太陽光とEVを住宅営業が知るべき理由|V2Hと商談の失敗事例

太陽光とEVを住宅営業が知るべき理由|V2Hと商談の失敗事例

私が録画でチェックした初回面談で、キャリア10年目の住宅営業は、車の台数を聞いたところ、お客さんのご主人から日産サクラに対応できる設備はできるかと聞かれ、言葉に詰まりました。

サクラは電気自動車(EV)で、ご主人が聞いた設備は、太陽光で発電した電気をEVに送るV2Hのことでした。

名古屋の建材会社サンコーの加藤社長も、屋根の太陽光から給電すれば、セカンドカーの1日20〜30キロの走行は全く問題ないと話します。

電気代の高騰でお客さんが太陽光に目を向けるなか、住宅会社は太陽光とEVの知識をセットで身につけてから、折衝に臨む必要があります。

本記事では、名古屋のショールームへの取材と実際の商談をもとに、住宅営業が押さえておくべき太陽光とEVの知識を解説します。

住宅会社が太陽光とEVの知識を持つべき理由

再エネ賦課金などの影響で電気代が高騰し、お客さんは否が応でも太陽光に目を向けざるを得なくなっています。

電気代がどこまで上がり続けるかは分かりませんが、私は再エネ賦課金がなくならない限り、電気代は高止まりすると予想しています。

EVについても今後の普及が見込まれ、一般家庭に浸透する可能性が高いと私は考えています。

EVの普及を見込んで住宅会社が車も売る動きについては、住宅とヒュンダイ車のセット販売で解説しています。

もちろん、太陽光とEVにはさまざまな意見があります。

発電効率やEVに搭載される蓄電池の性能、充電スタンドの普及を心配する声もありますし、中国製パネルに関する政治的な問題から、太陽光パネル自体に拒否感を持つ人がいるのも事実です。

本記事では、こうした賛否には一切立ち入らず、いま起きていることとこれからの見通しだけを考えます。

太陽光とEVの実物がそろう名古屋の住宅建材ショールーム

名古屋市中川区に、エナジーベースという施設があります。エナジーベースは、中部圏で売上200億円以上を誇る建材会社、株式会社サンコーのショールームで、太陽光やEVの実車が置かれています。

エナジーベースは、とりたてて大規模な施設ではありません。それでも館内は、ありそうでない秀逸な展示物であふれています。

全景は1枚の写真に入りきりませんでしたが、エナジーベースには日本中の住宅会社が注目するデータがあります。

サンコーは、日本と外国の太陽光パネルメーカー6社のパネルを建物の屋根に載せ、10年以上にわたって発電量を記録しており、その数字は日々刻々と変わっていきます。

「おそらく弊社だけだと思いますよ」という話のとおり、こうした記録を持つ施設は日本で唯一です。

私はこの数字をつぶさに拝見し、日本と外国、またメーカーによって発電量に15%以上の差が出ていることに関心を抱きました。

私は以前のコラムでもエナジーベースを取り上げましたが、エナジーベースは10月5日に大々的なリニューアルを行いました。

私が現地に足を運んだのはリニューアルフェアの後なので、当日のにぎわいは見ていません。

サンコーの方によると、フェアには2日間で400人以上が来場したそうです。

「セカンドカーはEV」と話すサンコー加藤社長の体験談

サンコーの社長の加藤さんとは20年来のお付き合いですが、私は先日、加藤社長からEVについて非常に興味深い話をお伺いしました。

私「社長はEVを強く推奨されていますけれども、現状ではそんなに走ってないですよね」

社長「おっしゃるとおりです。ただ、5年から10年の間には世の中激変すると思いますよ。実は我が家のセカンドカーもEVなんですが、これがめちゃくちゃ便利なんです」

私「便利と言いますが、充電スタンドはまだまだ充実してないので逆に不便ではないですか」

社長「いやいや、ポイントはそこではないんです。確かにスタンドはまだまだ数が少ないので、長距離走行をしようと考えると不安になるのは当然です」

EV最大のネックの一つと言われるのが充電施設の少なさなので、私も真っ先にそこを尋ねました。ところが、加藤社長の話の続きを聞いて、私も思わず「そういうことか」と納得しました。

太陽光で給電すれば1日20〜30キロは問題ない

加藤社長の話は、戸建ての屋根に太陽光が載っていて、太陽光で発電した電気を自宅に停めた車に給電することが前提です。家で充電して家族でロングドライブをしようとすれば、運転する人は当然、充電スタンドの場所を確認しながら走ることになります。

しかし、近くで買い物をしたり、近所のレストランに食事に行ったり、子供の送り迎えをしたりする程度なら、セカンドカーが1日に走る距離はせいぜい20〜30キロです。加藤社長は、この距離なら太陽光からの1回の給電で全く問題がないと話します。

私はEVを持っていないので体感としては分かりませんが、理屈としては極めて筋が通った話だと納得しました。

メインはハイブリッド車、セカンドカーはEV

加藤社長は、私に次のようにEVを勧めてくれました。

「森先生も騙されたと思ってEVを買ってみてください。ガソリンスタンドに行かなくて済むという経験をしてしまうと、ガソリン車には戻れないですよ」

加藤社長の話を踏まえると、1家に2台の車を持つ家庭なら、メインの車はハイブリッド車にし、セカンドカーをEVにすればよいという結論になります。

日産サクラを知らなかった住宅営業の初回面談

私は、EVが話題に上った商談を録画でチェックしたことがあります。キャリア10年目で30代の男性営業社員と、同年齢ぐらいのお客さんとの初回面談でした。

セカンドカーにサクラを考えていたご夫婦

営業社員が駐車場の話を切り出したところで、極めて興味深い会話がありました。

営業「駐車場のお話をしたいのですが、お車は何台お持ちですか」

主人「いまは一台ですけども、家を建てたらセカンドカーとして何か買おうかなと考えています」

営業「普通自動車か軽自動車かによりますけども、駐車場の配置やそのスペースを考えた上で建物を配置する必要がありますから……」

主人「車種はだいたいもう決めています。日産のサクラという軽自動車があるじゃないですか。あれにしようかと思ってるのですけども、おたくはこれに対応できるような設備はできますか」

営業「対応できる設備……えっと……それは……」

妻「サクラは電気自動車です。ネットで見ただけなんですけども、なんかものすごい人気らしいんですよね」

ここまでが、録画をほぼそのまま再現した会話です。

営業社員が答えられなかった理由

私が営業社員に後で聞くと、営業社員はサクラという車種そのものを知らなかったそうです。

車種が分からないので、サクラがEVであることも分かるはずがありません。

さらに営業社員は、電気自動車だと理解できたとしても、ご主人が聞いた「対応できる設備」の意味も分からなかったとのことでした。

この商談では、お客さんの方が営業社員より先にEVの情報をつかんでいました。奥さんへの接客は、ハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。

EVの家づくりに必要なV2Hとは

ご主人が聞いた「対応できる設備」は、V2Hと呼ばれる機器です。V2Hは、敷地内に造る充電スタンドだと考えると分かりやすく、太陽光で発電した電気をEVに送るには、それを実行する機器としてV2Hが必要になります。

パナソニックのサイトの説明によると、V2Hは「Vehicle to Home」の略で、直訳すると「クルマから家へ」という意味です。V2Hは、EVのバッテリーにためた電力を自宅で使えるようにする機器で、V2Hを導入するとEVを住宅用の蓄電池として使えます。

EVをV2Hでつなぐ蓄電池としてスマートハウスと一緒に販売する例は、EVを住宅ローンに組み込む仕組みで解説しています。

機器電気の流れできること
通常のEV充電設備家からEVへ家庭の電力でEVに給電する(EVの電力を自宅には送れない)
V2H家からEVへ、EVから家へEVの電力を自宅に給電でき、災害時の備えになる

パナソニックは、近年のEVは航続距離が500〜600kmまで伸びるほどバッテリーの大容量化が進んでおり、走っていない時間のバッテリーもV2Hがあれば効率よく使えると説明しています。

商談で太陽光とEVの話を進める住宅営業の聞き方

駐車場の話でセカンドカーの予定と車種まで聞く

サクラの商談では、営業社員が駐車場の配置を決めるために車の台数を聞いたことで、セカンドカーの話が出ました。

住宅営業は、家を建てたらセカンドカーを買う予定があるか、買うなら車種は何かまで聞いておくと、お客さんがEVを考えているかを初回面談の段階でつかめます。

初回面談の進め方は、住宅営業の初回接客のコツで解説しています。

よくある質問

プラグインハイブリッド車でもV2Hは使えますか?

パナソニックのサイトでは、V2HはEVだけでなく、プラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーにためた電力も自宅で使えるようにする機器と説明されています。お客さんがPHEVを検討している場合も、住宅営業はV2Hを提案の選択肢に入れられます。

まとめ

太陽光とEVは、セカンドカーをEVにして屋根の太陽光の電気を給電すれば、電気代が高止まりしても、たとえ下がってもセカンドカーとしての便利さから理にかなった組み合わせです。名古屋のエナジーベースのように、太陽光パネルのメーカーごとの発電量を10年以上の記録で確かめられる場所もあります。

日産サクラの商談のように、お客さんが住宅会社より先にEVの情報をつかんでいる場面はすでに起きています。住宅会社は、お客さんの知識に住宅営業の知識が追いつかない状態を避けなければなりません。

ぜひ本記事の加藤社長の話と商談の事例を参考に、次の初回面談からセカンドカーの予定と車種まで聞いてみてください。

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