ZEHの話を避ける工務店は負ける|商談で客を逃した九州の事例

ZEHの話を避ける工務店は負ける|商談で客を逃した九州の事例

九州のある小規模工務店では昨年、商談客からZEHへの対応を聞かれた社長が慌てて受け答えを誤り、その商談客とはそれ以来連絡が取れなくなりました。工務店の商談で、ZEHの話はもう外せません。

本記事では、商談でZEHの質問に答えられなかった工務店の事例をもとに、競合のホームページの確認、補助金の説明、社内で使えるZEH啓蒙ビデオの活用法を解説します。

商談でZEHを聞かれて答えられなかった九州の工務店

ZEHは2030年から事実上の義務化となりますが、まだ7年あるため、多くの工務店の経営者はのんびりしており、お客さんの認知度もまだ高くありません。しかし、蟻の一穴という言葉があるように、私はこの一年のうちに状況が大きく変わると予想しています。

パーテーション越しに聞いた商談客の一言

昨年、私は九州のある小規模工務店の事務所を訪ね、社長と面談していました。

面談の途中で社長から「30分程度だけど商談客の来場があるから少し待ってもらえる?」と頼まれたので、私はちょうどいい休憩時間だと思い、パーテーション一枚を挟んだところでお茶を飲んでいました。

そのとき、商談客から衝撃の一言が発せられました。

「ZEHが義務になると聞いたのですが、こちらでも対応してもらえるのですか?」

私の席から社長の表情は見えませんでしたが、社長が明らかに慌てているのは手に取るように分かりました。

社長もZEHについてある程度の知識は持っていたようですが、お客さんから詳しい話を聞かせてほしいとガンガン突っ込まれ、あたふたしていました。

結局、お客さんは社長の受け答えに不信感を持ったようで、それ以来連絡が取れなくなり、商談は終わってしまいました。

私は、制作したZEH啓蒙ビデオの冒頭に、この場面を再現したシーンを入れました。

社長が振り返ったZEHの受け答えの失敗

社長とはその後、私との話の中でこの商談を振り返りました。

「ZEHの受け答え方が明らかにまずかったよね。まさかZEHの話を急に振ってくると思わないじゃない」

社長にとっては初めての経験だったらしく、驚いたのは分かります。

しかし、私は今後このようなケースが工務店の商談で多発すると考えています。

家を建てるお客さんの間では、ZEHへの関心も認知率も、工務店の経営者が思っている以上に上がっています。

来場したお客さんを迎える初回接客の進め方は、住宅営業の初回接客のコツで解説しています。

競合工務店が「ZEHはこれからの常識」と言い始めたら

つい半年前までZEHを考えてもみなかった住宅会社も、これからは「ZEHはこれからの常識です!」と堂々と宣言するようになるでしょう。

ZEHで遅れをとった工務店は、競合に負けます。

たとえば、あなたの工務店が社員10人程度の規模で、同じ程度の規模の工務店と競合になったとします。相手の工務店がお客さんに次のように話したら、どうでしょうか。

「ZEHはこれからの常識です。義務化されるのは2030年からですが、来年建てる住宅であってもZEH仕様にするのが業界では常識となっています」

お客さんの気持ちになれば、こう言い切った工務店にお客さんが信頼を寄せるのは火を見るより明らかです。

なので、私は工務店の経営者に強い言葉で申し上げます。

ZEHを甘く見て「まだまだ先の話じゃない」とのんびりしている工務店は、お客さんから簡単に見切られます。

ハウスメーカーと比較されてZEHを説明できず、お客さんを失った社長の実話は、工務店のZEH商談の失敗例で解説しています。

自社ホームページのZEHの記載を競合と見比べる

工務店の経営者は、いま一度自社のホームページを確認してください。

私は、ホームページでZEHに触れている工務店はかなりの少数派だと思っています。

ZEHに触れていても申し訳程度の記載では、会社として全面に押し出している印象をお客さんに与えられません。

一方、ハウスメーカーのホームページは、いずれもZEHについてしっかり書いてあります。住宅の性能を売りにする一条工務店は、ZEHどころか「超ZEH」とその上を行く表現を使い、お客さんの目を引いています。

一条工務店の超ZEHのような動きを踏まえ、小規模工務店が今から備えるべきことは、小規模工務店のZEH対応で解説しています。

工務店の経営者は、自社だけでなく、3つのタイプの住宅会社のホームページもチェックしてください。

  • いま実際に競合している住宅会社
  • これから競合になりそうな工務店
  • 普段は競合しない大きな地元の住宅会社

経営者が知らないだけで、これらの住宅会社のホームページには「ZEHはこれからのスタンダード」といった論調で大きく掲載しているかもしれません。

競合しない地元の住宅会社がZEHを謳っていても危険

実際に競合する工務店がZEHを大きく掲げていれば、ZEHに触れていない工務店にとっては悲劇的な結末になります。では、普段は競合することのない地元の住宅会社がZEHを謳っている場合はどうかというと、これもやはり危険です。

折衝中のお客さんは、その地元の住宅会社と商談しなくても、ホームページをのぞけば「ZEHが重要だ」という情報を目にします。

ZEHに触れていない工務店には問い合わせすら来ない

そのお客さんがZEHに触れていない工務店に抱く感想は、次のようなところではないでしょうか。

「この工務店の雰囲気は悪くないんだけども、ホームページにZEHのことは書いていないな、問い合わせしようかどうか迷ったけど、ZEHを推進しないような地場工務店じゃ話にならないからやめておこう」

こうなると、工務店はお客さんとの接点すら持てない可能性があります。工務店の経営者は、自社のホームページを今すぐ見直し、ZEHに言及してください。

ZEH補助金の説明から逃げない工務店が受注に近づく

住宅をZEH仕様にすると、お客さんは住宅ローン減税やフラット35で多くの恩恵を受けられます。

中でもお客さんの目を引くのは補助金で、こどもエコすまい支援事業では、ざっくり言うと100万円がお客さんに補助されます。

私のZEH啓蒙ビデオでも、後半でこの話に触れています。

ZEH仕様でない新築が住宅ローン減税の対象にならず、お客さんとの間で起きるトラブルについては、ZEH未対応による減税トラブルで解説しています。

お客さんから見れば、ZEHを推す工務店のおかげで100万円もの補助金をもらえるわけです。工務店は受注に大きく近づくうえ、契約した後もお客さんから感謝されます。

補助金から逃げる工務店が多いうちに先手を打つ

補助金から逃げている工務店は本当に多いと、私は感じています。補助金の申請がややこしいのは私も百も承知ですが、ややこしいからこそ工務店は逃げてはいけません。

特に、日頃から小規模な工務店と競合している工務店の場合、相手の工務店も補助金から逃げている可能性が高いと私は推測しています。

これはチャンスです。

相手が逃げているなら、こちらは先手を打って、お客さんにこう言い切ってください。

「ZEHは2030年義務化されますが、今から建てるのであればZEH仕様にすべきです。フラット35や住宅ローン減税でも優遇されますし、何より補助金が魅力です。補助金はこどもエコすまい支援事業で100万円が……」

私は、このトークだけで工務店の競合力が2倍になると考えています。

申請ミスは取引先の建材会社・住宅設備会社に頼って防ぐ

ただし、補助金には大きなリスクがあり、申請書類にミスがあって補助金を受けられないと、お客さんをかえって怒らせてしまいます。取引先の建材会社や住宅設備会社は、「補助金の申請は我々にご相談ください」と工務店に声をかけているはずです。

建材会社や住宅設備会社は、補助金の申請で工務店に頼ってもらうことを望んでいます。

取引先は工務店の申請を手伝えば工務店に恩を売ることができ、受注増も見込めるので、工務店と取引先はお互いにウィンウィンの関係になります。

補助金のミスを防ぐには、こうした取引先に頼るのも得策です。

ZEHの営業トークはプロが撮影した啓蒙ビデオで学べる

撮影会社と役者4人をそろえて1日で撮影した

私はZEH啓蒙ビデオをやっと完成させました。

撮影はプロの撮影会社に依頼し、役者など出演者も4人そろえました。

撮影当日は、撮影会社から監督を筆頭に6人のスタッフが現場に来て、役者4人、撮影現場となった住宅展示場の社長、私を合わせて総勢12名になりました。

かなり大がかりな撮影でしたが、カメラを3台使い、何とか1日で撮り終えました。

ビデオは私が運営するYouTubeで公開しています。

私は当初からこのビデオを販売するつもりは毛頭なく、全国の工務店に生き残ってもらうために作りました。

商用での使用はお断りしていますが、自社内での勉強に使う分にはまったく問題ありません。

ZEH啓蒙ビデオ(YouTube)

ビデオの営業トークを社内の受け答え練習に使う

ビデオには、ハウスメーカーの営業がお客さんにZEHを説明するトークが入っており、工務店の営業はこのトークをそのまま使ってかまいません。

何回も見てください。

ハウスメーカーの営業トークを契約客の取材から読み解いた話は、ハウスメーカーの営業トークと奥さんへの接客で解説しています。

まとめ

2030年のZEHの事実上の義務化を前に、九州の工務店では商談客からZEHを聞かれた社長が答えに詰まり、商談を失いました。競合の工務店が「ZEHはこれからの常識」と言い始め、ホームページでZEHを掲げる住宅会社が増えれば、ZEHの話を避ける工務店はお客さんとの接点すら持てなくなります。

私はZEHについて、しばらくしたらまた違う切り口で必ず書きます。

それほど強い危機感を持っています。

補助金の説明は取引先の建材会社や住宅設備会社の力を借り、営業トークは私のZEH啓蒙ビデオで社内で学んでください。

「あの時コラムを読んで本当に助かったよ」と工務店の経営者に思ってもらえることを、私は心の底から願っています。

ぜひ本記事の九州の工務店の事例と補助金のトークを参考に、自社の商談とホームページでZEHを語れる準備を始めてください。

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