もお客さんにこう尋ねました。
「私が出した資料と比べて〇〇ハウスさんの資料はどんな感じでしたか?」
私がこう尋ねると、どのお客さんも、私の資料が量も質も他社を上回っていると間髪入れずに認めてくれるようになりました。
他社の資料を量も質も上回るための競合対策の進め方は、住宅営業の競合対策のコツで解説しています。
私の現役時代から長い時間がたちましたが、プレゼンテーションのマンネリは今も昔も全く変わっていないと私は気づきました。そのため、私はコンサルティング先で、このプレゼンテーション手法を営業マンに口うるさく教えています。
プレゼンソフトで見栄えを整えるだけでは差が付かない
プレゼンテーションというと、ソフトを買ったりシステムを導入したりして、見栄えをよくすることにだけ目を奪われている工務店がものすごくたくさんあります。ソフトから出てきた図面は確かに綺麗にできていて、お客さんの目を引くのも事実です。
しかし、お客さんの関心を引く部分に焦点を当てられるかどうかは、人間である営業マンの感性にかかっています。さまざまなプレゼンテーションソフトを供給する業者さんがいますが、見た目を整えるだけでなく、お客さんの関心と困りごとを加味した資料をつくれるものにすれば、同業他社に対して圧倒的な優位を保てると私は思います。
建物の図面に限らず、土地の提案資料をお客さんの暮らしに合わせてつくる方法は、住宅営業の土地のプレゼン術で解説しています。
まとめ
AさんにもBさんにも同じプレゼンテーション資料を出していては、見た目をどれだけ綺麗に整えても他社との差は付きません。住宅営業のプレゼンでは、構造の説明のような基本の資料はそのままに、お客さんが興味を持っていることと困っていることに的を絞った図面を1枚加えます。
ぜひ本記事の犬好きのお客さんとキッチンのコンセントの事例を参考に、次の商談で出すプレゼン資料に、そのお客さんのためだけの図面を1枚加えてください。



